手取り金額の計算方法も紹介 ボーナスにも税金はかかる?
一般的に夏と冬の年に2回もらえるボーナス。思っていたよりも手取りが少ないことに驚いた人もいるのではないでしょうか?
この記事ではボーナスにかかる税金・社会保険料と、手取り金額の計算方法を説明します。
※計算方法を知りたい人は、下の「ボーナスの手取りの計算方法は?」をご覧ください。
ボーナスにも税金はかかる?
ボーナスから引かれるものにはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、ボーナスに関わる税金と社会保険料について解説します。
ボーナスから引かれる税金や保険料などは5つ
ボーナス(賞与)から、毎月の給与と同じように税金や社会保険料が引かれます。ボーナスから引かれるのは以下の5つです。
- 所得税
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 介護保険料(40歳~64歳)
ボーナスに住民税はかからない
ボーナスから住民税は引かれません。
住民税は、前年1年間の所得を元に年間の納税額が決まり、それが毎月の給与から天引きされる仕組みになっています。そのため、新卒2年目になると毎月の給与から住民税が引かれますが、ボーナスからは引かれません。
コラム:ボーナスに対して所得税が引かれなかったことはない
「昔はボーナスから所得税が引かれなかった」と聞いたことがある人もいるかもしれませんが、引かれなかったことは一度もありません。
ただし、社会保険料は1995年までボーナスからは引かれませんでした。また、1995年以降2003年3月までは厚生年金保険料率はたったの1%でした。そのため、当時は給与を減らす代わりにボーナスを多く払うことで、納める社会保険料を安く抑えようとする会社が多かったようです。
ボーナスの手取りの計算方法は?
ボーナスの手取り金額はいくらになるのでしょうか。
手取り金額の計算方法を紹介するので、実際に計算してみましょう。
ボーナスの手取り金額はもらった額の約8割
ボーナスの手取り金額を計算したい時は、ボーナスに0.8をかけると手取り金額の目安がわかります。ボーナスの手取り金額は、前月の給与額や扶養人数によって違いはありますが、ボーナスの75%~85%が一般的です。
ボーナスの手取り金額の計算方法
=ボーナス-(健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険料+所得税)
ボーナスの手取り額は、ボーナスから健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税を引くと求められます。40歳以上の人は、介護保険料も引いて計算します。
ここで計算できるのは、ボーナスの支給回数が年3回までの場合です。ボーナスの支給回数が年4回以上の場合、計算上ボーナスではない扱いになるため、社会保険料の計算方法は異なります。
1健康保険料
=ボーナス(※1,000円未満は切り捨て)×健康保険料率×1/2
健康保険料率は加入している組合や勤務地によって異なるので、詳しくは加入組合のHPなどから確認しましょう。料率は、39歳以下と介護保険料も払う40歳以上で異なります。健康保険料は会社と半分ずつ納めることになっています。
※協会けんぽ組合員(東京都)の場合はこちら→令和5年度保険料額表(令和5年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会
2厚生年金保険料
=ボーナス(※1,000円未満は切り捨て)×厚生年金保険料率(0.183)×1/2
保険料率は、住んでいる場所や勤めている会社に関わらず誰でも18.3%(2022年4月時点)となっており、会社と半分ずつ納めることになっています。料率は変更になる可能性があります。
※詳しくは→令和5年度保険料額表(令和5年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会
3雇用保険料
雇用保険料
=ボーナス×0.006
(労働者負担率が0.6%、事業主負担率が0.95%で合計負担率が1.55%)
雇用保険料は会社の事業内容によって料率が異なりますが、ほとんどは0.5%です。雇用保険料率は、毎年変わる可能性があるので、厚労省のHPを確認しましょう。
※厚労省のHPはこちら:雇用保険料率について |厚生労働省
会社が農林水産・清酒製造事業を行っている場合、労働者負担率が0.7%、事業主負担率が1.05%で合計負担率が1.75%です。建設事業の場合、労働者負担率が0.7%、事業主負担率が1.15%で合計負担率が1.85%です。
4所得税
={ボーナス-(健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険料)}×賞与に対する源泉徴収税率
賞与に対する源泉徴収税率は、ボーナスをもらう前月の給与から社会保険料を引いた額と、扶養人数によって決まります。詳しくは国税庁のHPから確認しましょう。
※詳しくは→令和5年分源泉徴収税額表|国税庁
ボーナス30万円の20代の場合【扶養家族数0人・1人】
ボーナスを30万円もらった20代の会社員の手取り金額を、扶養家族数別に計算しました。
- 東京都の企業勤務、20代の会社員
- ボーナス300,000円
- 前月の給与額220,000円
- 加入組合は協会けんぽ
<扶養家族数が0人(独身)である場合>
20代独身者が30万円のボーナスをもらった場合、手取り金額は245,306円です。保険料と所得税は合わせて54,694円です。
※所得税の計算方法はこちら
<扶養家族数が1人である場合>
20代で扶養家族が1人の場合、30万円のボーナスをもらうと手取り金額は250,528円です。保険料と所得税は合わせて49,472円です。
※所得税の計算方法はこちら
ボーナス30万円・20代の手取り金額の計算方法
ボーナスを30万円もらった20代の会社員の手取り金額の計算は以下のとおりです。
健康保険料
=300,000円×0.1×1/2
=15,000円
厚生年金保険料
=300,000円×0.183×1/2
=27,450円
雇用保険料
=300,000円×0.006
=1,800円
以上から、ボーナスにかかる保険料の合計金額は44,250円です。
前月の給料に対する社会保険料は、健康保険は11,000円、厚生年金保険料は20,130円、雇用保険料は1,320円で、合計32,450円です。
前月の給与が220,000円なので、そこから社会保険料と雇用保険料を引いた額は187,550円です。(220,000円-32,450円=187,550円)
国税庁の源泉徴収税額表から、源泉徴収税率は4.084%です。ボーナスにかかる保険料の合計が44,250円であるため、所得税額は10,444円です。
(300,000円-44,250円)×0.04084=10,444円
源泉徴収税率は2.042%です。ボーナスにかかる保険料の合計が44,250円であるため、所得税額は5,222円です。
(300,000円-44,250円)×0.02042=5,222円
ボーナス100万円の40代の場合【扶養家族数0人・1人・2人】
ボーナスを100万円もらった40代の会社員の手取り金額を、扶養家族数別に計算しました。40歳以上だと、健康保険料に介護保険料も含まれるので注意してください。
- 東京都の企業勤務、40代の会社員
- ボーナス1,000,000円
- 前月の給与額300,000円
- 加入組合は協会けんぽ
<扶養家族数が0人(独身)である場合>
40代独身の人が100万円のボーナスをもらうと、手取り金額はは791,734円です。保険料と所得税は合わせて208,266円です。
※所得税の計算方法はこちら
<扶養家族数が1人である場合>
40代で扶養家族1人の場合、ボーナスを100万円もらうと手取り金額は808,956円です。保険料と所得税は合わせて191,044円です。
※所得税の計算方法はこちら
<扶養家族数が2人である場合>
扶養家族2人の場合、100万円のボーナスをもらうと手取り金額は826,178円です。保険料と所得税は合わせて173,822円です。
※所得税の計算方法はこちら
ボーナス100万円・40代の手取り金額の計算方法
ボーナスを100万円もらった40代の会社員の手取り金額の計算は以下のとおりです。
健康保険料
=1,000,000円××0.1182×1/2
=59,100円
厚生年金保険料
=1,000,000円×0.006×1/2
=91,500円
雇用保険料
=1,000,000円×0.006
=6,000円
以上から、ボーナスにかかる保険料の合計金額は156,600円です。
前月の給料に対する社会保険料は、健康保険料17,730円、厚生年金保険料27,450円、雇用保険料1,800円で合計46,980円です。
前月の給与が300,000円なので、そこから社会保険料と雇用保険料を引いた額は253,020円です。(300,000円-46,980円=253,020円)
国税庁の源泉徴収税額表から、源泉徴収税率は6.126%です。ボーナスにかかる保険料が156,600円であるため、所得税額は51,666円です。
(1,000,000円-146,250円)×0.06126=52,300円
源泉徴収税率は4.084%です。ボーナスにかかる保険料が156,600円であるため、所得税額は34,444円です。
(1,000,000円-156,600円)×0.04084=34,444円
源泉徴収税率は2.042%です。ボーナスにかかる保険料が156,600円であるため、所得税額は172,222円です。
(1,000,000円-156,600円)×0.02042=172,222円
コラム:ボーナスから所得税・社会保険料を引いた手取り金額はいくら?【会社員・公務員】
ボーナスの約8割を手取り金額とすると、民間企業の2022年冬季のボーナスの手取り金額は約71万円です。ボーナスの平均は894,179円となっています。ただし、これは経団連による調査結果のため、全サラリーマンの平均より高い水準だと考えられます。
一方、国家公務員のボーナスの手取り金額は約52万円です。2022年冬季のボーナスの全体平均額は652,100円でした。(平均年齢33.8歳)
※参考:
2022年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果|経団連(公表:2022年12月22日、参照:2023年11月8日)
令和4年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給|内閣官房内閣人事局(公表:2022年12月9日、参照:2023年11月8日)
まとめ
ボーナスから所得税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が引かれたものが手取りとしてもらえます。住民税は引かれません。
(文:転職Hacks編集部)
この記事の監修者
特定社会保険労務士
成澤 紀美
社会保険労務士法人スマイング
社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT関連企業。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」を展開。