【残業代が出ない】違法パターンと対処法

いくら働いても残業代が出ない……。自分の職場の状況が当たり前なのか、悩んではいませんか?

残業が出ない会社にありがちなパターンと対処法を解説します。

これって違法?残業代が出ない6パターン

連日、遅くまで残業しているのにきちんと残業代が受け取れない状況では、仕事へのモチベーションを持てないですよね。そこで、残業代が出ないことに悩んでいる方にありがちな6つの状況を解説します。

会社側は「ルールに則り、問題なく運用している」と説明していても、違法な条件で働かされていることがあるので確認してみましょう。

残業代の出ないサービス残業はNG

雇用契約書には『勤務時間:9:00~18:00』とあるのに、毎日遅くまで残業させられて、しかもその分の残業代は出ていません。これは労働基準法違反では?

サービス残業をさせることは違法です

一般に、残業代の出ない時間外労働を「サービス残業」と言いますが、サービス残業は労働基準法違反です。

労働基準法では、労働者が決められた勤務時間以外に働いた場合、企業は労働者に割増賃金(残業代)を払うことが決められています。これには残業だけでなく早出や休日出勤など、勤務時間外に働いた時間すべてが含まれます。

「サービス残業」という言葉は、違法であることが認識されにくいことから、厚生労働省ではこれらの行為を「賃金不払残業」と呼んでいます。

サービス残業が社会問題となっていることから、将来的にはサービス残業をなくしていこうというムードも高まっています。厚労省では、2017年1月「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」をもうけました。

※サービス残業について詳しくはこちらの記事をチェック!→『サービス残業は当たり前? 実態と対策を徹底解説

みなし残業でも残業代はもらえる

雇用契約書の給料欄に「固定残業代を含む」と書いてありました。残業が1時間でも100時間でも、固定残業代しかもらえないのでしょうか?

契約書に書かれている固定残業時間を超えて働けば、その時間分の残業代が受け取れます。

一般的に「みなし残業」と呼ばれているのは、「基本給○○万円(固定残業代×時間分○万円を含む)」といったように、給料に固定残業代が含まれている給与体系のこと。

あらかじめ決めた時間を残業したと「みなして」給料を決めていることから「みなし残業」と呼ばれています。そこで決められている時間をオーバーして働いた分は、残業代をもらうことができます。

また、そもそも雇用契約書に固定残業代がいくらなのか、何時間なのかが明記されていないとみなし残業は無効となるので、確認しましょう。

ちなみに「みなし残業」は、後からでてくる「みなし労働時間制」とは別なので区別して考えましょう。

裁量労働制でも残業代が出る例

会社から「裁量労働制だから残業代は出ない」と説明されました。深夜や休日まで働くことも多く、毎月みなし労働時間以上に働いているのですが、裁量労働制では当たり前なのでしょうか?

裁量労働制でも「みなし労働時間」が1日8時間を超えていれば残業代が出ます。

裁量労働制(みなし労働時間制)とは、実際に働いた時間に関係なく、あらかじめ〇〇時間働いたことにしておくと「みなす」働き方です。みなし労働時間が1日8時間と決められていれば、実際に働く時間が5時間でも10時間でも8時間働いたとみなされます。

仕事の性質上、一律には時間を決められない、専門職種のエンジニアやデザイナーや研究職、企画系の仕事の方、会社では実際の勤務時間を把握できない外まわりの営業の方が該当します。

基本的には、裁量労働制でも、みなし労働時間が、法定労働時間の1日8時間を超えて設定されていれば、その分は残業代として支払われます。たとえば、みなし労働時間が1日10時間なら、2時間分が残業代となります。多くのケースでは固定残業代として計上されているようです。また、裁量労働制には深夜勤務や休日勤務は含まれないので、休日、深夜勤務の際には別に残業代が支払われます。

しかし、現状では裁量労働制が会社にとって都合のいいように利用されているケースも少なくありません。「残業するのは個人の裁量」として、みなし労働時間を大幅に超える残業をしているにも関わらず、給料が増えないと悩んでいる人も多いようです。

ただし、裁量労働制を導入するためには会社側と社員側(労働組合もしくは社員の過半数に認められた代表者)が、その内容について労使協定を結ばなくてはならない上、ルールが守られていない場合は、裁量労働制自体が無効となることもあります。

裁量労働制が残業代をカットする隠れ蓑とならないためにも、あらためて自分の労働環境を確認してみましょう。

※参考:厚労省/裁量労働制の概要

事務職は裁量労働制にできない

転職しようと考えている会社の求人票に「事務職」で「裁量労働制」と書いてありました。事務職でも認められた働き方なのでしょうか?

認められていません。裁量労働制は特定の職種しか対象となりません。

「裁量労働制」は、専門的職種、企画型職種、外勤型営業が対象になると労働基準法で定められているため、事務職の方は対象になりません。したがって、事務職の方の「みなし労働時間」は違法となります。

また、外回りの営業であっても、以下のように会社が社員の勤務実態を把握できるときは、裁量労働制の対象とならないこともあるようです。

  • グループで外回りの営業をし、その中に管理者がいる
  • 携帯電話などで上司の指示を受けながら外回り営業をしている
  • 訪問先と帰社時刻など、会社から指示された業務内容を終え、会社に戻っている

名ばかり管理職は残業代が出ることも

管理職の肩書はありますが、仕事の内容や給料は一般社員と変わりません。管理職なので残業代が支給されないのは仕方のないことでしょうか?

いわゆる「名ばかり管理職」は残業代が請求できます。

労働基準法では、監督、管理の立場にある人は、残業代や休日出勤手当を出さなくよいと定められています。

この「監督、管理の立場にある人」とは具体的には、会社の経営にも関わり社員を指導する立場にあり、出退勤時間を自ら決められ、役職手当が出ているなど一般社員との給料に差がある人のことをいいます。

一方、これらの基準を満たしていないにもかかわらず肩書だけ管理職とされている人は、「名ばかり管理職」と呼ばれています。名ばかり管理職であると労働基準監督署などに認められた場合は、残業代の請求が可能です。

年俸制でも残業代はもらえる

残業代込みの年俸契約ですが、連日、深夜まで残業しています。残業代は諦めるしかないのでしょうか?

決められた残業時間を超えた分は、残業代を請求できます。

一般的に、年俸制には「一月あたり○○時間分の残業代を含む」とされているケースが多いです。これは固定残業代と同様の考え方で、決められた残業時間を超えた分は、残業代を請求できます。

そもそも、雇用契約を結ぶ際、年俸の欄に残業代の記載がない場合は、会社に確認する必要があります。

コラム:残業代が出ない業務委託にも例外あり

業務委託とは、企業に雇用されるのではなく、企業と対等の立場で業務の依頼を受ける働き方です。どんな仕事内容を、いくらで、いつまでに、どのように遂行・完了させるかなど、仕事の内容ごとに契約を結んで働きます。

案件を納品して仕事が完了となるため、どこでどのように作成したか、何時間働いたかなどは全く問われません。したがって、基本的に残業代という概念もありません。

フリーランスなどに多い働き方ですが、会社のなかには、社員として雇用すると残業代などのコストがかかるため、「業務委託」という形態をとることもあるようです。

業務委託契約をしていても、実態は社員のような働き方だと認められれば、業務委託契約が無効となり、残業代を請求できることもあります。以下のようなケースが該当します。

  • 社員なみに働く時間や場所を拘束されている
  • 仕事を進めるにあたっての自由度がない
  • 依頼する会社側が多額の経費を負担している

未払い残業代を請求する前に

残業代が出ないことに困っている人は、未払いの残業代を会社に請求したいと考えても当然です。とはいえ、会社との交渉には相当な覚悟も必要です。最終的なアクションの前にできることをまとめました。

STEP1 まずは残業をしないことから

まずは、そもそも残業をせずにすむよう、定時で仕事を終えて帰れるように努力してみましょう。1日、1週間ごとのスケジュールを立て、メールや電話などの雑務は手短に終わらせるなど、メリハリをつけて効率よく仕事を進めるのがベターです

とはいえせっかく業務をこなしても、残業してあたりまえなムードの職場の場合、定時で帰るのは勇気がいるもの。よほどの強い心の持ち主でない限り難しいかもしれませんが、思い切って空気を読まずに帰ってみてはいかがでしょうか。

STEP2 同僚に相談&上司と交渉する

もともと一人では処理しきれない膨大な業務量の場合、自力で残業を減らすのは難しくなります。それでも残業代が出なければ仕事へのモチベーションが下がって当然です。

まずは、同僚に残業が出ないことを相談。同じ悩みを持つ味方をつければ後々も何かと心強いでしょう。

その後、上司に業務量が多すぎて残業せざるをえないこと、労働に見合った残業代を支払ってもらえないかと交渉してみましょう。

並行して、将来的な請求時のことを見据えて、パソコンの使用記録といった残業の証拠となるもの、上司との交渉の記録などを残しておくことも忘れずに。

STEP3 転職して経済的な安定確立

会社の待遇が変わりそうにない場合、あまりにも長時間のサービス残業が続くようであれば心身の健康のためにも転職を考えましょう

とくに業績が悪化している会社などでは、どんなに働いても利益が出ず、報われないサービス残業を日々繰り返してしまう人もいるようです。「自分が会社を支えなくては」という思いがあったとしても、無理をしてまで会社に尽くす必要はありません。次のステップに進むために、転職をすればよいのです。

STEP4 会社に請求するのは最終手段

もしこれまでしてきた残業の対価を諦められない場合は、会社に未払い残業代を請求しましょう。残業代の請求はリスクを伴うので、「今後も同じ会社で働き続けたい」という人にはなかなか難しく、退職した後に請求する人も少なくないようです。

これまで集めてきた残業の記録を準備して、信頼できる相談先に向かいましょう。

詳しい請求方法はこちらの記事をチェック!→『未払い残業代の請求方法【完全ガイド】

残業に関する法律の基本

会社員として働くうえで、法的に決められた基本的な労働内容をあらためて確認しましょう。

1日8時間、週40時間以上の労動に残業代が発生

労働基準法で決められている基本的な法定労働時間は、1日8時間、週40時間です。これは、アルバイトや契約社員であっても適用されます。この範囲を超えるときは残業代が発生します

また、毎週少なくとも1回、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を設けなくてはいけません。休日に働いた場合は休日手当がもらえます。

残業をさせるためには36協定が必須

大前提として、会社が法定労働時間を超える残業や休日勤務などを命じるためには、労働組合(または社員の代表者)と労使協定を結ばなくてはいけません。さらに、会社はその内容を労働基準監督署に届け出る義務があります。

これらは、労働基準法36条に定められているため「36(サブロク)協定」といわれています。この協定を結ばずに残業をさせている会社は法律に違反しているというわけです。

また、36協定を結んだとしても、残業時間の上限が決められています(一部の職種に例外あり)。たとえば、1週間では15時間、1か月で45時間などです。下記の厚労省「時間外労働の限度に関する基準」を参照してみると、一般的な過労死ラインといわれる月80時間の残業時間がいかに多いかが実感できます。

ただし、通常の業務量を大幅に超える繁忙期などは、労使の協議を経たうえで、6回を限度として1か月60時間まで、1年420時間まで残業時間を延長することができるとされています。

厚労省による「時間外労働の限度に関する基準」

時間外労働時間の限度基準の表。一般労働者は、1週間で15時間まで,2週間で27時間まで,4週間で43時間まで,1か月で45時間まで,2か月で81時間まで,3か月で120時間まで,1年間で360時間まで。(対象期間が3ヶ月を超える1年単位の)変形労働時間制の労働者は、1週間で14時間まで,2週間で25時間まで,4週間で40時間まで,1か月で42時間まで,2か月で75時間まで,3か月で110時間まで,1年間で320時間まで。

残業代の基本は+25%

時間外労働や深夜(午後10時〜午前5時)の残業代は、1時間当たりの賃金+25%以上、法定休日に働いた場合は1時間当たりの賃金+35%以上の割増賃金を受け取れます。

また、1か月に60時間を超える時間外労働の割増率は、+50%以上となります。(当分の間、中小企業には適用が猶予されています)。

詳しい計算方法はこちらの記事をチェック!→『正しい残業代の計算方法【すぐわかる図解つき】

まとめ

残業代ゼロ法案、過労死など、働き方の多様化によって会社員の労働環境への関心が高まっています。同時に未払い残業代にも注目が集まっています。働き損ということがないように、正しい知識を得て、正当に残業代を受け取れるようにしましょう。

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