メリット・デメリットも 家族経営の会社は理不尽なことだらけ?
家族経営の会社は身内優先で一般の社員が理不尽な扱いを受ける、というマイナスなイメージをもたれることがありますが、実際はどうでしょうか。
家族経営の会社で働くメリット・デメリットを紹介します。
家族経営とは?
家族経営とはどのような会社を指すのでしょうか。
家族経営とは創業者一家が会社を経営すること
家族経営とは、創業者とその家族が会社を所有し、経営を行うことです。
同族経営やファミリービジネスともいわれています。中小企業では社長の家族や親戚が事業を手伝うことが多く、役員の名字が全員同じということも珍しくありません。
コラム:日本の会社の9割は「同族会社」?
国税庁の調査によると、日本の株式会社の96.5%は同族会社。
法律上の「同族会社」=いわゆる家族経営とは言い切れませんが、日本企業の経営層のほとんどは創業者と近い関係にあることはたしかです。
会社の規模が小さいほど同族会社の割合も高くなりますが、大企業の中にもトヨタ自動車やサントリーなど創業者の一族が役員を務める家族経営の会社はあります。
家族経営かどうかの見分け方
家族経営かどうかは、会社のホームページや社内の様子からある程度見分けることができます。
以下のような会社は、もしかすると家族経営かもしれません。
- 会社名に社長の名前が入っている
- 役員の中に社長と同じ名字の人がいる
- 従業員数が少ない(※)
※従業員数が少ないだけでは一概に家族経営とはいえませんが、規模が小さい会社は親族が大部分の株を所有していることが多いため、家族経営の会社を見分ける1つの指標になります。
家族経営の会社は理不尽ってホント?メリット・デメリット
実際に、家族経営の会社で理不尽な扱いを受けることはあるのでしょうか。
家族経営の会社が働きやすいかは経営者次第
家族経営の会社は経営者によって働きやすさが異なります。
経営者やその家族の影響力が強いため、職場の雰囲気にも経営者の性格や考え方が色濃く反映されます。
理念に共感できる経営者のもとではやりがいをもって働けますが、そうでない場合は居心地の悪い職場となってしまいます。
メリットは一体感をもって働けること
家族経営の会社で働くメリットは以下の通りです。
- 経営者と一体感をもって働ける
- 安定した経営を行う企業が多い
- アットホームな雰囲気の職場が多い
家族経営の会社では経営者との距離が近く、経営に対する考えをよく知った上で働けるため、会社に貢献しているという実感を持ちやすいと言えます。
また、株式の大部分を経営者一族が保有しているため、目先の利益に囚われずに安定した経営を行う企業が多いこともポイントです。創業100年を超える老舗企業には、家族経営の会社が多いといわれています。
また、社員も家族の一員と考えるアットホームな会社が多く、「子どもが熱を出した時に休ませてもらえる」「細かいルールや複雑な社内手続きがない」など融通が利きやすいのもメリットです。
デメリットは経営一族の権力が強いこと
家族経営の会社で働くデメリットは、経営者一族の権力が強く、場合によっては家族とそれ以外の社員の間に給与や待遇面で格差があることです。
家族経営の会社では以下のようなトラブルが多いといわれています。
- 公私混同が起こりやすい
- 身内以外の社員が理不尽な扱いを受ける
- 経営者が独裁的で反対意見をいえない
- 社内でコンプライアンス意識が働きにくい
家族経営でない会社では株主や監査役、社外取締役といった第三者の監視があるため、公私混同は厳しく非難されます。
一方で家族経営の場合は外部の目が行き届かず、経営者が公私混同をしてしまいがちです。例えば非上場の小規模な会社では「プライベートで使う車や家電を会社の経費で購入する」「子守や買い物を社員に頼む」といったこともまかり通ってしまいます。
また、家族経営の会社では重要な役職を身内で固めていることも多く、「大学を出たばかりの社長の息子が子会社社長に就任する」「身内の社員は他の社員と比べて賞与が多い」など、身内とそれ以外で待遇に差がある可能性もあります。
さらに、家族経営の会社ではよほどのことがない限り、株主総会で社長が解任されるということもないため、ワンマン社長が生まれやすく、社長や身内の役員に反対意見をいう人は冷遇されてしまいます。
そのため非上場企業ではコンプライアンス意識も働きにくく、セクハラ・パワハラが横行する、サービス残業を強要される、不当に解雇される、といった違法行為が起こっても見逃されてしまうことがあります。
【事例】休日、社長一家のバーベキューで買い出し係に…
公私混同が起きやすい家族経営ですが、中には休日、社長一家のバーベキューに買い出し係として駆り出されるなど社員を使用人のように扱うケースもあるのだとか。下記の記事では、そんな家族経営のブラックな実態を紹介しています。
【企業規模別】家族経営の会社の傾向
同じ家族経営でも、中小企業と大企業で違いはあるのでしょうか。企業規模別に傾向を解説します。
【小規模企業】人間関係が仕事の評価に直結
小規模の家族経営の会社では社員数が少なく人事評価の基準もあいまいなため、人間関係の良し悪しが評価に直結しやすくなります。社員数が10人以下になると、自分以外の社員は全員家族というケースも。
配置転換なども望めないので、経営者一族に気に入られなければ働き続けることは難しいでしょう。
【中規模企業】組織が複雑になり権力が分散
家族経営の会社でも社員数が100人を超えると身内以外の社員の割合が多くなり、複数の部署にわかれて業務を行うため、経営者一族の影響を直に受けることは少なくなります。
ただし、部長や役員といった経営陣は家族で固められていることが多く、会社に対して意見を言いづらい雰囲気はあります。
【大企業】家族経営の影響は受けづらい
家族経営でも大企業ともなると社員と経営者の距離が遠く、普段の業務で一般社員が家族経営のデメリットを感じることはほとんどありません。
特に上場企業は、社外から取締役を招いたり厳しい監査を受けたりと外部の監視があるため、会社の経費を私的に利用するといった経営者の公私混同は起こりづらいといえます。
コラム:保育園は家族経営が多い?
保育園は家族経営が多いとは一概にいえません。ただし、社会福祉法人が運営している私立幼稚園は、家族で経営しているケースがあります。
認可保育園の種類は、自治体が運営する「公立保育園」と民間が運営する「私立保育園」の2つに分けられます。
社会福祉法人が運営する私立保育園では、理事長や園長などの役職を一族で務める家族経営の形をとっていることがあります。
まとめ
家族経営の会社にはマイナスのイメージがつきまといますが、働きづらい会社ばかりではありません。
家族経営の会社に転職する際は、会社の社風や経営者の考え方を見極めた上で判断しましょう。