最新状況や計算方法をわかりやすく解説! 有効求人倍率とは何?

最新データ(2024年10月29日更新)

2024年(令和6年)9月の有効求人倍率(季節調整値)は、1.24倍。前月の8月を0.01ポイント上回り、前年の9月を0.05ポイント下回りました(厚生労働省調べ)。
※出典:一般職業紹介状況(令和6年9月分)について|厚生労働省

就職・転職活動をすると、目にする機会が多い「有効求人倍率」。高いほど就職しやすいとわかる指標になります。

ここでは、有効求人倍率の意味と最新の推移、計算方法、問題点についてわかりやすく解説します。

有効求人倍率とは? 定義や最新の推移を紹介

まずは、有効求人倍率とは何なのか、定義や最新の推移をご紹介します。

有効求人倍率とは1人あたり何件の求人があるか

有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値で、「就職のしやすさ」の目安になる指標です。

例えば、求職者100人に対して求人が200件あるとき、有効求人倍率は2.0倍となります。

人手が足りず、多くの企業が積極的に求人募集をしているときは、有効求人倍率は1を上回ることになり、数値が大きいほど「就職しやすい」傾向にあることを意味します。

反対に、企業があまり求人を募集しないときには、有効求人倍率は1を下回ることになり、数値が小さいほど「就職しにくい」傾向となります。

有効求人倍率は、景気とほぼ一致して動きます。そのため、景気の動向を知るための指標にもなります。

最新の有効求人倍率は?

2020年度の有効求人倍率は1.18倍と前年度から0.42ポイント低下する結果となりました。
下げ幅としては第1次オイルショック後、1975年の0.59ポイントにつぐ45年ぶりの大きさです。

新型コロナウイルス感染拡大の影響が色濃くでており、今後も厳しい情勢が続くことが予想されます。

ここ最近の全国の有効求人倍率は、以下のグラフの通り推移しています。

1986年~2020年(4月)における全国の有効求人倍率の推移を表すグラフ

※出典:一般職業紹介状況(職業安定業務統計)|厚生労働省

2008年に0.77あった有効求人倍率は、翌2009年のリーマンショック(※)をきっかけに大きく下落。結果0.5を割り込みますが、その後は労働需要の高まりや労働人口の減少を背景に回復を続け、右肩上がりに上昇しています。

2014年には1.0を超え、2018年の平均値はバブル期のピークを上回る1.62となりました。

※リーマンショック
…アメリカの証券会社リーマン・ブラザーズの経営破綻が引き金となって起こった国際的な不況

有効求人倍率の簡単な計算方法は?

次に、有効求人倍率の簡単な計算方法を見ていきましょう。

有効求人倍率の計算方法

有効求人倍率の計算方法は、次の通りです。

有効求人倍率の計算式:有効求人倍率=有効求人数(件)/有効求職者数(人)

「有効求人数(件)」を「有効求職者数(人)」で割ったものが、有効求人倍率です。有効求人数は前月と当月の求人の数、有効求職者数は前月と当月の求職者の数を指します。

例えば有効求人数が50人、有効求職者数が100人ならば、有効求人倍率は0.5倍となります。

求人数や求職者数のデータは、厚生労働省が全国のハローワークにおける求人数、求職者数を算出したものを使用しています。

「有効」とは?

求人倍率や求人数、求職者数の前につく「有効」は、「ハローワークでの求人数や求職者数が有効期間内にあること」を意味しています。有効期間とは、その数値が確かだと認められる期間の目安です。

ハローワークでは、求人、求職とも、「有効期間は2ヶ月間(翌々月の末日まで)」と定められています。有効求人倍率は、算出をする時点で有効期間内にある求人数、求職者数をもとに算出されます。

そのため、有効求人倍率は、算出をする時点で実際に求人を出している企業、求職をしている人の動向を知ることができる指標となっています。

有効求人倍率を見るときの注意点

有効求人倍率には、注意しなければならない問題点もあります。

ハローワーク以外での求人・求職が含まれない

有効求人倍率の第1の問題点は、ハローワーク以外での求人・求職が含まれないこと。

有効求人倍率は、厚生労働省がハローワークでの求人数・求職者数をもとに算出したもので、就職雑誌や民間企業の求人サイトなどハローワーク以外で募集される転職・新卒者の求人は反映されていません。

そのため、有効求人倍率が本当に全体の就職しやすさを表しているものであるのかは、疑問の余地があるといえるでしょう。

正社員の求人とは限らない

有効求人倍率のもう1つの問題点は、求人が正社員の募集とは限らないこと。厚労省の報道発表における「有効求人倍率」は、正規と非正規の求人は区別されおらず、すべての雇用形態の求人が含まれています。

また、パート・アルバイトを除いた有効求人倍率は別に計算されていますが、こちらも派遣、契約社員が含まれているので、厳密に正社員だけの有効求人倍率ではありません。

非正規雇用は、正規雇用と比べて雇用後の安定が保証されているとはいえません。また、一時的な需要で募集がなされるため、求職数が増えても、またすぐに減ることも考えられます。

したがって、有効求人倍率が正確に景気の動向を示すものであるとは言い切れない部分もあります。

まとめ

有効求人倍率とは何なのか、意味や計算方法は把握できたでしょうか? 「就職しやすさ」を示す指標である有効求人倍率は、景気の動向を示す指標としても使用されます。

しかし、有効求人倍率には、本当に就職しやすさや景気の動向を示すといえるのか、疑問の余地もあります。この記事を参考に、就職・転職や景気の動向をより深く理解していきましょう。

この記事の執筆者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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