年間休日数やシフト制との違い 4週6休はきつい?
求人情報や労働条件などに「4週6休」との記載があった場合、「休みが少なくてきついのでは?」と感じる方もいるでしょう。
この記事では、4週6休の働き方や年間休日数、シフト制・週休二日制との違い、業種・職種別の働き方について紹介します。
4週6休とはどんな働き方?年間休日は?
4週6休の働き方とはどういったものでしょうか?
ここでは、年間休日数についても解説します。
4週間のうち休日が6日ある働き方
4週6休とは、「4週間のうち休日が6日ある」働き方を指します。
4週6休の場合、例えば「毎週日曜日と隔週土曜日が休み」「毎週固定の曜日と隔週で別の曜日が休み」など、会社の規則によって休日が異なります。
また、従業員が4週の中から自由に6日分の休日希望を出せる「希望シフト制」を取っている場合もあります。
1毎週日曜日と隔週土曜日が休日になるケース
2毎週固定の曜日と隔週で別の曜日が休日になるケース
3従業員のシフト希望を踏まえて休日を決めるケース(希望シフト制)
4週6休の年間休日は78~96日
4週6休の年間休日数は最低78日です。
1年は52週なので、毎週ある1日分の休みが52日、さらに2週に1日分の休みが26日となり、それらを足すと78日になります。この休日数に夏季休暇や年末年始休暇などが追加され、年間休日が90日前後になる場合も。
また、2020年は祝日が18日間あるため、4週6休で祝日休みとしている企業では年間休日が96日になります。
年間休日78日ってきついの?
いわゆる「土日・祝日休み」の会社(完全週休二日制)の年間休日が122日になるのに対し、4週6休の年間休日数は最低で78日となるので、その差は44日。
4週6休の年間休日数は多いとはいえず「休みが少なく旅行に行けない」「十分な休息が取れないため疲れが取れない」といった理由から「きつい」と感じやすい傾向があります。
ただ、仕事の疲れをしっかりとリフレッシュしてもらうため、労働基準法で決められている付与日数よりも有給休暇を多く支給している会社もあります。
出勤日数が多い分、給与は上がる?
4週6休では完全週休二日制よりも出勤日数が多いため、その分給与が高くなるのではと思う人もいるかと思いますが、日給制でない限り高収入は狙いにくいです。
給与体系が月給制などの場合は、一概に「出勤日が多い=給与が高い」といえないため、募集要項などで給与体系・給与額をチェックしてみてください。
シフト制や週休二日制との違い
ここでは、4週6休と混同されやすいシフト制や週休二日制との違いを説明します。
シフト制との違い
4週6休は休日の日数についての表記であるのに対し、シフト制は休日の決め方についての表記です。
シフト制は毎月休みの希望を提出して出勤日が決まる制度なので、「4週6休シフト制」のように、4週6休のルールの中でシフト制が取られるケースもあります。
※シフト制について詳しくはこちら→残業や休日出勤・有給は?シフト制とはどういう働き方?
週休二日制との違い
週休二日制と4週6休は、場合によってはほとんど違いがなく、同じ働き方となることがあります。週休二日制は「月に1回以上、2日休める週がある」働き方すべてを含むもので、4週6休も週休二日制に当てはまります。
ちなみに、毎週2日休める場合は完全週休二日制といいます。
※週休二日制について詳しくはこちら→完全週休二日制との違い 週休二日制とは?年間休日も解説
「4週6休」「シフト制」「週休二日制」と求人広告や募集要項などに書いてあったとしても、会社によって休日数は異なるため、事前にどんな働き方なのか確認しましょう。
コラム:4週6休は労働基準法違反になる?
4週6休は労働基準法違反にはなりません。なぜなら、労働基準法では「最低でも毎週1日の休日もしくは、4週を通じて4日以上の休日を与えなければならない」としか定められていないからです。
しかし、会社の所定労働時間が1日8時間、週40時間という法定労働時間を超えていた場合、違法になります。例えば4週6休では1週間のうち5日働く週と6日働く週が発生しますが、どちらも1日8時間労働だと6日の週は週40時間を超えるため、労働基準法違反となります(超過した8時間を時間外労働として残業代を払っていれば合法)。
ただ、6日働く週にあわせて1日あたりの労働時間を6時間40分におさえるのは現実的ではないと、日によって労働時間を変える変形労働時間制(※)を取っている会社も多くあります。この場合、労働時間がたとえ1日8時間(週40時間)以上だとしても、1ヶ月(あるいは1年)の期間で平均した1日あたりの労働時間が8時間(週40時間)におさまっていれば合法です。
※変形労働時間制とは、1ヶ月・1年などの単位で労働時間を設定し、平均して労働時間が基準内におさまっていれば、1日の労働時間を自由に調整できる制度
▼4週6休で週6日勤務の場合
4週6休の働き方が多い業種や職種
4週6休制度は、建設業で働く作業員や病院勤務の看護師や医師、保育士など、人手不足が問題となっている業種や職種で多く取り入れられている傾向があります。ここでは、それぞれの業種・職種における4週6休の働き方を紹介します。
建設業|所属の違う労働者たちが一つの現場で働くことが影響
<モデルケース>
クレーンオペレーター業務(正社員)
◆休日
- 年間休日87日
- 4週6休(毎週水曜・隔週火曜)
- 夏期休暇3日
- 年末年始休暇4日
- 祝日(弊社の年間カレンダーによる)
※進捗状況・天候により、休日出勤・残業があります。
※有給休暇(初年度10日、最高20日)
◆勤務時間
- 9:00~17:40(休憩時間1時間)
※月単位の変形労働時間制(週平均40時間以内)
◆給与
- 月給20~55万円
※経験、資格等によって決定します。
建設業界に携わる職種では、4週6休の働き方が珍しくありません。
建設工事は、基礎工事業者、大塗装工事業者など所属する会社が違う多様な労働者が連携しながら行う仕事です。工事の進捗状況や天候に応じて建築物を建てていくため、臨機応変に休日を変えられる4週6休制度を採用している企業が多い傾向があります。
2019年に一般社団法人全国建設業協会が週休日の実施状況を調査したところ、4,288社の建設業協会会員企業のうち、50.2%の企業が「4週6休」を導入しています。ただ、十分な休日を確保できていない建設会社が多いことなどを問題視した国土交通省は、2017年から働き方改革として、「週休2日の確保」を推進しています。
※参考→働き方改革の推進に向けた取組状況等に関するアンケート調査結果(1)|全国建設業協会
看護師|土日診療や入院患者への24時間対応が影響
<モデルケース>
正看護師(正社員)
◆休日
- 年間休日98日
- 4週6休シフト制
- 夏季休暇4日
- 年末年始休暇5日
- 創立記念日1日
- 祝日10日
※有給休暇(入職半年後に10日付与)
◆勤務時間
- 早番 7:30~15:30
- 半日勤 8:30~12:00
- 日勤 8:30~16:30
- 遅番 9:30~17:30
- 夜勤 17:00~翌9:00
※夜勤3~4回/月
※休憩1時間
※1ヶ月単位の変形労働時間制
※シフトは週5日出勤の場合、労働時間が週40時間以内になるように作成します(週6日出勤の場合は40時間を超過)
◆給与
月給27万円~(夜勤手当、早番手当あり)
看護師も4週6休で働く場合がある職種のひとつです。土日も診療を行うクリニックや、入院施設を持つ病院では、人員配置がしやすい4週6休の働き方がとられるケースがあります。
しかし、日本看護協会によると、2017年度に4週6休を採用している病院は7.7%、4週8休を採用している病院は44%という結果が出ています。
4週6休は休みの少なさから看護師の負担が大きく、医療事故のリスクも高まることが考えられるため、休みをしっかり確保できる4週8休を導入している病院が多いようです。
※参考
→平成29年度 看護職のWLBインデックス調査【施設調査・全体集計】|公益社団法人日本看護協会
→平成22~27年度「看護職のワーク・ライフ・バランス(WLB)インデックス調査」データ分析報告書|公益社団法人日本看護協会
保育士|土曜・休日・24時間保育が影響
<モデルケース>
保育士(正社員)
◆休日
- 年間休日94日
- 4週6休シフト制
- 夏季休暇3日
- 年末年始休暇3日
- 祝日10日
※隔週土曜日出勤あり、土曜遅番の時は平日休みあり
※有給休暇あり(初年度15日付与)
◆勤務時間
- 月~金7:00~19:00(休憩1時間)
- 土7:00~18:00(休憩1時間)
※上記時間内で実働7時間シフト制
※1ヶ月単位の変形労働時間制を採用しています。(週平均実働40時間以内)
◆給与
月給21万円~
保育士も4週6休が多い職種です。共働き世帯の増加に伴い、「土・日・祝日も開園してほしい」「24時間保育サービスを行ってほしい」という保護者のニーズが増えたため、出勤日数を多く確保できる4週6休制度を取り入れている保育園があります。
保育士の求人・転職サイト「保育士バンク!」の2016年の調査によると、保育士475名のうち25.1%の保育士が週休二日未満(4週6休など)で働いています。休日が少ない傾向がある保育士ですが、保育所によっては「1時間単位の有給休暇制度」「誕生日休暇」など、徐々に休みやすい環境づくりが実施されつつあるのも事実です。
※参考→「保育士の4人に1人が週休二日未満」|保育士バンク!
まとめ
4週のうち6日休みを確保できる4週6休。休日があらかじめ決まっていることもありますが、シフト制にしているケースもあります。
年間休日が78~96日と少ないことから、プライベートの時間を十分につくれず、「きつい」と感じるかもしれませんが、有給休暇日数を多めに設定している会社も。建設業界のように、4週6休制度を減らす方向で進めている業界もあるので、求人票や募集要項と併せて業界動向などをチェックしてみてください。