代休なしや強制は違法? 休日出勤の代休についての基礎知識

企業で働いていると、休日出勤をしたり、代休を取ったりすることがあるでしょう。

この代休、取れなかった場合は違法になるのでしょうか。そんなあなたの疑問にお答えします。

休日出勤をした際の代休とは?

まずは、代休に関する基礎知識を押さえましょう。

代休とは休日出勤後、他の労働日に休むこと

代休とは、休日出勤をした後、ほかの労働日に休みを取ること

休日に労働した分、代わりに後日休みを取ろうという考え方です。

代休の取得は労働基準法で定められた義務ではありません。代休に関する決まり(いつまでに代休を取得すれば良いかなど)は各企業によって異なります

代休は時間単位で取ることができる

代休は、日単位ではなく時間単位で取ることも可能です。

企業で認められている場合は、「午前中の3時間だけ休日出勤をしたので3時間の代休を取る」といったことができます。ただし、企業によっては時間単位の代休は取れないと定めているところもあるので、詳しくは就業規則や雇用契約書を確認しましょう

代休の取得期限は会社によって異なる

代休の取得期限は企業によって異なります

一般的には、次の給料の締め日までに取る場合が多いようです。例えば、給与が月末締めの場合は月末までに取る、というような形です。

「代休なし」って違法?

休日出勤をしたのに代休が与えられず、結果月の休みが3日しかなかったという場合は違法です。労働基準法では「毎週1日」または「4週間を通じて4日以上」の休日が与えられなければならないと規定されているからです。

ただし、それ以上の休日が与えられているならば「代休がない」こと自体は違法とは言えません。

代休の手当額は? 振替休日との違いも解説

ここでは休日出勤をして代休をとった際の手当額について、よく混同されがちな振替休日と比較しながら、詳しく解説します。

代休の場合は35%または25%の割増賃金が発生する

代休を取ったとき、休日出勤をした分の賃金は法定休日の場合35%以上法定外休日労働時間が1日8時間以上、1週40時間以上場合、25%以上の割増となります。

休日には法定休日と法定外休日がある

法定休日とは、労働基準法で定められた休日のことです。「週1日」または「4週間を通じて4日以上」必ず与えられる最低限の休日のことを言います。

一方、法定外休日とは、法定休日以外に労働者に与えられる休日のことを言います。

法定休日と法定外休日をどのように定めているかは、企業によって異なります。気になる人は自分の職場の就業規則を確認してみましょう。

代休と混同しやすい振替休日とは?

代休と混同しやすいものとして、振替休日があります。割増賃金は発生するのか、強制された場合は違法になるのかなど、代休との違いについて解説します。

代休と振替休日の違いは事前に決められた休日かどうか

代休と振替休日の違いは、事前に決められた休日かどうかです。

代休は、休日出勤をした後に代わりに休む日にちを決めます。予定していた休日に急遽仕事が入り、出勤せざるをえなかった場合、その代償として後日休みを取るという考え方です。

一方、振替休日では休日出勤をする前に「◯日に出勤する代わりに△日を休みにします」と決めます。予定があって出勤できない労働日があらかじめわかっている場合、事前に休日そのものを交換しておくという考え方です。

「代休」とは、本来法定休日である日曜に働き、通常の労働日である別日に休みを取得すること。その場合、法定休日の日曜の勤務時間には35%の割増賃金が発生する。一方で、代休を取得した、本来の労働日は無給となる。

「振替休日」とは、法定休日を、事前に日曜ではない曜日に交換しておくこと。(例:日曜を労働日とし、水曜を法定休日に。)。その場合、日曜に割増賃金は発生しなくなる。

振替休日では割増賃金が発生しない

振替休日を取ったときは、休日出勤した分の賃金は割増されません。これは、事前に休日を交換してあるため、休日ではなく労働日に働いただけとみなされるからです。

ただし、以下の条件に該当する場合は25%以上の割増賃金が発生します。

  • 振替休日で働いた日を含む週の労働時間が週法定労働時間(40時間)を超えた場合
  • 労働時間が深夜にまで及んだ場合

※休日出勤の割増賃金について詳しくは→休日出勤手当の割増率・計算方法まとめ

振替休日の強制は規定通りであれば合法

振替休日の強制は、基本的には合法です。そもそも振替休日とは、あらかじめ企業が設定するものだからです。

ただし、企業は以下の要件を守る必要があります。

  • 就業規則に振替休日に関する規定がある
  • 振替休日の日にちを指定する
  • 振替休日の日にちはできるだけ近接した日にする
  • 振替日を前日までに通知する

振替休日の日にちの規定は「できるだけ」であり、具体的な基準はありません。

ただし、休日出勤日と同じ週以外に振替日を定めた場合、振替休日で働いた日を含む労働時間が週法定労働時間(40時間)を超えた場合は割増賃金が発生します。これを守らなかった場合は労働基準法違反になります。

※参考:労働基準法のあらまし|東京労働局

まとめ

代休とは、休日出勤をした後にほかの労働日に休みを取ることです。代休が取れない場合は違法とされる可能性があります。

また、振替休日とは休日を取るタイミングや賃金の額が異なります。代休または振替休日を取るときは、この記事を参考にしてみてください。

(文:転職Hacks編集部)

この記事の監修者

社会保険労務士

三角 達郎

三角社会保険労務士事務所

1972年福岡県生まれ。東京外国語大学卒業。総合電気メーカーにて海外営業、ベンチャー企業にて事業推進を経験後、外資系企業で採用・教育・制度企画・労務などを経験。人事責任者として「働きがいのある企業」(Great Place to Work)に5年連続ランクインさせる。
現在は社会保険労務士として、約20年の人事キャリアで培った経験を活かして、スタートアップ企業や外資系企業の人事課題の達成から労務管理面まで、きめ細やかにサポートを行っている。
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