相場・支給条件とは? 住宅手当っていくらもらえるの?

住宅費を補助してくれる住宅手当(住居手当)。一体いくらもらえるのでしょうか?

ここでは、住宅手当の支給条件、相場など住宅手当の基本情報をご紹介します。

住宅手当とは?

住宅手当とは住宅費用が補助される福利厚生

住宅手当とは、従業員の生活の負担を軽減するため、企業が従業員の住宅費用を補助する福利厚生の1つです。

「従業員に住宅手当を支給しなければならない」と法律で決められているわけではありません。

そのため、住宅手当を支給するかしないか、支給額や支給の条件などは各企業が自由に決めることができます。

住宅手当の相場は約1万7,000円

2015年の厚労省の調査によれば、住宅手当の相場は1万7,000円です。

国家公務員の場合は、月額1万6,100円以上の家賃を支払っている職員(借家・借間に住んでいる、単身赴任中で配偶者が借家・借間に住んでいる)には最高で2万8,000円の住宅手当が支給されています。

住宅手当の支給方法と注意点

住宅手当の計算方法は住宅手当の支給形式によって2種類あります。形式は以下の通りです。

給与に住宅手当を上乗せして毎月支給される形式

住宅手当の金額が1万7,000円で月給が21万円の場合、1万7,000円がプラスされた給与が毎月振り込まれます。

支給された給与から、自分で家賃を支払います。

住宅手当を引いた分のみ家賃が請求される形式

社宅や社員寮など企業が住宅を運営している場合に取られることのある方法です。あらかじめ住宅手当を差し引いた分の家賃が請求されます。

例えば、住宅手当の金額が1万7,000円で家賃が6万円の場合、実際に毎月支払わなければならない金額は4万3,000円です。社宅の制度がある企業では、この自己負担分の家賃も給与から天引きされることが多いです。

額面月給が21万円の場合、算出方法は次の通りです。

住宅手当
=6万円(正規の家賃)-4万3,000円(家賃自己負担分)=1万7,000円

※支給される給与の金額は…

支給される給与
=21万円(額面月給)-4万3,000(家賃自己負担分)=16万7,000円

公務員の住宅手当の計算方法

公務員は、月額1万6,100円以上の家賃を支払っている場合、住宅手当を取得することができます。

1万6,100円・5万9,000円・5万9,200円の3つの金額を境に支給額は異なるので、注意してください。

共益費は家賃に含まれない

「家賃の○%が手当として支給される」といった場合は、支給額を計算する際、住居にかかる費用のうちどこまでが「家賃」に当たるかに注意しましょう。

家賃とは、賃貸物件の入居者が貸主に支払う賃貸料金を指します。よって、物件の維持・管理のために使われる費用である共益費は家賃に含まれません

共益費のほか、家賃に含まれない料金は次の通りです。

  • 敷金、礼金、保証金
  • 電気、ガス、水道等の料金
  • 駐車料金 など

住宅手当の支給要件は会社によってさまざま

賃貸は住宅手当が支給されやすい

賃貸物件の場合、住宅手当の支給対象になりやすい傾向にあります。

住宅手当を支給している企業が想定している支給対象として最もポピュラーだからです。

ただし、会社から住居までの距離や雇用形態、世帯主は誰かなどによって支給の有無は異なります。

また、支給される金額は「○○万円まで」など上限が決められている場合がほとんどです。

同棲・結婚している場合は支給されるの?

結婚前だが同棲をしている、または結婚して夫婦で賃貸物件に住んでいる場合も、住宅手当は支給されます

ただし、企業によって支給される条件が違うため、例えば「世帯主に支給する」と明記されている会社では世帯主になっている人にしかもらえません。

持家・実家は支給されにくい

持家・実家の場合は、住宅手当が支給されない会社が多いようです。ただ、住宅ローンを払っている場合は支給されることもあります。

なお、住宅手当が支給されたとしても支給額が賃貸より低いという統計があります。

東京都産業労働局の「中小企業の賃金事情(令和元年版)」の調査では、扶養家族なしで賃貸住宅に住む人に対する住宅手当の平均支給額は1万9,220円なのに対し、持ち家に住む人に対する住宅手当は1万3,667円と5,553円低い結果となりました。

住宅手当支給のメリット・デメリット

支払う家賃が安くなるため、住宅手当は支給される方がお得なのでしょうか? ここでは、住宅手当のメリットとデメリットをご紹介します。

メリットは給料の総支給額が増えること

住宅手当のメリットは、何より給料の総支給額が増えることです。

家賃を支払うためのお金をほんの少しでも減らすことができれば、食費や交際費、貯金などに回すことができるかもしれません。結果的に、生活に余裕が出てくることになるでしょう。

ボーナスを増やす機会の損失になっている?

住宅手当は基本給には含まれないため、住宅手当として支給されるより基本給(給料)を上げてもらう方がボーナスや残業代の額は高くなるので結果としておトク、という考え方もあります。

ボーナスや残業代の支給額は、基本給をもとに算出されることが多いからです。

また、住宅手当の支給金額によっては、住宅手当がないときと比べ、社会保険料がぐっと高くなるケースがあるので、住宅手当の支給を申請する前に、社会保険料と税金への影響について考慮することが大切です。

住宅手当を申請するためには?

住宅手当に必要な書類は?

住宅手当を申請するために必要な書類は会社によっても異なりますが、住民票が必要なことが多いようです。

住民票に加えて賃貸契約書のコピーも求められる場合があります。

住民票は住民登録をしている市役所で受け取ることができます。賃貸契約書は、物件の契約時に受け取っているはずです。

必要な書類については、総務担当者に事前に確認してください。

コラム:公務員の住宅手当は廃止の傾向あり

昨今、住宅手当の廃止が増えてきています。

中でも、地方公務員の住宅手当の廃止が進んでいます。ライフスタイルが多様化されたことで、支給条件が決めにくくなったというのがその理由の一つ。

2009年に、国は、持家に住む国家公務員に支給する、住宅手当(新築・購入後5年に限り支給される月額2,500円)を廃止。それに伴い、地方公務員の住宅手当の廃止も進むことになりました。

総務省の調査によれば2018年4月1日時点で、住宅手当のある地方公共団体は全団体の11.4%。 ほとんどの地方公務員に住宅手当が支給されていません。

教員に関しても、都道府県によって住宅手当は廃止されています。

現在、住宅手当の支給がたとしても、将来、支給が廃止される可能性もあるため、住宅手当を軸に会社を決めるのは控えた方が良いかもしれません。

まとめ

住宅手当は法律で定められている制度ではないため、会社によって金額や支給条件が異なります。

住宅手当が気になる方は、まず就業規則や、求人票の募集要項を確認してみましょう。

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