実態や対策を紹介 実際、学歴フィルターは当たり前なのか

特定の大学しか説明会に参加できない、ESは通らない、などさまざまな噂が流れる「学歴フィルター」
その実態や大学のタイプ別の傾向を紹介します。また、学歴フィルターを乗り越えるための対策も解説します。

学歴フィルターは当たり前?実態は?

学歴フィルターとは、企業が採用選考をする際、学歴を基準に学生をふるいにかけることです。実際、学歴フィルターを設けている企業は多いのでしょうか?

ターゲット大学がある企業は約4割

学歴フィルターを「選考に学歴が考慮される」という大きな意味で捉えると、学歴フィルターを設ける企業は一定数存在します

HR総研の2017年の調査によると、約4割の企業が採用活動にあたり「ターゲット大学」を設けていることが分かりました。

ターゲット大学とは、企業が重点的に採用したいと考える大学を指します。ターゲットから外れた学生は、どこかのタイミングで学歴フィルターに引っかかり、選考に不利になる可能性があります。

以下は、企業が設ける学歴フィルターの一例です。

<企業が設ける学歴フィルターの例>

  • 会社説明会は大学ごとに人数制限があり、偏差値が高い大学ほど参加できる人数も多い
  • 一定の大学以上の学生にのみリクルーターが付けられる
  • 一定の大学以上でないとエントリーシートが通過しない

学歴フィルターは、会社説明会や書類審査など、選考のさまざまな場面で設けられます。

ちなみに、大企業ほどターゲット大学を設ける割合が高くなっています。

※参考:「「学歴フィルター」をせざるを得ない採用の実情」

企業が学歴フィルターを設ける理由

学歴フィルターは、企業がある程度優秀だと思われる学生に絞って効率的に採用活動を進めるために設けられています。

特に、学生に人気がある有名企業や大企業などは応募者数が多く、全ての応募者を選考対象とするのは現実的に難しいようです。

企業側にも選考活動にかけられる費用や人数、時間に限度があるため、学歴というわかりやすい指標で選考対象を一気に絞る必要があるのです。

学歴フィルターに引っかかる基準や見極め方

就職活動において不利になることもある学歴フィルター。引っかかる基準や見極め方はあるのでしょうか?

偏差値50がボーダーライン

学歴フィルターに引っかかるかどうかは「偏差値50」が大きなボーダーラインと言われています。

あくまで1つの目安ですが、人気企業や大手企業では、偏差値50を切る大学・学部の学生は学歴フィルターに引っかかり、選考で不利になりやすいと言われています。

学歴フィルターの傾向【国公立・G-MARCH・関関同立】

学歴フィルターは、国公立や「G-MARCH」「関関同立」などの大学群によって、実際に引っかかるかどうかの傾向が異なります。

大学郡別に、学歴フィルターの傾向や特徴を見ていきましょう。

国公立

国公立大学の応募者は、「大学入試時点で複数教科においてある程度の学力が認められる」といった理由から、学歴フィルターに引っかかりにくいと言われています。

また、ほとんどの国公立大学はボーダーラインの偏差値50を超えているので、基本的には学歴フィルターに引っかかることは考えにくいでしょう。

ただし、学歴を重視する一部の超エリート企業を受ける場合、国公立の中でも、以下の大学以外は学歴フィルターに引っかかる場合があります。

<超エリート企業の学歴フィルターにも
引っかかりにくい国公立大学>

  • 東京大学
  • 京都大学
  • 一橋大学
  • 東京工業大学
  • その他の旧帝国大学(東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学)

また、地方国公立大学の学生が都市圏の企業に応募する場合も、学歴フィルターに引っかかることがあると言われています。

G-MARCH・関関同立

「G-MARCH」や「関関同立」と言われる私立大学群は、企業の採用ターゲット大学に設定されていることが多く、たいていは学歴フィルターに引っかかりません

<G-MARCH>

  • 学習院大学
  • 明治大学
  • 青山学院大学
  • 立教大学
  • 中央大学
  • 法政大学

<関関同立>

  • 関西大学
  • 関西学院大学
  • 同志社大学
  • 立命館大学

ただし、各業界のトップ企業や超エリート企業に応募する場合、景気悪化により採用人数が減っている場合などは、学歴フィルターに引っかかることもあります。

「G-MARCH」「関関同立」を学歴フィルターのボーダーラインとした場合、これらと同等以上の大学は学歴フィルターに引っかかりにくいと考えられ、「学歴フィルターに引っかからない42校」としてまとめられる場合があります。

<学歴フィルターに引っかからない42校>

旧帝国大学

東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学

その他の国公立大学

一橋大学、筑波大学、東京工業大学、東京外国語大学、お茶の水女子大学、東京医科歯科大学、電気通信大学、首都大学東京、東京農工大学、横浜国立大学、横浜市立大学、埼玉大学、千葉大学、名古屋市立大学、大阪府立大学、大阪市立大学、神戸大学、大阪外国語大学、奈良女子大学

私立大学

早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、東京理科大学、芝浦工業大学、国際基督教大学(ICU)、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学

理系は大学院卒かどうかも重要

理系で研究職志望の場合、学部卒予定の応募者が学歴フィルターに引っかかるケースがあります。

これは、研究職などの専門知識・技術が求められる職種では「大学院を卒業しているかどうか」が重要視される傾向にあるためです。

ちなみに、大学院卒の場合でも「G-MARCH」「関関同立」と同等以上の大学院は、基本的には学歴フィルターに引っかかることはありません。

地方の国公立大学は「学歴フィルターに引っかからない42校」には含まれていませんが、大学院卒の方が学部卒よりも有利に働くことがあるようです。

学歴フィルターの見極め方

自分の大学が応募先企業の学歴フィルターに引っかかるかどうかは、採用サイトや就職四季報などに掲載されている採用実績校を確認することで見極めることができます。

<見極めのポイント>

  1. 自分の出身大学が載っているか
  2. 自分の出身大学と偏差値が同程度の大学が載っているか

企業の採用実績校は採用ターゲット大学と言い換えることができます。

そのため、採用実績校に出身大学の記載がない場合、学歴フィルターに引っかかる恐れがあると予想できます。

ただし「採用実績校=メインのターゲット大学」とは言い切れないので、気にしすぎる必要はないでしょう

例えば、1名しか採用実績のない難関校を掲げることで、難関校の応募者を増やしたい、高学歴の社員が在籍する優秀な会社と認知されたい、といった狙いがある場合も。

こうした企業の場合、採用実績校に載っていない大学の学生でも、学歴フィルターに引っかからない可能性があります。

学歴フィルターに打ち勝つための対策

学歴フィルターを乗り越える、または免れる方法はないのでしょうか?
学歴は変えられないことを前提に、就活を成功させるためのポイントを解説します。

人事や社員に直接会って学歴以外の面を見てもらう

学歴フィルターに引っかかるような学歴でも、企業側に学歴以外のポテンシャルを認めてもらえれば、選考に残れることがあります。

学歴以外に見られるポイントは、礼儀・マナー、コミュニケーション力、問題解決力など、よくある就活のポイントと同様です。

企業が開催するインターンやイベント・セミナーに積極的に参加し、グループワークや質疑応答を通じて、人事や現場の社員に学歴以外のポテンシャルをアピールしましょう。

また、専門性が高い職種であれば業務に関する資格を取得する、といったアピール方法もあります。

適性検査や筆記試験の対策を徹底的に行う

企業によっては優秀な学生を採用するために、大学名だけで判断する学歴フィルターをあえて設けず、適性検査や筆記試験の結果を重視する場合があります。

仮に採用実績校が難関大学ばかりの企業でも、試験の結果次第では選考に残れる可能性があるため、すぐにあきらめてはいけません。

難関大学のライバルたちに負けないよう、試験対策を徹底的に行いましょう

学歴を重視しない企業を受ける

学歴フィルターの影響を受けずに就活するには、人気企業を避けて就職活動をする方法があります。

学歴フィルターは応募者の選別を効率的に行うために設けられるので、膨大な応募がこない企業であれば、学歴フィルターがなかったり、基準が有名企業よりも低かったりします。

人気企業ではなくても、実力がある、将来性を期待できる、といった優良企業はたくさんあります。

例えば、業界のトップシェアを誇る中小企業や、新しい技術・サービスを開発するベンチャー企業などが挙げられるでしょう。

学歴フィルターに左右されないためには、応募先を人気企業に絞らず、広い視点で企業選びをすることが重要です。

まとめ

学歴フィルターは、企業の採用活動において、膨大な応募者の中から効率的に優秀な学生を選考するために設けられています。

採用実績などから自分がフィルターに引っかかりそうかを確認しつつ、学歴フィルターを乗り越えるための対策を行いましょう。

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