特徴・始め方・デメリットも紹介 ギグワークとは?新しい働き方について解説
最近よく耳にするようになった「ギグワーク」。この記事では、ギグワークとは何なのか、他の働き方とはどう違うのか、メリット・デメリットとともに解説します。
ギグワークとは
「その時だけ」の単発の仕事
ギグワークとは、1~3時間などの短い時間だけ働き、継続した雇用関係のない働き方を指します。
英語の「Gig(=一度だけの演奏や短いセッションを指すスラング)」+「Work(仕事)」を由来とし、例として最近話題のウーバーイーツ配達員などが挙げられます。
ギグワークは「雇用主と労働者」という雇用契約ではなく、あくまで「仕事の発注者と受注者」という業務委託契約のような関係で働きます。よって、アルバイトのように継続して同じ勤務先で働く必要はありません。
また、成果物ではなく、働いた時間に対する報酬をもらう働き方なので、ノルマや納品義務は発生しません。
会社のような特定の組織に属する必要がないことや、職種、時間、人間関係など働く上での自由度が高いことから、多様な働き方の1つとして注目を集めています。
ギグワークの求人例(東京)
データ入力
平日15時~19時
4700円(交通費500円込)
洋菓子店の販売スタッフ
平日10時~14時
4360円(交通費300円込)
会場設営
休日7時~9時
2026円(交通費なし)
居酒屋のホール
休日18時~21時
4700円(交通費500円込)
既存の働き方との違い
ギグワークと似ている働き方として、単発バイト、クラウドソーシング、業務委託などが挙げられます。それらがギグワークとどう違うのか、表をもとに解説します。
単発バイト
ギグワークと単発バイトは「拘束時間」と「契約」が異なります。
ほとんどの単発バイトでは、拘束時間が「1日」など長時間であることが一般的です。
一方、ギグワークでは1日のうちの何時間かだけと、拘束時間が短い傾向があります。
また、多くの単発バイトでは、派遣会社が労働者を雇用し、バイト先に派遣する形態をとっています。派遣会社が労働内容や時間を決めているので、なにかあったときには派遣会社に相談することができます。
一方のギグワークは派遣会社などを通さず、かつ仕事の発注者に雇用されることもありません。よって、トラブルの際には発注者と直接交渉する必要があります。
クラウドソーシング
クラウドソーシングとギグワークの違いは「納品義務の有無」です。
クラウドソーシングでは、企業側は「この仕事をいつまでに」という、業務単位の発注をしています。これを受注者が完成させて納品するまでが仕事です。
一方ギグワークでは「この時間だけ働いて」という時間単位の発注です。成果物を納品できるまで働かなければならないという義務はありません。
業務委託
業務委託とギグワークの違いは「納品義務の有無」「契約期間の長さ」です。
業務委託で仕事を請け負う際は、クラウドソーシングと同じように納品義務が生じます。
また、長期契約となることも多く、パートナーとして深く関わり、貢献し続けなければならない場合もあります。
また、委託元の営業時間に合わせて仕事をする必要があるなど、関係性によっては時間的な制約が生じることがあるという点も、ギグワークとの違いです。
ギグワークのメリット・デメリット
ギグワークのメリット
スキマ時間を活用できる
ギグワークでは丸一日拘束されるわけではなく、自分でいつ何時間働くのか決めることができます。休日の夕方など、少しのスキマ時間でも働けるので、効率よくお金を稼ぐことができます。
初心者でも気軽にできる
ギグワークでは、高度なスキルが要求される仕事より、初心者でもできるような簡単な仕事が多いようです。
ギグワークの求人は、品出しや商品整理、簡単な販売係などの仕事がほとんどで、経験の有無に関わらず気軽に働くことができます。
手軽に収入を増やせる
ギグワークでスキマ時間を活用し少しずつ働くことによって、体力的に無理をせずに収入を増やすことができます。
また、当日または翌日に報酬がもらえることも多いので、急な出費の埋め合わせにも充てられます。
人間関係・ノルマに悩まされない
ギグワークはその時だけの仕事で、それ以上同じところで働かなくていいので、継続的な人間関係に悩まされることはありません。
また、ノルマを課される仕事ではないので、比較的のんびりと働くことができます。
ギグワークのデメリット
何かあっても全て自己責任
ギグワークでは雇用契約が発生しないので、労働関連の法律が適用されません。
そのため、なにかトラブルが起きたり、仕事のキリが悪く時間通り終われなかったときに超過分の報酬がもらえなかったりしても、すべて自己責任として処理されます。
雇用に対する保障がない状態なので、配達員など危険を伴う仕事をする場合、個人的に保険に加入するなどの対策をしておいたほうがいいでしょう。
コラム:実際に起きたトラブル事例
飲食店の宅配サービスを代行するウーバーイーツでは、2018年ごろ、配達員が事故によって損害を受けたときの保障が不十分であることが問題になりました。
当時は配達中の事故による損害でも自己負担とされたり、事故があった申請をすると登録を抹消されたりといったトラブルが発生していたようです。
現在は、2019年10月に設立された配達員の労働組合、ウーバーイーツユニオンの働きかけで、待遇改善に向けた保障の拡充が進んでいるようです。
※出典:連合ダイジェスト|“自由な働き方”に何が起きているのか!?ウーバーイーツ配達員の声
単価が安い仕事が多い
ギグワークには初心者でもできるような、スキル不要の仕事が多く、報酬も都内で平均時給1000円程度と、決して高くはありません。
誰でもできるからこそ、続けても専門的なスキルが身につくわけではないので、将来的に報酬が上がることも考えにくいでしょう。
コラム:ギグワーク先進国アメリカでの議論
ギグワーク先進国のアメリカでは、2000年代後半から「低賃金前提のギグワークを推進することで、低価格化競争が起き、労働者の所得が下がって新たな貧困が生まれるのでは?」という議論が起こっています。
これを受け、カリフォルニア州では2019年9月、ギグワーカーを自営業者と認める条件を厳しくし、原則労働者として扱うことにより、ギグワーカーを保護する法律が成立しました。
※出典:BUSINESS LAWYERS|カリフォルニアで成立した「ギグ・エコノミー」規制法、日本企業への影響は
収入・生活が安定しない
ギグワークは仕事の単価が安く、案件の数がまだまだ少ないのが現状です。
ギグワークがひとつの働き方として浸透しているアメリカでは、すでに法整備が進んでおり安定した職業になりつつあります。
一方、日本では、ギグワークという働き方に馴染みが薄く、法的にも対応しきれていない部分があるので、今はまだギグワークを本業としても安定した暮らしをすることは難しいでしょう。
ギグワークはあくまで副業として、本業を別に持って働くのが現実的です。
ギグワークの始め方
ギグワークを始めたい場合にどうしたらいいのか、ここでは代表的な手段を3つ紹介します(2020年10月時点)。
アプリで探す
タイミー
ギグワーク求人を探せる代表的なアプリはタイミーです。
求人数が多く、北海道から沖縄まで様々な地域での仕事を網羅しています。ただし、平日昼間の求人が多いので、勤務時間帯には注意しましょう。
※参考:タイミー
ウーバーイーツ
ウーバーイーツの配達員もギグワークといえます。スマホで登録するだけで、配達員として好きなときに働くことができます。
配達バッグや自転車などを借りることもできるので、自費で用意しなくても気軽に始められます。
※参考:ウーバーイーツ
スキルシェアサービスを使う
ココナラは、絵が描ける、動画を作れる、デザインができるなど自分の専門的なスキルを販売するスキルシェアサービスです。
イラストなどの成果物を納品するのが基本ですが、高度なスキルを持っている場合「相談」を商品として、コンサル料をもらうことができます。
専門的なスキルを売っているからこそ、時間あたりの賃金が高い傾向があります。
※参考:ココナラ
クラウドソーシングサービスを使う
クラウドソーシングサービスに出ている案件の中にも、ギグワークのような求人があります。
クラウドワークスでは、1件10~50円程度で短いレビューを書く仕事など、納品義務はあるものの一件あたりのウェイトが軽い案件が多数あります。
少しだけ時間が取れそうなときにコツコツやることで、ギグワーク的に稼ぐことができます。
※参考:クラウドワークス
まとめ
ギグワークとは、短い時間でその時だけ働く新しい働き方です。制度や保障など不十分な部分もありますが、うまく活用すれば、手軽に収入を増やすことができます。
始めやすく、自分のペースで続けやすいので、初めての副業にもおすすめです。