あなたの年収は高い?低い? 年収分布を年代別、産業別に解説
今の自分の年収や、興味を持っている仕事の年収が「周りの人達と比べた時にどの程度か」気になる人も多いのではないでしょうか?
年収分布について年代別、業種別にグラフを交えてわかりやすく紹介します。
【年代別】年収分布グラフと特徴をチェック
まずは年代別に、20~50代の年収分布グラフと特徴を紹介します。年収のデータは、厚生労働省の調査をもとに1カ月あたりの賃金×16カ月分として算出しています。
※年収=1カ月あたりの賃金×12カ月分+賞与4カ月分
※賞与は年2回支給され、1回あたりの支給額は1カ月あたりの賃金2カ月分としています。
※参考:令和5年賃金構造基本統計調査の概況(賃金の分布)|厚生労働省
【20代】400万円未満がほとんど
20代前半の年収分布では、288~383万円の割合が最も高く、男性は全体の62.4%、女性は58.3%です。
また、20代後半でも、288~383万円の割合が一番高く、男性は40.0%、女性は46.7%となっています。
それ以上の年収になると割合は減っていき、20代では男女ともに約400万円未満に集中していることが分かります。400万円以上の年収をもらっている割合は、20代前半で上位20%程度、20代後半で上位45%程度です。
20代は基本的には入社したてで、初任給から横並びのスタート。仕事を覚えていく育成期間のため、年収の差はつきづらいようです。
【30代】年収に差が出始める
30代前半では、男性は384~479万円の割合が一番高く、全体の35.7%、女性は288~383万円の割合が最も高く、35.7%です。
20代後半よりも高い年収の層が増えており、例えば男性の480万円以上の割合は36.3%と、20代後半の15.2%より20%以上増えています。
また、30代後半になると、男性は30代前半と比べて480万円以上の割合が増えているのに対して、女性のグラフには大きな変化はありません。
30代は男女ともに年収に差が出始める時期です。特に男性は、20代のころから経験を積んでうまく昇進できた人が、30代のタイミングで年収がアップするため、差が開き始めると考えられます。
一方、女性が男性ほど年収のばらつきが大きくならないのは、この時期に結婚、出産、育児のため仕事のペースを落とすなどして、年収を大きく上げる人が少ないからと推察できます。
【40代】年収差が顕著に。男女差も大きくなる
40代以降は男女の年収分布に明確な違いが見られます。
40代の男性は384~479万円の割合が一番大きく、40代前半で22.4%、40代後半で17.2%です。また、640~799万円の割合も40代前半で16.6%、40代後半で20.1%と多く、グラフを見ると2つの山ができています。
年収の天井も20~30代よりさらに高くなり、全体的に棒グラフの傾斜がなだらかで、分散していることが分かります。
一方、女性は288~383万円の割合が大きく、40代前半で全体の28.8%、40代後半で28.7%となっており、それ以上は年収の増加に合わせて減っています。
男性は40代になると30代と比べてさらに年収の差が大きくなります。男性の多くは役職に就いている年齢ですが、その中でも課長や部長など役職の違いによるものが原因の一つとして考えられるでしょう。
一方の女性は家庭を優先した働き方を選ばざるをえない人も多く、管理職に就く人もまだまだ少ないことなどから、低い年収帯に集中しており、年収の分布に男性との違いが出ています。
【50代】年収のピークを迎える人が多数
50代は男性の場合640~799万円の割合が一番多く、50代前半で19.7%、50代後半で20.0%です。特徴的なのは全体的に突出して高い割合を占める年収帯はなく、分布のばらつきが大きい点です。
また、約1,000万円以上の年収をもらう人の割合は10%を超えており、20~40代と比べても大きく増えていることが分かります。
女性の分布は40代とほぼ変わらず、288~383万円の割合が50代前半で28.8%、50代後半で28.6%と最も多く、それ以降は割合が減っていきます。
年代別に年収を見てみると、50代で最も高い年収をもらう人が多いようです。
最近は実力に応じて待遇を決める企業も多く、若いうちから高い年収をもらう人も増えていますが、まだまだ日本は年功序列が一般的。50代になると男女ともに年収1,000万円を超える人の割合も多くなっています。
【産業別】平均年収グラフと特徴をチェック
年収の分布を産業別に見てみるとどうなっているでしょうか?
厚生労働省のデータを参考に、産業別に各年代の平均年収の推移をまとめたグラフと、各年代の平均年収ランキングを男女で分けて紹介します。
※参考:令和5年賃金構造基本統計調査の概況(主な産業別にみた賃金)|厚生労働省
※各産業の詳細:日本標準産業分類|総務省
【男性】金融業・保険業が20代後半~50代前半までトップ
男性の産業別平均年収グラフを見てみると、20代後半から50代後半まで「金融業,保険業」が全産業の中で一番年収が高く、特に40代後半では約1,091万円とピークを迎えます。
その他の産業は50代後半でピークを迎える産業が多く、産業ごとによって年収のピークに差があります。
「金融業,保険業」「学術研究,専門・技術サービス業」「情報通信業」「教育,学習支援業」はどの年代でも比較的年収が高く、反対に「宿泊業,飲食サービス業」「サービス業(他に分類されないもの)」「生活関連サービス/娯楽業」は年収が低いことが特徴です。
このことから比較的専門性が求められる産業の年収は高くなる傾向があり、参入障壁が低く、価格競争も激しい産業は年収が低くなる傾向があるようです。
【女性】情報通信業はが30代前半~50代前半までトップ
女性の年代ごとの産業平均年収グラフを見ると30代前半~50代前半で1位になっているのが「情報通信業」です。
「情報通信業」は、全体的に高い水準の年収を維持していますが、60歳を超えると大きく下がります。一方、60歳を超えてから大きく年収が伸びている業種として「教育/学習支援」があります。
ほぼ全ての年代で上位にランクインしているのは「情報通信業」「教育,学習支援業」「学術研究,専門・技術サービス業」「教育/学習支援業」です。
また、男性では平均年収の高い「建設業」や「製造業」は、女性の場合は事務職などに就くことが多いせいか、平均年収が比較的低いことも特徴として挙げられます。
女性の年収も男性同様に、比較的専門性が求められる産業の年収が高くなる傾向があり、事業を始めるハードルが低く、価格競争も激しい産業は年収が低くなっています。
まとめ
年収の分布は性別や年代、産業別などで大きく違いがあります。
年代ごとで見ると男性は年齢が上がるにつれて年収が上がっていき、女性は男性とは違ってそこまで年収は上がっていきません。
また産業別では、求められる専門性の高さや事業開始のハードルの高さによって、年収の分布に差が出ていることがわかります。
これらのグラフを参考にして、今の自分の年収や興味を持っている仕事の年収がどの程度なのか確認してみてください。
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
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