もうブラック企業にダマされない 決定版!求人票の見方
求人票を読んでいて「知りたい情報が、どこにあるか分からない」「結局、この条件は良いの?悪いの?」と疑問を持ったことはありませんか?
この記事では、求人票の基本的な見方や、ブラック企業を避けてホワイト企業を探すコツをご紹介します。
ホワイト企業を探す!求人票のポイント4選
求人票のなかで、特に見方で悩みやすい項目は4つ。
実は、どれもホワイト企業を見分けるポイントが含まれている項目です。その企業に応募するべきか迷ったら、これらの項目に注目しましょう。
【給与】手取り金額・給与形態をチェック!
■手取り金額は、現在と比べて高い?低い?
■給与形態は、安定型?収入重視型?
【勤務時間】平均残業時間・残業代の支払い方法をチェック!
■ブラック企業流、平均残業時間のごまかし方
■「みなし残業代」「固定残業代」「裁量労働制」に要注意
- ※画像引用元:ハローワーク『求人申込書の書き方』より
【給与】手取り金額・給与形態をチェック!
給与関係の注目ポイントは「手取り金額がいくらになるか」「給与形態は安定型か、収入重視型か」という2点です。
転職後の生活を左右する内容なので、必ずチェックしておきましょう。
求人票の給与額がそのまま銀行に振り込まれる訳ではありません。実際は税金や保険料が引かれるため、「手取り金額」は給与額より数万円少なくなります。求人票の給与額の「約8割」が手取り金額になると言われているので、計算しておきましょう。
ちなみに、25~29歳の平均年収は370万円(手取りで278万円)。こちらの【平均年収表】も参考にして、相場と比較してみましょう。
給与形態=給与の計算方法は、大まかに「固定給制」「歩合給制」「完全歩合給制」の3種類です。
毎月一定の収入を手にしたい安定志向の方は「固定給制」、収入重視の方は、ノルマ達成などの業績で収入が決まる「歩合給制」か「完全歩合給制」の求人を選びましょう。
ただし、どんな業績が給与に反映されるか、ハッキリしていない求人は警戒してください。
【勤務時間】平均残業時間・残業代をチェック!
残業代の未払い問題など、ブラック企業を語るうえで避けられないのが残業の話です。ここでは「平均残業時間」「残業代」の内容から、ブラック企業を見分ける方法をお伝えします。
実は、求人票に書かれた残業時間は「募集している職種のもの」とは限りません。
会社全体の平均値を出していることも多く「実は、〇〇職だけ残業時間が極端に長い」ということもあります。
書類を見ただけでは本当の姿を掴めないので、面接時に質問しておくことをお勧めします。
給与明細を見て「残業代が支払われていない?」と勘違いする原因が、「みなし残業代」「固定残業代」「裁量労働制」という3種類の制度。いずれも、ある一定の期間で〇〇時間残業したと仮定して、残業代を定額で支払う制度です。
ブラック企業を見分けるポイントは、仮定した残業時間が「1ヶ月で45時間、年間で360時間」に近い数字かどうか。
実はこの数字は、法律に基づいて許される残業時間の上限。上限ギリギリで(または、超えて)設定している企業は、日頃から残業が多い可能性が高いと言えます。
【休日】年間休日数をチェック!
休日で注目すべきは「年間で何日休めるのか」という点です。
人気が高い土日休みの企業でも、祝日・年末年始に休めず、年間休日が極端に少ない…というケースもあるので、求人票を見る際には「年間休日数」にまず注目しましょう。
平成31年度の厚生労働省の調査によると、年間休日数の平均は【114.7日】とのこと。
業界によっても幅はありますが、まず「年間休日数が114日以上かどうか」を、年間休日の多さを判断する基準にするといいでしょう。
ちなみに、この調査における全企業の年間休日数を比較したところ、休日数が120日以上の企業は全体の約30%のみ。覚えておくと、ホワイト企業探しの助けになるかもしれません。
※参考:厚生労働省『平成31年就労条件総合調査』
【保険】必要な保険が揃っているかをチェック!
ハローワーク求人票の「加入保険等」には9つの項目がありますが、チェックすべきは「会社が用意すべきだと、法律で決まっている保険が揃っているか」という点。
入社後に加入できないことを告げられ、トラブルになるケースもあるので、目を通しておきましょう。
社会保険(雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金)は、原則すべて会社が用意することになっています。
これは、試用期間中でも変わりません。「弊社は試用期間中、社会保険に加入しないことになっています」と言われるケースもありますが、法律に違反しているので要注意です。
ただし、雇用形態や会社の規模によっては、加入を免除されているケースもあります。大まかに、「正社員」ならすべて加入、契約社員やパート・アルバイトは条件を要チェックと覚えておくといいでしょう。
求人票の見方はハローワーク基準で覚える
求人票のフォーマットは、企業によってさまざま。ですが、内容はほぼ変わりません。
ここでは、全国的に使われている「ハローワークの求人票」を例に、特に大切な項目の見方を覚えましょう。
求人票でチェックしておきたい6種の情報
転職・就職先を決めるうえで欠かせない情報は、大きく6種類に分けられます。給与や残業時間など、細かなポイントを押さえて確認できれば「こんな会社なんて聞いてなかった…」と、転職後に後悔しなくなるでしょう。
「各項目から何を読み取れるか」「探したいことがあるときに、どこを見ればいいか」、迷ったときには下記のリストを参考にしてみてください。
A:【給与】や【福利厚生(保険)】が気になるとき
賃金(給与)/通勤手当/昇給・賞与/加入保険等/労働組合
B:【勤務時間】【休日】など、働き方が気になるとき
就業時間/休日等/育児・介護・看護関連の休暇/年間休日数
C:【仕事内容】を詳しく知りたいとき
職種/仕事の内容
D:雇用形態や働く場所など【雇用の条件】を確認したいとき
就業場所/雇用形態・雇用期間/定年・再雇用など/試用期間
E:応募資格など【選考に関する情報】がほしいとき
学歴/応募資格/年齢/選考関連の情報
A:【給与】や【福利厚生(保険)】が気になるとき
※画像引用元:ハローワーク『求人申込書の書き方』より
「月給」や「日給」が書かれている欄です。「a+b」と書かれた欄で、支払われる給与の総額を確認しましょう。
なお、「月給18万円~25万円」と幅を持たせて書かれているときは、応募者のスキルや年齢に応じて、具体的な金額が決まります。
給与の内訳や、追加で支払われる手当は「a欄~c欄」で確認できるので、あわせて目を通しておきましょう。いずれの金額も手取り金額では無いので、前述の通り「約8割」の金額を計算しておくと比較の際に便利です。
a欄 |
基本給(固定で支払われる最低限の金額) |
b欄 |
必ず支払われる手当(職務手当や住宅手当) |
c欄 |
条件に当てはまった場合に支給される手当(扶養・家族・資格手当など) |
<ポイント>残業代について
残業代は、c欄に含まれる手当の一種です。
詳しい内容を知りたいときは[B1]就業時間を参照するか、下記の参考記事を読んでおきましょう。
※参考:正しい残業代の計算方法
もらえる交通費の金額や、支給条件が書かれています。「全額」「上限あり」といった金額の話や、「マイカー通勤可能か?」「ガソリン代まで支給されるのか?」など、交通費に関する重要な内容が書かれているので、必ずチェックしてください。
交通費の有無は住まい探しの判断要素にもなるので、不明点はハローワークの窓口や企業の担当者に確認しましょう。
「毎年給与は上がるか」「ボーナスはもらえるか」が書かれた欄です。同じ会社で働き続ける場合、昇給・賞与があるかどうかで生涯年収は大きく変わってきます。
「初任給は高かったけど、昇給が無くて結果的に生活が苦しくなった」という後悔の声も挙がっているので、安定志向の方は特に定期的に昇給のチャンスがある会社を選ぶといいでしょう。
一方で賞与は、支給されなくても落胆する必要はありません。たとえば「年俸制」のように、あらかじめ給与額に賞与が含まれる場合は「不景気で賞与が支給されない」ということが無いため、安定志向の方にぴったり。
給与と別に賞与が支給される場合は、会社の業績によって賞与額がアップする利点もあるので、安定性とどちらを取るか検討するといいかもしれません。
<ポイント>書かれているのは、参考データ
記載されているデータは、あくまで過去の実績です。業績などによって昇給・賞与の金額は変わりやすいので、最新の情報は契約書を交わすタイミングで必ず確認してください。
加入できる保険や、退職金の有無が書かれている欄です。ハローワーク求人票には9つの項目が用意されており、会社が用意していない項目は二重線で取り消されています。
9項目のうち、雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金の4つは「社会保険」という言葉でまとめられることが多いので、覚えておきましょう。求人広告では「社会保険完備」「社保完備」といった形でよく表現されます。
社会保険は法律で加入が必須になっている保険なので、もし揃っていなければその企業は警戒したほうがいいでしょう。
B:【勤務時間】【休日】など、働き方が気になるとき
※画像引用元:ハローワーク『求人申込書の書き方』より
「勤務時間」や「残業時間」などが書かれています。働きやすさに直結する残業時間の項目は、特に確認すべき項目です。
また、特記事項(備考)も念入りにチェックしてください。「8月は忙しいため、極端に残業が多くなる」「月数回、深夜残業あり」といった重要な情報が書かれているケースもあります。
<ポイント>ホントの残業時間を確かめるには
「いつが繁忙期(忙しい時期)なのか?」「どれくらいの期間、繁忙期が続くのか?」といった働く現場の本当の姿を知ることは、ホワイト企業探しに必要不可欠。ハローワークの担当者や、面接時の質問を通して調べましょう。
「土日・祝日・会社独自の休暇」によって休める日数の合計が書かれています。年間休日数の平均値:114日を基準に、休みの多さを判断するといいでしょう。
なお、年間休日数には「有給休暇」が含まれていないので、年間休日数+αでさらに休暇を取得可能です。
ただし、企業によっては、有給休暇を含めた日数を「年間休日数」としているケースも。日数が極端に多いと感じたら、入社を決める前に問い合わせておくと誤解もなく、安心できますよ。
「週に何日休めるか?」「休める曜日はいつか?」といった、休日に関する内容が書かれている項目です。
「休日」欄には休める曜日が、「週休二日制」欄には休める日数に関する情報が書かれています。
ハローワークの求人票の場合、「週休二日制」欄は、読み方に癖があるので注意が必要です。
毎週二日間必ず休める場合は「毎週」、それ以外の場合には「その他」と書かれています。「その他」の場合、詳しい休み方は備考欄を確認するようにしてください。
C:【仕事内容】を詳しく知りたいとき
※画像引用元:ハローワーク『求人申込書の書き方』より
「総務」「経理」「営業」「設計」「施工管理」「システムエンジニア」といった、職種名が書かれています。
この欄を見て、「自分が探している職種の募集か?」「興味の持てそうな仕事か?」を判断しましょう。
詳しい情報は【仕事の内容】欄もセットで確認してください。
職種名だけでは分からない、具体的な仕事の内容が書かれています。
「どんな製品を扱うのか」「どんな手順で仕事を進めるのか」「どんな人に営業をかけるのか」といった情報を手に入れて、仕事のイメージを掴みましょう。
<ポイント>仕事内容は、ブラック企業を見分ける切り札
チェックポイントを押さえて読めば、仕事内容からブラック企業を見つけることも可能です。
詳しく知りたい方は、【ブラック企業発見の、最後の切り札】もぜひ目を通しておいてください。
D:雇用形態や働く場所など【雇用の条件】を確認したいとき
※画像引用元:ハローワーク『求人申込書の書き方』より
正社員・契約社員といった「雇用形態」と、契約の期間が書かれています。ハローワークの求人票で登場する雇用形態は、大きく分けて4種類。
たとえば、同じ会社で長く働きたいなら正社員、キャリアアップのために転職したいなら契約社員、家事と両立させたいなら派遣社員といった形で、自分のライフプランにあった働き方を選びましょう。
※参考:転職で正社員になるためのノウハウ
実際に働く場所が書かれています。本社や事業所と同じ住所のケースがほとんどですが、現場作業が多い工事関係の仕事や、ショップの販売スタッフ、派遣社員の場合は注意が必要。
「本社は北海道だけど、勤務地は東京」というケースのように、本社と働く場所が離れている求人もあります。U・Iターンなど、働く場所に強いこだわりがある場合は、特に注意しましょう。
「試用期間はあるか?」「その間、福利厚生などに違いはないか?」といった内容が書かれています。
試用期間とは、採用した人材を本採用するか、実際に働いてもらって判断する期間のこと。通常3ヶ月~6ヶ月ほど設けられています。
本採用するか判断する期間とはいえ、「極端に勤務態度が悪い」「無断遅刻・欠勤を繰り返す」「履歴書に嘘が書かれていた」といった極端な場合を除けば解雇されることは無いので、安心してください。
<ポイント>試用期間中の「手当」に注目!
試用期間の長さよりも、大切なのは「試用期間中、手当などに変更がないか?」という点。
「住宅手当は試用期間終了後から支給」といったケースもあり、確認しなければ思わぬ出費につながってしまうこともあります。
E:応募資格など【選考に関する情報】がほしいとき
※画像引用元:ハローワーク『求人申込書の書き方』より
応募できる年齢について書かれています。原則、法律で年齢制限は禁止されているため「不問」となっているケースがほとんどです。
例外として、技術・ノウハウ継承やキャリア形成を目的として、年齢層を絞った募集が認められるケースもあるので注意してください。
<ポイント>年齢制限は、調整できることも
たとえば「35歳まで」と年齢制限されている場合でも、企業に問い合わせれば応募できるケースがあります。企業としても、十分なスキルや知識、意欲を持っている人材なら、年齢を問わず採用したいという意識があるためです。
どうしてもその仕事に興味があるときは、ハローワークの窓口や転職エージェントに相談するといいでしょう。
応募に必要な学歴が書かれている欄です。たとえば、プレゼンが得意な人を集めるために「大学卒業以上」と指定したり、専門知識が必要な仕事の場合に「建築系の学部・学科を卒業された方」と制限していたりします。
ここに「不問」と書かれていれば、誰でも応募可能です。
特定のスキルや資格が必要な仕事の募集では、「必要な経験等」「必要な免許資格」に条件が書かれています。
下記のような内容が書かれていることが一般的です。
必要な経験等 |
・基本的なPC経験(Excel・Wordなどの使用経験) ・営業職の実務経験 …など |
必要な免許資格 |
・普通自動車運転免許 ・宅地建物取引士資格 ・一級建築士資格 …など |
抽象的に書かれているケースも多いので、応募できるか判断に困ったら自分一人で悩まないことも大切です。
ハローワークの求人票なら窓口で、転職エージェントを使っている場合はエージェントを通して、自分が応募できるか確認しておきましょう。
F:見逃しやすい重要な内容を確認したいとき(【備考】欄)
※画像引用元:ハローワーク『求人申込書の書き方』より
[F]備考
他の項目で書ききれなかった、補足情報が書かれています。記載する欄を変えてでも伝えたい「重要な情報」が記載されているケースが多いので、必ず確認しておきましょう。
高卒でも、求人票の企業に応募していいの?
基本的に、高卒も社会人経験者も、共通の求人票を使用しています。学歴に「大卒以上」と書かれていたり、応募資格で「○○業務の経験者」が求められていたりしなければ、高校生・新卒者・未経験者でも、すべての求人に応募できるのでご安心ください。
一方で、就職活動を有利に進められる情報が書かれている「高卒向け求人票」も存在します。一般的な求人票と高卒向け求人票、それぞれのチェックポイントを覚えて、効率的に仕事を探しましょう。
一般的な「求人票」を使うケース
確認しておきたいポイントは、「学歴」「応募資格」「年齢」の3点。これらの項目に制限がかかっていなければ、自由に応募することができます。
学歴:「大卒以上」などの制限はないか?
「不問」と表記されていれば、自由に応募可能です。専門的な知識が求められる職種は、学歴が求められる傾向があります。
応募資格:実務経験が求められるケースも
「営業職経験のある方」など、実務経験を求める求人は一定数存在します。実務経験が書かれている場合、高校卒業直後の時点では応募できません。一方で「〇〇職の経験者、歓迎」と書かれているケースは応募できるものの、即戦力が求められているため、選考で不利になる可能性が高いでしょう。
年齢:制限されるケースは稀だが、念のため確認を
求人の年齢制限は原則禁止されているため、確認が必要なケースは稀です。制限がある場合も「35歳以下」といった形で上限を決めているケースがほとんどなので、若者にはほとんど影響は無いでしょう。
「高卒向け求人票」を使うケース
「高卒向け求人票」は、高校で配布するために用意されたもの。項目の見方は共通ですが、一般的な求人票よりも細かなデータが揃っていたり、特別な項目があったりする点が特徴です。
違いを把握すれば転職活動を有利に進められるので、ぜひ見方を覚えておきましょう。
「高卒向け求人票」でチェックしたいポイント
※画像引用元:東京都高等学校進路指導協議会ブログ『新規高卒求人票(令和2年1月以降運用)について』より
通学の支援制度
「働きながら学びたい方」を支援する制度について記入されている欄です。
通学時間・勤務時間を配慮してくれるかどうかや、入学金・交通費の支給など、求人広告では「通学社員制度」と呼ばれる支援内容が書かれています。
親や奨学金に頼らずに進学したいと考えている方や、進学を諦めようと考えている方は、チェックしておくと将来の選択肢が広がるでしょう。
採用・離職状況
過去3年分の応募者数・採用者数・離職者数が書かれています。応募者数と採用者数を見比べれば応募倍率がわかるので、企業の人気度を把握したいときに使ってみましょう。
また「離職者数」は、過去3年間で採用された人のうち、何人が会社を辞めているかが記入されています。採用者数で離職者数を割ると、離職率を求めることが可能です。
この離職率が「平均値である約3割を大きく超えている会社」は、働き方などに課題があることが多く、注意が必要です。
ライバルと差をつける!お役立ちコラム6選
求人票に書かれた専門用語を、実は正しく理解していない方も多いと言われています。
この章では「名前はよく聞くけど、実は理解があいまい」という用語や、給与の「相場」を掴むための情報など、転職に役立つ情報を公開します。
■わたしの年収低すぎ…?平均年収一覧
■「給与形態」で稼ぎ方は大きく変わる
■みなし残業・固定残業・裁量労働制
■実は週2日休めない「週休二日制」
■ブラック企業発見の、最後の切り札
■賢く転職!求人票・求人広告活用術
コラム:わたしの年収低すぎ…?平均年収一覧
「前職より稼げればいい」と考えて転職するのも1つの手。でも、実際に同年代がどれだけ稼いでいるのか知っておくと、客観的な判断ができるので便利です。
そこで、10代~70代までの平均年収早見表を用意しました。実際は業界や雇用形態によって上下しますが、大まかに「平均より収入が高いか・低いか」の確認に使ってみてください。
※参考:国税庁『平成30年分民間給与実態統計調査』より
コラム:「給与形態」で稼ぎ方は大きく変わる
給与形態=給与の計算方法は、大きく3種類。「固定給制」「歩合給制」「完全歩合給制」に分けられます。
それぞれ稼ぎ方が異なるので、生活を安定させたい・稼ぎたいといった自分の希望に合うものを選びましょう。
固定給制
時間ごとの単価をもとに、給与額を計算する給与形態のこと。
目にする機会が多い「時給・日給・週給・月給・年俸制」は、すべて固定給制です。塾講師のように、授業1コマごとに単価が決まっているケースも、固定給制に含まれます。
固定給制の給与額 = 単価×働いた時間 ※年俸制は、1年間の単価/12の金額が月々支払われます。 |
歩合給制
固定給の他に支給される「歩合給=ノルマの達成ボーナスなど」によって、高収入を目指せる給与形態。
営業職でよく目にしますが、高収入を手にするチャンスがある一方で、固定給が最低賃金ギリギリに設定されることも多く、リスクもある給与形態と言えます。
歩合給制の給与額 = 固定給+歩合給 |
完全歩合給制
歩合給制の「固定給」が一切ない給与形態。ノルマ達成ボーナスや、業績で給与が100%決まります。
歩合給制よりさらに稼ぐチャンスはあるものの、収入がゼロになる危険もある、ハイリスクハイリターンの働き方です。
完全歩合給制の給与額 = 歩合給 ※歩合給のほか、最低限の収入を保証している企業もあります。 |
コラム:みなし残業・固定残業・裁量労働制
残業代の未払い・サービス残業問題と並んで、耳にする機会が増えたこれらの制度。しっかり理解していないと、残業代の未払いなどに気づけず、損をしてしまう可能性が高いと言われています。
企業側ですら十分理解していないケースも多いので、自衛のために、ポイントを押さえて制度を覚えておきましょう。
「みなし残業代」「固定残業代」
残業代の支払い方に関する制度です。あらかじめ、社員が「ある一定の期間で〇〇時間残業した」と仮定して、残業代を定額で支払います。たとえば「月16時間分、2万4000円のみなし残業代を支給する」といった形で、残業時間・残業代が明確に決められているのが特徴です。
上の例だと、1ヶ月で16時間残業しなくても「16時間分の残業代が支払われる」ので、残業が少ない仕事の場合は得する制度と言えるでしょう。16時間以上残業した場合、その分の残業代も支払われるという点は、覚えておいて損はありません。
裁量労働制
勤務時間・働き方に関する制度です。こちらは、就労時間・残業時間をあわせて「1日8時間働いた」「1週間50時間働いた」といった形で、期間と時間(みなし時間)を仮定して給与を定額で支払います。
この制度では、実際の勤務時間に関係なく、給与が定額で支払われるという特徴があります。もし裁量労働制(1日8時間)という制度になっている会社なら、6時間だけ働いても、逆に10時間働いても、支払われるのは8時間分の給与です。
裁量労働制の残業代は、みなし時間が法定労働時間である「1日8時間・1週間で40時間」を超えて設定された場合に、あらかじめ給与に含んだ形で支給されます。残業代として別途支給される形ではないので、注意しましょう。
たとえば裁量労働制(1日10時間)の企業なら、2時間分が残業代としてあらかじめ計上されています。逆に、裁量労働制(1日8時間)の企業は、残業なしと仮定しているので、給与に残業代は一切含まれません。
もし残業が発生しないと仮定している「裁量労働制(1日8時間以下)」の企業で、残業が常態化している事実があれば、実質「残業代が支払われていない」と言えるので、注意が必要です。
なお深夜残業・休日出勤など、通常の残業時間とは別に働いた分は別途支払われるので、その点はご安心ください。
コラム:実は週2日休めない「週休二日制」
休日数が多い企業でも、定期的に休めるとは限りません。働きやすい企業を見つけるために、休み方を定義する「休日の名称」もしっかり覚える必要があります。
そこで、誤解しやすい「週休二日制」と「完全週休二日制」に加え、求人広告などでよく目にする休日の種類をまとめました。自分が週何日休めるのか、正しく把握する参考にしてみてください。
コラム:ブラック企業発見の、最後の切り札
残業時間・年間休日数といった数字で比較できる項目は、客観的にわかりやすいチェックポイント。加えて確認しておいてほしいのが「仕事の内容」です。
実は、転職後にミスマッチを感じやすいのが仕事内容。具体的な内容が明記されていない求人は、「どんな仕事を任せるか」が決まっておらず、本来その職種でやるべきではない業務まで任されがちです。その結果、業務過多になったり、専門外の仕事を強要されたりして、離職につながるケースが後を絶ちません。
任せる仕事が決まっている場合、下記の内容も決まっているはずなので、求人票や面接時の質問を通してチェックしてみてください。
・仕事の流れや、そのなかで担当する作業がハッキリしているか? ・扱う製品や、営業の種類(新規開拓、既存顧客)などが決まっているか? ・仕事で使用する機械や、プログラミング言語は決まっているか? |
コラム:賢く転職!求人票・求人広告活用術
ハローワークで気になる求人があったら、「1:同じ企業・職種の求人広告が、転職サイトにあるか検索する」「2:求人広告の情報を参考に、仕事のイメージを掴む」という流れで動くことをお勧めします。
というのも、ハローワークなどで入手できる「求人票」は、あくまで求人に関する最低限の情報をまとめた資料だから。これだけでも転職活動は進められますが、項目がシンプルなため企業ごとの差別化が難しく「どの会社も同じに見える」のが実情です。
そこで、情報を補う形で使うのが、転職サイトなどで閲覧できる「求人広告」。求人広告は、求人票より詳細な情報や写真が掲載されており、担当する仕事や社風のイメージを掴むには最適な資料です。インターネット上を検索すれば過去の求人広告もヒットするので、参考資料として活用するといいでしょう。
また、転職サイトによっては、企業との調整をサポートしてくれる「転職エージェント」サービスなども用意されています。無料で利用できるサービスが多いので、活用も検討してみましょう。
まとめ
転職活動の成功は、求人票から「ホワイト企業」を見分ける情報を、いかに入手できるかにかかっています。転職Hacks編集部がお勧めする、求人票の見方は2種類です。
求人票に馴染みがない方は、【求人票の見方はハローワーク基準で覚える】の章を見ながら「チェックしておきたい6種類の情報に目を通す」ことからスタート。項目や用語の解説を読みながら、求人票のポイントを押さえられるようになりましょう。
求人票を使った経験がある方は、【ホワイト企業を探す!求人票のポイント4選】を見ながら、「4つのポイント(給与・勤務時間・休日・保険)を念入りに読み解く」ことに集中してOK。残業時間など、具体的な数字に着目して、企業を正しく比較できるようになりましょう。
はじめは用語を覚えることで手一杯だと思いますが、慣れてくればポイントを押さえつつ、素早く企業を比較できるようになるはずです。そうすれば、ブラック企業を回避することもできるでしょう。転職活動の成功に向けて、がんばってください。