文系でもできる仕事はあるのか 自然に関わる仕事まとめ

自然に関わる仕事に就きたいと思ったとき、具体的にどんな職種があるのか、文系出身でもできる仕事があるのかなど、気になりますよね。

具体的な職種に加え、文系出身者でも自然に関わる仕事に就く方法や、就職に必要な資格について解説します。

分野別|自然に関わる仕事とは?

自然に関わる仕事を自然を観察・保護する」「動植物と触れ合う」「自然の恵みを生かして生産するの大きく3つに分けて、それぞれ具体的な職種や仕事に就く方法を紹介します。

なお、この章で紹介する職種で働くためには、基本的に大学・専門学校の入試試験や講義などで理系科目を選択していることが必須となっています。

 自然を観察・保護する

自然と関わる仕事の一つに、自然を観察・保護するものが挙げられます。具体的には、自然保護官環境アセスメント調査員気象予報士樹木医などの職種が該当します。

<自然保護官>

環境省の国家公務員で、別名はレンジャー。

国立公園の管理や外来種対策、野生鳥獣の保護、ペット動物の愛護、エコツーリズムといった自然との触れ合い事業の推進業務を担当している。

▼どうやってなる?

国家公務員採用試験に合格し、自然系技官として環境省に入省する。採用試験のうち、一次試験の基礎能力試験では文理は関係ない。

専門試験では農学・林学などの理系科目の知識が必要になるが、独学の文系出身者でも合格したケースはある。二次試験では記述試験と面接が行われる。

<環境アセスメント調査員>

道路工事やダム建設などの大規模な地域開発が行われる前に、開発予定地を訪れて環境への影響を調査・予測し、評価する

自然環境をくまなく把握するために、季節ごとに現場を訪問したり、夜間調査を行ったりすることもある。

▼どうやってなる?

大学や専門学校で地理学や土木工学、環境学などを専攻し、環境調査会社や環境問題に関わる研究所などの採用試験を受けて就職する。

必須の資格はないが、公害防止管理者の資格を持っていると就職時に有利である。

<気象予報士>

気象庁から提供されるデータやアメダスの観測データなどをもとに、天気を予想する

テレビ局で働く場合は、天気予報の原稿作成も担うことがある。職場はメディア関係だけでなく、気象会社やシンクタンク、研究所など多岐にわたる。

▼どうやってなる?

気象予報士試験に合格後、名簿に登録して、気象予報士の採用枠を設けている職場に就職する。気象予報士試験は誰でも受験可能。

しかし試験に合格するには、気象に関する専門知識や、観測データを応用する能力が必要になる。

<樹木医>

さまざまな木の病気を治療する、樹木の医者

公園や庭に生えている一般の木々に限らず、天然記念物やご神木などの特別な樹木も治療の対象である。木々が病気にならないよう予防対策の指導を行ったり、落枝・倒木を防ぐための維持管理業務を担当したりもする。

▼どうやってなる?

一般財団法人日本緑化センターが実施する樹木医研修を受講し、資格試験に合格して樹木医として登録する。

樹木医の研修を受けるには、樹木の保護・育成に関わる7年以上の業務経験、または大学在籍時に樹木学や病虫学の単位を取得した人に与えられる「樹木医補」の資格取得後に、1年以上の業務経験が必要。

動植物と触れ合う

動物や植物と触れ合う仕事も、自然に関わる仕事の一つです。具体的な職種には、動物園の飼育スタッフ庭園設計士フラワーコーディネーター獣医などがあります。

<動物園飼育スタッフ>

動物園で餌やりや飼育小屋の清掃、動物たちの健康管理などを行う。また、動物の生態を生かした展示方法を考え、来園者に動物の魅力を伝えることも業務の一つである。

▼どうやってなる?

公立動物園の場合は公務員試験に、私立動物園の場合は採用試験に合格して飼育スタッフになる。

試験を受けるために必須の資格はないが、動物に関連する大学・専門学校で学んだ経験や、愛玩動物飼養管理士や飼育技師、獣医師、学芸員の資格があると就職に役立つ。

<庭園設計士>

個人の庭園や公共の緑地・公園などを、顧客の要望や予算、条件に合わせて設計する

また、設計に合わせて土壌の状態を改良したり、工事現場を指揮・監督したりもする。

▼どうやってなる?

庭園設計会社や建築会社に庭園設計士として就職する。

就職する際に特定の学歴・資格は必要ないが、多くの場合は大学や専門学校で土木や建築、造園、園芸などの基礎知識を学んでから仕事に就く

公共施設の設計を行う場合は、国家資格である造園技術士造園施工管理技士の資格を持っている必要がある。

<フラワーコーディネーター>

顧客の依頼を受けて、オフィスやホテル、パーティー会場などに飾る花の組み合わせを考案する

また、展示する花の管理や手入れ作業、配送も行う。花の特徴を生かしつつ、顧客の趣向や予算に合わせて空間を演出することが求められる。

▼どうやってなる?

多くの場合、専門学校やフラワーコーディネート教室に通い、花の知識を身につけて花屋やホテル、結婚式場に就職する。しかし、植物に関する知識や花を組み合わせるセンスがあれば、特定の学歴・資格は必要ない。

<獣医>

獣医とは、動物の疾病の治療や予防を職業としている動物の医者

勤務先次第で仕事内容が変わり、動物病院で犬猫を治療するだけでなく、家畜動物の診療や食肉の安全検査を行ったり、動物園で生活する動物の健康管理を担当したりする。

▼どうやってなる?

獣医系大学で6年間学んだ後に獣医師国家試験に合格し、農林水産大臣が交付する獣医師免許を取得する。免許取得後のキャリアはさまざまで、独立して病院を開院したり、公務員として動物園・水族館に勤務したりする。

自然の恵みを生かして生産する

野菜や海産物、森林など、自然の恵みを生かして生産につなげる仕事も、自然に関わる仕事です。具体的な職種には、農家酪農家養殖業従事者林業従事者などが挙げられます。

<農家>

米や野菜、果物や花木などの農作物を販売する商品として生産する職業

農家の生計の立て方には、農業を中心に生計を立てる専業農家と、農業以外の仕事も並行して行う兼業農家の2パターンがある。また働き方も、個人事業主として開業するか、農業法人に就職するかで分かれる。

▼どうやってなる?

多くの場合は大学や専門学校で農業について学び、農業法人や企業の農業機関に就職する。

その後、資金を貯めて個人事業主として開業する人もいる。農家になるために必要な資格や学歴はない。しかし、販売できる農作物を生産するには農作物の特徴や気候、土や肥料に関する知識・経験が求められる。

<酪農家>

酪農家は、主に乳牛を飼育して乳製品の原料になる生乳を生産する職業

牛やヤギなどの搾乳・世話だけでなく、乳牛の飼料となる牧草の生産や、チーズなどの乳製品の生産も手がけることもある。

▼どうやってなる?

一般的には自治体の運営する研修施設や農業大学校、もしくは農学科や酪農科がある大学に通って知識を身に付けた後に、酪農を営む牧場に就職したり自分で牧場を経営したりする。しかし、学歴や資格は必須ではない。

<養殖業従事者>

魚介類を市場へ安定的に供給するために、稚魚や貝類、海藻類などを飼育する

養殖方法は、水槽を使って育てる陸上養殖と、海にいけすを作って育てる海上養殖に分かれる。いずれの場合も、餌やりや施設の点検・維持、魚の品質管理、出荷の調整などが日常の作業になる。

▼どうやってなる?

大学や専門学校で水産学や生物学について学び、水産会社や漁業協同組合に就職するのが一般的。必須の資格はない。経験を積んで区画漁業権を手に入れれば独立も可能。

<林業従事者>

森林で商業用に木を育て、伐採・加工を行って木材として出荷する仕事

適切なタイミングで枝を落としたり周辺の木を刈ったりして木の成長をサポートする。木々の過剰な伐採は自然環境に影響を及ぼすため、森林の整備や保全の役割も担っている。

▼どうやってなる?

一般的には林業関係の森林組合に入ったり、林業を行う会社に就職したり、自営業で行っている林業従事者の下で働いたりする

必要な資格はない。林野庁では、未経験でも林業に携われるように研修や就職を支援する事業も行われている。

※林野庁の事業について詳しくは→新たな森林・林業の担い手を応援!『緑の雇用』ウェブサイト RINGYOU.NET

自然に関わる仕事は文系でもできる?

自然に関わる仕事は、生物学や農学など理系の知識を必要とするものが基本ですが、文系でもできる仕事はあるのでしょうか?

環境問題に取り組む組織なら、
文系でも活躍できる

自然保護活動といった環境問題や、酪農などの農林水産事業に取り組む企業・団体などであれば、文系出身者でも就職可能です。研究・開発職は理系採用ですが、事務職・営業職は文理問わず採用が行われているためです

例えば国際環境NGOに事務職として所属すると、環境問題に対する取り組みは地球規模で条約が定められているため、各国の社会情勢や法律の知識といった文系の知識が重視されることがあります。

文系出身者が環境問題に関わる企業・団体に所属するには、環境問題に対する問題意識や熱意をアピールすることが大切です。

自然に関わることができる文系の仕事

自然に関わる仕事で文系出身者でも就職可能な仕事には、環境コンサルタントネイチャーガイドライター・雑誌編集者などがあります。

<文系出身者でもできる自然に関わる仕事>

環境コンサルタント

地球環境に配慮し、リサイクルを追及したコンサルティング提案を行う仕事

就職先は環境コンサルティング会社や都市開発会社、建設会社、デベロッパーなど。各自治体が環境政策を行う際に調査・分析した上で対策の立案をすることが多い。

ネイチャーガイド

山や川、海などのアウトドアフィールドで、安全に楽しく遊ぶための企画や案内をする仕事

就職先は主に自然保護団体。各自治体の観光局や旅行会社に頼まれて仕事をすることが多い。

ライター・雑誌編集者

自然・環境に関する情報を取材し、テキストとして世の中に発信する。就職先は自然・環境系事業を取り扱う企業・団体や出版社。

資格を取れば文系でも自然に関われる理系職種3選

自然に関わる仕事のうち、文系出身者でも勉強して資格を取得することで就職可能な理系職種もあります。

具体的には、ビオトープ管理士インタープリター環境再生医などです。これらの職種に就くことができれば、文系出身でも仕事として自然や環境について分析したり、自然保護活動に携わったりすることができます。

<ビオトープ管理士>

ビオトープ管理士は、地域の野生の生き物たちが生息・生育する空間「ビオトープ」を保護し、再生、創出する仕事。造園会社や土木会社などの企業か、環境省などの中央省庁や地方自治体に所属して働く。

人間と自然が共存しながら長く安定的に暮らせるような地域計画・都市計画の策定に貢献することができる。

資格試験には、生物学(高校~大学レベル)もあるが、環境関連の法律・条約やまちづくり論などの科目・小論文もあるため、文系でも問題なく取得できる。

難易度(合格率):2級 58%、1級 33%
試験日程:9月
受験料:2級 7,200円 1級 1万3,000円

<インタープリター>

インタープリターは、自然公園でツアーガイドや体験型プログラムを行う仕事。別名で自然解説員。人々に自然環境への理解を深めてもらうことが仕事の目的である。

インタープリターになるのに必須の資格はないが、自然に関する知識や野外活動のスキルなどを示す資格を持っていると、就職で有利になることがある。

勤め先は、環境教育を行う専門団体やエコツアー会社、地方自治体など。具体的な資格は下記で解説する。

▼自然体験活動指導者

キャンプや農業漁業体験などの自然体験活動に参加し、活動の狙いに沿って参加者の支援を行うための資格。18時間の養成講習を受け、認定試験に合格すると資格取得できる。

登録料:5,000円(学生は3,000円)

※自然体験活動指導者について詳しくは→NEAL|全国体験活動指導者認定委員会 自然体験活動部会

▼キャンプインストラクター

ソロのキャンパーや団体が参加するキャンププログラムで、参加者に指導を行うための資格。全国にある課程認定団体が実施する20時間の講習を受け、試験に合格すると資格を取得できる。

受験料:1,100円(インストラクターとして登録するには別途で14,200円かかる)

※キャンプインストラクターについて詳しくは→キャンプインストラクター | 日本キャンプ協会

▼森林インストラクター

森林を利用する一般の人に、森林や林業に関する知識を伝えたり、森林内での野外活動を指導したりするための資格。

一般社団法人全国森林レクリエーション協会が実施する筆記試験を通過した後、実技試験・面接に合格すると取得できる。

受験料(筆記試験):18,000円

※森林インストラクターについて詳しくは→森林インストラクターを目指す人|一般社団法人 日本森林インストラクター協会

<環境再生医>

環境再生医は、深刻化する環境問題を解決するために、持続可能な社会づくりを推進する仕事。企業や教育機関、公共機関などの環境部門に所属して活動する。

市民活動や企業での環境経営など、持続可能な社会づくりに取り組んできた実績が2年以上あれば講習会を受講できる。講習会後の試験に合格すれば資格が手に入る。

受講料(初級の場合):15,000円

※環境再生医について詳しくは→環境再生医とは |認定NPO法人 自然環境復元協会

まとめ

自然に関わる仕事は主に、大きく3つの分野「自然を観察・保護する」「動植物と触れ合う」「自然の恵みを生かして生産する」に分かれます。

多くの場合、就職可能な職種は理系・文系で分かれているため、自分の経験や興味に合った仕事を探してみましょう。

 

  • HOME
  • 転職の前に
  • 自然に関わる仕事まとめ|文系でもできる仕事はあるのか