取得方法と制度の内容を紹介 生理休暇って誰でも取れるの?
どの会社でも法的に義務付けられている生理休暇。取得率は1%以下※となっており、あまり活用されていない制度ですが、「生理痛がつらくて仕事を休みたい」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
そんな働く女性の大きな助けとなる生理休暇について、取得方法、有給になるのかどうか、取得時の注意事項などを紹介します。
(※参考→「平成 27 年度雇用均等基本調査」の結果概要|厚生労働省)
生理休暇とは?あまり知られていない制度の内容
生理のとき、体調不良でつらくても「他の女性社員が出勤しているから」「有給を使えないから」という理由で我慢している人も多いでしょう。そんなときこそ活用できる生理休暇について説明していきます。
生理でつらいときに休みが取れる制度
生理休暇とは、生理による体調不良などで働くことが非常に難しい場合に、休暇を取ることができる制度です。
労働基準法第68条で定められている制度のため、就業規則に記載がない場合は申請しにくいかもしれませんが、本来はどの会社でも使うことができます。
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
労働基準法第68条
生理痛は個人差があるので、どの程度で休むか判断できない場合には、医師に相談してみると良いでしょう。
仕事に行くのが難しいほどの生理痛は、月経困難症という医師の診断がもらえる場合もあります。
雇用形態にかかわらず誰でも取得できる
生理休暇は、会社などで働いている人なら誰でも取得できる制度です。正社員だけでなくパートやアルバイト、派遣社員など、どのような雇用形態でも生理休暇を申請することができます。
また、公務員でも生理休暇は申請することができますので、必要に応じて取得を検討してみましょう。
半日や時間単位でも取得できる
生理休暇は、日数単位、半日、時間単位で取得することができます。
【事例】就労時間が9:00~18:00(1時間休憩)のA社の場合
- 日数単位…終日(9:00~18:00)お休みをとる
- 半日…9:00~14:00、14:00~18:00にお休みをとる
- 時間単位…9:00~10:00、17:00~18:00にお休みをとる
生理休暇は当日申請もできるため、出勤したものの午後から急につらくなってしまった……という場合でも安心です。
業務中であっても、急に体調を崩してしまった場合には上司や担当部署に相談してみましょう。
生理休暇が有給になるかは会社によって違う
生理休暇が有給になるか無給になるかは、会社によって異なります。
生理休暇に給与を支給しなくても違法にはなりません。そのため、無給の会社もあれば、就業規則で有給と定めている会社もあります。
生理休暇が有給と定められていた場合、取得しても年次有給休暇は減りません。
そのため、すでに年次有給休暇を使い切ってしまった人でも、生理休暇として休みを取ることができます。
ただし、平成27年の厚生労働省の調査によると、生理休暇を取得すると無給になる企業が多く、74.3%でした。
(※参考→「平成 27 年度雇用均等基本調査」の結果概要|厚生労働省)
生理休暇の有給の日数を制限している会社もある
生理休暇を有給としている会社であっても、下記の事例のように有給として扱う日数を制限しているケースがあります。
【事例】A社の場合
就業規則:生理休暇の有給の日数は毎月に2日までとする。
このケースであれば、毎月2日までなら生理休暇を取得しても給与がもらえます。
ただし、取得日数が月に3日以上になると、3日目以降が無給扱いになります。
もし与えられている年次有給休暇が10日あった場合、2日間の生理休暇を取得したとしても、この年次有給休暇が減ることはありません。
生理休暇の取得が多いと、有給休暇がなくなるかも
生理休暇は、取得日数に制限がありません。とはいえ、生理休暇の取得日数が多すぎると、会社への出勤日数が少なくなり、年次有給休暇を取る資格条件から外れてしまう可能性があります。
有給休暇が付与されるには、全労働日の8割以上の出勤が必要です。
そして生理休暇は、有給であっても出勤日数にカウントするかどうかは会社の就業規則によって異なります。
生理休暇を多く取得している人は、就業規則を確認して欠勤扱いになっていないかを確認してみましょう。
生理休暇を申請する方法は?
生理でつらいときに面倒な手続きをしたくない人も、安心してください。生理休暇は原則、口頭で申告します。
生理による体調不良は、当日に分かることも多いため、当日に申請してすぐに休暇を取得することができます。
ただし、急に休むと会社に迷惑がかかる場合があるため、生理による体調不良を起こしやすいことを事前に伝えておくなど、普段から理解を得ておくと良いでしょう。
診断書を提出する必要はない
生理休暇を申請するとき、医師の診断書を提出する必要はありません。
証明を必要とする場合であっても、同僚の証言程度で良いという判例が出ています。
そのため、女性の同僚や上司などに、あらかじめどのような症状があるのかを相談できる人がいれば事前に伝えておくと良いでしょう。
また、診断書の提出を求められてしまった場合、月経困難症などの診断をしてもらえることがあるため、病院に行って医師に相談してみましょう。
ただ、本来であれば会社が診断書を提出するように社員に求めることはできません。
PMS(月経前症候群)でも申請できる
生理の3日~7日前に生じるとされているPMS(月経前症候群)と呼ばれる時期でも、出勤できないほどつらい場合があります。
【事例】PMSの症状
- 頭痛
- 腹痛
- 関節痛
診断書などが必要ないため、PMSと伝えずに生理休暇として取得している人も多いようですが、実際のところPMSでも生理休暇は取得できるのでしょうか。
労働基準監督署によると、PMSでも生理休暇を取得できるのかについては、明確な規定(通達)はないようです。
ただ、PMSは生理にもとづく症状であるために、大企業などを含め、生理休暇として扱っている企業も多くあるとのこと。
PMSの症状で業務にあたるのがつらい場合には、「生理日ではないから…」と諦めず、会社に相談してみましょう。
生理休暇ってズル休みしてもバレない?
「診断書も不要なら、生理休暇ってズル休みしてもバレないのでは?」と思った人もいるかもしれません。
しかし、生理休暇はあくまでも就労が著しく困難な場合に付与される制度のため、不正な取得は禁止されています。
もし、生理休暇で休んだ日に遊びに出かけていたことが会社に判明する……といったことがあった場合には、厳しい処分を受ける可能性があります。
過去の判例では、生理休暇を取得した女性Aが、生理休暇を取得した日の夜に、夫が運転する車に4時間ほど乗車し、結婚披露宴で民謡を歌ったことで、懲戒処分の原因の一つとなりました(盛岡地裁一関支部平成8年4月17日判決)。
生理休暇を取得した場合は、誤解を招く行動は控えてしっかり休み、仕事に備えるようにしましょう。
まとめ
生理休暇は取得率が低く、そもそも誰でも取得できることを知らない人が多い制度のため、「男性の上司に相談しにくい」「申請するのは恥ずかしい」という人もいるでしょう。そういった場合には、労務部や人事部などの担当部署に相談してみてください。
創立して間もない会社だから、誰も申請したことがない……といった場合でも、法的にしっかりと定められている制度ですので、就業規則に記載がなかった場合でもまずは担当部署や女性の上司に相談してみましょう。
また、生理休暇は社員同士を助け合うための制度です。取得する場合には「当然の権利だから」という態度ではなく、上司や他の社員に負担をかけないような心配りを忘れないようにしましょう。