意味や事例、対策を解説 ソーハラってどんな行為?
パワハラ、セクハラ、アルハラなどのハラスメントが認知されてきていますが、誰もがスマホやパソコンを持ち、インターネット上でいつでも人とつながる時代だからこそ起こる「ソーハラ」も知られ始めています。
この記事では、ソーハラについてわかりやすく説明します。
ソーハラとはSNSを通しての嫌がらせ
ソーハラとは、LINEやFacebookといった主に職場におけるSNSを通した嫌がらせや迷惑行為を指します。ソーシャルメディアハラスメント、もしくはソーシャルネットワークハラスメントの略で、ソシャハラとも呼ばれます。
「上司からSNSの友達申請が来たものの、プライベートをあまり知られたくないので困っている」「SNSの投稿内容を話題にされたくないが、強く拒否するのは角が立ちそうで不安」など、とくに部下や後輩の立場で、SNSでの上司や先輩との関わり方に悩むことが多いようです。
あるアンケート調査(※)では、「上司とSNSで繋がりたくない」人は63.6%にのぼっており、「フォローや友達申請などを強要された」などソーハラと受け取れる行為をされた経験がある人は17.6%となっています。
※参考→就労中の20~39歳、860名を対象としたインターネットによるアンケート調査|暮らしのトレンドマガジン「ヨムーノ」
比較的新しい概念であるためか、「SNSを通じた嫌がらせ」より広範囲で捉えられる場合もあります。例えば、ソーシャルゲームの強要や写真加工アプリの使用の強要も広義のソーハラにあたる、という人も。
いずれにせよ、「強要」は相手を不快にさせるため、ハラスメントとされやすいのです。
これってソーハラ? 5つの事例を紹介
余計なトラブルに巻き込まれないために、ソーハラにあたると感じる人の多い事例を紹介します。ポイントは、「自分の意思を無視して、相手が強要してくるかどうか」です。
1先輩社員のFacebookの投稿に『いいね!』を押すよう強要された
先輩からFacebookの友達申請が来て、断る理由はなかったので承認しました。しかしFacebookは放置していて、普段からチェックしているわけではありませんでした。
後日、その先輩から「君ってまったく『いいね!』押してくれないよね」と言われてしまい、なんだか責められているような感覚になりました。それからは先輩の投稿を見逃さないように、頻繁にFacebookをチェックしなければならなくなりました。
これはソーハラにあたるとされることが多い事例です。
SNSの投稿へのリアクションをするかどうかは個人の自由であるにもかかわらず、先輩社員という上の立場から「『いいね!』を押さなければならない」プレッシャーになるような発言をすることは、相手に負担を強制することになり得ます。
2SNSに投稿する度にすぐ上司からコメントが来る
先日友人と旅行に行ったことをFacebookに投稿しました。
すると、数秒後に職場の上司から『いいね!』が来て、その後すぐに「お土産よろしく」とコメントがつきました。この上司は必ずといっていいほど、どんな時間に投稿を載せてもすぐにコメントしてくるため、常にSNSに張り付かれているような感覚になります。
これもソーハラにあたるとされることが多い事例です。
投稿した途端にコメントや『いいね!』が来ると、部下や後輩社員にとっては業務時間だけでなく、プライベートの時間までもずっと監視されているような状態に感じられてしまいます。
男性の上司が女性部下のSNS投稿に執拗にリアクションを続けるなど、場合によってはセクハラやパワハラにも該当する可能性が出てきます。
3上司から突然LINEで友達追加された
ある日突然、教えていないのに上司から「突然すまん、登録よろしく」とLINEが来ました。
職場の人にはもし何かあった時のために電話番号を教えているため、電話番号で検索して友達追加したのだろうと思います。
返信しないのも冷たい気がするので、「登録しました。よろしくお願いします」と返しましたが、これから先いつ上司から連絡が来るのかと思うとひやひやします。
現在では業務連絡のためにLINEを活用することは少なくないため、このようなケースは必ずしもソーハラとはいえません。
しかし相手に過剰に干渉するような連絡を送ったり、業務連絡ではないのに既読スルーしないように命令したりするのはソーハラにあたると考えられます。
4プライベートの話を社内での話題にされる
Instagramに、先日旅行先で撮った風景や食べ物の写真を載せました。
すると後日、職場でのお昼休憩の時に、Instagramをフォローしている上司が皆のいる前で「この前◯◯行っていたよね?今度行こうと思っているからオススメの店あったら教えて」と聞いてきました。
プライベートのことを職場で話されて、気恥ずかしく感じました。
こちらも必ずしもソーハラとはいえません。
職場でプライベートの話をすることは絶対的に禁止すべきものではなく、会話のきっかけにする程度では問題とはいえないでしょう。
しかし相手が嫌がっているのに何度も話題に出したり、人間関係や家庭の事情などプライバシーを侵害するような情報を勝手に話したりするのはNGです。
5ソーシャルゲームを一緒にやろうと言ってインストールさせる
職場の先輩社員に、ソーシャルゲームを趣味にしている方がいます。
休憩時間がたまたま一緒になり、「今はこのゲームやっているんだけど、初心者でも簡単だし、きっとハマると思うからやってみない?」と勧められました。
最初は断っていたのですが、あまりにもしつこく誘ってくるため渋々承諾すると、早速スマホにそのゲームをインストールされてしまいました。
そのゲームはデータ容量が大きくて電池を消耗するため、すぐにでもアンインストールしたいです。
ソーシャルゲームを楽しむことは問題ありませんが、ゲームへの参加などを他人に強要するのはソーハラにあたる可能性があります。
つい熱が入ってしまうかもしれませんが、おもしろいからとしつこく勧めたり、新規ユーザー紹介のボーナス特典を得るために無理に後輩を付き合わせたりすることは控えましょう。
ソーハラの被害にあわないための対策
ソーシャルゲームを楽しむことは問題ありませんが、ゲームへの参加などを他人に強要するのはソーハラにあたる可能性があります。
つい熱が入ってしまうかもしれませんが、おもしろいからとしつこく勧めたり、新規ユーザー紹介のボーナス特典を得るために無理に後輩を付き合わせたりすることは控えましょう。
SNSを使うときのちょっとした工夫で、ソーハラにあう可能性を減らすことができます。気を遣うあまり精神的なストレスを抱えたり、職場の人間関係が気まずくなったりしないよう、次のような対策をしてみましょう。
「SNSはやっていない」「会社の人とはつながらない」と宣言する
「SNSはやっていません」「公私をしっかり分けるために、職場の人とはSNSでつながらないようにしています」と明言する方法です。
日頃から周囲にわかるよう宣言しておくことで、友達申請が来たり、アカウントを教えてほしいと声をかけられたりした時に断りやすくなります。
投稿の公開範囲を限定する
自分の投稿の公開範囲を制限し、特定の人以外は見ることができないようにする方法です。
友達申請を断りきれなかった場合でも、プ6ライベートな投稿を見られずに済みます。私生活を監視されているような煩わしさ、ストレスを回避するのに役立ちます。
会社用のアカウントを作る
アカウントを複数作成することができるSNSなら、会社用とプライベート用で分けるのもひとつの手です。
TwitterやInstagramはメールアドレスがあればアカウントを複数作成することができ、LINEの場合はLINE@というアプリでアカウントを使い分けることができます。
Facebookについては、規定により複数アカウントを作成することは禁じられています。
いずれも難しくない方法ですので、職場の人との関わりで困っているときは試してみてください。
コラム:ソーハラで会社を訴えることはできる?
ソーハラに当たるほどの事例は、たとえ相手がSNSでの気軽なやり取りだと思っていたとしても、民事・刑事上の罪に該当する可能性があります。
ソーハラが起きることで被害にあった社員がストレスを抱えたり、仮に転職や退職をするまで追い詰められたりするような状況は、職場の「安全配慮義務」が守られていないことになります。
また、セクハラやパワハラは判例が多いため、SNSを通じてそのような行為があった場合も、企業や加害者が法的責任を問われる可能性があります。
トラブルは訴訟まで発展してしまう前に解決したいものですが、ソーハラに悩んでいる場合は、泣き寝入りしないよう記録を残しておくのが得策です。
ソーハラをしてしまう人にありがちな考え方
SNSは便利で使いやすい分、気づかないうちにハラスメントをする側になってしまうのでは、と心配している人もいるのではないでしょうか。
果たしてどんな考え方がソーハラにつながるのか、下記の項目を参考にしてみてください。
- SNSで職場の人のアカウントを見つけたら、どんな間柄であろうと友達申請していいと思っている。
- 場の人にプライベートを見られることに抵抗がない
- 職場の人とプライベートでも仲良く交流したい。
- 職場の人のSNSでの投稿は夜間や休日を問わず必ずチェックしていたい。
- 自分の投稿に対して、「いいね!」やコメントがないと腹が立つ。または不安になる。
これらの項目に当てはまったら、ソーハラをしてしまっている、もしくはいずれソーハラをしてしまうかもしれないため、自分の認識を見直してみましょう。
日頃から職場の人との距離感を把握し、むやみに干渉しないようにするのがトラブルを回避する方法です。
プライベートに踏み込まれるのが嫌な人もいることを理解すること、上司や先輩であるなら立場上知らないうちに圧力をかけているかもしれないという自覚を持つことが大切です。
まとめ
SNSとは本来、遠くにいる友人とつながる、趣味で知り合った人と情報を共有しあうなど、楽しむためのツールです。
ソーハラに巻き込まれないために、SNSの機能を上手く使いこなしつつ、日頃から適切な距離感で職場の人間関係を構築していきましょう。