デメリットや導入企業の事例も ワーケーションとは?

新型コロナウイルスの影響もあり、話題になった「ワーケーション」。一体どのような働き方なのか、メリット・デメリットや事例も合わせて紹介します。

ワーケーションとは?

「ワーク」と「バケーション」を合わせた働き方のこと

【ワーケーションとは】「work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を合わせた働き方のこと。主にテレワークを活用することで、観光地やリゾート地で休暇を取りながら仕事をする働き方を指す

ワーケーションとは「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を合わせた働き方のこと。主に観光地やリゾート地で休暇を取りながら、テレワークを活用して仕事をする働き方を指しますが、非日常空間で過ごしながら仕事をすること全般に広く用いられています。

2000年代にアメリカで生まれ、日本では新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけで話題になりました。

ワーケーションは在宅勤務やレンタルオフィスでのテレワークとは区別されています。ただし、企業などがリゾート地などに拠点を設け、従業員が働きながら休暇を取る形式はワーケーションとみなされます。

よくあるワーケーションのパターン2つ

ワーケーションには、主にバケーションを楽しむ休暇型ワーケーションと、あくまで仕事がメインの仕事型ワーケーションがあります。

休暇型ワーケーション

【休暇型ワーケーションの例】1日目:移動・休暇。2日目:休暇。3日目:会議に参加・休暇・4日目:休暇・スキマ時間にメールチェック。5日目:休暇・移動

休暇型ワーケーションとは、休暇がメインのワーケーションを指します。休暇として観光地やリゾート地を訪れ、その合間にテレワークを利用して仕事をするケースが多いようです。

旅行先で仕事ができることで、長期休暇が取得しやすくなったり、トラブル発生時などに休暇を中断することなく、旅行先で最低限の対応ができるというメリットがあります。

仕事型ワーケーション(ブリージャー)

【仕事型ワーケーションの例】1日目:移動・仕事。2日目:取引先と打ち合わせ。3日目:取引先と打ち合わせ。4日目:休暇。5日目:休暇・移動

仕事型ワーケーションとは、出張先の地域で観光をする形式のワーケーションを指します。「Business(仕事)」と「Leisure(余暇・休息)」を組み合わせて「ブリージャー」と呼ぶこともあります。

出張の前後で出張先周辺を観光したり、家族の状況によっては、長期滞在先に家族を連れていき、平日はその土地で生活し、週末に家族旅行をしたりするケースが多いようです。

仕事型ワーケーションは基本的に会社都合なので、出張期間の交通費や宿泊費は会社が負担してくれるケースが一般的です。

コラム:コロナによってワーケーションが普及する?

政府は2020年7月末、新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの浸透、観光業の落ち込みを背景に、ワーケーションの普及に取り組むことを発表しました。これを受け、宿泊施設や旅行会社などがワーケーションプランを次々と発表しています。

星野リゾートでは、宿泊施設に合わせた様々なワーケーションプランを発表。

中でも北海道の都市観光を重視したホテルOMO7旭川では「憧れのリモート書斎プラン」として、15連泊で4万5,000円~の宿泊プランを提供しています。

また、星野リゾートが展開するラグジュアリーブランドの「星のや」では、客室やパブリックスペースにWi-Fiを完備している他、会議や電話用に個室環境も用意。周遊ツアーやクルージングなどのアクティビティも多数あり、非日常空間を楽しみながら仕事ができる環境を整えています。

※参照:【星野リゾート】ワークを充実、バケーションを満喫!連泊滞在でお得に 星野リゾートの「ワーケーション」

長崎県でヨーロッパの雰囲気を味わえるテーマパーク、ハウステンボスでも、30日間のワーケーションプランが用意されています。使い放題のポケットWi-Fiを利用できたり、レストランは10%オフ、ショッピングは5%オフになったりと、ハウステンボス内をお得に楽しむことができます。

また、温泉の利用券もあるため、仕事で疲れた身体をリフレッシュすることも可能です。

※参照:ハウステンボスワーケーションプラン

都内では、ホテルニューオータニ30連泊のプランを2020年8月6日(木)~9月30日(水)の期間で実施。eバイクの無料貸出(要事前予約)や、屋上プールの5回分利用券がついてくる他、レストラン・バーを優待価格で利用できるなど、ホテルニューオータニを存分に楽しむことができます。

※参照:都民還元キャンペーン「STAY TOKYO+EAT TOKYO~食べて泊まって、 東京で過ごす夏~」

ワーケーションはまだまだ普及途中。これからさらに、ワーケーションのプランが発表されていくでしょう。

ワーケーションのメリット・デメリット

◯メリット

  1. 普段と異なる環境でリフレッシュできる
  2. 繁忙期を避けて移動や観光ができる
  3. 長期休暇が取得しやすくなる

×デメリット

  1. オンとオフの切り替えが難しい
  2. 社内メンバーの協力や理解が必要
  3. 休暇の定義が曖昧になる

ワーケーションのメリット3つ

ワーケーションのメリットは以下の3つです。

普段と異なる環境でリフレッシュできる

ワーケーションでは普段と異なる環境で過ごすことで、心身をリフレッシュさせることが可能です。観光地やリゾート地にいるため、その土地ならではのリフレッシュスポットを利用できたり、家族と一緒に旅行することでコミュニケーションを図る機会にもなります。

結果、ワークライフバランスが整い、仕事のモチベーションも向上するでしょう。

繁忙期を避けて移動や観光ができる

ワーケーションでは繁忙期を避けて移動や観光をすることができます。

旅先でも仕事が可能なため、基本的に時期を選ぶ必要がありません。そのため、年末年始やお盆期間などの繁忙期を避け、平日の人が少ない環境で移動や旅行を楽しむことができます。

また、オフシーズンでは交通費や宿泊費が抑えられるのも魅力的です。

長期休暇が取得しやすくなる

ワーケーションでは滞在地でも働く環境が整っているため、長期休暇が取得しやすくなります

休暇中でも臨時的に重要な会議に参加できたり、メールチェックができたりと、仕事に大きな穴を開けることがなく休暇を過ごすことが可能です。仕事や会社とのつながりを保ちながら休暇を過ごせることで、罪悪感や不安が軽減され、安心して長期休暇を楽しむことができるでしょう。

ワーケーションのデメリット3

ワーケーションのデメリットを3つ紹介します。

オンとオフの切り替えが難しい

ワーケーションのデメリットとして、オンとオフの切り替えが難しいことが挙げられます。オフィス勤務とは違い、自分1人でオンオフの切り替えをしなければならないため、切り替えに苦戦することがあります。

ただし、大手旅行会社のJTBが行ったワーケーションの効果を検証した実験によると、「ワーケーション経験後に仕事とプライベートの切り分けが促進された」という結果もあるため、苦戦するのはワーケーションを開始した直後のみとも言えそうです。

※参考:ワーケーションは従業員の生産性と心身の健康の向上に寄与する ワーケーションの効果検証を目的とした実証実験を実施

社内メンバーの協力や理解が必要

ワーケーションをする上では、社内メンバーの協力や理解が必要です。いくらリモートワークができるといっても、実際にオフィスで顔を合わせるのとは違い、重要な連絡が休暇のタイミングですぐにできなかったり、Wi-Fiの環境が悪くリモート会議が途切れてしまったりと、コミュニケーションにタイムラグができてしまう可能性もあります。

また、オンラインでは対応できないトラブルなどが発生する可能性もあるため、社内メンバーの理解を得てからワーケーションを実施する必要があります。

休暇の定義が曖昧になる

ワーケーションによって、休暇の定義が曖昧になる可能性があります。せっかく有給を取った日に旅行を楽しんでいても、リモートワークが可能な環境にいることで仕事の対応をせざるを得ないことがあります。

休暇中なのに仕事をしないといけないという状況が生まれることから「普通に有給を取得してフルで休めたほうがいいのでは?」という声も上がっています。特にワーケーションが導入された当初は、会社内でのルールが曖昧なこともあるため、ルールが社内で整備されてからの利用がおすすめです。

ワーケーションの最新事例

ワーケーションを導入している企業と、ワーケーションを積極的に受け入れている自治体の事例を2つずつ紹介します。

導入企業の事例

新型コロナウイルスが流行する前から、ワーケーションを導入している企業もあります。ここではワーケーションを導入している企業を2つ紹介します。

日本航(JAL)

JALでは2017年7月からワーケーションを導入。長期休暇期間中に重要な会議が入っても、日程変更の必要がないうえ、休暇期間中にJALが協賛する地域でのイベント参加なども可能になりました。

実際にワーケーションを経験した社員からは、出張後にそのまま旅行をすることで「交通費の節約になった」「移動の日程確保をする必要がなくなった」という声や、「出張先の文化や慣習に触れることで、取引先とスムーズなコミュニケーションが取れるようになった」という称賛の声があがっています。

※参照:JAL「ワークスタイル変革

LASSIC

リモートワークエンジニアに特化したエージェント事業などを手掛けるLASSICでは、海外でのワーケーションも認めています。時差が大きな地域でのワーケーションも可能で、海外でのワーケーションの様子を同社ウェブサイト内で紹介しています。

また、日本各地に拠点を設けており、好きな土地で仕事ができる環境を整えています

※参照:LASSICコラム「海外リモートワーク、やってます-Vol.1

受け入れ先の自治体の事例

ワーケーションを受け入れる自治体も様々な工夫をしています。ここでは、特にワーケーションの受け入れに力を入れている2つの県を紹介します。

和歌山県

和歌山県では、県内でのワーケーションを支援するため、ワーケーション向けにサービスを提供する事業者や団体で、Wakayama Workcation Networksを構築。ワーケーションコンシェルジュが、ワーケーション利用者向けにプランの作成や宿泊施設・アクティビティの手配などをしてくれます。

また、県内各地にワークプレイスとしてコワーキングスペースやカフェを開放するほか、宿泊施設として、ホテルや旅館以外にゲストハウスも提供しています。さらに、和歌山県ならではのアクティビティとして、農業体験や草木染め、パラグライダーなどの体験が可能です。

※参照:Wakayama Workcation Project

長野県

長野県では、信州ならではの開放感あふれるリゾート地に滞在し、休暇を楽しみながら働くスタイルとして信州リゾートテレワーク」を推奨しています。

事前予約なしで利用できるコワーキングスペースを県内各地に設けるほか、宿泊施設にはWi-Fi環境ワーキングスペースを作るなど、働ける環境を整えています。

また、リゾートテレワークの体験会として、実際に長野県内でワーケーションを体験できる機会を用意したり、東京都内で長野県内でのワーケーションについての説明会ワーケーションに興味がある人たちとの交流会なども行っています。

※参照:”信州リゾートテレワーク”のご案内

日本ではまだまだ普及途中のワーケーション。自分に合ったスタイルでワーケーションを実践してみてはいかがでしょうか。

  • HOME
  • 働き方
  • コトバ解説|ワーケーションとは?デメリットや導入企業の事例も紹介