課税についても解説 出張手当の相場ランキング【国内・海外】
多くの場合、出張手当でもらえる金額は役職や出張先との距離などによって異なります。出張手当の相場や、気になる疑問点などについて詳しく解説します。
出張手当とは?
まずは、出張手当の定義と支給される目的について説明します。
出張時に支払われる手当のこと
出張手当とは、出張する社員に支払われる手当のことを指します。会社によって支給額は異なり、出張先との距離や行くまでにかかる時間、役職によって金額が決まることが一般的です。
※出典:2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査|産労総合研究所
出張手当は、出張する社員の精神的・肉体的負担へのねぎらいのため、または出張時にかかる食費やお土産にかかる雑費などの代金をまかなうために支給されています。
会社に支給の義務はないものの、2019年の調査では、84.2%の会社が日帰りの出張で出張手当を支給しています。
出張手当と出張経費の違い
出張手当と出張経費の違いは、出張の際に必ず掛かるお金かどうかです。
出張経費は交通費や駐車代・宿泊費など、出張する上で必ずかかるお金を指し、実際にかかった費用を後から精算する形で支給されます。
対して出張手当は、食費や雑費のあてにするねぎらいのお金。事前にどのくらいかかるか計算しにくく、経費として認められにくいため、一定の金額が支給されます。
ただし、両者の定義は法律で定められているわけではなく、線引きは曖昧。どこまでが出張手当・出張経費にあたるのかは企業によります。
出張手当の相場【日帰り・宿泊・海外】
国内の日帰り出張・宿泊出張と海外出張、それぞれの出張手当の相場を紹介します。出張手当の支給額の相場を役職ごとにまとめると、下記のようになります。
※出典:2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査|産労総合研究所
出張先別に、それぞれ詳しく見ていきましょう。
国内日帰り|一般社員の出張手当は2,094円
国内での日帰りの出張手当の相場は、下記の通りです。
役職が上がると、その分出張手当の支給額も高くなる傾向があります。2019年の調査によると、日帰り出張で出張手当が支給される企業は84.2%です。
国内・宿泊|一般社員の出張手当は2,355円
国内での宿泊時の出張手当の相場は、下記の通りです(1日あたりの日当)。日帰りと同様、職位の高さに比例して支給額が高くなっています。
宿泊が発生する国内出張の場合、91.2%の会社が出張手当を支給しており、日帰り出張よりも支給する会社の割合が多いことがわかります。
宿泊を伴う出張は拘束時間が長く、身体・精神的な疲労が大きくなったり、食費が多くかかったりするためです。
海外・宿泊|一般社員の出張手当は4,913円
海外に出張した場合、地域ごとの出張手当の相場は以下の通りです(1日あたりの日当)。
海外出張は拘束時間が長くなることから、出張手当の金額も全体的に高くなります。
ただし、地域によって出張手当の支給額に大きな差が出るわけではありません。どの地域でも1日あたり5,000円前後の出張手当が支給されています。
出張手当に関するQ&A
ここでは、出張手当にまつわる2つの疑問にお答えします。
出張手当は課税対象になる?
出張手当は、企業規模や役職に対して合理的な金額の範囲内であれば非課税対象になります。社会保険料などもかからないため、出張手当として支給されたお金はそのまま手取りになります。
金額が合理的かどうかは、国税庁が規定している2つのポイントで判断されます。
- 役員・従業員の間での支給額のバランスが取れているかどうか
- 支給額が同業種・同規模の会社と比べて、一般的な支給金額に照らして相当と認められるかどうか
また、出張経費にあたる交通費や宿泊費などは、出張した本人が立て替えた後で会社に精算してもらうお金であるため、すべて非課税対象となります。
出張手当の余ったお金は会社に返すべき?
出張手当は原則、使わずに残ったお金を会社に返す必要はありません。
出張手当はどのくらいかかるかあらかじめ計算できないような、こまごまとした支出のために一定額を支給される手当のため、実費精算は不要になります。
そのため、たとえ出張時にかかったお金が手当よりも少なかったとしても、会社側から返金は求められることもないでしょう。
まとめ
出張手当とは、出張経費以外にかかる、食費や雑費などのために充てられた手当のことをいいます。
出張手当は多くの会社で導入されている制度とはいえ、法律で定められている手当ではありません。会社ごとに出張手当の有無や規定は異なるので、詳しくは勤め先の就業規則などを確認しましょう。
(文:転職Hacks編集部)
この記事の監修者
特定社会保険労務士
成澤 紀美
社会保険労務士法人スマイング
社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT関連企業。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」を展開。