おすすめの資格・相場の一覧つき 資格手当とは?どのくらいもらえる?
資格手当とはどのような手当なのでしょうか?この記事では、資格手当の種類や、手当をもらえる資格とその相場を紹介します。
資格手当ってどんな手当?
資格を取得したときにもらえる手当のこと
資格手当とは、特定の資格を保有している場合や、資格試験に合格して資格を取得した場合に、企業から支給される手当のことです。
法律上の規定はなく、資格手当の有無や支給条件は企業ごとに異なります。
例えば、弁護士資格や医師免許などの「取得しなければ業務ができない資格」や、簿記やTOEICといった「持っていると業務をする上で役に立つ資格」を支給対象としている企業が多いようです。
支給の有無は就業規則を確認しよう
資格手当の有無や支給条件は企業ごとに異なるため、詳細は就業規則を確認しましょう。資格手当についての内容は、賃金規定の部分に書かれているのが一般的です。
就業規則に記載がなければ、そもそも資格手当の制度自体がないことも考えられます。もしも業務に役立つ資格を持っている場合や、取得を考えている場合には、一度上司に確認してみるといいでしょう。
資格手当は大きく分けて2種類ある
資格手当は、どのように支給されるかによって、2種類に分けられます。
毎月もらえる「資格手当」
資格を取得してから毎月もらえる手当です。企業の規定や資格によっても異なりますが、1,000円から5万円の金額を毎月の給与と一緒に支給されます。
支給期間を「資格取得から〇年間」と定めている企業もありますが、資格取得後、定年や退職まで半永久的に支給する企業もあるようです。
資格取得時の一時金としてもらえる「合格報奨金」
資格を取得したときに一時金としてもらえる手当のことで、「合格報奨金」とも呼ばれます。
合格のお祝い金として一度しかもらうことができませんが、毎月もらえる資格手当よりも金額が高い傾向にあります。こちらも企業や取得資格によりますが、5,000円から20万円程度の支給が一般的です。
企業によっては、合格報奨金に加えて、「資格手当」が毎月支給されることもあります。
コラム:資格手当は廃止される傾向にある?
資格手当は廃止される傾向にあると言われていますが、厚生労働省が行っている就労条件総合調査によると、そうとは言い切れないようです。
2005年から2010年にかけて、資格手当を導入している企業の割合は48.9%→46.9%と約3%減少しているものの、2015年には47.7%に回復。どの年も5割前後と大きな変化はありません。
また、資格手当の金額は、2005年から2010年に18,901円→20,960円に約2,000円の増加。2015年には20,299円に減少しています。
2010年に企業割合が減っているのは、2008年に起こったリーマンショックが影響しているようです。企業の経営状況悪化に伴い、仕事上必須ではない資格への資格手当を廃止する企業が増加しました。
その一方で金額が増えたのは、金額の高い、仕事上必須の資格に対する手当は残した企業が多いことから、手当の平均金額が増えたことが原因と考えられます。
資格手当はあくまでも福利厚生の1つで、企業に支給義務はありません。そのため、景気の動向によっては支給額が減ったり、資格手当自体がなくなったりする可能性があります。
2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、資格手当を廃止する企業や支給金額を減らす企業が増えるかもしれません。
国家資格・民間資格|資格手当の相場一覧表
資格手当がもらえる資格には、どのようなものがあり、手当の相場はどのくらいなのでしょうか?国家資格と民間資格に分けて紹介します。
国家資格5つの資格手当の相場
資格手当がもらえる国家資格と資格手当の相場は以下のとおりです。
国家資格 | 資格手当の相場 |
中小企業診断士 | 1万~3万円 |
宅地建物取引士 | 5,000~3万円 |
社会保険労務士 | 5,000~5万円 |
危険物取扱者 | 3,000~1万円 |
診療報酬請求事務能力認定試験 | 5,000~1万円 |
中小企業診断士
企業の経営に関する知識を身につけられ、「経営コンサルタント」としての業務に役立つ資格で、手当の相場は1万円から3万円です。
企業経営の知識を持っていると証明できることから、経営コンサルタント会社以外でも、資格手当を支給する企業が多くあります。
宅地建物取引士
土地や建物などの不動産取引の専門家であることを示す資格で、一般的に「宅建士」と呼ばれています。資格手当の相場は5,000円から3万円です。
主に不動産業界で必要とされている資格ですが、銀行や証券会社などの金融業界でも、担保となる不動産を鑑定するための知識が必要になることがあるため、重宝されています。
社会保険労務士
社会保険と年金や労務の専門家であることを示す国家資格で、一般的に「社労士」と呼ばれています。資格手当の相場は5,000円から5万円です。
企業が行政機関に提出する特定の書類の作成や、賃金台帳、就業規則の作成は社労士の独占業務とされており、人事労務に関わる業務につく上で取得しておくととても便利な資格です。一般企業の人事部や総務部で働く場合にも取得しておくとよいでしょう。
危険物取扱者
ガソリンや硝酸、硫黄などの危険物を取り扱うときに必要となる国家資格で、手当の相場は3,000円から1万円です。
この資格は難易度によって甲種・乙種・丙種の3つに分けられ、甲種になると業務の幅が広がることから、資格手当も高額になります。ガソリンスタンドや化学工場で働く人は、取得しておくのがおすすめです。
診療報酬請求事務能力認定試験
医療事務において「レセプト(医療報酬明細書)作成」という専門知識が求められる業務に重きを置いた資格です。手当の相場は5,000円から1万円です。
医療事務に関する資格の中で唯一の国家資格で、難易度が高いため、医療事務の中では、高額の手当がもらえる資格です。正社員でなく、パートやアルバイトでも1時間あたりの手当が定められていることも多くあります。
民間資格5つの資格手当の相場
民間資格 | 資格手当の相場 |
ファイナンシャル・プランナー1級・2級 | 1万~2万円 |
日商簿記1級・2級 | 3,000~2万円 |
秘書検定1級・準1級・2級・3級 | 500~1万円 |
マイクロソフトオフィススペシャリスト | 1,000円前後 |
TOEIC Listening&Reading Test 650点以上 | 3,000~2万円 |
ファイナンシャル・プランナー1級・2級
金融、財政、不動産、生命保険、年金制度などの経済的な知識を幅広く身につけられる民間資格で、手当の相場は1万円から2万円です。特に1級は難易度が非常に高いことから、民間資格としては資格手当が高い傾向にあります。
銀行や証券会社などの金融業界や不動産業界で働く上で役立つ資格ですが、家計に関わる知識を身につけられるため、業務に必要なくても取得しておいて損はない資格です。
日商簿記1・2級
企業の経済状況や財政などの経営活動を記録・計算・整理するスキルを証明する民間資格です。資格手当の相場は3,000円から2万円程度とされています。
一般的に「簿記」と呼ばれる資格の中で、日商簿記は知名度も難易度も高い資格です。経理職には必須の資格ではありますが、社会人の基礎知識として必要な知識でもあるため、事務職や営業職の人にも資格手当を支給する企業が多くあります。
秘書検定1級・準1級・2級・3級
会社の役員や経営者の秘書として業務をするために必要な知識や技能を身につけられる民間資格で、手当の相場は500円から1万円です。
社会人の基本として、一般常識やビジネスマナー、ビジネス文書の作成についての知識も身につけられる資格のため、秘書以外の業務についている人にも資格手当が支給されることが多いようです。
マイクロソフトオフィススペシャリスト
マイクロソフトが公式に発表している、ワードやエクセル、パワーポイントなどのマイクロソフトオフィス製品の利用スキルを証明する民間資格です。手当の相場は1,000円前後とされています。
パソコンスキルの証明として履歴書に書くことができるため、就職や転職の際にアピールする材料となります。しかし、難易度が比較的低いので、高額の資格手当がもらえることはほとんどありません。
TOEIC Listening & Reading Test 650点以上
ビジネスの場や日常生活での会話や、文章でのやり取りの英語能力を測定するテストで、手当の相場は3,000円から2万円です。
ビジネス英語の能力を証明する資格のため、資格手当がもらえる資格の中でも比較的メジャーな資格の1つです。990点満点で、600点が「上場企業が従業員に求めるレベル」、700点が「外資系企業で必要とされるレベル」とされているので、600点から700点を資格手当のボーダーラインとしている企業が多いようです。
IT業界・建設業界|資格手当の相場一覧表
業界別に、使える資格や資格手当の相場を紹介します。
IT業界で使える資格と資格手当の相場一覧
<国家資格>
IT業界で使える資格 | 資格手当の相場 |
基本情報技術者 | 5,000円前後 |
応用情報技術者 | 5,000~2万円 |
ITストラテジスト | 2万~3万円 |
ITサービスマネージャ | 1万~2万円 |
プロジェクトマネージャー | 1万~2万円 |
システム監査技術者 | 1万~2万円 |
エンベデッドシステムスペシャリスト | 1万~2万円 |
ネットワークスペシャリスト | 1万~2万円 |
システムアーキテクト | 1万~2万円 |
データベーススペシャリスト | 1万~2万円 |
情報セキュリティスペシャリスト | 1万~2万円 |
<民間資格>
IT業界で使える資格 | 資格手当の相場 |
Linux技術者認定試験 | 2万~3万円 |
シスコ技術者認定試験 | 5,000~2万円 |
オラクルJava認定試験 | 5,000~2万円 |
オラクルマスター | 5,000~2万円 |
マイクロソフト認定試験 | 1万~2万円 |
ITストラテジストなどの国家資格は、製品を問わない知識を証明する資格のため、資格手当も比較的高い傾向があります。
民間資格は、企業が自社製品に関する知識・技術があることを証明するために作った資格なので、企業によっては資格を持っていても資格手当がもらえないケースがあるようです。
Linux技術者認定試験は民間資格ではありますが、国際的に認められていることから、資格手当が比較的高額になる傾向があります。取得を推奨している企業も多く、民間資格の中でもおすすめの資格です。
資格を取得し、手当をもらいたいと思っている人は、どの資格を取得すれば、どのくらい手当がもらえるのか、きちんと確認することをおすすめします。
建設業界で使える資格と資格手当の相場一覧
<国家資格>
建設業界で使える資格 | 資格手当の相場 |
建築士1級 | 3万~5万円 |
土木施工管理技士1・2級 | 5,000~3万円 |
建築施工管理技士1・2級 | 3,000~3万円 |
管工事施工管理技士1・2級 | 5,000~3万円 |
電気施工管理技士1・2級 | 5,000~5万円 |
造園施工管理技士1・2級 | 3,000~3万円 |
第三種電気主任技術者 | 5,000~3万円 |
第一種・第二種電気工事士 | 1,500~5万円 |
消防設備点検資格者 | 3,000円前後 |
消防設備士 | 1,000~5,000円 |
建設業界では、業務に直結する資格が多いため、資格手当を支給する企業が他の業界に比べて多い傾向があります。ただし、国家資格が広く普及しているので、民間資格に対して資格手当を支給しないという企業がほとんどです。
これらの資格はすべて国家資格のため、資格手当の相場も高額です。特に建築士や電気工事士などは独占業務があるので、国家資格の中でも高額な手当がもらえると言えるでしょう。
また、建設業界は人材不足の影響もあり、資格取得のためのサポートを行っている企業や、毎月の資格手当に加えて合格報奨金を出す企業が多いようです。資格に関するサポートが充実している業界と言えるでしょう。
まとめ
資格手当とは、資格を取得している場合や取得したときに企業からもらえる手当です。
就業規則を見たり、上司に確認した上で、すでに取得している資格や取得を考えている資格を有効活用していきましょう。