受けたときの対処法を解説 退職勧奨とは?

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自社で退職勧奨(退職勧告)が行われるらしい、と噂を聞いたら気が気でない方も多いのではないでしょうか。

拒否できるかどうかや退職の期間など、退職勧奨について知っておくべき知識をまとめてご紹介します。

退職勧奨とは?

まずは、退職勧奨の基本的な仕組みについて解説します。

退職勧奨とは自己都合退職をすすめること

退職勧奨(退職勧告)とは、企業が従業員に自己都合退職をすすめることです。

解雇したい従業員がいる場合に、突然解雇するのではなく、従業員の同意を得て退職してもらうという方法です。

解雇には合理的な理由(会社のお金を横領したなど)が必要なため、簡単には実施できません。その代わりにまず、退職勧奨を行うのです。

ただし、もし退職勧奨を受けても、納得できなければ退職する必要はありません。

おおむね以下の流れで実際の退職勧奨は進みます。

  1. 上司に呼び出され、面談で退職をすすめられる。
  2. 回答までの期限(数日~1週間であることが多い)を伝えられ、検討を促される。
  3. 退職を承諾した場合、退職の時期、金銭面の処遇などを話し合う(退職を拒否することも可能)。
  4. 退職届を提出する。

※自己都合退職について詳しくは→自己都合退職の前に知っておきたいポイント

雇用保険上は会社都合退職と同じ扱い

退職勧奨を受けて退職した場合、雇用保険上は会社都合退職と同じ扱いになります。

ただし、会社側が自己都合退職だと主張してきた場合、会社都合退職だとハローワークに認めてもらうために、退職勧奨が行われていた証拠を用意する必要があります。具体的には当時のメールや録音などです。退職届の理由欄に「会社側からの退職勧奨に応じた」などと書いて、そのコピーを持っていくのも良いでしょう。

会社都合退職と認めてもらえたら、すぐに失業給付をもらうことができます。また、給付期間が自己都合退職よりも長くなります。

※会社都合退職について詳しくは→会社都合退職にまつわる正しい知識

退職勧奨から退職までの期間は特に定めなし

退職勧奨をされたとき、「〇〇までに退職しなければならない」という期間は特に定められていません。

退職勧奨とは退職の予告ではなく、従業員が自ら退職するようお願いするだけのものです。そのため、従業員が退職したい時期に自由に退職することができます。

もしも「退職届を出さなかったら解雇する」という発言があった場合、退職の強要とみなされて違法となることがあります。

退職金は基本的にもらえる

退職勧奨で会社を辞めても、基本的には退職金を受け取ることができます。支給率はそれぞれの企業によって異なります。 

退職が会社都合であると認められた場合は、自己都合退職よりも退職金の支給率が上がることが多いです。企業によっては、退職金に加えて解雇予告手当を受け取れることもあります。

詳しくはそれぞれの企業の退職金規定に書かれているため、気になる方は確認してみましょう。

退職勧奨は拒否できる?された場合の対処法を紹介

退職勧奨をされても拒否することは可能です。ここでは、拒否する場合の対処法についてご紹介します。

従業員には退職勧奨を拒否する権利がある

全ての従業員には、退職勧奨を拒否する権利があります。退職勧奨はあくまで企業からの「お願い」です。退職しなければならないという義務はありません。

退職勧奨された場合の対処法

退職勧奨をされた場合の対処法を具体的にみてみましょう。退職の意思がないのに退職を迫られた場合について考えます。

冷静に「退職の意思はない」と答える

まずは「退職の意思はありません」とはっきり伝えることが大事です。

曖昧な返事だと受け取られないよう、冷静な態度でしっかりと断りましょう。理不尽だと感じたら、退職をすすめられた理由を尋ね、上司と話し合ってみましょう。

今の会社で働き続けたいという意思があるなら、退職勧奨に応じる必要はありません。毅然とした態度で臨みましょう。

ひどい場合は専門機関や弁護士に相談する

しつこい退職勧奨に悩んでいる方は、弁護士などの専門家に相談しましょう。

退職勧奨自体は違法な行為ではありません。

しかし、「解雇するぞ」などと脅迫された場合や、明らかに拒否しているにも関わらず何度も退職をすすめられた場合などは違法となり、慰謝料を取ることができるケースもあります。

この際、証拠として上司とのやりとりを示すメールや書面、上司の言ったことの録音などがあると有利に働きます。

パワハラ的な退職勧奨で慰謝料が発生した事例

ここで、実際に慰謝料が発生した退職勧奨の事例を見てみましょう。平成11年にあった全日本空輸(退職強要)事件です。

客室常務員として働くXさんが1年間の病気休暇から復職しようとしたところ、上司からの退職勧奨が。

Xさんがこれを拒否すると、上司はXさんの寮や実家に出向いて退職を求める行為を4カ月間で30回以上も繰り返しました。

Xさんはこれらが人権を侵害する不法行為だとし、Y社に損害賠償を請求。

裁判所は極めて回数が多く、かつ長期にわたる退職勧奨は社会的に認められない違法な行為だとし、会社に50万円の慰謝料を請求しました。

※参考:明るい職場応援団「『退職勧奨とパワーハラスメント』ー全日本空輸(退職強要)事件」-厚生労働省

このように、パワハラの要素を含んだ退職勧奨は違法行為とされ、損害賠償を請求することができます。

もしあなたがこのようなパワハラ行為に悩んでいるなら、弁護士などの専門家に相談しましょう。

コラム:うつ病の人に退職勧奨するのは違法?

うつ病であることを理由に会社が退職勧奨を行うのは、違法とされる場合があります。

「休職していたが、休職期間が満了し、復職は不可能である」場合は、退職勧奨もしくは解雇が正当とされます。しかし、時間をかければ復職が可能である場合や、配置転換や業務の軽減などの配慮がなされていない場合には、退職勧奨は人権侵害であるとみなされます。

従業員に仕事を辞めたくないという意思がある間は、企業は自己都合の退職を強要することができないのです。

まとめ

退職勧奨は会社が従業員に退職をすすめる行為であり、従業員には退職を拒否する権利があります。

もしもあなたが不本意な退職勧奨をされて悩んでいるなら、お近くの弁護士などの専門家に相談してみましょう。

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