子育ても楽? 職住近接とは|家と職場が近いメリット

通勤ラッシュから解放され、プライベートの時間が増えるという職住近接。

ここでは、職住近接の概要から、職住近接を取り巻く状況について解説します。

職住近接とは?

職住近接とは職場の近くに住むこと

職住近接とは職場の近くに住むことです。

職場と自宅が近くなることにより、通勤時の負担を軽減させ、職場での業務効率を上げることができます。

また、職場の近くに住む場所を探すケースだけでなく、住んでいる場所の近くで仕事を探すケースも職住近接に該当します。

かつては郊外の住宅街に住みながら都心にある職場に長時間の通勤をする人が多数でした。しかし近年、共働き世帯の増加によって家事・育児の時間を捻出するためには通勤時間を短くしようと考える人が増えたこともあり、職住近接が注目されています。

会社によっては職住近接手当が出ることも

会社によっては、オフィスから一定の範囲以内に居住することを条件に職住近接手当を支給している場合もあります。

職住近接手当の金額や支給条件は会社によって異なりますが、たとえば職場から2駅圏内に住んでいる人に毎月3万円の家賃補助が出る場合や、会社から2キロ圏内に引っ越してきた人には引っ越し費用として20万円支給される場合があります。

コラム:子育て世代は育住近接も重視

育住近接とは、子どもの保育園・幼稚園など育児の場が自宅に近いことです。

子育てをしながら働く場合、職場への通勤時間だけでなく保育園・幼稚園への送迎時間や移動時の負担も考えなくてはなりません。そのため、職住近接より、育住近接を重視している人もいます。

職住近接のメリット・デメリット

最大のメリットは通勤時間の節約&ストレス減

1プライベートの時間が増える

例えば通勤時間が往復3時間だった場合、職住近接になって往復30分になると、プライベートの時間が2時間30分増えます。その時間を家事や育児、自己研鑽に充てたり、しっかりと心身を休めることに使ったりできるかもしれません。

また、子どもの保育園の送迎時間の関係で時短勤務をしていた場合は、送迎時間が短縮される分、フルタイム勤務に切り替えることもできます。

2通勤のストレスがなくなる

職住近接にすることで、電車通勤によるストレスがなくなります。

通勤ラッシュの時間帯の乗車率は、東京圏で163%、大阪圏で125%、名古屋圏で131%と、いずれも100%を超えており、中には180%を超えている路線もあります。そんな状態で毎日通勤していれば、疲労やストレスが溜まってしまうでしょう。

職住近接にすることで満員電車に乗る必要がなくなったり、乗車時間が短くなって精神的・肉体的な負担が軽減されたりします。また、電車遅延などの交通トラブルに巻き込まれにくくもなります。

※参考→三大都市圏における主要区間の平均混雑率・輸送力・輸送人員の推移|国土交通省

3休憩時間に自宅に戻れる

職場が近いと、仕事の休憩時間に自宅に戻ってランチをすることもできます。

飲食店でランチをするよりも安く済むことが多く、またお弁当のように朝早く起きて準備をしなくても良いため、金銭的にも精神的にも余裕を持つことができるでしょう。

 最大のデメリットは家賃が高くなりやすいこと

1家賃が高くなる傾向にある

職住近接で勤務先があるビジネス街に住むことになった場合、家賃が高くなりやすい傾向にあります。

職住近接手当がない企業に勤めている場合、家計の中での家賃負担が大きくなり、自由に使えるお金が減ってしまいます。

また、ビジネス街はスーパーなど日用品が買える場所が少なかったり、保育園の待機児童が多かったりして、仕事をするには便利でも生活をする場合には不都合が生まれることもあります。

2職場に呼び出されることも

企業によっては、自宅がオフィスに近いからという理由で突発的な業務が発生した際に呼び出されたりすることもあります。

また、終電の時間を気にしなくてもいいことから、つい遅くまで残業をしてしまったりすることも珍しくないようです。

3条件に合う仕事が見つかりにくい

自宅の近くで仕事を探したいと思った場合、自分の能力が活かせる仕事や、給料の高い仕事がなかなか見つからないこともあります。

そのため、住む場所と仕事のどちらかを妥協しなければならなくなる可能性もあります。

4オン、オフの切り替えがしにくい

会社と自宅が近いことで、プライベートから仕事モードになりにくいと感じる人もいるようです。

自宅を出て数分で職場に着いてしまうことで、オンオフの気持ちの切り替えがスムーズにできないといった場合もあります。また、いつも職場の近くにいることで、休日も常に仕事のことを考えてしまうケースも。

職住近接を取り巻く状況

首都圏は職住近接が進んでいる

国土交通省の調査では、東京都の町田市、新宿区、渋谷区、豊島区、神奈川県の相模原市と横浜市は、居住地としても業務地としても成長傾向にあり、職住近接が進んでいることがわかります。

ただ、職住近接に伴って都心に住む人が増えると、保育園や小中学校、介護施設が不足したり、地価が上昇してアパートやマンションの家賃も上がったりする問題が出てきます。

※参考→第12回大都市交通センサス調査|国土交通省

地域再生法改正で職住近接がスムーズに

2019年の地域再生法改正で規制が緩和され、住宅街にシェアオフィスを作りやすくなり、職住近接がよりスムーズになりました。

これまで、住居専用地域に商業施設を作ってはいけないという規則がありましたが、規制緩和によって空き家をオフィスにしたり、廃校をオフィスビルのようにしてシェアしたりすることが可能となっています。

若い世代は職住近接を重視している

UR都市機構の調査によると、「自分が住む街を決める場合どんなことを重視するか」という質問について、平成世代(16 ~29歳)は半数以上が「職場(学校)の近く」と答えています

昭和世代で「職場の近く」を重視している人は41.3%と半数を下回り、それよりも「買い物環境の良さ」と「治安」を重視している人が半数以上になっています。

※参考→平成世代と昭和世代の暮らし意識調査|UR都市機構

まとめ

職住近接とは、職場の近くに住む、または自宅の近くで働くことです。

通勤ラッシュから解放されるというメリットがありますが、家賃が高くなりやすいというデメリットもあります。興味のある人は、自分の生活環境が職住近接に合っているのかどうかを確認しましょう。

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