意味や調べ方を解説 資本金とは何に使われるお金?

会社を調べている時に「資本金」という言葉を見たことはあっても、その意味や役割について詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。資本金の役割や調べ方を解説します。

資本金とは?額が大きいほど優良な大企業?

資本金とは、どんなお金のことでしょうか。また、ホームページなどで情報を公開していない会社の資本金を調べる方法についても紹介します。

会社が設立時に持つ
返済義務のないお金のこと

資本金とは、会社が設立時点で所有している返済義務のないお金のことを指します。設立者本人が用意したポケットマネーだけでなく、株主や投資家から調達したお金も資本金に分類されます。

資本金は、設立時やその後の売上が出るまでの期間で「人を雇う」「商品やサービスの開発に必要な機材を購入する」など、会社を運営するために使われます。

事業に対して株主・投資家から期待されている会社は、それだけ資本金が集まりやすいと言えるでしょう。

「資本金額が大きい=優良企業」ではない

資本金の大きさは、優良企業であることを示している訳ではありません

資本金は、あくまで設立時に所有していたお金というだけで、現在その会社に同じだけの価値があるとは言い切れないからです。

資本金の額が大きくても巨額の負債を抱えている企業もあれば、額が小さい一方でスケールの大きな事業を展開している企業もあります。

一方、資本金の大小は、企業規模を計るわかりやすい指標として、中小企業の定義に使われています。政府が定める中小企業の定義は、以下の通りです。

業種

定義

製造業、建設業、運輸業その他

資本金または出資の総額が3億円以下、もしくは従業員の数が300人以下

卸売業

資本金または出資の総額が1億円以下、もしくは従業員が100人以下

小売業

資本金または出資の総額が5,000万円以下、もしくは従業員が50人以下

サービス業

資本金または出資の総額が5,000万円以下、もしくは従業員が100人以下

大企業に明確な定義はありませんが、下表の条件よりも金額や人数が大きい場合を大企業と考えて良いでしょう。

※参考:「中小企業・小規模企業者の定義」|中小企業庁

過半数の企業が資本金1,000万未満

総務省の2014年調査によると、資本金1,000万円未満の企業は53.7%と過半数を占めています

資本金階級でみた企業数は「300万円~500万円未満」が最多(34.6%)となっており、3,000万円以上は10%にも達していません。

このことは、工場や機械など大きな設備が必要な第一次・第二次産業の割合が減って、小売業やサービス業などの第三次産業の割合が増えているという、日本の産業構造の変化が関係しているでしょう。

【資本金の金額分布のグラフ(資本金階級)】 300万円未満6.20% |300~500万円未満34.60% |500~1000万円未満12.90% |1000~3000万円未満33.00% |3000万円~1億円未満6.80% |1~50億円以上1.70% 過半数の企業が資本金1000万円未満

※資本金不詳の会社もあるため、必ずしも合計値は100%になりません。
※参考:平成26年経済センサス‐基礎調査(確報)結果の概要|総務省統計局

ちなみに、以前は株式会社の設立に最低でも1,000万円の資本金が必要とされていましたが、2006年の新会社法により、現在では1円で株式会社を設立できるようになっています。

資本金は増えたり減ったりする

資本金は会社を設立する時に設定しているお金ですが、経営状況によっては増やしたり減らしたりすることもあります。

ここでは、企業が増資・減資をする目的について解説します。

企業が増資する目的

増資とは、株を新しく発行することで資金調達する方法です。増資する目的は、新しい事業を始める、あるいは既存の事業をより幅広く展開するためです。

新しく増えた資本金は、新商品・新サービスの研究・開発、人材採用・育成、事業所の増設などに使うことができます。

増資には、株主や投資家からのお金で新しい株式を発行する有償増資と、会社の他の資産を新しい株式に替える無償増資があります。

企業が減資する目的

減資は、設定した資本金の額を減らす方法です。企業が減資を行う目的は3つあります。

1株主への配当金を与えるため

株主や投資家に配当金を支払うために、減資が行われることがあります。企業は出資への見返りとして配当金を支払う必要がありますが、業績が悪いと十分な配当金を用意できません。

このようなケースでは配当金を捻出するために、本来は返済義務のない資本金を切り崩すことになります。

2繰り越された赤字を解消するため

これまで積み重ねてきた赤字があると株主や投資家からの心証が悪く、出資を受けにくくなるため、その解消のために減資が行われます。

内部留保として貯めていたお金を切り崩して赤字を清算すれば、また投資をしてもらいやすくなります。

3節税のため

資本金が小さいと法人住民税を安く抑えられるなど、税制上のメリットを受けることができます。

最近の事例では、赤字が立て込んでいたSHARPは2015年、経営再建のために当時1,218億円あった資本金を1億円に減資し、法人税率の軽減を検討していました。

結果としては、大企業としての実態にそぐわないという批判を考慮して、減資は5億円に抑えられました。

資本金ランキング・調べ方

ここでは、2020年の資本金ランキングと、会社の資本金を調べる方法について紹介します。

【2020年版】資本金ランキング

Yahoo!ファイナンスの情報をもとに、資本金額の大きい日本企業20社を紹介します。(※2020年11月時点のランキングです)

※順位:企業名:資本金

  • 1位:日本郵政(株) 3兆5,000億円
  • 1位:(株)ゆうちょ銀行 3兆5,000億円
  • 3位:(株)三井住友フィナンシャルグループ 2兆3,399億円
  • 4位:(株)みずほフィナンシャルグループ 2兆2,5676億円
  • 5位:(株)三菱UFJフィナンシャル・グループ 2兆1,415億円
  • 6位:武田薬品工業(株) 1兆6,681億円
  • 7位:東京電力ホールディングス(株) 1兆4,009億円
  • 8位:(株)NTTドコモ 9,496億円
  • 9位:日本電信電話(株) 9,379億円
  • 10位:ソニー(株) 8,802億円
  • 11位:日産自動社(株) 6,058億円
  • 12位:野村ホールディングス(株) 5,944億円
  • 13位:(株)新生銀行 5,122億円
  • 14位:(株)かんぽ生命保険 5,000億円
  • 15位:関西電力(株) 4,893億円
  • 16位:(株)日立製作所 4,598億円
  • 17位:中部電力(株) 4,307億円
  • 18位:日本製鉄(株) 4,195億円
  • 19位:NEC 3,971億円
  • 20位:トヨタ自動車(株) 3,970億円

一方で、有名かつ企業規模が大きい会社にもかかわらず、資本金額を少なく設定している会社も多くあります。

資本金額をあえて少なくしている理由もあわせて、3社紹介します。

ヨドバシカメラ(資本金3,000万円)

ヨドバシカメラが時間をかけてゆっくりと成長してきた経緯から、事業に必要な額以上の資本金の増額をあえて必要としていない。そもそも資本金の大小による会社の評価は考えていない。

日本マクドナルド(資本金1億円)

資本金の額が小さいと住民税均等割と事業税を安く抑えることができるため、節税できた分のお金を、商品・サービスの価値向上への投資と株主還元に役立てるための利益の最大化にあてている。

セガホールディングス(資本金1億円)

当初は資本金600億円だったが、親会社であるセガサミーホールディングスの資本金(299億円)より多かったことや、グループ会社内で資金を臨機応変に活用できるようにすることを検討した結果、1億円に減資した。

※参考:資本金:株式ランキング – Yahoo!ファイナンス

気になる企業の資本金の調べ方

会社の資本金は基本的に以下の場所で調べられます。

〈上場企業〉

  • Yahoo!ファイナンスの会社情報
  • EDINET(有価証券報告書の閲覧サイト)
  • 企業のホームページのIR情報

〈非上場企業〉

  • 法務局
  • 商工会議所

非上場企業、あるいはホームページを公開していない企業は、全国の法務局で「登記事項証明書」を発行してもらうか、調べたい会社の本社所在地にある商工会議所に問い合わせれば、資本金がわかります。

登記事項証明書は、手数料さえ払えば誰でも発行できます。

資本金から読み取れる企業の意図とは?

企業はなにかしらの背景・目的があって資本金の額を設定しています。ここでは、資本金から見る企業の意図を紹介します。

資本金の大きさは信用性アピール

企業は社会的な信用度を上げるために、資本金をなるべく高く設定していることがあります。資本金の額の大きさは、金融機関からの融資の受けやすさに影響するためです。

金融機関は融資の審査をする時に、滞りなくお金を返済できる経済的余裕があるかどうかの判断基準の一つとして、資本金をチェックしています。

中には、融資の申し込み時に「創業にかかる資金の総額の1/10以上の自己資金が必要」などの条件をつける金融機関もあります。

将来、事業を拡大する狙いがあり、その時にスムーズに融資を受けられるよう、あらかじめ資本金額を大きくしておく企業も少なくありません。

資本金を1,000万円未満に抑えるのは税金対策

会社設立時の資本金を1,000万円未満に抑えているのは節税対策が背景にあります。資本金が1,000万円未満だと、売上にかかる消費税が設立初年度から最大2年間免除されます。

また、会社の利益にかかわらず納付義務のある法人住民税の均等割も最低限で済みます。

資本金1,000万円未満だと、どのくらい節約できるのでしょうか。東京23区内に会社がある場合の法人住民税均等割の金額を、以下の表で紹介します。

資本金の額

従業員数

均等割の額

1,000万円以下

50人以下

7万円

50人より多い

14万円

1,000万円超え~1億円以下

50人以下

18万円

50人より多い

20万円

1億円超え~10億円以下

50人以下

29万円

50人より多い

53万円

10億円超え~50億円以下

50人以下

95万円

50人より多い

229万円

50億円超え

50人以下

121万円

50人より多い

380万円

従業員の人数にもよりますが、1,000万円未満の場合、均等割額は7万円で済みます。また、節税したい企業は売上を貯めるのではなく、資本金額を小さくキープするためにあえて投資して手元にお金を残さないようにする傾向にあります。

これは、売上を内部留保として貯め込むことで、投資家や税務署からの「目」を気にする必要があるからです。

その場合、景気が悪くなった時に持ちこたえられるほどの財力がなく、倒産に追い込まれるというケースもあるのです。

※参考:都民税均等割の税率表 – 東京都主税局

特定事業の許認可を
目的としていることも

事業内容によっては、最低資本金の条件が設定されていることもあります。その場合、企業は条件をクリアした資本金を用意しなければ、事業を始めるための許認可をもらえず、仕事をすることができません。

許認可に一定の資本金が必要な事業は、以下の通りです。

〈必要な最低資本金〉

  • 建設業: 500万円
  • 有料職業紹介事業: 500万円
  • 貸金業: 500万円
  • 一般労働者派遣事業:2,000万円
  • 旅行業: 3,000万円

まとめ

資本金とは、会社が所有している返済義務のないお金を指します。企業は、社会的な信用度や税金対策などを考慮して、資本金を設定しています。

金額が大きければ大きいほど、資金が潤っている会社として信用度が上がりますが、実態を伴っていない場合もあります。

資本金は企業の経営状態を示す一つの指標にはなりますが、それだけで会社の価値を測ることはできません。

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