給与や福利厚生は? 子会社で働くメリット・デメリット
大企業の子会社の給与や福利厚生はどうなっているのでしょうか?子会社で働くメリット・デメリットを紹介します。
子会社に就職するメリット・デメリットは?
大企業の子会社で働く場合、以下のようなメリットとデメリットがあります。
詳しく見ていきましょう。
メリット1:経営が安定していることが多い
親会社のサポートを受けることができるため、子会社は安定した経営が可能です。業績が悪化すると親会社からの資金提供や支援を受けられることが多く、倒産のリスクは少ないといえます。
また、親会社やグループ会社が主要な取引先というケースでは、グループ内で継続的に仕事を受注できるため、安定した利益が得られます。
メリット2:親会社のブランド力を利用できる
子会社には親会社の社名が入っていることが多く、親会社のブランド力を利用できます。
例えば仕事面では、親会社の知名度を生かして、営業活動を有利に進めることができます。一方私生活でも、社会的信用が高く住宅ローンの審査が通りやすいというメリットがあります。
メリット3:親会社並の福利厚生を受けられる
子会社は同規模の独立系他社に比べ、親会社並の福利厚生を受けられるといわれています。子会社の福利厚生は親会社に準じて定められることが多く、親会社と同じ企業年金基金や健康保険組合に加入できたり、親会社所有の保養施設を利用できたりします。
例えばトヨタグループにはトヨタ自動車健康保険組合があり、グループの42事業主が加入しています。通常の健康保険料よりも負担が少なく、保養所やスポーツ施設なども利用できます。
※各社の採用サイトを参考に作成。全ての制度を網羅しているものではありません
デメリット1:親会社よりも立場が弱い
子会社は親会社よりも立場が弱く、基本的に親会社の方針に従って業務を進めます。会社によっては、何をするにも親会社の承認が必要で、自由に仕事ができないということもあります。また、子会社が独自に新規事業を立ち上げることも考えにくいでしょう。
また、親会社では採算が合わないような仕事を押し付けられるというケースもあります。また、子会社だからといって、値引きや納期の短縮を迫られることもあります。
人事面でも子会社の社員は不利です。親会社から出向してきた社員が子会社の管理職や役員に就くことも少なくないため、子会社の社員として出世できる人は多くはないでしょう。
デメリット2:吸収合併や売却の可能性も
子会社は親会社の経営判断によって、親会社に吸収合併されたり、他社に売却されたりする可能性があります。吸収合併や売却されたからといってすぐに解雇されることはありませんが、組織再編による部署異動や降格の可能性はあります。
また、業績が悪化している場合、損失が大きくなる前に営業活動を終了させられることもあります。会社自体がなくなるため、子会社の社員は解雇されてしまいます。
デメリット3:給与は親会社の7~8割
子会社の給与は、親会社の7~8割程度といわれています。
たとえ同じ仕事をしていたとしても、親会社と子会社では給与体系が違うため、給与額に差があります。例えばトヨタグループの場合は、以下のような差があります。
※参照:東洋経済新報社「就職四季報 総合版 2019年版」
コラム:子会社は応募のハードルが低い?
大企業の親会社に比べて子会社は採用における競争相手が少ないため、比較的採用されやすいといわれています。親会社は知名度が高く応募が集中するため、競争倍率が100倍を超えることも珍しくありません。
一方で子会社の場合は親会社よりも知名度が低いため、競争はそれほど激しくありません。就職・転職活動では、大企業の親会社だけでなくその子会社に目を向けてみるのもよいでしょう。
そもそも子会社とは?
そもそも子会社とはどのような会社を指すのでしょうか。
子会社とは親会社に経営権を握られている会社
子会社とは、親会社に経営権を握られている会社のことです。会社法第2条3号では、子会社を以下のように定めています。
会社法第2条3号
会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
議決権の過半数を持っていると、株主総会で会社の重要な方針を決定したり、役員を選任したりすることができるため、子会社は親会社に経営をコントロールされることになります。
親会社が子会社を持つ理由には以下のようなものがあります。
- 1つの会社で大人数の社員を抱えるより統率を取りやすい
- スピーディーに意思決定できる
- 節税対策
- 親会社と子会社で別の労働条件を設定できる
- 事業が失敗した際のリスクを分散し、倒産を防止できる
- 事業を譲渡しやすくなる
- 新規事業への参入・海外進出 など
子会社・完全子会社・関連会社の違いは?
子会社・完全子会社・関連会社は、親会社が持つ議決権の割合によって分類されます。
親会社が50%以上の議決権を持つのが子会社であるのに対し、100%の議決権を持つ場合は完全子会社、20%以上の議決権を持つ場合などは関連会社となります。
それぞれの関係性について以下の図でまとめています。
また、親会社と子会社、関連会社を合わせて、関係会社やグループ会社といいます。関係会社の共通点は、親会社の方針に沿って事業を行うことです。
まとめ
子会社のメリットは安定して働けることです。業績が悪化した際には親会社のサポートが期待できます。一方で出世しづらい、親会社の社員より給与が低い、といったデメリットもあります。
子会社への就職・転職を視野に入れている場合は、これらのメリット、デメリットを把握した上で検討しましょう。