平均昇給額からベアとの違いまで 定期昇給とは?

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会社で働く上で、今後の給料アップの見通しは誰しも気になるもの。

昇給制度のひとつである「定期昇給」について、昇給率の平均や、春闘で話題に上る「ベア」との違いなどについて解説します。

定期昇給とは?

まずは定期昇給に関する基本的な内容をおさらいしましょう。

定期昇給とは年齢や勤続年数で昇給する制度

定期昇給とは、従業員の年齢勤続年数を基準に昇給を行う昇給制度のひとつです。

企業によって昇給額・昇給率が異なりますが、勤続年数に比例して自動的に昇給するため、賃金カーブは右肩上がりになります。

「年功序列賃金制度」を支える昇給制度であり、長く勤めれば勤めるほど給与が上がっていく、日本型雇用の代表的な形です。能力とは関係なく年齢や勤続年数に応じて一律に昇給するため、自動昇給とも呼ばれます。

定期昇給率の平均は?企業規模別に紹介

厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、2018年の「1人平均賃金の改定率」は2.0%で、金額にして5,675円となっています。

また、従業員が多い大企業ほど定期昇給率が高い傾向にあります。例えば5000人以上の規模では2.2%(7,109円)1,000~4,999人の規模では1.9%(5,645円)となっています。

企業規模と定期昇給率・定期昇給額の一覧表。以下、企業規模(従業員数):定期昇給率|昇給額。5,000人以上:2.2%|7,109円。1,000~4,999人:1.9%|5,645円。300~999人:1.9%|5,247円。100~299人:1.9%|5,039円。

※参考:厚生労働省「平成30年賃金引上げ等の実態に関する調査」

また、改定率は1.9%と同じでも、実際の昇給額は企業規模が小さいほど少なくなっています。これは企業規模が小さい企業は、元々の基本給が低い傾向にあるためだと考えられます。

具体的な給与額を計算すると、基本給が20万円の場合、改定率が2.2%であれば20万4,400円、1.9%であれば20万3,800円が改定後の給与となります。

定期昇給とベアの違いって?

よく春闘で企業に要求されるベア(ベースアップ)とは、社員全員の給与水準を底上げすることです。

社員ひとりひとりの昇給を個別に行う定期昇給と違い、賃金水準全体の引き上げとなるため、企業にとっては負担になります。

定期昇給では給与の高い年長の社員が退職し、給与の低い若手社員が入社することで全体での給与額は大きく増えませんが、ベアは全年代の給与水準が上昇するためです。

2014年からは政府が賃上げを要求する「官製春闘」によりベアが続いていますが、経団連は2019年の労使交渉(春闘)では数値目標を盛り込まないことを決めており、画一的なベアではなく各企業の状況に応じた交渉が展開される可能性があります。

定期昇給以外の昇給

昨今では、以下のような定期昇給以外の昇給制度がメジャーになりつつあります。

査定昇給

本人の能力や業績評価に基づいて査定が行われ、考課査定結果によって個人ごとに昇給率・額が決定されます。

定期昇給と違って努力や成果を実感しやすい反面、企業の評価基準があいまいな場合、社員間の不公平感につながってしまうこともあります。

昇格昇給

企業内で定める人事考課制度の中で、上位の等級に昇格した場合、その等級に応じた給与額に昇給します。あらかじめ昇給に関わる到達目標が決まっているため、社員にとってはモチベーションを保ちやすくなります。

いずれも、本人の能力や実績、等級などの基準が満たされていないと昇給されないというところが、定期昇給との違いになります。

【コラム】定期昇給「なし」の企業は違法? 

企業によっては定期昇給がない場合もありますが、それ自体は違法ではありません。

定期昇給は終身雇用制度が前提となっていることが多いため、終身雇用制度がなくなりつつある現在では、定期昇給がない企業も珍しくないようです。

ただし、労働基準法では労働契約書や就業規則で昇給について定めなければならないとされています。

もし就業規則で定期昇給があると明記しているにもかかわらず、昇給がない場合は違法の可能性もありますので、まずは就業規則を確認してみましょう。

定期昇給の問題点

安定した給与を手にすることができる定期昇給ですが、「一律」ならではの問題点もあります。

定期昇給はモチベーション低下にも

定期昇給は能力に関係なく給与が上がっていくため、社員の競争意識が下がり、スキルアップがうまく実現できないことがあります。

また、実力ある若手が「勤続年数は長いが成果を出していない」社員より低い待遇となることで、モチベーション低下を招くこともあります。

能力に関わらず昇給率が一定であることに不満を感じる人は、成績が給与に影響しやすい営業の仕事や、評価が直接給与やボーナスに反映される査定昇給の企業への転職を考えてみても良いでしょう。

成果昇給の企業が増えている

いわゆる「日本型雇用」では、かつての経済成長期に大量採用した社員に対して、年功序列制(定期昇給)によって能力に見合わないような高い給料を支払わなければならなくなりました。そうした背景から、人件費削減のために年功序列制は見直されつつあり、成果昇給の企業が増えています

スキルが高い社員や成果を出した社員を評価し給与に反映するため、若手でも大きく昇給する可能性があります。

例えば2018年に東証マザーズに上場したメルカリは、成果を出した人を限度額なしで全員昇給するという無制限昇給を取り入れています。予算内で相対的な割り振りをして給与を決定するのではなく、例え新卒社員だとしてもスキルなどを絶対評価で捉え、能力に見合った給料が支払われるという制度です。

まとめ

定期昇給は日本型雇用における代表的な昇給方法であり、大企業ほど昇給率・昇給額が大きいことが特徴です。

しかし、スキルや実績があっても昇給しにくいという点や、能力に見合わない給料を支払わなければならないなどの問題から、徐々に見直されています。

企業研究をするときは、その企業がどのような評価基準や昇給方法を取り入れているか、チェックしてみましょう。

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