高く払いすぎない対策も解説! 社会保険料が高い理由は?メリットは?

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社会保険料とは、

  • 雇用保険
  • 健康保険
  • 厚生年金保険

の3つをまとめたものです。

この記事では、社会保険料を支払う理由やメリット・デメリット、高く払いすぎないための対策などについて解説します。

社会保険料が高い2つの理由とメリット・デメリット

社会保険料が高い理由

1日本の社会保障が充実しているから

【日本の社会保険制度の例】:「雇用保険」→失業給付・育児休業給付・介護休業給付・高年齢雇用継続基本給付、「健康保険」→医療費の一部負担(1割~3割)・高額療養費制度・傷病手当金・出産手当金・出産育児一時金・家族出産育児一時金、「厚生年金保険」→老齢厚生年金・遺族厚生(共済)年金・中高齢寡婦加算・障害厚生年金・障害手当金

※出典
ハローワークインターネットサービス
保険給付の種類|全国健康保険協会
国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり|日本年金機構

社会保険料が高い理由の1つは、日本が充実した社会保障を維持しているからです。

日本の社会保障制度は、世界的にも充実していると言われています。しかし、社会保障を充実させるには費用がかかるので、国民ひとりひとりの負担もそれなりに重くなってしまっています。

例えば、日本とアメリカの医療保険制度を比べてみると、アメリカには国民全員が加入する健康保険がないのに対し、日本は国民皆保険制度をとっており、国民全員が必ず健康保険に加入することになっています。

アメリカでは、国民が任意で民間保険に加入し、「自分のことは自分でなんとかする」というスタイルが基本です。そのため、もし民間保険に入っていない状態で急病になると、1回の受診で数百万円の請求をされることもあるのです。

一方、日本では、所得や年齢などにかかわらず病気や怪我をした際に一定の割合を国が負担する国民健康保険があるため、受診時に払うのは実際の診察代の3割です(6歳~70歳)。

もちろん、社会保障は他国と一律して比較するのは難しく、他国の方が保障内容が良いものもあります。

2少子高齢化・医療費の増加が進んでいるから

社会保険料が高い理由として、少子高齢化もあげられます。

少子化

少子化に伴って社会保険料を納める若い世代が少なくなっており、社会保険料の支払額は高くなります。

実際、2000年には現役世代の約4人で1人の高齢者を支えていたのに対して、2019年現在では約2人で1人の高齢者を支えており、20年間を経て半分の人数で高齢者を支えなければならない状況になっています。

【高齢者を支える現役世代の減少】:2000年/3.9人で一人→2019年/2人で1人

※出典→平成29年度 高齢社会白書(全体版)|内閣府

高齢者を支える人が少なくなった分、一人ひとりの社会保険料の支払い額を増やさないと、年金制度や医療制度を維持できないのです。

高齢化

高齢者の数が増えているのも、社会保険料が高くなっている理由の1つです。

高齢になると、若い頃に比べて病気にかかりやすく、医療機関にかかる頻度は高くなります。

高齢化に伴って医療費は増加しており、それを支えるために現役世代の給与から引かれる社会保険料も高くなっています。医療費は、社会保障の中でも特に増加率が顕著です。

高い社会保険料を払うメリットってなに?

社会保険制度のメリット

安心して暮らすことができる

高い保険料を払ってまで社会保険制度を維持していることのメリットは、「安心して生活を送ることができる」という点です。

それぞれの保険に当てはめてみると、以下のような保障を受けることができます。

【日本で受けられる社会保障の具体例】:「雇用保険」(病気やケガで就業が困難になったとき)傷病手当金を受給することができ、就業していなくても給料の3分の2が月々支払われる。「健康保険」(高額な治療費を支払うことになったとき)高額療養費制度で、上限を超えた場合の医療費の支払いが免除される。「厚生年金保険」(定年退職し。収入がなくなったとき)老齢年金が月々支払われる。

社会保険制度のデメリット

月々の手取り金額が減り、払い損した気分になる

月々手取り額を削りながら支払いをしているものの、保障を受けなければいけない状況になるのか分からないので、健康に過ごしている人は、払い損をした気分になるかもしれません。

しかし、支払った分のお金を取り戻せなかった場合でも、何事もなく生活ができているという証でもあるので、「保障を受けられなかったから損をしている!」とは一概に言えません。

また、社会保険料を支払うかどうかを自分で選択できないというのもデメリットといえます。

「年金がもらえなくてもいいから自分で貯金したい」「健康に自信があり病院にかからないから、健康保険料を払いたくない」と思っても、それが選択できないのが現状です。

社会保険料は基本給と残業代に左右されるもの

社会保険料は給与をもとに決められていて、給与(標準報酬月額)の変動によって支払額が変わります

▼社会保険料の計算の内訳

雇用保険料=給与額×雇用保険料率

健康保険料&厚生年金保険料=保険料額表を基に標準報酬月額の等級で決定

※保険料率は地域や所属する組合により異なります

※雇用保険料率
平成31年度の雇用保険料率について|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
※健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
平成31年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|全国健康保険協会
※標準報酬月額
標準報酬月額・標準賞与額とは?|全国健康保険協会

健康保険と厚生年金保険については、以下の3つのタイミングで決定されます。

1入社時の基本給+各種手当で社会保険料を決める

【月給25万円の人の保険料の例】(※2018年度・東京・一般事業の場合):雇用保険750円/社会保険(健康保険)12,870円/社会保険(厚生年金)23,790円

入社時の社会保険料は、基本給(+想定される残業代)+諸手当の金額によって決定されます。

入社時に決まった社会保険料は、その後、次の2つのタイミングで改定されます。

※社会保険料の支払額は、地域や所属する企業によって異なります。

2毎年4~6月に支払われる報酬で社会保険料を定時決定する

社会保険料は、毎年4~6月の給与の平均額で決定されます。

4~6月にもらった給与の平均額を保険料額表にあてはめ、その年の9月~翌年の8月までの社会保険料支払額を決定するという仕組みです。

ただし、給料をもらっていても、働いた日数が17日未満の月はこの計算から除くことになっています。

平成31年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表サンプル

例えば、毎月の給与の総支給額合計が24万円のAさんは、3~5月にたくさん残業し、4~6月の平均総支給額合計が28万円台になりました。

この場合、厚生年金の保険料額表ではもともと16等級ですが、月の給与が高くなっているので、18等級に上がります

そのため、その年の9月~翌年8月の社会保険料の支払額は改定され、20,130円/月→25,620円/月となります。

その結果、年間約66,000円支払額があがってしまい、24万円の等級で支払う予定の金額よりも高い保険料を支払うことになります。

【定時決定の仕組み】(例:月給24万円の人の場合):4月から6月の給与額によって等級が決まり、9月から1年間の社会保険料が決定する→4月~6月の給与が残業代込みで月28万円だった場合、これを元に計算した「18等級・約2.5万円」が月額の社会保険料となる(月24万円の場合は「16等級・約2万円」)

3基本給の改定があれば社会保険料を随時改定する

昇給・降給のあったタイミングで、今までもらっていた額から2等級以上の変動があった場合は、4~6月ではなくても社会保険料の支払額が随時改定される対象になります。

ただし、昇給・降給がなければ、4~6月以外に残業代だけで2等級以上の変動があっても、随時決定の対象にはなりません

例えば、Aさんが昇給のため、7月から給与の総支給額合計が29万円になりました。保険料額表に当てはめると、昇給により16等級から18等級にあがります。

この場合、4~6月の定時決定の時期ではなくても社会保険料の支払額の見直しの対象となり、昇給のあった3カ月後の10月から支払い額が改定されます。

つまり、4~6月の定時決定の分の社会保険料を9月に支払い、10月からは随時改定された社会保険料を支払います

ちなみに降給した場合も同様に、等級が下がるので支払う社会保険料は安くなります。

コラム:社会保険料は賞与からも天引きされている

社会保険料は、賞与(ボーナス)からも天引きされています

日本は、国民が年間で得るすべての給料を対象にして社会保険料を天引きする「総報酬制」です。以前は賞与からは天引きされていませんでしたが、2003年以降は賞与からも社会保険料を天引きされています。

※制度変更の詳細は→社会保険への総報酬制の導入|みずほ総合研究所

賞与の保険料額

=標準賞与額(千円未満の端数を切り捨てたもの)✕保険料率

賞与も、毎月の給与と同じで、保険料額表に照らし合わせて計算されていて、標準賞与額に保険料率をかけた額が賞与から天引きされます。

例えば、Aさんが50万5900円の賞与をもらった場合、賞与にかかる厚生年金保険料は、

賞与の保険料額

=50万5千円✕18.300%÷2
=46,207円

となります。

保険料率は、地域や所属する企業によって異なるため、自分の該当する保険料額表をチェックして計算しましょう。

平成31年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表における、「厚生年金保険料率の箇所(用紙右上)」を示した図。※厚生年金保険料率は基金ごとに定められている「免除保険料率の控除した率」となる。加入する厚生年金基金ごとにことなるため、確認が必要。

社会保険料が高いことにまつわるQ&A

社会保険料を安くする対策はあるの?

社会保険料を安くするための対策は、残念ながらありません

自分の給料に比例した金額を支払っているので、自分で支払う金額を決められるわけではないからです。

毎年の3~5月の残業時間をセーブし、4~6月の給料に上乗せされる残業代を抑えることで、高く払いすぎないように調整することもできなくはありませんが、残業は時期的なものもあり、自分でコントロールするのも難しいため、効果的な対策とはいえないでしょう。

退職するときに社会保険料で注意することってあるの?

【退職のタイミングで差が出る社会保険料】:退職日10月31日→資格喪失11月1日→社会保険料9月分+10月分、退職日10月30日→資格喪失10月31日→社会保険料9月分のみ

退職してすぐに次の会社で働きはじめる場合、退職するタイミングによっては、前の会社の最後の給与から2ヶ月分の社会保険料が引かれることがあります。

社会保険料は、資格が喪失する日が属す月の前月分までを支払うというルールがあり、社会保険料を支払う被保険者としての資格を喪失するのは、「退職日の翌日」です。そのため、月末日に退職すると、会社での社会保険料の支払い義務の喪失は「翌月の1日」となります。

つまり、10/31に退職をすると、資格を喪失するのは11/1となるため、9月と10月の2ヶ月分の社会保険料が最後の給与から引かれることになります。

しかし、10/30に退職をすると、資格を喪失するのは10/31のため、前月の9月分の社会保険料を支払い、10月分の社会保険料は支払う必要がなくなるのです。

このような仕組みにより、退職日によっては2ヶ月分の社会保険料を最後の給与から引かれることになるのです。

ちなみに、退職の翌日から他の会社で働くときは、会社の対応にもよりますが、その月の分の社会保険料を二重で徴収されることはありません

まとめ

社会保険料の支払いは、日本にいる限りは免れられないものです。

仕組みを知って、出来る範囲でうまく付き合っていくことが大切です。

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