ちょっとしたことが命運を分ける 転職に成功する人と失敗する人の9つの違い
世の中には転職に失敗する人と成功する人がいます。スムーズに転職活動を勝ち抜き、待遇や環境・仕事内容ともに満足できる職場に入社できる人は、そうでない人と比べて一体何が違うのでしょう?
人材サービスを行う(株)クイックが転職経験者をリサーチして分かった、転職に成功する人に共通する9つのポイントをご紹介します。
成功する人は、転職活動を退職前に行う
~失敗する人は、退職してから転職活動を行う~
一見、会社を辞めてから転職活動をスタートした方が落ち着いて活動ができそうに思えますが、実際は仕事を続けながら転職活動をした方が有利になることが多い傾向に。それは、仕事を続けていた方が、追い詰められることがないからです。
会社を辞めて無職となった人には、月々の生活を支えるために雇用保険の失業給付金が支給されます。
ですが、現在の制度では、自己都合で退職した場合、2ヶ月間は失業給付金を受け取れず、収入ゼロの状態が続くことになります。
加えて、社会保険が国民健康保険と国民年金に切り替わることで毎月の負担が増。転職活動が長期化するほど、貯金がどんどん減ってゆき、焦りから目先の企業への入社を決めようとしがちになります。
その点、働きながら転職活動をしていれば、お金の心配は不要。
じっくり時間をかけて、良い求人が出るのを待つこともできます。働いていると面接に行けないのではないか、と不安になりますが、多くの場合、応募した企業に事情を話せば、就業時間後の面接をセッティングしてくれるはずです。
成功する人は、転職する理由が明確
~失敗する人は、なぜ退職するのか理由が曖昧~
退職理由とは、現職に対する不満の中でも、特に我慢できなかったこと。退職する決意に繋がった事柄です。
“自分が何を我慢できないのか”は、転職に成功する人ほどハッキリ理解しています。なぜなら、退職理由は次の職場を選ぶ際の重要な判断基準になるからです。
自分にとって理想的な職場へ確実に転職するためにも、まずは退職理由を明確にして、『最低でもこんな職場は選ばない』という基準を持っておきましょう。
職場を変えればつい何でも解決されるような気になってしまいますが、例えば待遇や環境など他の良い点に気を取られ、気付かず前職と同じ不満を持つような職場を選んでしまうことも実際にはよくあることなのです。
こんな理由で転職するのは危険!?
残業が多いから、経営者と考え方が合わないから、仕事内容に不満があるから、給料が低いから……内容は人それぞれですが、退職理由自体に、良いも悪いもありません。
ただし、「会社の評価に納得できない」という不満から転職を考えるケースなど、転職支援のプロから見ると「その退職理由は危険」と感じるケースもあるといいます。下記の記事ではそうした3つの「危険な退職理由」を紹介しています。
成功する人は、「必ず叶えたい条件」を叶える
~失敗する人は、必ず叶えたいはずのことをなおざりにする~
転職に成功する人は、『最低でもこんな職場は選ばない』という消極的な基準だけでなく、積極的に職場を選ぶための軸となる『必ず叶えたい条件』も明確にすることを怠りません。
転職活動を始めると、あれもこれも、と色んな希望が出てくるもの。その中でも、叶えなければいけない理由がはっきりしているものが、『必ず叶えたい条件』に該当します。
必ず叶えたい条件の例
- 年収450万円以上(家のローン返済と生活維持のため最低でもこの額が必要)
- 残業月60時間以内(前職では残業が多くて体調を崩してしまったため)
- IT業界(スキルアップとキャリア形成のため、IT業界がマスト)
必ず叶えたい条件は、一度決めたら転職活動が終わるまで、絶対にブレさせたり、変えたりしないこと。
叶えなければいけない理由がある以上、妥協しての転職はあとで自分が後悔するだけです。
ただでさえ求人を探していると、綺麗なオフィスやユニークな福利厚生がある会社など、予想もしていなかった条件に目移りしてしまいがち。次々に現れる魅惑的な求人に気を取られて、転職本来の目的を妥協してしまうことになりかねません。
成功する人は、妥協点を決めている
~失敗する人は、何をあきらめるべきかわかっていない~
叶えたい希望の中には、『必ず叶えたい条件』までは理由がハッキリしていない、なんとなく叶えたい希望もあるでしょう。転職に成功する人は、求人を探し始める前に、それらの希望を『できれば叶えたい条件』と定義して、転職先を選ぶ際の判断基準の一つにしています。
できれば叶えたい条件の例
- 上場企業
- プロジェクトリーダーになれる
- 通勤1時間以内
『できれば叶えたい条件』とは、言い換えると、いざというときには『あきらめてもよい条件』です。希望する条件すべてが叶う職場が見つかれば良いですが、そうもいかない場合は何かしら条件をあきらめる必要が出てきます。
その際は『できれば叶えたい条件』からあきらめるようにし、『必ず叶えたい条件』は絶対に譲らないことがポイントです。
必ず叶えたい条件
- 年収450万円以上(家のローン返済と生活維持のため最低でもこの額が必要)
- 残業月60時間以内(前職では残業が多くて体調を崩してしまったため)
- IT業界(スキルアップとキャリア形成のため、IT専門業界がマスト)
できれば叶えたい条件(=いざというときはあきらめる)
- 上場企業
- プロジェクトリーダーのポジション
- 通勤1時間以内
このように、必ず叶えたいmustの条件と、いざというときにあきらめてもよいbetterの条件をハッキリさせておくだけでも、確実に理想的な転職が実現しやすくなります。
年収は妥協してもいい!?
上の例のように、必ず叶えたい条件として「年収」をあげる人は少なくありません。ですが、多くの転職希望者と面接した元リクルートの採用責任者によると、特に20代の転職を成功させるには年収にこだわってはいけないそうです。
なぜ年収にこだわるべきではないのか、下記の記事ではその理由と転職を成功させるための妥協点の見極め方を紹介しています。
成功する人は、応募企業を1社に絞らない
~失敗する人は、応募する企業を1つに絞りがち~
転職の際、応募する求人は一社に絞るべきではありません。行きたい会社が明確な人ほど、同時に複数の企業に興味は持ちにくいものですが、“本命の会社”がはっきりしているほど、応募企業は二社・三社と増やした方が無難です。
理由は、本命の企業の面接を受ける前に、他の会社で面接に慣れるため。どんなに対話力が優れている人も、初回の面接から本来の自分を出し切れることはまれ。第一志望の企業の面接を受ける前に、まずは面接というものに慣れておくことが肝心です。
また、会社によって合格率は異なるものの、一般的に、最初の関門である書類選考の通過率は25%程度、その後の一次面接通過率も25%程度と言われています。内定の出る確率が決して高くないことを加味しても、できるだけ複数の企業に応募しておいた方が良いでしょう。
成功する人は、面接直前にトイレに寄る
~失敗する人は、ギリギリに到着し、そのまま面接企業の受付に行く~
転職に成功する人は、待ち合わせ時間の30分近く前に、面接会場の近くに到着しています。そしてそのまま企業受付には行かず、少し離れた場所にある、人目に付きにくそうなトイレへ。
理由は、身だしなみの最終チェックを行うためです。
鏡を見て、髪型や服装の乱れがないかチェックする
人間の第一印象を決めるのは、55%以上が外見だと言われています(メラビアンの法則)。髪型は整っているか、服装にだらしない部分はないか、顔や服にゴミが付いていないか、靴は汚れていないかも念入りに確認します。
口臭をチェックする
面接は密室の中で顔を付き合わせて行われるため、口臭が相手に伝わりやすいです。ふだん口臭がない人も緊張していると臭いが出やすいため、知らずしらずのうちに悪印象を持たれたり、健康状態に不安を与えている場合が。少しでも臭いが気になった場合は、歯磨きをしてから面接へ向かいましょう。くれぐれも面接前に煙草やコーヒーをたしなまないように。
この他にも、応募書類(のコピー)をもう一度読み返しておくのも手です。これは、面接で志望動機を尋ねられたとき、履歴書や職務経歴書に書いた内容と矛盾しないようにするため。もし企業に付くまでチャンスがなかった場合は、人目に付かないトイレがチャンスです。
面接時間ギリギリの到着を目指すのは、遅刻はもちろん、髪型や服装の乱れ、心の準備不足など…リスクの温床です。トイレに寄ることを前提に30分早く行動する。たったこれだけで、面接で不利になる要素が減り、内定がグッと近づくでしょう。
成功する人は、会う人全員を面接官だと思っている
~失敗する人は、面接中だけ気を引き締める~
受付や案内の人、すれ違う社員たち、あるいはビルの1階にいる人々も…。転職に成功する人は、面接会場にいる全ての人を面接官だと思って行動しています。面接中だけでなく、会場に着いてから去るまでの間、ずっと礼儀正しく、にこやかにふるまっているのです。
これは、どんなに面接官の前で完璧に振る舞っていたとしても、面接官以外の人から「さっき面接に来ていた人、受付でとても態度が悪かった」ということが伝わってしまったら、評価は一気に下がってしまうためです。
面接官だけでなく、それ以外の人にも“見られている”という意識を持ち、受付の人には礼儀正しく、すれ違う面接会場の人にも挨拶を、そして面接官を待つ間も姿勢に気をつけておくことが大切です。
成功する人は、内定承諾前に給料について確認する
~失敗する人は、給料の内容を確認せず内定承諾してしまう~
転職に成功する人の多くは、内定後、内定承諾前に給料を詳しくチェックします。
よほどお金に関心がない人は別として、「転職後に思ったより給与がもらえない…」という事態が発生したら困りもの。そのため、入社を決める前には必ず正確な給与額を確かめておきたいものですが、内定時に企業側から提示される書類を見ただけでは不十分。残業代や各種手当てを含むかどうかで、実際の支給額が大きく変わる可能性があるからです。
採用内定通知時の給与額の表記例
例えばこの2つでは、どちらの方が実際にもらえる額が多いでしょうか。どちらも残業が少ない職場であれば、あらかじめ残業代が含まれている「基本給28万円※みなし労働制」の方が高給与になりそうですが、ある程度残業が見込まれる場合は?
基本給24万円で、時間外手当が全額支給される場合の給与イメージ
- 月40時間残業した場合…月給31万5000円(残業代75,000円)
- 月100時間残業した場合…月給42万7500円(残業代187,500円)
※就業時間を1日8時間・月20日として、1時間あたりの基本給の25%増を時間外手当として計算
もし残業が日常的に発生する職場で、仮に残業代が全額支給されるとしたら、実際の支給額はかなり高額になります。
逆にみなし労働制であっても、特定の残業時間を超えたら別途残業代が支給される場合もあるため、給与の詳しい内訳の確認は必須。
さらに、もし聞けそうな雰囲気であれば、実残業時間がどのくらいかも合わせて聞いておくと、よりイメージしやすいでしょう(残業時間までは聞きづらい場合は、企業口コミサイト等でわかる場合がありますのでチェックしてみるとよいでしょう)。
せっかく内定をもらったのに、正確な給与額を知らずに入社先を選ぶのはリスキーです。
複数の会社から内定を得ていた場合、「知らず知らずのうちに給与が高い方を蹴って、給与が安い方の内定を承諾していた」という可能性もあり得ます。そうなれば、これまでの努力が水の泡。
たった1本、担当者に電話かメールをするだけです。内定後なら合否に響く心配もほとんどありません。取り返しの付かない失敗を招かないよう、給与額の確認は必ず行いましょう。
成功する人は、複数の転職手段を利用する
~失敗する人は、特定の求人サイトなど一つの手段しか使わない~
転職に成功する人の多くに共通して言えるのは、必ず複数の手段であまさず求人をチェックしていること。
ハローワークだけでなく、大型の求人サイト、さらには人材紹介会社のサイトもチェックしています。
大型の求人サイトといえば、『リクナビNEXT』や『マイナビ転職』が有名ですが、採用を行う企業がお金を払って求人を掲載する“求人広告サイト”のため、掲載されている求人はごく一部です。より効率的に求人を収集するなら、『Indeed』(インディード)という求人検索エンジンがおすすめです。
コラム:Indeedは、ネット上のあらゆるサイトの求人をチェックできる
Indeed は『リクナビNEXT』や『マイナビ転職』『ハローワーク』を含む数千サイトの求人を、一括で検索することができる、求人に特化した検索エンジン。
一般的 な求人サイトほど詳しい検索はできないものの、ネットに出ている求人のほぼ全てを取得できる。利用料は無料です。
職種や勤務地などの条件を設定しておけば、新しい求人が出たタイミングでメールを受け取れるため、効率的な情報収集も可能です。
一方、ネットで見られる求人は一部に過ぎないということも、転職成功者たちは理解しています。
競合他社への配慮から秘密裏に募集を行う企業、まだ公に募集をスタートしていない企業、求人広告を使わずに採用活動を行う企業など、ネットにない求人は、『非公開求人』という名前で、人材紹介会社に集まっています。
転職に成功する人が人材紹介会社もチェックするのは、このためです。
コラム:人材紹介会社は、ネットに載っていない様々な求人をチェックできる
人材紹介会社は、ネットに載っていない多くの求人をチェックできる、唯一の手段。
コンサルタントが転職を支援してくれる有人のサービスで、あらかじめ希望する条件を伝えておくことで、合致する求人を探して送ってくれます。
その他、履歴書や面接のサポートもしてくれる上、面接の日程も調整してくれるため、働きながら転職する場合は 利用メリットが多いでしょう。また、利用料は無料です。
転職エージェントを使いこなすには?
転職したい人の強い味方になってくれる転職エージェントですが、希望と違う求人を紹介されたときはハッキリ断る、希望する業界や業種に強い会社を選ぶなど、うまく使いこなすにはいくつかのポイントがあります。
自分に合った良い転職エージェントを見きわめて転職を成功させるためのポイントを下記の記事でまとめました。
まとめ
以上が転職に成功する人に共通する傾向です。ひとつひとつを見ていけば、案外、誰にでもできる小さなことばかりだということがわかりますね。
「とはいえ、いきなり全部を実践するのは大変そう…」と感じたとしても、まずは1つ実践してみるだけで、きっと違った結果が出てくるはず。これから転職を考えている人は、是非できそうな部分から、転職活動に取り入れてみて下さい。