目指せキャリアアップ 金融業界の転職に有利な資格12選

堅実なイメージで、安定した収入も期待できる金融業界。

一部の業務で必須の資格や、持っていると役立つ資格まで、金融業界のさまざまな資格を紹介します。

金融業界への転職に役立つ資格の基礎

本を読む男性

他業界から金融業界への転職、あるいは金融業界でのステップアップを目指して資格取得を考える場合、最初に確認しておきたい基礎知識を紹介します。

金融業界における資格の種類

金融に関わる資格は、大きく分けると(1)専門的に特定の業務を行うことができる「業務独占資格」、(2)企業で働くために取得する必須の資格、(3)業務に必須ではないもののビジネスの基礎や役立つ知識を身につけられる資格に分けられます。

それぞれ詳しくは以下のとおり。

(1)特定の職種に不可欠な業務独占資格

「業務独占資格」は有資格者以外が携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格で、金融の世界では公認会計士や税理士が該当します。

公認会計士であれば会計検査院や監査法人勤務の道が開かれるなど、難易度は高いものの専門職に直結する有益な資格です。取得後は独立・開業も目指せます。

(2)企業で働くために取得する資格

業務独占資格ではないものの、ある業務を行うために必須とされる資格もあります。

例えば株式や債券といった金融商品の販売・勧誘を行うには、証券外務員の資格が必要です。

また、一定期間以上の実務経験があることで受験可能になるものがあります。

(3)知識習得や転職に役立つ資格

業務に直結はしませんが、財務や経理の基礎知識を習得したり、取得することで自分の能力を証明できて転職で有利になったりする資格もあります。

例えば日商簿記2級は、なくても経理の業務を行うことはできますが、多くの企業で求められる財務や会計の基礎をマスターでき、履歴書に書くことで知識のアピールすることもできます。

自分が取るべき資格の選び方

未経験から金融業界に転職したい、実務経験がありキャリアアップを目指したいなど、状況により役立つ資格は異なります。勉強が徒労に終わらないよう、自分にぴったりの資格を検討しましょう。

(1)未経験の場合

受験の条件に「実務経験」がなく、合格率が高めの資格が向いています。独学で勉強するのか、それとも講座などに通って取得するのか含めて、取得にかかる費用と勉強時間のバランスをしっかり考えて選びましょう。

また、証券アナリストのようにそもそも通信講座を受けないと受験資格を得られない資格もあるので、受験要項は丁寧に確認するようにしましょう。

(2)経験者がステップアップしたい場合

証券外務員1級やFP技能士1級・CFPのように、取得することで同じ資格の下位の等級より業務範囲が広くなるほか、働く際に資格手当がつく場合があります。

一部の銀行や証券会社は資格取得を昇進や昇給の条件とし、受験費用の負担などのサポートをしています。金融業界で経験を積み、キャリアアップを図りたい方に向いています。

(3)独立開業や海外勤務を考える場合

高い専門性を生かして自分で事務所を開いたり、外資系銀行などで投資やM&A、マーケティングに携わったりしたい場合は、法律に基づくため信頼性が高い国家資格や、専門知識の修得を証明できるMBA、語学の資格などがお勧めです。

中小企業診断士や社会保険労務士、税理士や公認会計士は、企業では資格手当が期待でき、独立開業した場合、年収1,000万円も視野に入ってきます。

未経験者でも目指したい金融業界の資格

ノートと応援メッセージ

ここから、比較的挑戦しやすい日商簿記から、取得までにかなりの勉強が必要な公認会計士まで、12の資格の基本情報、取得の流れや活躍できる業務を紹介します。

まずは知名度が高く、未経験者だけでなく経験者も目指したい資格8つを紹介します。

就活生でも挑戦したい「日商簿記」

難易度★~★★★★

日商簿記は、企業の経理・財務部門で働くための基礎知識を証明する資格です。

簿記とは、「企業の日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能」を意味します。

日本商工会議所が行う検定試験に合格する資格が取得できます。

レベルは原価計算初級簿記初級3級2級1級に分かれており、原価計算初級は事業の収益性を把握するための基礎知識レベル、簿記初級は簿記の基本用語や仕組みがわかるレベル、3級は経理の基礎があり中小規模事業の経理事務ができるレベル、2級は経営状況を把握する能力があり、企業の財務担当に必須のレベル、そして1級は経営管理・分析ができるレベルです。

簿記試験に合格していないと財務や経理の仕事ができないわけではありません。しかし、取得により業務に直結する知識が身に付くため、転職時に実力を示すポイントとなります

<試験概要>
試験日:年3回(6月、11月、2月)
受験料:原価計算初級2,200円、簿記初級2,200円、3級2,850円、2級4,720円、1級7,850円
受験資格:特になし
分類:民間資格
主な就職/転職先:企業の総務・人事・経理・財務部門、税理士事務所(補助)など

コラム:2級と3級の違いは、工業簿記が含まれるかどうか

日商簿記の3級は基本的な商業簿記が出題範囲となりますが、2級では商業簿記の難度が上がるだけでなく「原価計算を含む工業簿記」が出題範囲に加わります

そもそも簿記は大きく「商業簿記」と「工業簿記」に分かれています。商業簿記は一般的な商店や会社のお金の流れを記録するもの、工業簿記は工場で材料費や人件費といった商品の製造コストも記録していくものという違いがあります。

一般的には先に3級を取得した上で2級にチャレンジする人が多いようです。

金融商品の販売には必須、「証券外務員」

難易度★

株価 チャート

証券外務員とは、金融商品の取引に従事する人が“持っていなければならない”資格です。

証券会社や銀行ではキャリアパスの初期段階として、取得が奨励または義務づけられています。他業界からの転職でも、外務員資格があれば戦力として評価される可能性が高まります。

等級には一種外務員資格と二種外務員資格があり、一種はより幅広い取引を扱えます。

具体的には、二種外務員は「公社債・投資信託の取引、株式の現物取引」を扱い、一種外務員は二種外務員の業務範囲に加えて「株式の信用取引、レバレッジ投資信託、新株予約権証券、店頭デリバティブ取引に類する複雑な仕組債・複雑な投資信託」を扱います。

試験に合格し、金融庁への登録が完了すると、晴れて外務員として活躍できるようになります。証券会社や銀行で金融商品を扱うのに必要なため、転職活動の時点で取得していれば有利です。

<試験概要>
試験日:月~金曜日の毎日(事前に申し込み全国のテストセンターで受験)
受験料:9,880円
受験資格:特になし
分類:民間資格
主な就職/転職先:証券会社、銀行、生命保険会社など

金融のプロ、「証券アナリスト」

難易度★★★

通信講座で勉強中の女性証券アナリストは、高度な専門知識と分析技術をもとに、投資の助言や管理サービスを行う証券投資の専門家です。

日本証券アナリスト協会が認定する民間資格で、CMA、日本証券アナリスト協会検定会員とも呼ばれます。

証券会社などで証券の分析に取り組んだり、資産運用のための投資についてアドバイスをしたりするといった働き方があります。

証券アナリストの資格は、第1次レベル(通信講座→試験3科目)、第2次レベル(通信講座→試験4科目)に合格し、3年の実務経験を認定されると取得できます。

また、第2次レベルに合格し実務経験が3年未満の場合は「検定会員補」に登録でき、同称号を使用することができます。

金融の知識を体系的に習得していることを客観的に証明できるため、証券会社はもちろん、経理や会計部門などでも評価されやすくなります。

ただし通信講座を受講しなければならないため費用がかさむこと、試験に合格した後も認定には3年の実務経験が必要になることを踏まえ、キャリアについて慎重に考えてから取得に向けて動きましょう。

<試験概要>
・第1次レベル
試験日: 年2回(春・秋)
受験料: 12,700円(3科目合計)
受験資格: 通信講座3科目の受講(受講料一括55,500円、協会会員は割引)
・第2次レベル
試験日:6月上旬
受験料:8,400円
受験資格:第1次レベル合格、通信講座4科目の受講(受講料52,500円)
分類:民間資格
主な就職/転職先:証券会社、銀行、保険会社、資産運用コンサルタントなど

人生のマネープランの専門家、「AFP」

難易度★★★

AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)とは、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格の一種で、家計や保険、教育資金、相続など暮らしとお金に関わる幅広い知識を備え、人生のさまざまなステージにおける資産設計をサポートする専門家です。

対応する課題は家計管理、教育や老後、住宅の資金計画、年金、保険、医療費、相続など多岐にわたります。

ファイナンシャルプランナーと名のつく認定資格はいくつかありますが、「AFP」は実務経験がある方や、これから長期的に勤務したい方にオススメのレベルです。

認定条件として「2級FP技能士」を取得する必要があるため、段階的に実力を付けていくためにも有効です。

活躍の場が多いのもFPの特徴で、保険会社や不動産業で顧客の相談に応じたり、企業内FPとして社員のお金の面の将来設計を支援したり、資格を生かして起業する人もいます。

独立も可能な資格のため、金融業界や保険業界へ転職をする場合、強力な後押しとなってくれます

また、生活資金について知識を得られるため、日々の生活の中ですぐに勉強の効果が発揮されるのも魅力です。

<試験概要>(2級FP技能士、AFP認定の場合)
試験日:年3回(5月、9月、1月)
受験料:8,700円
受験資格:AFP認定研修修了、3級FP技能検定合格、2年以上のFP実務経験、厚生労働省認定金融渉外技能審査3級合格、のいずれかに該当すること
分類:民間資格
主な就職/転職先:証券会社、銀行、保険会社、不動産会社、会計事務所、独立開業など

コラム:FP技能士とAFP、CFPの違いは認定機関

AFP、CFPと「FP技能士」はいずれもファイナンシャルプランナーの資格ですが、認定機関が違います。AFPとCFPは日本FP協会が認定しているFP資格で、「FP技能士(1~3級)」は国家検定の資格です。

ただし、AFPの受験資格として、2級FP技能士の資格が必要であるなど、全く関係のない資格というわけではありません。

初歩の勉強や未経験からの転職では、受験資格に実務経験が含まれない3級FP技能士が比較的取り組みやすいでしょう。また、もっとも難易度が高いのはCFPですので、ステップアップを考えている人はチャレンジすることを視野に入れましょう。

AFP、CFPとFP技能士の関係図

※出典:FPの資格と検定の種類-日本FP協会

保険やリスクの数理専門職、「アクチュアリー」

難易度★★★

保険や金融に関わる業務のなかでも、特に「確率・統計などの手法を用いて不確定な事象を扱う」のがアクチュアリーという仕事です。

保険や年金、決算などの数理業務や、リスク管理分析や長期計画の策定など、数字に強い人が向いている業務を扱います。

アクチュアリーの職務には資格がなくても従事できますが、日本アクチュアリー協会が認定する資格としての「アクチュアリー」は、生保数理などの知識修得を客観的に証明できるという利点があります。

取得には第1次試験、第2次試験に合格と「プロフェッショナリズム研修」の受講が必要です。2回の試験に合格するには最低2年かかるため、企業などで数理業務に関わりながら受験する人が多くなっています。

取得に時間がかかり難易度も高いですが、数理業務の専門職として給与水準が高く、保険会社や監査法人などさまざまな企業で需要があるのが強みです。

<試験概要>
試験日: 12月(第1次試験、第2次試験ともに)
受験料: 1科目10,000円(個人会員等は7,000円)
受験資格: 大卒または同等の学力があると試験委員会が認める者、第2次試験は第1次試験の合格者
分類:民間資格
主な就職/転職先:保険会社、監査法人投資銀行、コンサルタント会社、証券会社など

不動産取引に興味があるなら「宅地建物取引士」(宅建)

難易度★★

宅地建物取引士のイメージ

宅地建物取引士は、宅地建物の売買や交換を扱う宅地建物取引業を行うために必須の資格です。町の不動産屋さんにも必ず1人は資格を持っている人がいます。

不動産に関わる業務のうち、売買や仲介といったシーンで活躍します。

建設業や不動産業などはもちろん、住宅の賃貸や購入、投資やローンに関わる場面で生きる資格であるため、銀行などの金融機関でも働くことが可能です。

試験は マークシート方式で、権利や法令、税金などが出題範囲となっています。試験に合格した後、宅地建物取引士資格登録簿に登録すれば「宅地建物取引士」となります。

1度の試験で済むため、他の資格に比べて比較的シンプルに取得することができます。国家資格であるため、就業の条件に資格手当の支給が含まれていることもあります。

また、誰でも消費者として経験し得る「家を買う・借りる」という取引の知識を習得できるため、実生活でも役立ちます。

<試験概要>
試験日: 10月の第3日曜日
受験料: 7,000円
受験資格: 特になし
分類:国家資格
主な就職/転職先:不動産会社、コンサルタント会社、銀行、不動産に関わる営業やマネジメント、独立開業など

経営コンサルタントを目指すなら「中小企業診断士」

難易度★★★★

クライアントと話すコンサルタント

中小企業診断士は、中小企業の経営課題をサポートするため、診断・助言を行う専門家であり、経済産業大臣が登録する国家資格です。

企業の成長戦略策定や、実行のためのアドバイスを行うほか、中小企業と行政や金融機関を結ぶ役割も担います。

試験は知識を問う筆記試験(1次試験)と、知識の応用力を問う筆記・口述試験(2次試験)が実施されます。

また、合格者を対象に15日間の実習(実務補習)が行われており、指導を受けながら実際に企業の診断、調査、分析、報告の過程を体験することができます。

合格してから実務までに不安がある人には心強いサポートになります。

中小企業診断士の勉強には時間がかかりますが、企業の経営改善に取り組むための知識であり、社内での経営参画や昇進に役立てられる資格です。

また、経営コンサルタントとしての就職や開業も視野に入れられます

<試験概要>
試験日:8月(1次試験)、10月、12月(2次試験)
受験料:13,000円
受験資格:特になし(2次試験は1次試験合格者、1次試験免除者)
分類:国家資格
主な就職/転職先:コンサルタント会社、マーケティング業、企業の経営・財務部門、独立開業など

雇用や年金問題の強い味方、「社会保険労務士」

難易度★★★★★

社会保険労務士(社労士)は労働関係や社会保険、年金などの専門家です。

行政機関への書類作成や手続きといった独占業務のある国家資格で、労務関係のコンサルティングも行います。

社会保険に関する申請書類の作成などの事務は多く会社で必要になる業務ですが、外部から依頼を受け報酬を得て業務を行うことができるのは、社会保険労務士または社会保険労務士法人のみです。

社会保険労務士事務所で労働や年金の相談に応じたり、企業の人事や総務で働いたりするのが、資格取得後目指しやすいルートです。

学歴等の受験資格を満たすことは難しくありませんが、合格率は10%を大きく下回ることもある難関です。

公務員や会社員のバックオフィス系で実務経験を積んだうえで、より知識を深めてキャリアを積みたい、社労士事務所等での事務経験を経て社労士を目指す、という場合に挑戦したい資格です。

<試験概要>
試験日: 8月下旬(日曜日)
受験料: 9,000円
受験資格: 大学・短大卒業等の学歴、3年以上の実務経験、厚生労働大臣が認めた国家試験や司法試験予備試験合格者または行政書士となる資格を有する者、のいずれかひとつに該当していること
分類:国家資格(業務独占資格)
主な就職/転職先:社労士事務所、法律事務所、コンサルタント会社、企業の総務・人事部門、独立開業など

キャリアアップを目指せる資格

ステップアップのイメージ

金融業界の資格には誰でも受験できるものがある一方、非常に専門性の高い資格もあります。金融業界でキャリアアップしたい、高収入を目指したいなら挑戦したい資格を紹介します。

税理士

難易度★★★★★

税務の専門家である税理士。税に関する公平性を保ち信頼を確保するため、不正行為を是正する助言を行う義務や守秘義務があり、高い倫理性が求められます。

試験科目は会計学に属する科目(2科目)と税法に属する科目(3科目)となっています。

科目ごとに合格すれば良く、一度合格した科目は生涯有効になるので、時間をかけて挑戦することができます。

業務は確定申告や税務調査などの代理、書類の作成といった税に関する事務や、税理士業務に付随する会計業務などがあります。

税理士事務所に勤めるか独立開業して働くイメージが強いですが、一般企業、官公庁に務めるケースもあります

<試験概要>
試験日: 8月上旬
受験料:10,000円(5科目)
受験資格: 司法試験合格者、公認会計士試験短答式試験合格者、大卒・短大卒で法律学または経済学を履修した者などの学識条件、日商簿記1級合格者、全経簿記検定上級合格者、2年以上の実務経験がある者、以上のいずれか1つを満たしている人
分類:国家資格(業務独占資格)
主な就職/転職先:官公庁、会計事務所、税理士法人、コンサルタント会社、企業の財務・会計、独立開業など

公認会計士

難易度★★★★★+

公認会計士は、独立した立場で企業の会計監査を行う、会計の専門家です。

公認会計士は「業務独占資格」であり、会計監査は公認会計士にしか行うことができません。

また、業務の透明性を確保するために、公認会計士法により、監査を行う企業や関係者から独立した立場で業務を行うことが定められています

さらに公認会計士は税理士、行政書士となる資格を有しているため、登録すればそれぞれの業務を行うことができます。

公認会計士試験は、4科目のマークシート式試験と、論文形式の試験で構成されています。

さらに2年以上の実務経験(合格前からでも可)を積むとともに、3年間実務補修所で単位を取得し、修了考査に合格すると、公認会計士として登録することができます。

大手監査法人や企業では年収1,000万円前後の求人も見受けられる、高収入を期待できる資格です。厚生労働省の調査によると、公認会計士・税理士の平均年収は891.9万円となっています。

※出典→平成30年賃金構造基本統計調査 厚生労働省

<試験概要>
試験日: 短答式・年2回(12月、5月)、論文式・年1回(8月)
受験料: 19,500円
受験資格: 特になし
分類:国家資格(業務独占資格)
主な就職/転職先:監査法人、官公庁、会計事務所、税理士法人、銀行、独立開業など

外資系や海外転職のために挑戦したい資格

地球儀とパソコン

金融業界で海外勤務に興味がある人は、国際的にも認められる資格取得を考えてみてはいかがでしょうか。

下記2つの資格はいずれも受験する地域やスクールごとに、条件が異なります。

国内の資格取得に比べ提出書類や手続きが煩雑になるため、受験計画は半年以上の余裕を持って立てるなど、長期的な視点で取り組みましょう。

米国公認会計士

難易度★★★★★

米国公認会計士(US CPA)は米国の各州で認定される公認会計士の資格で、国際的に知名度が高いことが強みです。試験は財務会計、諸法規、監査及び証明業務、ビジネス環境及び諸概念で構成され、Webテストのため日本でも受験することができます(出願可能な州が限られます)。

出願や認定は州ごとに行われるため、州により受験の条件等が異なります。米国内ではどこからでもWebテストが受けられますが、受験や申請が自分にとって有利になる州を確認しておくと良いでしょう。

また、難易度自体は日本の公認会計士ほど高くなく、米国での合格率は50%前後と会計や経営に関わる人材に門戸が開かれているのが特徴です。

英語力はTOEIC800点ほどが目安といわれています。海外も含めて金融関係で働きたい人には、就職の機会が広がる資格といえるでしょう。

<試験概要>
試験日: 年間8ヶ月テストセンターにて受験可能
受験料: 出願料155~250ドル程度(申し込んだ州や受験地により費用が異なります)、公証費用50ドル、日本受験1科目566ドル(受験料209.99ドル+日本受験追加料金356.55ドル)、学歴審査の費用200ドル前後(申し込んだ州によって異なります)
受験資格: 学士以上で会計やビジネスの単位を一定数以上取得していること
分類:米国の州ごとに認定の資格
主な就職/転職先:監査法人、会計事務所、銀行など(外資系、米国企業含む)

MBA(経営学修士)

難易度★★★★

MBA(Master of Business Administration)は経営学修士、つまり経営学の大学院を修了すると与えられる学位です。MBAを取得できる大学院はビジネススクールとも呼ばれ、ハーバード大学など米国の大学が有名ですが、日本でも取得することができます。

米国では企業の採用や昇進で大きく有利になるとされ、経営者を目指すには取得しておきたい学位となっています。また、米国だけでなく、経済成長が進む新興国でも注目される学位のようです。

経営者を目指し、留学を兼ねて学びたい場合は海外のビジネススクールを、社会人として働きながら学位取得を目指すなら国内のビジネススクールを選ぶと良いでしょう。

かつてはビジネススクール=米国というイメージがありましたが、仕事をしながら通える日本のビジネススクールも人気が高まっています

<試験概要>
費用:修了までの学費は海外で700万~2,000万円、国内120万~400万円
受験資格: ビジネススクールごとの受講条件による(海外では語学力の証明が必要な場合もある)
分類:学位(修士)
主な就職/転職先:銀行、証券会社(外資系、外国企業含む)、企業の経営・マネジメントなど

コラム:【海外を視野に入れるなら、語学力を資格でアピール】

電話中の会社員

将来的に外資系企業や海外勤務を視野に入れる場合は、当然ながらビジネスで通用するだけの語学力、特に英語の力が求められます。留学経験があったり、既に英語が公用語の企業で働いていたりする場合には経験がアピールできます。

また、語学力を客観的にアピールするにも、やはり資格が有効です。実用英語技能検定試験(英検)は国内で知られていますが、海外でのビジネスに挑戦したい場合は、TOEICやTOEFLなど、国際的に認知されている資格が良いでしょう。語学の資格について、詳しくは「今から取るならこれ! 履歴書に書きたい英語関連資格」で解説しています。

まとめ

金融業界の資格は、一口に「金融」といってもその難易度や主要科目は幅広く、気軽に取得できるものから、一生ものとして目指す価値のあるものまでバラエティーに富んでいます。転職やキャリアアップを後押ししてくれるような資格を選んでみてはいかがでしょうか。