手取り390万円で結婚すると? 年収500万円生活の実態!
働く若手にとってひとつの目標となるのが年収500万円。実際のところ、その生活や仕事の実態はどのようなものなのでしょうか?
一人暮らし、夫婦や家族での生活や、年収500万円を目指せる仕事について調査しました。
年収500万円の手取りと税金
国税庁の調査によれば、サラリーマンの平均給与は男性全体で563万円・47.1歳となっています(女性全体では314万円・46.9歳)。
年収500万円はミドル世代の男性なら平均的、女性や若い世代にとってはひとつの目標額と言えます。
※参考:国税庁「令和4年分民間給与実態調査」(公表:2023年9月27日、参照:2023年11月6日)
年収500万円の手取りは約400万円
年収500万円では、税金を差し引いて手元に残るお金(手取り)は約390~400万円です。
月給35万円・ボーナス夏冬それぞれ40万円のケースで、独身と扶養家族がいる場合それぞれの手取り額を試算してみました。
独身の場合
独身で扶養家族がいない場合は、所得控除(収入のうち課税されない額)の項目が少なくなります。そのため、このケースの手取り金額は約392万円で年収の78.3%と、扶養家族がいる場合と比べて若干低めになります。
普段の額面月給35万円から手元に残るのは、27万円ほど。ボーナスの手取り金額は夏・冬それぞれ約32万円になります。
税金の内訳と手取り例(概算)
一般企業に勤め協会けんぽに加入している東京都在住のAさん(扶養なし・40歳未満で介護保険2号に非該当)の場合
年収 | 500万円 |
所得税 | 9万9,000円 |
住民税 | 18万9,600円 |
社会保険料 | 75万4,480円
(月給5万3,040円、ボーナス11万8,000円) |
手取り | 391万5,142円円
(月給27万2,910円、ボーナス64万0,222円) |
※ZEIMO「給与手取り額計算」「賞与手取り額計算」を用いて試算(参照日:2023年11月13日)
扶養する家族がいる場合(配偶者、大学生の子ども1人)
働いていない配偶者と大学生の子ども1人がいる年収500万円の人の手取りは、約399万円です。
夫婦とも40代で配偶者控除あり、子どもは19歳(大学生)なので扶養控除の対象になり、所得税が少なくなります。ただし40歳から介護保険料の支払いが始まるため、社会保険料は増加しています。
手取りの割合は79.8%です。
税金の内訳と手取り例(概算)
一般企業に勤め協会けんぽに加入している東京都在住のBさん(扶養親族の人数2名・40歳以上で介護保険2号に該当)の場合
年収 | 500万円 |
所得税 | 5万8,920円 |
住民税 | 12万円 |
社会保険料 | 80万1,072円
(月給5万6,316円、ボーナス12万5,280円) |
手取り | 399万2,454円
(月給27万8,774円、ボーナス64万7,166円) |
※ZEIMO「給与手取り額計算」「賞与手取り額計算」を用いて試算(参照日:2023年11月13日)
上記はあくまで参考であり、住民税の税率は地域によって異なるほか、家族の収入の額(配偶者控除の対象になるか、収入が大きく対象にならないか)などによっても天引き・手取りの額が変わります。手取りを正確に把握するには、給与明細や自治体の情報を確認してみてください。
年収500万円なら年収上位3割に入る
国税庁の「民間給与実態統計調査(令和4年分)」によれば、年収500万円台の人は全労働者のうち10.9%。年収上位3割に入る金額です。
また、男女別で年収500万円「以上」の層がどのくらいいるのかを見てみると、年収500万円以上の男性は約48%、女性は約15%となっており、女性にとって年収500万円はかなり高い部類だということがわかります。
家計に迫る! 年収500万円の生活を大公開
独身で年収500万円のケースと、夫婦で年収500万円のケース、両方の家計をシュミレーションします。こちらを参考に、節約や貯金のポイントを探してみてください。
年収500万円の1カ月の家計簿
都内在住、一人暮らしの30代男性
都内で情報通信業の企業に勤める男性の家計簿を見てみましょう。月給は35万円、ボーナスは年80万円です。一人暮らしのためある程度余裕があり、現在付き合っている彼女との結婚を見越してしっかり貯蓄も心がけています。
地方都市在住の夫婦(子どもを希望している)
地方都市在住の夫婦(20代)で、夫の片働き家庭の家計簿を見てみましょう。独身男性のパターンと同じく、月給は35万円、ボーナスは年80万円です。
子どもを希望しているため現在妻は働いておらず、引っ越しや出産を想定し節約しています。
マイホームは2,260万円まで
片働きで年収500万円、将来子どもを持つことを希望する夫婦の場合、家を買う費用は2,260万円程度が安心です。借入額と、月々の返済額からシミュレーションしました。
まず、年収500万円の場合、いくらまで借りることができるのでしょうか。
年収500万円、金利1.96%、返済期間30年の場合、借入可能額は3,966万円です。しかしこの金額目一杯で借りると、返済は月々14万6,000円、総返済額は5,249万円にもなってしまいます(2023年11月時点)。そのため、将来子どもが生まれることなども考えると、収入が大幅に上がっていかなければ生活を圧迫してしまいます。
今度は毎月の返済額を決めて考えてみましょう。
不動産サイト「スーモ」の購入可能額シミュレーションによると、月々の返済額6万円、頭金400万円、金利1.5%、ボーナスからの返済が毎回5万円、返済期間30年で購入できる家の金額は、2,379万円です(※2020年11月時点)。30年以上のローンを組むなら返済期間中に退職する年齢にならないか、という点に注意しましょう。
頭金が大きいほど借入可能額が大きくなりますが、一気に貯金を消費したうえに返済期間が長くなるのは家計には痛手です。年齢と返済期間を考慮してローンを検討しつつ、家庭の出費が少ないうちに貯金に励みましょう。
マイカーは200万円程度まで
車は年収の3分の1~多くても半分程度の額で購入するのが無難です。また、家族が病気になるなど何かあったときでも、車や住宅ローンの返済によって家計が赤字にならないような余裕をもった計画を立てることも大切です。
例えば250万円の車を全額ローンで購入する場合、金利3%・返済期間5年で月々の返済額は約3万8,000円、ボーナスがある月は約8万円になります。子どもが生まれたタイミングで購入した場合、小学校入学までに支払いを終えられると、教育費や習い事の出費を減らさずにすみます。
「どうしても大きい車が必要!」という方以外は、総排気量1L以下でエコカー減税対象の車種を選ぶと、税金が安くなり維持費も節約できます。
大学まででいくら? 教育費シミュレーション
文部科学省の調査などに基づき、子育ての大きな割合を占める教育費の目安(最低ライン/学校外活動費を除く)を2パターンご紹介します。
※参考:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」(公表:2022年12月21日、参照:2023年11月13日)
※参考:法令提供データシステム「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」(公表:2016年10月1日、参照:2023年11月13日)
※参考:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
幼稚園から大学までかかるトータルの教育費は、全て公立・国立だったとしても最低487.2万円。中学までは公立で、高校と大学は私立に通った場合の目安は835.7万円になります。この金額に加えて、制服や教材費、部活動や習い事などの費用もかかります。
さらに、高校生や大学生は交通費もかかります。もし子どもに一人暮らしをさせた場合は、学費のほかに年間で少なくとも100万円程度上乗せされます(初期費用20~30万円、仕送り月5~8万円の場合)。奨学金で月3~5万円程度カバーしても、年間50万円程度の支出は必要です。
子どもが生まれてから中学校に入学するまでの12年間に、800万円の貯金を目指すとなると、月々約5万5,000円を貯める必要があります。子どもの出費が大きくなる年齢までに、貯金をしたり学資保険に加入したりするなどの対策を取ってみてはいかがでしょうか。
年収500万円を目指せる仕事って?
社会人1年目の年収は200~300万円台の人が多いですが、将来年収500万を稼げる可能性はあるのでしょうか? 厚生労働省のデータをもとに、年収500万超えが叶う職種を調査しました。
男女ともに平均年収500万円以上の職種
まずは男女ともに年収500万円以上を目指せる職種を、年収ランキング順にご紹介します。厚生労働省の調査を元に試算した平均年収が、500万円以上の職種をピックアップしました。なお、こちらで紹介している年収は男女計であり、千円以下の金額は四捨五入しています。
500万円以上稼げる職種・年収ランキングベスト15
※参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」(公表:2023年3月17日、参照:2023年11月14日)
1位は航空機操縦士(パイロット)で、2位以下には医師、大学教授など、高度な訓練や専門資格を取得するための勉強が必要な職業が並んでいます。また、航空機操縦士や医師、記者は深夜労働があるなど、働き方にも年収が高くなる要素があると言えます。
男性のみ平均年収500万円以上の職種
上記の職種に加えて、男性だけ平均年収500万円以上の職種もあります。男性で稼げる仕事を探したい際には、以下を参考にしてみてください。
※参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」 (公表:2023年3月17日、参照:2023年11月14日)
まとめ
年収500万円は、しっかりと貯金をしつつ、住宅や車、子育てなどの計画を立てていける金額です。この記事をライフプランを考える一助にしてみてください。
この記事の監修者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。