費用に関する不安も解消 転職に伴う引っ越しはいつ始める?
転職先が自宅から遠くて通えない場合、引っ越しをどのタイミングで始めればいいのか悩んでしまいますよね。
この記事では、転職で引っ越しが必要になったとき、どちらから進めていけばいいのかを解説します。また、引っ越しにかかる費用や、必要になる各手続きについても紹介します。
転職と引っ越しはどちらが先が正解?
ここでは、転職活動と引っ越しはどちらを先に進めていけばいいのか解説します。
引っ越しは転職活動を先に終わらせてから
引っ越しが必要になる企業を受けているときは、転職活動が完全に終わってから、引っ越しの準備を始めるのが基本です。
引っ越し先のエリアなどは見当をつけておいても良いですが、内定をもらう前に物件の契約をしてしまうのは△。
万が一、内定が出なかった場合に備えて、契約の手続きは企業から内定をもらった後に行いましょう。
どんなにうまく選考が進んでいても、内定が決まっていない状態で早々に引っ越してしまうのは危険です。
上京・移住は引っ越しが先になっても仕方がない
状況によっては、転職先が決まる前に引っ越さなければならないこともあります。地方を出て仕事を見つけやすい都市部で就職しようとする場合や、家族の仕事の都合で移住する場合は、引っ越しが先になっても仕方ないでしょう。
ただし、UターンやIターンで地方に移住する場合、就職先が決まっていない状態で引っ越すのはリスキーです。地方には求人が少なく、Uターン・Iターンでの転職自体が難しいという可能性もあります。
内定が出ていないと入居審査が通らない可能性が
そもそも転職先が決まっていない状態では、入居審査が通らない可能性があります。
物件を契約するときは、入居後に問題なく家賃を支払っていけるかどうかを調べる入居審査が行われます。現職の情報で問題なく審査されることもありますが、転職先が決まる前に引っ越しすることになると、今後の年収や勤め先が不確定で入居審査が通らないこともあるようです。
一度不動産会社に確認したほうがよいでしょう。
転職活動と引っ越しを両立するスケジュールの例
内定から退職日まで最低1ヶ月半あれば、物件探しや不動産屋への退去の連絡、荷造りなど引っ越しするための準備期間として十分な時間が取れます。
入社日の1ヶ月前に引っ越し先の物件を決め、入居日を入社日の1~2週間前に設定できると、引っ越しがスムーズにいくでしょう。
引っ越し後に必要になる各手続きについては、下の「引っ越ししたらどんな手続きが必要?」で紹介します。
一方、内定から入社までの期間が短い場合、上のようなスケジュールで引っ越しするのは難しいこともあります。今住んでいる家からでも通勤できるなら、新しい会社に慣れてきたタイミングで引っ越しすることを考えてもいいでしょう。
退去連絡は予定日1ヶ月前に行う
引っ越すことを決めたら、まずは今住んでいる家の不動産屋・管理会社に退去の連絡をする必要があります。
退去の連絡は退去予定日の1ヶ月前にするのが一般的ですが、不動産屋・管理会社によって異なるので、今住んでいる家の契約書の「解約告知期間」の欄から確認しましょう。
転職に伴う引っ越しにかかる費用は?
引っ越しをするにあたって、気になるのが必要になる費用のこと。ここでは、引っ越しに必要になる費用の目安と、費用の種類について詳しく説明します。
引っ越しに必要な初期費用は家賃の4~5ヶ月分
引っ越しに必要な初期費用は、家賃の4~5ヶ月分です。
内訳としては、家賃・敷金・礼金・仲介手数料で家賃4ヶ月分。それに加えて、引っ越し代は約3~8万円かかります(単身の場合)。
引っ越し代は、時期や荷物の量、新居までの距離によって値段が大きく変動するので注意しましょう。
以下は、引っ越しをするときに必要になる費用の目安です。家賃の希望金額をもとに、引っ越しが必要になったときの具体的な金額を算出してみましょう。
種類 | 金額 |
家賃 | 1ヶ月分 |
敷金 | 1ヶ月分 |
礼金 | 1ヶ月分 |
仲介手数料 | 1ヶ月分 |
引っ越し代 | 約3~8万円(単身の場合)
※引っ越す時期、荷物量、新居までの距離によって異なる |
以下では、引っ越しの際に必要になる費用の使い所と、金額の詳細について説明します。
家賃
家賃は、部屋を借りる契約をするときに貸主(大家さん)に支払うものです。
家賃は、入居審査が通り契約開始となった日から料金が発生するのが基本。引っ越しする日が先であっても、契約開始日から家賃が発生します。
敷金・礼金
敷金は、契約時にあらかじめ貸主に支払う、退去後の部屋の修繕費用のこと。修繕が必要な部分が少なければ、退去時に返金してもらえる可能性もあります。礼金は物件を所有する貸主に支払う謝礼金のこと。敷金・礼金は、仲介業者である不動産屋を通して支払います。
物件によっては、敷金と礼金が無料~0.5ヶ月分のところもあるので、初期費用を安く抑えたい人はチェックしておきましょう。
仲介手数料
仲介手数料とは、物件を借りる際に不動産屋に支払う費用のことです。
仲介手数料の金額は引っ越しする時期や不動産屋によってさまざまですが、支払う額は最大で家賃1ヶ月分と法律で定められています。
引っ越し代
引っ越し代は、引っ越し業者に支払うお金のことです。
引っ越し代は時期や荷物の量、引っ越し先までの距離によって値段が変わります。2~3月など引っ越しが増加する繁忙期は、単身での引っ越しであっても、料金が10万以上になることもあります。
引っ越し代を安く抑えたい場合は、繁忙期を避けたり、軽トラックを借り自分で引っ越し作業を行ったりするといいでしょう。
志望企業に社宅や寮の用意がないかを確認する
企業によっては、社宅や寮を用意しているところもあります。社宅や寮の場合、敷金・礼金は必要ないことがほとんどで、初期費用をかなり安く抑えることができます。
また、個人的に物件を契約するときよりも安い家賃で住むことができる場合がほとんどです。
入社してしばらくの間は社宅や会社の寮に住み、新しい生活に慣れてきたタイミングで改めて引っ越すというのも一つの手です。
新しい勤め先に住宅手当があれば利用する
企業の中には、住宅手当(家賃補助)を用意しているところもあります。全社員に一律の金額を支給しているところや、家賃相場によって支給する金額を変えているところなど会社によって支給額はさまざまです。
住宅手当は月々の給与に上乗せして支給されますが、引っ越す際の初期費用は自分持ちになります。
引っ越し代を負担してくれる企業もある
会社によっては、引っ越し代を負担してくれるところもあります。ただし、引っ越し代を負担してもらえるのは、遠方への配属を言い渡された場合がほとんど。補助金額が、全額か一部かは会社によってさまざまです。
「お金がない」ときの引っ越しが伴う転職はNG
引っ越しの初期費用は家賃の4~5ヶ月分と高額なため、お金に余裕がない状況で、今の家から通うことができない企業に転職するのは、やめたほうがいいかもしれません。
また、転職後には食事会はや歓迎会などに誘われたり、前職では必要ではなかったものを新しく購入しなければならなかったりと、いつもより出費が増える可能性があります。
どうしても転職する必要がある場合は、通勤時間が長くなるかもしれませんが、現在住んでいる家から通勤することも検討しましょう。
引っ越ししたらどんな手続きが必要?
引っ越しによる住所の変更にともなって、さまざまな手続きが必要になります。ここでは、引っ越しに伴う以下の手続きについて、詳しく説明します。
▼引っ越し先を決めたら
- 公共料金(水道・電気・ガス)の契約変更
- 前の勤め先と転職先に住所変更の連絡
- 住民票の異動
▼引っ越し先に入居したら
- 身分証明書の住所変更
- 郵便物、銀行口座やクレジットカードなどの住所変更
公共料金(水道・電気・ガス)の契約変更
水道、電気、ガスなどのライフラインは、引っ越し先の物件を契約した時点で手続きを行っておくといいでしょう。
使用中止の手続きと同じタイミングで、新しく住む家の使用開始の手続きもすると、二度手間にならず楽です。
また、契約変更の手続きは、ほとんどの会社でインターネットにて行うことができます。
前の勤め先には住所の変更の連絡を早めに
離職票や退職証明証などの重要な書類を受け取っていない場合は、以前勤めていた会社に住所変更を伝える必要があります。
郵便局に転送届を提出し、書類を転送してもらうのもいいですが、手続きに時間がかかる可能性もあるため、会社に直接連絡したほうが安心でしょう。その際は、念の為に入居日も合わせて伝えておきましょう。
内定先にも早めに住所変更の連絡を
内定先にも、できるだけ早めに住所変更の連絡をしましょう。内定後、住所が変わったことを伝えないままだと、内定先から送られてくる必要な書類が、旧住所宛に届いてしまう可能性があります。
住民票の移動は必須!転出届と転入届で手続きを
不動産屋での契約後、新しい物件に入居ができるようになったら、住民票を移動させましょう。
まずは以前住んでいた地域の役所に行き、転出届を提出し転出証明書を発行してもらいます。その後、新しく住む市区町村の役所に転出証明書と転入届を提出すれば、住民票の移動は完了です。
転出証明書と転入届は14日以内に提出するよう法律で定められています。
身分証明書の住所変更も忘れずに
住民票の異動が完了したら、運転免許証やパスポートなどの身分証明書の住所の変更も忘れずに行いましょう。
運転免許証は、(1)引っ越し先の運転免許試験場(2)運転免許更新センター(3)警察署の3ヶ所での住所変更が可能です。パスポートは、前の住所が書かれている部分に二重線を引いて、新しい住所を書けばOKです。
郵便物や銀行口座などのカード類の住所変更は早めに!
郵便物、銀行口座やクレジットカードなども、住所が変わったタイミングで登録情報を変更しましょう。
郵便局に転送届を提出するのを忘れてしまうと、郵便物が引っ越し先に届かないというトラブルが起きる可能性があります。
郵便局に転送届を提出すれば、前の住所宛の郵便物を新しい住所へ自動的に転送してもらえます。
住所変更は、直接郵便局の窓口に行かなくても、インターネットから転送手続きが可能です。
※参考:転居届受付状況確認 – e転居
銀行口座やクレジットカードは、正しい登録情報に変更しておかないと、重要な書類を受け取ることができなかったり、カードを無くしてしまったときに本人確認に時間がかかってしまったりします。引っ越し後は、早めの住所変更を心がけましょう。
銀行口座・クレジットカードもインターネットから手続きできる場合がほとんどです。
よく利用するサイト・サービスは登録情報を変更しておくと楽
通販サイトや住所を登録して利用しているサービスは、引っ越しのタイミングで登録している住所を変更しておくといいでしょう。あとで利用するときに、誤って前に住んでいた家に商品が届くというトラブルを防ぐことができます。
コラム:引っ越しをしたら住民税の支払いはどうなる?
住民税は会社が毎月の給与から天引きしているので、引っ越しに合わせてなにか手続きをする必要はありません。
住民税は、1月1日の時点で住んでいる地域に、前年の所得から算出した金額を支払うことになっています。会社員であれば会社が対応してくれるので、正しい住所を伝えていれば特に問題ありません。
まとめ
- 転職活動を先に終わらせてから、物件探しなど引っ越しの準備を始めましょう。
- 引っ越しにかかる費用は家賃の約4~5ヶ月分です。
- 以前勤めていた会社と新しい勤め先への住所変更の連絡は早めに行いましょう。引っ越し先が決まったら、住民票の移動は必須です。
この記事の監修者
社会保険労務士
山本 征太郎
山本社会保険労務士事務所東京オフィス
静岡県出身、早稲田大学社会科学部卒業。東京都の大手社会保険労務士事務所に約6年間勤務。退所後に板橋区で約3年開業し、2021年渋谷区代々木に移転。若手社労士ならではのレスポンスの早さと、相手の立場に立った分かりやすい説明が好評。様々な業種・規模の会社と顧問契約を結び、主に人事労務相談、給与計算、雇用保険助成金などの業務を行う。