おこりやすい4つの職場の特徴 生活残業する人にイライラしたら?

職場に生活残業をする人がいると、「自分は効率よく仕事を進めようとしているのに…」とイライラしてしまう人も多いのではないでしょうか。

ここでは、生活残業をする人の理由や、その問題点などについて解説します。生活残業が起こりやすい環境や対策方法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

生活残業とは?

生活残業とは一体どのようなものなのでしょうか。問題点や、生活残業をする人の理由について説明します。

生活残業とは生活費を稼ぐための意図的な残業

生活残業とは、生活費を稼ぐために残業代をあてにして、意図的に残業をすることです。

生活残業をするために、日中のうちから仕事のペースを調整し、業務時間内に終わるはずの仕事をゆっくり進める人もいます。

残業時間による残業代・給料の違い

生活残業をする人としない人では、1ヶ月の給料にどれだけの差が出るのでしょうか?

例えば、生活残業せずに定時で帰るAさんと、生活残業しているBさん(毎日3時間の残業)では、以下のように給料に差が出ます。

残業時間による残業代・給料の違いの例。以下、項目:定時退社のAさんの場合/毎日3時間の生活残業をするBさんの場合。月給:25万円/25万円。残業代:0円/約9.4万円。総支給額:25万円/約34.4万円。手取り:約20万円/約27.5万円。

〈条件〉

  • 月給…25万(基本給20万+諸手当)
  • 所定労働時間8時間
  • 1ヶ月の勤務日数…21日間

〈計算式〉Bさんの残業代

=(20万円÷8時間÷21日)×1.25×3時間×21日
=93749.999…
≒約9.4万円

※1カ月あたりの法定時間外労働が60時間を超えた場合の時間外手当は考慮していません。

生活残業は実際に残業を行っているので違法行為とはいえませんが、周囲の人のモチベーションを下げるなど、問題視されることもあります。

ちなみに、タイムカードの不正打刻などで残業時間を水増しする「カラ残業」は違法行為にあたります。

生活残業によって起こる問題点

生活残業によって起こる問題点は、以下の通りです。

同僚が生活残業をしていることによって起こる問題点

  • 業務時間内に仕事を進めている人のモチベーションの低下を引き起こす
  • 「待ち」の時間が発生し、仕事が円滑に回らない
  • 仕事量の多い人が、残業しにくくなる

生活残業をする社員がいることで、他の社員のモチベーションが低下してしまう要因になります。

なぜなら、なるべく残業をしないよう効率的に仕事を進めている社員は「自分は所定の時間内に仕事を終わらせているのに、生活残業で残業代を稼ぐのは理不尽だ」と感じることもあるからです。

また、本来であればすぐに終わる仕事でも、生活残業をするためにダラダラと進める社員がいると、他の社員がそれを待つ時間が発生し、仕事が円滑に進まないことも。

さらに、「残業=生活残業」の嫌なイメージが社内に定着すると、本当に忙しく残業したい場合でも、残業しにくい雰囲気になってしまう恐れもあります。

自身が生活残業をすることによって起こる問題点

  • 効率的な仕事ができなくなり、成長を止めてしまう
  • 有効に使える時間を無駄にしている

意図的に生活残業を続けて効率的に仕事を進める努力を放棄すると、自分自身を成長させる機会を失います。

目先の残業代ばかりに気を取られていると、昇給だけでなく出世のチャンスも逃してしまいかねません。

また、生活残業を頻繁に行うと「業務に時間がかかっているわりに、成果が少ない」とみなされ、低評価につながることもあります。

さらに、生活残業が定着すると退社後の自由時間がほとんどなくなります。家族と過ごす時間や、趣味・スキルアップに充てられる時間を失っていることに気付き、後悔する可能性もあるでしょう。

生活残業を続けた人がどんな悲惨な末路をたどるのか、実際にあったケースを次の記事でご紹介しています。参考にしてください。

▼生活残業の先に待っていたのは…

生活残業する人の理由・背景とは?

  • 妻子がいるので生活費がかかる
  • 給料が低く昇給も見込めない
  • 借金やローンの返済に充てたい
  • 大きな出費があったので稼ぎたい
  • 時間に余裕があるのでお小遣い稼ぎしたい

生活残業をする人の理由は、状況によってさまざまです。

ただ単に収入を増やしたくて生活残業をする人もいれば、生活費のために仕方なく行っている人もいます。

生活残業は会社に黙認されている?

基本給が少ない場合、会社があえて社員の生活残業を黙認していることもあります

なぜなら、生活のためやむなく生活残業している状況で会社が残業を禁止すると、不満を感じて退職する人が出てきてしまう恐れがあるからです。

会社としては、残業を禁止することで人手不足に陥るリスクを避けたいので、労働基準法の残業時間上限を超えない範囲で、毎日2~3時間の生活残業であればあえて問題視しないこともあります。

生活残業をする人への対策

生活残業をする人にどのような対策をすべきなのでしょうか。自分にできることや、生活残業させない方法について紹介します。

イライラしても「自分は自分」と割り切る

生活残業に納得できなくても「残業代を払っているのは自分ではない」と考えて、気にしないようにしましょう。

「生活残業は嫌だけど収入は増やしたい」という方は、副業が許されているなら副業や投資などでほかの収入源を得るのも良いでしょう。社外で収入を得ることで、心に余裕が生まれます。

仕事に支障が出る場合は上司に相談する

生活残業をする社員のせいで、納期が安定しない・仕事の処理が遅いといった支障が出ている場合、会社全体の生産性が落ちてしまうので上司に相談しましょう。経費削減に力を入れている会社であれば「生活残業によって光熱費や人件費などのコストが高くなっている」と伝えるのも良いでしょう。

社内で生活残業を問題視する声が上がれば、上司から生活残業している社員に注意してもらえたり、業務量を調節してもらえたりする可能性が高まります。

職場環境の改善を提案する

生活残業をしづらい環境にするために、上司や会社に「ノー残業デー」の導入や残業申請のフローの見直しを提案してみましょう。

会社全体でできるだけ残業をなくす動きになっていくことで「同じ職場の上司や部下が残業していると帰りづらい」といった問題の改善にもつながります。

生活残業が起こりやすい職場の特徴4つ

生活残業が起こりやすい職場について、4つの特徴をご紹介します。

残業を美徳とする社風

「長く働いている人ほど一生懸命仕事をしている」と評価される社風の場合、生活残業が起こりやすいでしょう。

「効率的に仕事をこなすこと」よりも「長時間仕事に向き合っていること」が重要視されるため、ダラダラと生活残業をすることが当たり前になっている会社も少なくありません。

上司が部下の仕事量を把握していない

上司が部下の工数や作業量を把握していないと、仕事のペースを調節して独断で残業しやすい環境になってしまいがちです。

特に仕事に慣れた中堅社員がこのパターンになりやすいでしょう。

基本給が低い

基本給が低いと、少しでも多く生活費を稼ぐために生活残業をして残業代をあてにせざるを得ません。時給制で就業してるケースであれば、残業代を見越したうえで収入を計算している人もいます。

ただし、契約社員など契約上の定時が決められている場合、無断で残業すると契約違反とみなされて、最悪の場合は契約を解除される可能性があります。

申請や許可なく残業することが可能

残業するのに申請や許可がいらない環境の場合、生活残業をしやすい傾向にあります。

何の手続きも踏まずに好きなタイミングで残業ができるので、自分都合で簡単に生活残業ができてしまいます。

生活残業を続けた人の末路とは?

生活残業を続けた人には、最終的にどのような結末が待っているのでしょうか。

生活残業を続けるリスクについても理解しておきましょう。

働き方改革で生活残業ができず生活に困る

生活残業による残業代ありきの生活を続けると、働き方改革で残業が規制されたとき、満足に生活できない恐れがあります。

働き方改革により残業規制が厳しくなったため、以前に比べて生活残業がしにくい企業が増えています。

業務のIT化やDXの導入などもあり、生活残業をすることは難しくなるでしょう。残業代を生活費のあてにすることは避けるべきです。

生活残業を続けたことでクビになる場合も

生活残業を続けることでいきなりクビになることはめったにありませんが、会社の評価によっては退職勧奨される場合があります。

残業しなければ仕事を終わらせられないということは、仕事の処理能力が低いとみなされるため、評価が低くなるのは当然です。注意を受けても一向に改善がみられない場合、解雇される可能性もあります。

本当にあった「生活残業を続けた人」の末路

生活残業は周囲の人の足を引っ張るだけでなく、本人にとってもマイナスになるものです。

生活残業を続けた人が、会社内でどのような悲惨な末路をたどったのか、本当にあったケースを下記の記事でご紹介しています。

まとめ

生活残業とは、残業代を生活費にあてるために意図的に残業すること。違法行為ではありませんが、仕事の効率を重視しないことで自分の成長を止めてしまうばかりか、周りに迷惑をかけてしまうこともあります。

生活残業をする社員に困っている場合、上司に相談してみましょう。

この記事の監修者

社会保険労務士

三角 達郎

三角社会保険労務士事務所

1972年福岡県生まれ。東京外国語大学卒業。総合電気メーカーにて海外営業、ベンチャー企業にて事業推進を経験後、外資系企業で採用・教育・制度企画・労務などを経験。人事責任者として「働きがいのある企業」(Great Place to Work)に5年連続ランクインさせる。
現在は社会保険労務士として、約20年の人事キャリアで培った経験を活かして、スタートアップ企業や外資系企業の人事課題の達成から労務管理面まで、きめ細やかにサポートを行っている。
  • HOME
  • 働き方
  • 生活残業する人にイライラ…おこりやすい4つの職場の特徴・対策とは