求人票の見方・企業の見つけ方は? ホワイト企業に転職する方法

給料が安い。残業時間が長い。休みが取れない……。会社に対する日頃の不満から、「ホワイト企業に転職したい」と考える人は少なくありません。

この記事では、ホワイト企業の考え方を解説し、求人票のチェックすべきポイントと求人票以外からホワイト企業を見つける方法を紹介します。

ホワイト企業とは?転職するにはどうする?

ホワイト企業とはどのような企業のことを表すのでしょうか。ここでは、ホワイト企業の考え方について解説します。

ホワイト企業=従業員にとって働きやすい企業

ホワイト企業とは一般的に、従業員にとって働きやすい企業のことを指します。

明確に定義されているわけではありませんが、平均残業時間が少ない福利厚生が充実している労働に関する法律を守っている離職率が低い有給休暇が取りやすいなどの要素が完璧にそろっている企業ホワイト企業だと考える人が多いでしょう。

そもそもホワイト企業という言葉は、ブラック企業の対義語として使われ始めました。

広辞苑では、ブラック企業は「従業員を違法または劣悪な労働条件で酷使する企業」と定義されていますが、ホワイト企業については書かれていません。

自分にとってのホワイト企業の条件を考えよう

今の勤め先がブラック企業だと感じていて、今度こそホワイト企業で働きたいという人は、自分が重視したい条件を洗い出して優先順位をつけましょう。

すべての要素を満たすホワイト企業を探すのではなく、現状を改善するために「これだけは譲れない」という条件を考えたほうが、自分の希望が叶う求人を見つけやすくなります。もちろん、有名企業だからといってホワイト企業だとは断言できませんし、中小企業だからといってブラック企業とは限りません。

条件は会社への不満や悩みから考える

自分にとってのホワイト企業の条件は、今の会社に対する不満や悩みから考えると良いでしょう。

例えば、残業時間の長さに悩んでいる人には、平均残業時間が比較的短いことがホワイト企業の第一条件でしょう。休日が少ないことに不満がある人にとっては、年間休日数が多い会社が理想のホワイト企業に近いかもしれません。

ホワイト企業は求人票のどこからわかる?

ここでは、よくある会社や仕事への不満から、求人票のどの部分を見ればホワイト企業を見つけられるのかを解説します。

 ホワイト企業なのか判断する!求人票の見方

自分にとってのホワイト企業の条件を決めたら、その条件が叶うかどうかを求人票の項目から判断していきましょう。

ここでは、ホワイト企業への転職を考えている人が感じがちな不満を、「残業時間が長い」「給料が安い」「休みが少ない、有給を取得できない」「会社が社会保険の手続きをしてくれない」の4つに分類しました。それぞれの状況から、求人票のどこを見れば良いのか紹介します。

「残業時間を減らしたい」を叶える企業

残業時間が長いことに悩んでいるという人は、求人票の「勤務時間」欄から、平均残業時間をチェックしましょう。

平均残業時間を見れば、比較的定時で帰ることができそうか、残業時間が多そうかといった企業の傾向が分かります。例えば、平均残業時間が月20時間であれば、単純計算で1日あたり約1時間は残業するということになります。

ただし、求人票には会社全体の平均残業時間が書かれていることも多く、実際の残業時間は部署によって異なることもあるので、注意しましょう。

また、「給与」欄固定残業代の記載がある場合は、何時間分が支給されるのか確認しましょう。固定残業代で「◯時間分」として設定されている時間が、会社の想定する残業時間と考えることもできます。

「給料を上げたい」を叶える企業

労働時間や仕事内容の割に給料が低いと悩んでいる人は、求人票の「給与」欄の基本給を見た上で、働時間とのバランスを確認しましょう。

「給料を上げたい」と一口に言っても、無理せず働いてある程度の給料がほしいのか、仕事が大変でも高い給料がもらえれば良いのかで異なります。

(1)業務量は多くなく、それなりに給料がもらえる

求人票の「給与」欄の基本給と、「勤務時間」欄の平均残業時間のバランスを確認しましょう。

例えば、給与額が希望より高く、平均残業時間が10時間以下の企業は、給料がしっかりもらえて早く帰ることができる企業の可能性が高いでしょう。

(2)仕事は大変だが、高い給料がもらえる

「給与」欄から残業代の支給条件をチェックしましょう。固定残業代に加えて「超過分は別途支給」と書かれていれば、残業が多い分、それに見合う高い給料をもらえる可能性が高いでしょう。

また、歩合給だったりインセンティブがもらえたりする会社は、仕事が大変で残業時間が長くなるかもしれませんが、自分の頑張りが給料に直接的に反映されます。

一方、年俸制の企業は、給与が高めに設定されているように見えますが、基本的に残業代はつかず、賞与も含まれている額なので、注意が必要です。

また、「福利厚生」欄や「備考」欄から賞与や手当の支給状況も確認しましょう。例えば、基本給は同じでも、住宅手当が支給されるかどうかで自由に使えるお金も違ってきます。

「決まった休みがほしい・有給を取りたい」を叶える企業

休みが少ないと思っている人、有給を取りづらいと感じている人は、「休日・休暇」欄を確認しましょう。

会社指定の休日日数が多い

「休日・休暇」欄年間休日数と休日のルールをチェックします。

土日祝日をしっかり休みたければ、年間休日数が120日前後のところを選びましょう。一週間に2日休める会社が良ければ完全週休二日制と書かれた求人を、土日祝に休みたければそのことが明記された求人を探すといいでしょう。

希望通りの有給が取れる

「休日・休暇」欄有給取得率を確認しましょう。

そのほかにも、育児休暇や介護休暇の取得実績が書かれていれば、そこからも休みが取りやすい雰囲気かどうかわかります。求人票や採用ページに社員の実例があれば、更に信用できるでしょう。

「社会保険がしっかりしている」を叶える企業

今勤めている会社が社会保険の加入手続きをしていないという場合は、まずは上司に対応を依頼しましょう。健康保険・厚生年金は法律で加入が義務づけられているので、加入していない企業は法律違反になります。

求人を確認する際は、求人の「福利厚生」欄「備考」欄を確認しましょう。基本的に健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の4つがすべて用意されていれば、「社保完備」と書かれています。

実態は入社してみないとわからない

求人票は、その会社がホワイト企業かどうかを判断するヒントにはなりますが、実態については入社して働いてみないと分からないのが正直なところ。特に人間関係は、配属される部署やチームによっても異なります。

そのため、ホワイト企業を探す際は、求人票を見る以外にも、企業の採用HPや口コミサイトなど求人票以外の情報源をあたってみたり、その会社や業界で働く人に話を聞いたりしてみるといいでしょう。

求人票以外からホワイト企業を探す方法は?

ここでは、求人票以外から、ホワイト企業を見つける4つの方法を紹介します。

1:就職・転職口コミサイトをチェックする

現役の社員や過去に働いていた人が投稿する就職・転職口コミサイトからは、求人票や採用HPでは分からない会社の実情を知ることができます。

代表的なサイトは、カイシャの評判Openworkなどです。社内の評価制度や人間関係などのリアルな情報は掲載されているため、ホワイト企業を見つける1つのツールとして使ってみても良いでしょう。

ただし、書かれているのはあくまで投稿者個人が見聞きしたり感じたりしたことなので、鵜呑みにするのは禁物。情報を自分自身で取捨選択することが大切です。

2:数値・制度・表彰から企業を見る

企業の求人採用HPに載っている数値や制度、表彰などからも、ホワイト企業である可能性の高い企業を見つけることもできます。

「数値」から見るホワイト企業

年間休日数有給取得率離職者数などのデータから企業を見てみるのも一つの手です。

2018年の厚労省のデータでは、一般企業の平均年間休日数113.7日で、有給休暇の平均取得日数9.3日でした。有給取得率51.1%で、多くの人が付与された有給の半分ほどしか取得していません。求人票に書かれている数字が平均に比べてどうかという視点で考えてみてもいいかもしれません。

企業によっては、離職率や離職者数を公表しているところもあるので、働きやすさの1つの指標として参考にしてみてもいいでしょう。

「制度」から見るホワイト企業

福利厚生が充実している企業や、独自の制度を設けている会社を探してみても良いでしょう。

例えば、出産や育児をサポートする制度が充実している企業は、個人の業務量や能力に依存しておらず、チームワークの取れた職場であることが多い傾向があります。また、そういった企業は、有給休暇も取りやすく取得率も高いかもしれません。

また、会社のサークル活動に補助金が支給されたり、社内にカフェスペースが用意されていたりなど、独自の制度を設ける会社を調べるのもおすすめ。社員が積極的に交流できるような制度がある会社は、社員同士のコミュニケーションが活発で、雰囲気が良い傾向があるでしょう。

「表彰」から見るホワイト企業

一定の条件をクリアし、認定・表彰された企業からホワイト企業を探してみるのもアリでしょう。

以下は、申請し承認を受けた企業のみ与えられます。

・くるみんマーク(厚労省)…子育て支援・サポートを行っている企業

・ダイバーシティ経営企業(経済産業省)…多様な人材の力を最大限発揮し、価値創造につなげている経営をしている企業

・ホワイト企業アワード…家族に勧めたくなるような、次世代に残るべき素晴らしい会社

それぞれの認定・表彰のHPでは企業の一覧を見ることができるので、そこから企業を探してみるといいでしょう。ダイバーシティ経営企業とホワイト企業アワードでは、企業の受賞理由や社員の受賞コメントも発表されているので、会社の雰囲気を知る手がかりになるかもしれません。

3:働いている人の生の声を聞く

ホワイト企業を見つけるため、友人や知り合いに勤めている会社についてたずねてみるのもよいでしょう。面接では聞けないような話も気軽に質問することができますし、競合や関連会社の情報を教えてもらい、新たな企業を知るきっかけになるかもしれません。

また、ビジネス特化型SNS のLinkedInや、転職者向けOB訪問用アプリCareerLineなど、SNSやアプリで知り合った人に話を聞いてみるのも有効です。

ただし、中には会社から実情を話さないように言われている人や、会社の良い側面だけを話す人がいることもあります。直接社員に聞いた話だからといって、鵜呑みにしすぎないことが大切です。

4:転職エージェントを利用する

理想の企業を見つけるために、転職サイトのエージェントを利用してみるのもよいでしょう。

具体的な希望を面談で伝えると、複数の企業を比較したうえで、希望にあった企業を教えてもらえます。自分の視野には入っていなかった業界や業種の求人に巡り会える可能性もあるでしょう。

意外と使える!四季報や専門誌、経済新聞

会社四季報(東洋経済新報社)には、上場企業の基本情報のほか、株価データや業績、会社の現状や今後の見通しが書かれています。また、就職四季報(同社)には、企業のデータが業界ごとにまとまって掲載されているので、平均有給取得日数や平均残業時間も見比べることができます。

業界の専門誌からは、競合だけでなく、最新技術や新規事業で今後成長が見込めるような企業を見つけることができるでしょう。

経済新聞では、企業の働き方に関する記事や特集をチェックすると◎。社内でのインタビューなどでは、会社の雰囲気も分かるため、転職後にそこで働いているイメージがつきやすくなるでしょう。

ブラック企業からホワイト企業への転職体験談

ここでは、自分なりの「ホワイト企業の条件」を考え、それを叶えるために転職した3人の声を紹介します。体験談を参考に、転職すべきなのか今一度良く考えてみましょう。

ホワイト企業に転職できても悩みは尽きない

転職活動を本格的に始める際には、「これだけは譲れない」という条件を決めることが大切ですが、働き始めると不満や悩みは出てくるものです。

自分の希望がすべて叶う企業に転職するのは、なかなか難しいでしょう。

以下では、自分なりの「ホワイト企業の条件」を叶えるために転職し、現状にある程度満足しているものの、新たな悩みがあるという3人を紹介します。

Aさん(36歳・男性)の場合

転職活動時の条件:平均残業時間が月40時間以下の企業

現在の悩み:給与が月5万円ダウン

以前の会社では、月の平均残業時間が100時間。残業代がついたので給与は高かったもの、使う暇がないほど忙しい日々を過ごしていました。転職活動時は、平均残業時間が月40時間以下の企業で探していました。

実際に企業を探してみると、前職は残業時間が長く、残業代もしっかりと支給されていたため、同年代よりも高い給料をもらっていたことが分かりました。

今の会社は前職より基本給は高いものの、残業時間が減ったので、月給がトータルで月5万円ほどダウンしました。給与は減りましたが、毎日早く帰れるので、転職は成功だったと思っています。

Bさん(30歳・女性)の場合

転職活動時の条件:完全週休二日制(土・日)の会社

現在の悩み:会社の風土が合わない

前職はシフト制だったので、休日が不定期でした。恋人や友人との休日も合わないので、土日が休みの会社に転職することを決めました。

転職して土日に休めるようになったのは嬉しいですが、正直言うと会社の風土に合っていないと感じています。というのも、平均年齢が27歳と若い会社で、休日に会社の人同士で遊ぶことがとても多いんです。参加しないと、軽いノリで「付き合いが悪い」と言われることもあります。

家族がいる人は参加しなくても色々言われないので、正直早く今の恋人と結婚して会社の人と距離を置きたいなと思っています。

Cさん(25歳・男性)の場合

転職活動時の条件:評価・給与制度がしっかりしているところ

現在の悩み:求められるレベルが高くて大変

前の会社は、同年代のよりも給料が低く、評価制度も曖昧。自分の頑張りに対して適正な給与をもらうことができていないと感じ、若いうちに頑張り次第で稼げるような会社で働きたいと考えました。

転職活動では、評価制度がしっかりしていて、それがちゃんと給料に反映される企業という条件で、業界関係なく見ていました。

今の会社に転職してからは、仕事が大変なので残業も多いですが、年収は120万円ほどアップしました。しかし、全く未経験の業界への挑戦で覚えることが多く、会社から求められるレベルも高いので、正直しんどいです。業界は変えなくても良かったかなと、少し後悔しています。

まとめ

転職する際は、今の会社に感じている悩みや不満からどんなことを解消したいのかを考え、条件を決めてから行いましょう。今の会社で抱える悩みや不満が解消できる企業こそ、一人ひとりにとっての「ホワイト企業」と言えるでしょう。

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