あなたの年収は高い?低い? 年収分布を年代別、産業別に解説

今の自分の年収や、興味を持っている仕事の年収が「周りの人達と比べた時にどの程度か」気になる人も多いのではないでしょうか?

年収分布について年代別、業種別にグラフを交えてわかりやすく紹介します。

【年代別】年収分布グラフと特徴をチェック

まずは年代別に、20~50代の年収分布グラフ特徴を紹介します。年収のデータは、厚生労働省の調査をもとに1ヵ月あたりの賃金×16ヵ月分として算出しています。

※年収=1ヶ月あたりの賃金×12ヶ月分+賞与4ヶ月分
※賞与は年2回支給され、1回あたりの支給額は1ヶ月あたりの賃金2ヶ月分としています。

※参考:令和元年賃金構造基本統計調査の概況(賃金の分布)|厚生労働省

【20代】400万円未満がほとんど

20代前半(20歳~24歳)~191万円:男性/0.2% 女性/0.2% 192~287万円:男性/17.5% 女性/23.6% 288~383万円:男性/62.4% 女性/58.3% 384~479万円:男性/17.2% 女性/15.1% 480万円~:男性/2.8% 女性/2.8%

20代後半(25歳~29歳)~191万円:男性/0.1% 女性/0.3% 192~287万円:男性/7.2% 女性/15.0% 288~383万円:男性/40.0% 女性/46.7% 384~479万円:男性/37.2% 女性/27.8% 480万円~:男性/15.2% 女性/10.1%

20代前半の年収分布では、288~383万円の割合が最も高く、男性は全体の62.4%、女性は58.3%です。
また、20代後半でも、288~383万円の割合が一番高く、男性は40.0%、女性は46.7%となっています。

それ以上の年収になると割合は減っていき、20代では男女ともに約400万円未満に集中していることが分かります。400万円以上の年収をもらっている割合は、20代前半で上位20%程度、20代後半で上位45%程度です。

20代は基本的には入社したてで、初任給から横並びのスタート。仕事を覚えていく育成期間のため、年収の差はつきづらいようです。

【30代】年収に差が出始める

30代前半(30歳~34歳)~191万円:男性/0.1% 女性/0.6% 192~287万円:男性/4.7% 女性/16.3% 288~383万円:男性/23.3% 女性/35.7% 384~479万円:男性/35.7% 女性/29.3% 480万円~575万円:男性/21.0% 女性/11.6% 576万円~639万円:男性/6.4% 女性/3.0% 640万円~799万円:男性/6.1% 女性/2.5% 800万円~959万円:男性/1.5% 女性/0.5% 960万円~:男性/1.3% 女性/0.6%

30代後半(35歳~39歳)~191万円:男性/0.1% 女性/0.7% 192~287万円:男性/3.6% 女性/16.8% 288~383万円:男性/16.2% 女性/32.0% 384~479万円:男性/27.6% 女性/27.1% 480万円~575万円:男性/23.6% 女性/13.6% 576万円~639万円:男性/9.9% 女性/4.0% 640万円~799万円:男性/12.5% 女性/3.9% 800万円~959万円:男性/4.1% 女性/1.1% 960万円~:男性/1.3% 女性/0.3%

30代前半では、男性は384~479万円の割合が一番高く、全体の35.7%、女性は288~383万円の割合が最も高く、35.7%です。
20代後半よりも高い年収の層が増えており、例えば男性の480万円以上の割合は36.3%と、20代後半の15.2%より20%以上増えています。

また、30代後半になると、男性は30代前半と比べて480万円以上の割合が増えているのに対して、女性のグラフには大きな変化はありません

30代は男女ともに年収に差が出始める時期です。特に男性は、20代のころから経験を積んでうまく昇進できた人が、30代のタイミングで年収がアップするため、差が開き始めると考えられます。
一方、女性が男性ほど年収のばらつきが大きくならないのは、この時期に結婚、出産、育児のため仕事のペースを落とすなどして、年収を大きく上げる人が少ないからと推察できます。

【40代】年収差が顕著に。男女差も大きくなる

40代前半(40歳~44歳)~191万円:男性/0.1% 女性/0.7% 192~287万円:男性/3.2% 女性/16.7% 288~383万円:男性/12.4% 女性/28.8% 384~479万円:男性/22.4% 女性/24.8% 480万円~575万円:男性/21.9% 女性/15.2% 576万円~639万円:男性/11.2% 女性/5.0% 640万円~799万円:男性/16.6% 女性/5.7% 800万円~959万円:男性/6.6% 女性/1.8% 960万円~1,119万円:男性/3.1% 女性/0.5% 1,120万円〜:男性/2.5% 女性/0.9%

40代後半(45歳~49歳)~191万円:男性/0.1% 女性/0.6% 192~287万円:男性/2.8% 女性/17.9% 288~383万円:男性/10.3% 女性/28.7% 384~479万円:男性/17.2% 女性/22.2% 480万円~575万円:男性/19.2% 女性/14.0% 576万円~639万円:男性/11.7% 女性/6.0% 640万円~799万円:男性/20.1% 女性/6.6% 800万円~959万円:男性/9.8% 女性/2.2% 960万円~1,119万円:男性/4.7% 女性/0.8% 1,120万円〜:男性/4.2% 女性/1.0%

40代以降は男女の年収分布に明確な違いが見られます。

40代の男性は384~479万円の割合が一番大きく、40代前半で22.4%、40代後半で17.2%です。また、640~799万円の割合も40代前半で16.6%、40代後半で20.1%と多く、グラフを見ると2つの山ができています

年収の天井も20~30代よりさらに高くなり、全体的に棒グラフの傾斜がなだらかで、分散していることが分かります。

一方、女性は288~383万円の割合が大きく、40代前半で全体の28.8%、40代後半で28.7%となっており、それ以上は年収の増加に合わせて減っています。

男性は40代になると30代と比べてさらに年収の差が大きくなります。男性の多くは役職に就いている年齢ですが、その中でも課長や部長など役職の違いによるものが原因の一つとして考えられるでしょう。

一方の女性は家庭を優先した働き方を選ばざるをえない人も多く、管理職に就く人もまだまだ少ないことなどから、低い年収帯に集中しており、年収の分布に男性との違いが出ています。

【50代】年収のピークを迎える人が多数

50代前半(50歳~54歳)~191万円:男性/0.1% 女性/0.8% 192~287万円:男性/3.2% 女性/19.9% 288~383万円:男性/10.2% 女性/28.8% 384~479万円:男性/14.0% 女性/19.6% 480万円~575万円:男性/15.9% 女性/12.6% 576万円~639万円:男性/10.0% 女性/5.5% 640万円~799万円:男性/19.7% 女性/7.3% 800万円~959万円:男性/11.8% 女性/2.9% 960万円~1,119万円:男性/7.4% 女性/1.1% 1,120万円〜:男性/7.8% 女性/1.5%

50代後半(55歳~59歳)~191万円:男性/0.1% 女性/1.0% 192~287万円:男性/4.3% 女性/22.4% 288~383万円:男性/10.2% 女性/28.6% 384~479万円:男性/13.6% 女性/19.7% 480万円~575万円:男性/14.6% 女性/11.9% 576万円~639万円:男性/9.6% 女性/5.0% 640万円~799万円:男性/20.0% 女性/6.5% 800万円~959万円:男性/11.9% 女性/2.6% 960万円~1,119万円:男性/6.8% 女性/1.1% 1,120万円〜:男性/7.4% 女性/1.2%

50代は男性の場合640~799万円の割合が一番多く、50代前半で19.7%、50代後半で20.0%です。特徴的なのは全体的に突出して高い割合を占める年収帯はなく、分布のばらつきが大きい点です。

また、約1,000万円以上の年収をもらう人の割合は10%を超えており、20~40代と比べても大きく増えていることが分かります。

女性の分布は40代とほぼ変わらず、288~383万円の割合が50代前半で28.8%、50代後半で28.6%と最も多く、それ以降は割合が減っていきます。

年代別に年収を見てみると、50代で最も高い年収をもらう人が多いようです

最近は実力に応じて待遇を決める企業も多く、若いうちから高い年収をもらう人も増えていますが、まだまだ日本は年功序列が一般的。50代になると男女ともに年収1,000万円を超える人の割合も多くなっています

【産業別】平均年収グラフと特徴をチェック

年収の分布を産業別に見てみるとどうなっているでしょうか?

厚生労働省のデータを参考に、産業別に各年代の平均年収の推移をまとめたグラフと、各年代の平均年収ランキングを男女で分けて紹介します。

※参考:令和2年賃金構造基本統計調査の概況(主な産業別にみた賃金)|厚生労働省

※各産業の詳細:日本標準産業分類|総務省

【男性】金融業・保険業が20代後半~50代前半までトップ

産業別 男性の平均年収分布の図 20代後半から金融業/保険業の伸びが著しい。次いで学術研究/専門・技術サービス、情報通信業となっている。

産業別 男性の平均年収の表 各年代で1位から5位までを紹介 〈20代前半〉 1位:建設業 358万円 2位:運輸業・郵便業 356万円 3位:金融業・保険業 350万円 4位:学術研究・専門・技術サービス業 338万円 5位:情報通信業 327万円 〈20代後半〉 1位:金融業・保険業 504万円 2位:学術研究・専門・技術サービス業 461万円 3位:建設業 451万円 4位:情報通信業 431万円 5位:運輸業・郵便業 415万円 〈30代前半〉 1位:金融業・保険業 680万円 2位:学術研究・専門・技術サービス業 574万円 3位:情報通信業 540万円 4位:教育・学習支援業 514万円 5位:建設業 500万円 〈30代後半〉 1位:金融業・保険業 837万円 位:学術研究・専門・技術サービス業 696万円 位:情報通信業 628万円 位:教育・学習支援業 595万円 位:建設業 560万円 〈40代前半〉 1位:金融業・保険業 982万円 2位:学術研究・専門・技術サービス業 782万円 3位:情報通信業 712万円 4位:教育・学習支援業 693万円 5位:建設業 614万円 〈40代後半〉 1位:金融業・保険業 1,016万円 2位:学術研究・専門・技術サービス業 813万円 3位:情報通信業 792万円 4位:教育・学習支援業 767万円 5位:建設業 678万円 〈50代前半〉 1位:金融業・保険業 1,068万円 位:学術研究・専門・技術サービス業 899万円 位:情報通信業 862万円 位:教育・学習支援業 832万円 位:卸売業・小売業 711万円 〈50代後半〉 1位:情報通信業 915万円 2位:金融業・保険業 899万円 3位:教育・学習支援業 874万円 4位:学術研究・専門・技術サービス業 873万円 5位:医療・福祉 730万円 〈60代前半〉 1位:教育・学習支援業 775万円 2位:情報通信業 637万円 3位:医療・福祉 604万円 4位:学術研究・専門・技術サービス業 594万円 5位:金融業・保険業 539万円 〈60代後半〉 1位:教育・学習支援業 666万円 2位:医療・福祉 616万円 3位:金融業・保険業 501万円 4位:学術研究・専門・技術サービス業 483万円 5位:情報通信業 482万円 〈70歳以降〉 1位:医療・福祉 766万円 2位:教育・学習支援業 581万円 3位:情報通信業 413万円 4位:金融業・保険業 378万円 5位:学術研究・専門・技術サービス業 375万円

男性の産業別平均年収グラフを見てみると、20代後半から50代前半まで「金融業,保険業」が全産業の中で一番年収が高く、特に50代前半では約1,068万円とピークを迎えます。

その他の産業は50代後半でピークを迎える産業が多く、50代後半では「情報通信業」がトップになっており、産業ごとによって年収のピークに差があります

金融業,保険業」「学術研究,専門・技術サービス業」「情報通信業」「教育,学習支援業」はどの年代でも比較的年収が高く、反対に「宿泊業,飲食サービス業」「サービス業(他に分類されないもの)」「運輸業,郵便業」は年収が低いことが特徴です。

このことから比較的専門性が求められる産業の年収は高くなる傾向があり、参入障壁が低く、価格競争も激しい産業は年収が低くなる傾向があるようです。

【女性】情報通信業はほとんど全ての年代でトップ

産業別 女性の平均年収分布の図 情報通信業は全体的に高い水準を維持していると言える。また、教育/学習支援業の40代以降の伸び方が著しい。

産業別 女性の平均年収の表 各年代で1位から5位までを紹介 〈20代前半〉 1位:医療・福祉 327万円 2位:建設業 323万円 3位:情報通信業 316万円 4位:学術研究・専門・技術サービス業 312万円 5位:金融業・保険業 310万円 〈20代後半〉 1位:情報通信業 415万円 2位:学術研究・専門・技術サービス業 410万円 3位:金融業・保険業 395万円 4位:建設業 386万円 5位:医療・福祉 382万円 〈30代前半〉 1位:学術研究・専門・技術サービス業 458万円 2位:情報通信業 454万円 3位:金融業・保険業 429万円 4位:建設業 413万円 5位:教育・学習支援業 403万円 〈30代後半〉 1位:学術研究・専門・技術サービス業 524万円 2位:情報通信業 503万円 3位:金融業・保険業 468万円 4位:教育・学習支援業 453万円 5位:医療・福祉 403万円 〈40代前半〉 1位:情報通信業 550万円 2位:学術研究・専門・技術サービス業 525万円 3位:教育・学習支援業 512万円 4位:金融業・保険業 470万円 5位:医療・福祉 425万円 〈40代後半〉 1位:情報通信業 567万円 2位:教育・学習支援業 542万円 3位:学術研究・専門・技術サービス業 523万円 4位:金融業・保険業 493万円 5位:建設業 440万円 〈50代前半〉 1位:情報通信業 690万円 2位:教育・学習支援業 588万円 3位:学術研究・専門・技術サービス業 544万円 4位:金融業・保険業 500万円 5位:医療・福祉 437万円 〈50代後半〉 1位:情報通信業 748万円 2位:教育・学習支援業 638万円 3位:学術研究・専門・技術サービス業 517万円 4位:金融業・保険業 475万円 5位:医療・福祉 445万円 〈60代前半〉 1位:教育・学習支援業 658万円 2位:学術研究・専門・技術サービス業 430万円 3位:金融業・保険業 425万円 4位:医療・福祉 382万円 5位:情報通信業 371万円 〈60代後半〉 1位:教育・学習支援業 636万円 2位:金融業・保険業 468万円 3位:医療・福祉 337万円 4位:学術研究・専門・技術サービス業 331万円 5位:情報通信業 281万円 〈70歳以降〉 1位:金融業・保険業 515万円 2位:教育・学習支援業 501万円 3位:学術研究・専門・技術サービス業 400万円 4位:医療・福祉 348万円 5位:建設業 293万円

女性の年代ごとの産業平均年収グラフを見ると、全年代を通じて最も多く1位になっているのが「情報通信業」です。

「情報通信業」は、全体的に高い水準の年収を維持していますが、60歳を超えると大きく下がります。一方、60歳を超えてから大きく年収が伸びている業種として「金融業,保険業」があります。

ほぼ全ての年代で上位にランクインしているのは「情報通信業」「教育,学習支援業」「学術研究,専門・技術サービス業」「金融業,保険業」です。

また、男性では平均年収の高い「建設業」や「製造業」は、女性の場合は事務職などに就くことが多いせいか、平均年収が比較的低いことも特徴として挙げられます。

女性の年収も男性同様に、比較的専門性が求められる産業の年収が高くなる傾向があり、事業を始めるハードルが低く、価格競争も激しい産業は年収が低くなっています。

まとめ

年収の分布は性別や年代、産業別などで大きく違いがあります。

年代ごとで見ると男性は年齢が上がるにつれて年収が上がっていき、女性は男性とは違ってそこまで年収は上がっていきません。

また産業別では、求められる専門性の高さや事業開始のハードルの高さによって、年収の分布に差が出ていることがわかります。

これらのグラフを参考にして、今の自分の年収や興味を持っている仕事の年収どの程度なのか確認してみてください。