違法性・内定取り消しも解説 リファレンスチェックとは?
主に外資系企業の中途採用で、内定直前か内定後に実施されるリファレンスチェック。
この記事では、リファレンスチェックの目的や調査方法などを解説します。また、質問内容の具体例も紹介します。
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは経歴照会のこと
リファレンスチェックとは、企業が応募者の経歴や前職での働きぶりを第三者(推薦者)に問い合わせること。行われるタイミングは、内定直前もしくは内定後です。
リファレンスチェックでは、まず応募者が企業から、推薦者となる人物の連絡先などの情報を提出するように依頼されます。その後、応募者は推薦者に承諾をもらった上で、推薦者の情報を企業に提出します。その情報をもとに、企業もしくは専門の調査会社が、推薦者に応募者の経歴や働きぶりなどを尋ねるという流れで行われます。
転職活動が活発なアメリカでは、一般的に行われています。日本ではまだ多くはありませんが、外資系企業などでは、マネージャークラス以上の人に対して行われることがあるようです。
企業と応募者のミスマッチを防ぐことが目的
リファレンスチェックは、企業と応募者のミスマッチを防ぐことを目的に行われます。
企業は、第三者からの客観的な意見や応募者から聞けなかった事実をもとに、応募者を採用しても問題ないかや、面接で判断した人物像と違いがないかをチェックします。
また、リファレンスチェックには、推薦者が応募者の経歴や実績を裏づけ、採用を後押しする意味合いも含まれています。
メールなどの書面、もしくは電話で行われる
リファレンスチェックは、メールなどの書面か電話のどちらかで行われます。
そのため、企業に推薦者の情報を提出するよう依頼された時点で、連絡手段は決まっているか、メールアドレスと電話番号のどちらが必要なのかを確認しておくと安心です。
推薦者には、企業に伝えた推薦者の情報をもとに、企業から連絡が来ると話しておくと良いでしょう。企業が専門の調査会社を使っている場合は、その旨も一緒に伝えましょう。
自分の仕事ぶりを知る人に依頼するのが基本
リファレンスチェックの回答は、自分の仕事ぶりをよく知る現職の上司や、一緒に仕事をした同業者・取引先の人に依頼するのが一般的。新卒の場合は、大学の教授などに依頼することが多いようです。
リファレンスチェックの回答を依頼する相手には、あらかじめ企業や調査会社から連絡が来る可能性があることを説明し承諾をもらってから、企業に推薦者の連絡先などを伝えましょう。
リファレンスチェックって違法なの?
応募者の同意のもと行われるので違法ではない
リファレンスチェックは、応募者の同意のもと行われるため、個人情報保護法には違反していません。
もしも企業が応募者の同意なく勤務先などに勝手に連絡を取っていたら、違法となる可能性が高いでしょう。
英文履歴書ではリファレンスの記入が必要な場合も
英文履歴書を提出する場合、企業からリファレンスチェックに備えて推薦者の情報を書くように指示されることもあります。
記入する際は、見出しを「References(リファレンス)」として、以下の内容を書きましょう。
▼References(リファレンス)への記入事項
- 推薦者の名前
- 会社名・役職など現在の業務に関する情報
- 電話番号やメールアドレスなどの連絡先
履歴書に推薦者の情報を書いておきたくない場合や、とくに求められていない場合は、「References Available upon request.(依頼があれば情報の提出可能です)」と書き、企業から求められた際にはいつでも推薦者の情報を提出できるようにしておきましょう。
リファレンスチェックの質問内容って?
主な質問内容は2パターン「働きぶり」と「人柄」
リファレンスチェックで聞かれる質問は、「前職での働きぶり」と「人柄」の2つに分けられます。以下は、リファレンスチェックでよく聞かれる質問の例です。
<働きぶり>
- 担当業務や具体的な仕事内容
- 会社での実績
- 上司・部下との関わり方はどうだったか
- 業務遂行にあたって改善すべき点はあるか
- もう一度一緒に働きたいと思うか
<人柄>
- 長所・短所
- どのような人物か
- 責任感がある人物か
- 仕事を進める際、チームと個人どちらがあっていると思うか
- ミスなどをした際、どのように乗り越える人物か
推薦者に履歴書を渡しアピールポイントを共有する
リファレンスチェックの回答を依頼するときは、事前に企業に提出した履歴書と職務経歴書を渡し、アピールしたい部分を伝えておくと良いでしょう。
依頼する相手が初めて推薦者になるという場合もあるので、どのような質問をされる可能性があるのか、上の質問内容の例を参考に伝えておくと安心です。
勤め先に転職活動がバレる!?事情を説明しよう
基本的には企業が応募者に無断でリファレンスチェックを行うことはないため、今の勤め先に転職活動をしていることがバレる心配はありません。リファレンスチェックは、応募者自らが推薦者を企業に伝えた上で行われることが前提となっています。
ただし、中には応募者の同意がないまま、勤務先などに勝手に連絡を取る企業もあります。選考を受けている企業がそのような悪質な企業だった場合、今の勤め先に転職活動を行っていることがバレてしまう可能性はあるでしょう。
リファレンスチェックにまつわるギモン
結果によって内定取り消しや落ちることはある?
内定後にリファレンスチェックが行われる場合、重大な経歴詐称などがバレない限りは内定が取り消しになることはありません。内定を出す前にリファレンスチェックが行われたとしても、その結果だけが原因で落ちたのかどうかはわかりません。あまり気にする必要はないでしょう。
休職中に転職活動している場合はどうする?
休職中だったり勤め先に隠れて転職活動を行っていたりする場合や、今の勤め先の人に推薦者になってもらうのが難しい場合は、以前勤めていた会社の上司などに事情を説明し、推薦者になってもらうと良いでしょう。推薦者になってもらえそうな人がいない場合は、選考中の企業に一度相談してみましょう。
ただし、リファレンスチェックを依頼できる人がいる=社会的な信頼があるという見方をする企業もあります。推薦者の連絡先を提出できないと選考時の評価に関わる可能性もあるため、できれば推薦者を提示したほうが良いでしょう。
リファレンスチェックを拒否したらどうなる?
基本的にリファレンスチェックが行われる場合は、拒否せず快く応じたほうが印象が良くなります。リファレンスチェックに応じられない=「第三者に聞かれると困ることがある」「経歴に怪しい部分があるかもしれない」と疑われ、選考で不利になってしまう可能性があります。
コラム:リファレンスを頼まれたら気をつけるべきこと
自分が推薦者になるよう依頼されたときは、リファレンスチェックでよく聞かれる質問への回答を事前にまとめておくと安心です。また、応募者が履歴書に書いたり面接で話したりした内容と矛盾が生じないように、事前に履歴書や職務経歴書をもらい、目を通しておくと良いでしょう。
また、実際に回答するときは、企業がリファレンスチェックを通して客観的な意見を求めているとはいえ、応募者をおとしめるような回答はもちろんNG。応募者は「自分のことをよく知っているはずだから、是非お願いしたい」という信頼のもと、推薦者になるよう依頼をしているはずです。
よほどのことがない限りリファレンスチェックで落ちることはありませんが、依頼者になる際は、自分の発言が応募者の評価につながることを忘れないようにしましょう。
まとめ
リファレンスチェックとは、内定前もしくは内定後に企業が応募者の経歴や前職での働きぶりを第三者(推薦者)に問い合わせること。日本では、外資系企業のマネージャークラス以上の人に対して、企業や調査会社を通して行われることが多いです。
リファレンスチェックは応募者の同意のもと行なわれるため、違法ではありません。