退職する前に確認したいポイント 離職証明書とは?
退職前に確認する書類の1つに、離職証明書があります。
離職証明書と離職票の違い、離職証明書に関する手続きの流れ、離職証明書で確認すべきことについて説明します。
離職証明書とは?離職票との違い
離職票を交付するために会社が記入する書類
離職証明書とは、退職者の離職票を交付してもらうために、会社がハローワークに提出する書類です。
離職理由や賃金支払い状況といった記入欄のほとんどを会社が記入しますが、その内容を確認し、本人記入欄を埋める必要があります。記載内容に同意できない場合、異議を示すこともできます。
また、退職後に離職票が必要な場合、会社に離職証明書の発行を依頼しなければなりません。一般的に、退職後の仕事が決まっていない場合、失業給付の申請や健康保険の切り替えなどで離職票が必要になります。
離職証明書の申請方法や記入例など、詳しい内容は「離職証明書に関する手続きの流れ」で説明します。
▼離職票について詳しくはこちら
離職証明書と退職証明書との違い
退職証明書とは、自分が退職したことを証明する書類で、申請すれば会社が発行してくれます。ただし、ハローワークから交付される離職票とは違い、公的な書類ではありません。
退職証明書が必要になるタイミングとしては、
- 転職先の会社から提出を求められた場合
- 健康保険の切り替え手続きで、他に退職日を証明する書類がない場合
が挙げられます。
▼退職証明書について詳しくは
以下に離職証明書、離職票、退職証明書の特徴をまとめました。混同しないよう、各書類の違いを理解しておきましょう。
- 離職証明書:離職票を交付するために会社がハローワークに提出する書類
- 離職票:雇用保険の資格を喪失したことを証明する公的書類(ハローワークが交付)
- 退職証明書:自分が退職したことを証明する書類(会社が発行)
離職証明書に関する手続きの流れ
退職する人が離職証明書に関してやるべきことは、下記の3つのタイミングに分けられます。
- 退職交渉時
- 退職日まで
- 退職後10日~2週間
退職交渉時:離職票が必要であると会社に伝える
退職後に失業給付の申請や各種保険の切り替えで離職票が必要になる人は、上司に「離職票が必要であるため、離職証明書を用意してほしい」と伝えましょう。
会社によっては、退職者の希望がない限り離職証明書の準備をしない場合があります。
同時に「離職証明書を作成したら、記入内容を確認させてほしい」と伝えることが大切です。離職証明書は原則、ハローワークへの提出前に退職者の確認・署名が必要ですが、実際には退職する本人の目を通さなくても提出できてしまいます。
退職後のトラブルを避けるためにも、離職証明書は退職する前に一度確認することをおすすめします。
退職日まで:離職証明書の内容を確認する
退職日までに会社が記入した離職証明書の内容を確認しましょう。
離職証明書は3枚つづりになっていて、このうち退職する人が確認・記入すべきページは2枚目と3枚目です。
離職証明書の確認と記入を済ませたら、会社に提出します。退職後、会社がハローワークに離職証明書を提出します。
離職証明書の記入箇所や内容については「離職証明書で確認すべき項目とは?」で説明しています。
退職後10日~2週間:離職票が届く
会社が提出した離職証明書に問題がなければ、退職後10日~2週間で会社から離職票が届きます。
ただし、記入された離職理由が会社と退職者で大きく異なっていたり、書類に不備があったりした場合は、調査などで2週間以上かかることもあります。
離職証明書で確認すべき項目とは?
ここでは、離職証明書を受け取ったときに確認すべき項目と記入する箇所について、実際の書類を示しながら説明します。画像の紫色の部分は確認すべき項目、オレンジ色の部分は記入する箇所です。
※以下、「雇用保険被保険者離職証明書」をトリミングまたは一部加工しています。
※参考:
雇用保険被保険者資格喪失届_申請書様式|e-GOV
2枚目:会社が記入した賃金額と離職理由を確認
まず、離職証明書の2枚目で会社が書いた賃金額と離職理由が正しいか確認し、署名しましょう。
1:賃金額(書類の12番・14番・15番)
賃金額はハローワークが失業給付金を計算する際に使われるため、もらえる手当の金額が想定外にならないよう、間違いがないかしっかりチェックしましょう(書類の12番)。
賃金額には、賞与が含まれる場合と含まれない場合があります。賞与や決算手当が年4回以上ある場合は賃金額に含まれます。この場合は「賃金に関する特記事項」に賞与の支給日や名称、支給額が記載されます(書類の14番)。
内容を確認し、間違いがない場合は署名または記名押印します(書類の15番)。
2:離職理由(書類の7番・16番)
離職理由によって退職が自己都合か会社都合かが決まり、あわせて失業給付の給付開始時期や給付期間が決定します。
確認すべき事は会社が○をつけた離職理由と、その下に記入された「具体的事情記載欄(事業主用)」です。この両方に間違いがないか確認しましょう(書類の7番)。
確認した上で会社が書いた離職理由が自分の考えるものと違う場合は、まずは会社に訂正を求めましょう。
会社が訂正に応じてくれない場合は、「事業主が○をけた離職理由に異議有り・無し」部分で「有り」に○をつけます(書類の16番)。
3枚目:自分が考える離職理由を記入
離職証明書の3枚目では、自分が考える離職理由を書き、署名をしましょう。
表のうち自分が考える離職理由として最も適当である枠に○を付け、「具体的事情記入欄(離職者用)」の部分に詳細な内容を記入します。
会社側が記入した離職理由に異議がない場合、会社が○をつけた離職理由と同じ項目に○をつけ、「具体的事情記入欄(離職者用)」には「同上」と書きます(書類の7番)。
2枚目と同様、会社が書いた離職理由への「異議有り・無し」に◯をつけ、署名または記名押印します(書類の16番・17番)。
会社と自分で離職理由が大きく異なる場合は、離職証明書がハローワークに提出された後で会社へ調査が入ります。最終的には、調査の内容を受けてハローワークが離職理由を判断します。
まとめ
離職票を交付するために会社が用意する離職証明書。退職する本人が確認・記入する箇所は多くありません。
退職前に内容をしっかり確認して、退職後の手続きをスムーズに済ませましょう。
この記事の監修者
社会保険労務士
三角 達郎
三角社会保険労務士事務所