画像でわかりやすく解説 失業認定申告書の書き方
雇用保険受給者説明会でもらえる「失業認定申告書」。
1章では各欄の書き方、2章では自由記述で悩む人が多い「求職活動」の書き方をわかりやすく解説します。
失業認定申告書とは
…失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取るために、賃金が発生する労働や求職活動の状況を記入する書類のこと。ハローワークに提出後、失業保険の受給期間や給付額が決まります。
※紛失してしまった場合は、ハローワークインターネットサービス上に掲載されている用紙を印刷するか、居住地を管轄するハローワークにある用紙を使いましょう。
失業認定報告書の書き方|6項目で完成
失業認定申告書の欄1~6の書き方を順番に解説します。
黒のボールペンもしくは万年筆で書きましょう。
間違えてしまった場合は、二重線を引き自分の名字訂正印を押す、もしくは自筆で自分の名字を書き、その近くに正しい内容を記入してください。
※虚偽の申告や嘘の求職活動の実績を記入した場合、雇用保険給付調査官による事実確認の上、不正受給処分を受けることになります。必ず正しい内容を書いてください。
欄1:賃金の発生する労働の有無
1の「失業の認定を受けようとする期間中に、就職、就労又は内職・手伝いをしましたか。」は、受給期間中に賃金が発生した労働の有無と、その日付を記入する欄です。
少しでも賃金が発生するような活動をした場合は「ア.した」に◯を、まったくしていない場合は「イ.しない」に◯をつけます。
スケジュール表はどう書けばいい?
「ア.した」に◯をつけた人は、就職または就労をした日に◯を、内職または手伝いをした日には×をつけてください。
基本的に1日4時間以上の労働は「就職または就労」、1日4時間未満の労働は「内職または手伝い」になります。詳しい違いは下記のとおりです。
「就職または就労」に当てはまるのは?
- 1日4時間以上の賃金が発生する労働をした場合
- 雇用保険の被保険者となる場合(勤務時間が週20時間以上あり、31日以上雇用される見込みがある場合)
→採用された日に◯をつけ、欄5も記入する
…くわしい書き方はこちら - 会社の役員に就任した場合(労働時間は問わない)
※就職または就労した日は、基本手当が給付されません
「内職または手伝い」に当てはまるのは?
- 1日4時間未満の賃金が発生する労働をした場合
- 1日4時間以上の賃金が発生する労働した場合かつ、収入額が1日あたりの賃金日額の最低額(2,295円)以下の場合(2024年8月現在)
※収入額によっては、支給される基本手当が減額される可能性があります
1回目の失業認定日に提出する失業認定申告書には、雇用保険受給者説明会かあるいは1回目の失業認定日の前日までの状況を書いてください。2回目以降は、前回の失業認定日から今回の失業認定日の前日までです。
自己都合退職の場合、給付制限があることで、スケジュール表が2カ月分だと足りないことも。その場合は、裏面にあるスケジュール表を使うか、失業認定申告書をもう一枚用意し、書ききれなかった月のスケジュールを書いて2枚提出するようにしましょう。
欄2:内職・手伝いの賃金・日数
2の「内職又は手伝いをして収入を得た人は、収入があった日、その額(何日分か)などを記入してください。」には、
欄1で「ア.した」に◯をつけた人のうち、内職もしくは手伝いをした人
→謝礼などを受け取った日と収入額、またそれが何日分のものなのかもあわせて書きましょう。
例)時給1,004円(全国平均)の労働を4時間した日が6日間あり、4月5日に賃金の支払いがあった場合
収入のあった日 4月5日 |
収入額 24,096円 |
何日分の収入か 6日分 |
欄1で「ア.した」に◯をつけた人のうち、内職もしくは手伝いはしていない人(=就職または就労のみした人)
欄1で「イ.しない」に◯をつけた人
→どちらの場合も空欄でOKです。
欄3:求職活動について
3の「失業の認定を受けようとする期間中に、求職活動をしましたか。」は、求職活動の有無とその内容を記入する欄です。
求職活動をした場合は「ア」、していない場合は「イ」に◯をつけましょう。
求職活動として認められるのは、以下のような活動です。求人を見ただけ、資格の勉強をしただけでは実績にならないので、注意しましょう。
【求職活動の例】
- 雇用保険受給説明会への出席
- ハローワークでの職業相談、講座やセミナーへの参加
- 転職フェアなど民間の転職イベント・セミナーへの参加
- 企業の求人への応募
- 資格試験の受験
ア:求職活動をした場合
求職活動をした場合(1)には求職活動の方法、(2)には応募した求人の情報を記入します。
自己都合退職、会社都合退職ともに、1回目の失業認定日までに求職活動の実績が1回あれば失業手当を受け取れます。「雇用保険受給者説明会」への参加も、実績として数えることができます。
雇用保険受給者説明会(初回講習)に出席した場合
求職活動の内容…雇用保険受給者説明会に参加
1回以上の求職活動の実績を書く場合と、2回目の失業認定日に出す失業認定申告書を書く場合のくわしい書き方は、2章の「5つの状況別|求職活動の書き方」で解説します。
イ:求職活動をしていない場合
特別な理由があって求職活動をしていない場合は、その理由を簡潔に書きましょう。
新型コロナウイルス感染症(感染や予防、感染拡大の影響により子どもの養育が必要になったなど)により、求職活動ができなかった場合は、理由を書く欄に「新型コロナウイルス感染症拡大により」と記入してください。
欄4:仕事紹介について
4の「公共職業安定所又は地方運輸局から自分に適した仕事が紹介されれば、すぐに応じられますか。」は、ハローワークが失業保険を給付すべき対象なのか確認するため、就業の可否を記入する欄です。
基本的には「ア.応じられる」に◯をつければOKです。
◯をつけたからと言って、すぐに仕事が紹介され、否応なしに働かなければならない訳ではないので安心してください。
すぐに働けない理由がある場合は「イ.応じられない」に◯をつけた上で、その理由に当てはまる理由を以下の「ア~オ」から1つ選び、◯をつけてください。
- (ア) 病気や怪我などの健康上の理由
- (イ) 個人的又は家庭的事情のため(例:結婚準備、妊娠、家事の都合のため)
- (ウ) 就職したため又は就職予定があるため
- (エ) 自営業を開始したため又は自営業の開始予定があるため
- (オ) その他
理由によっては、すぐに失業給付金が受け取れなかったり、受給期間が延長されたりする可能性があるので、ハローワークの窓口で直接相談しましょう。
欄5:就職・自営業の予定について
5の「就職もしくは自営した人又はその予定がある人が記入してください。」は、就職先が決まったことと、就職先の詳細を記入する欄です。
就職先が決まっていなければ、未記入でOKです。
就職先が決まった、もしくは自営業をすると決めた場合は「ア.就職」「イ.自営」のどちらかに◯をつけます。
加えて、応募手段について(1)(2)(3)のいずれか当てはまるものに◯をつけ、就職・自営業開始日を書きましょう。
あわせて、就職先もしくは自営業の
- 事業所名(=会社名)
- 所在地(=住所)
- 電話番号
を記入します。
就職または自営業を始めることが決まった場合でも、入社日(就職日)までの日数分は失業保険を受け取ることができます。
入社日の前日にハローワークに行き、受給手続きをしてください。給付制限中であれば、入社日の前日でなくてもOKです。
入社日が次の失業認定日より後の場合は?
入社日が決まっているが、次の失業認定日よりも後である場合は、欄5は空欄のままで提出し、窓口で再就職先が決まったことを伝えましょう。
次の失業認定申告書を提出する際に、欄5に就職先を記入して提出してください。
欄6:署名・支給番号
最後の署名欄には、この失業認定申告書を提出する失業認定日の日付、自分の名前と雇用保険受給資格者証に書かれている支給番号を書きます。
名前の横に忘れずに捺印してください。
5つの状況別|求職活動の書き方
3の「失業の認定を受けようとする期間中に、求職活動をしましたか。」の書き方を、状況別に解説します。
求職活動の方法から当てはまるものを選び、利用内容に応じて「求職活動」欄を記入します。状況別に詳しく見ていきましょう。
ハローワークを利用した場合
ハローワークを利用した場合は「(ア)公共職業安定所又は地方運輸局による職業相談、職業紹介等」に◯をつけます。
職業相談をした
求職活動の内容…職業相談
セミナーに参加した
求職活動の内容…就職支援セミナーに参加
職業訓練相談をした
求職活動の内容…職業訓練について相談
紹介された会社の面接を受けた
求職活動の内容…職業紹介⇒4/25に面接済み・選考中(株式会社〇〇〇〇)
紹介された会社の面接を辞退した
求職活動の内容…職業紹介⇒4/25に面接済み。希望に合わず辞退(株式会社〇〇〇〇)
就職支援サイトを利用した場合
リクナビやdodaなどの就職支援サイトを利用した場合は、「(イ)職業紹介事業者による職業相談、職業紹介等」に◯をつけます。
就職支援サイトの企業説明会に参加した
求職活動の内容…IT企業説明会に参加
求人に応募した場合は?
求人に応募した場合は「(2)(1)の求職活動以外で、事業所の求人に応募したことがある場合には、下欄に記載してください。」に詳細を書きます。
求人に応募したが、結果が来ていない
応募の結果…応募済み。選考結果待ち
応募した求人の面接を受け、結果が来ていない
応募の結果…4/25に面接済み。選考結果待ち
応募した求人の面接を辞退した
応募の結果…4/25に面接済み。希望に合わず辞退
求人に応募または面接をしたが、不採用だった
応募の結果…不採用通知あり
派遣会社に登録した場合
派遣会社に登録した場合は「(ウ)派遣元事業主による派遣就業相談等」に◯をつけます。
求職活動の内容…派遣就業相談
案件に応募した場合は?
派遣会社に登録後、求人や案件に応募した場合は「(2)(1)の求職活動以外で、事業所の求人に応募したことがある場合には、下欄に記載してください。」に詳細を書きます。
応募の結果…選考結果待ち
※派遣会社が持つ求人は、案件ごとに「お仕事No.(ナンバー)」が付与されています。事業所名に書く派遣会社の企業名とは別に、派遣先企業を示すために必要なので忘れずに記入しましょう。
ジョブカフェなどを利用した場合
ジョブカフェやサポステなど、都道府県管轄の公的機関を利用した場合「(エ)公的機関等による職業相談、職業紹介等」に◯をつけます。
専門家に職業相談をした
求職活動の内容…就職支援アドバイザーによる職業相談
セミナーやグループワークに参加した
求職活動の内容…面接対策講座に参加
国家資格や検定を受験した場合
失業期間中に試験や検定を受験した場合、「求職活動の方法」の(ア)~(エ)には◯をつけず、「活動日」に受験日、「求職活動の内容」に資格名を記入します。「利用した機関の名称」は空欄のままでOKです。
求職活動の内容…TOEIC Listening & Reading Testを受験、日商簿記検定3級を受験
※資格のための受験勉強は、求職活動として数えることができません
失業認定申告書を記入したあとは…?
記入した失業認定申告書は、失業認定申告書の左下に書かれた失業認定日・該当する時間に、ハローワークの窓口で提出してください。
実際に受け取れる失業保険の金額や日数は、提出した失業認定申告書の内容も鑑みて決められます。1回目の失業認定日以降も4週間に1度、失業認定日のたびに失業認定申告書を提出します。
失業認定申告書の書き方がわからない場合や失業認定申告書の記入以外に不安なことがある場合は、居住地を管轄するハローワークで直接相談するようにしましょう。
電話または対話形式のチャットボットにて相談する場合は→厚生労働省|ハローワークコールセンター・チャットボットのご案内
この記事の監修者
社会保険労務士
山本 征太郎
山本社会保険労務士事務所東京オフィス
静岡県出身、早稲田大学社会科学部卒業。東京都の大手社会保険労務士事務所に約6年間勤務。退所後に板橋区で約3年開業し、2021年渋谷区代々木に移転。若手社労士ならではのレスポンスの早さと、相手の立場に立った分かりやすい説明が好評。様々な業種・規模の会社と顧問契約を結び、主に人事労務相談、給与計算、雇用保険助成金などの業務を行う。