990点保有者に聞いてみた TOEICハイスコアを取る4つの条件
キャリアアップしたい、英語を使う仕事に就きたいといった目的でTOEICを受験する人は多くいます。
でも、忙しい社会人や就活生が短期間で目標スコアを獲得するには、やみくもに学習するのではなく効果的な学習のコツを知っておく必要があります。
TOEICでハイスコアを取る人は、どんな姿勢・方法で学習しているのでしょうか。英語コーチングスクールのコーチで、TOEIC990点を保有する有馬龍太郎さんにお話を伺いました。
Q.ハイスコアを取る人に共通する4つの条件とは?
有馬龍太郎さん(以下、有馬):私はコーチとして多くの受験者を見てきましたが、TOEICでハイスコアを取る人にはいくつかの共通点があります。
これらは、ハイスコアを取る人の条件と言えるもので、具体的には次の4つです。
1強い目的意識を持っている
2分析力がある
3実行力がある
4継続力がある
まず、ハイスコアを取る人の多くは強い目的意識を持っています。ただハイスコアを取りたいというだけでなく、何のためにTOEICのスコアが必要なのかが明確になっている人は、スコアを短期間で伸ばせる傾向にあります。
2つ目の分析力とは、自分の弱点や出題傾向など現状を把握して課題を見つけ出す力。3つ目の実行力とは、課題を解決してスコアを伸ばすための対策を実行していく力、いわばPDCAを回していく力です。そして最後の継続力は、時間のない中でも結果を出すまでやり抜く力のことです。
私はコーチとして多くの受講生を見てきましたが、目標に向かってPDCAを回し続けられる人が、着実にスコアを伸ばすことができる人だと言えるでしょう。
Q.ハイスコアを取る人のモチベーションアップ法は?
有馬:ハイスコアを確実に取る人は、強烈な内発的動機を持っています。内発的動機とは、自分の内面から沸き起こる意欲や強い目的意識のこと。この内発的動機が強いからこそ、ハイスコアを取るまでモチベーションを保ち続けられるんです。
仕事でも、ただ売り上げを上げたいと考えている人よりも、「自分が売っている商品やサービスでお客さんをハッピーにしたい。社会を豊かにしたい」という思いを持っている人のほうが、高い成果を出しているはずです。
英語学習でも同じことが言えます。単にハイスコアを取ることを目的にするのではなく、「海外でこういう仕事がしたい」「あの大学院でこういう研究を進めたい」など、ハイスコアを取ってどうしたいのか、その先にある目的をしっかり言語化できている人は強いと思います。
もちろん、「昇進や海外赴任の条件としてハイスコアを獲得しなければならない」「就職や大学院進学のためにハイスコアが必要」といった外発的動機もモチベーションになります。ですが、それに加えて内発的動機を持っていたほうが、高いモチベーションを保てるはずです。
Q.ハイスコアを取る人は伸び悩んだ時にどうしてる?
有馬:ハイスコアを取る人は伸び悩んだとき、しっかり自己分析して課題を把握し、解決策を着実に実行しています。つまり、スコアを伸ばせる人には、必ず分析力と実行力が備わっているのです。
上でも簡単に説明しましたが、分析力とは、自分の弱点や出題傾向など現状を把握した上で課題を発見し、解決策を考える力のこと。苦手なことにも向き合わなければ、分析力を身につけることはできません。
実行力とは、課題解決能力のこと。課題解決のために何をするのか、対策を決めたら具体的に実行していく力です。
私が担当する英語コーチングスクールのクラスでは、受講者に週15〜25時間の自宅学習をしてもらっています。そして、毎回その週に取り組む学習内容を決めて、次回のセッションでその内容が定着しているかテストしています。
その際、優秀な人はただ問題を解いたり、知識を詰め込んだりするのではなく、自分の弱点がどこにあるのか、弱点を克服するために何をすべきかをしっかり分析しています。さらに、グループセッションでコーチや他の受講者からのフィードバックを受けて改善策を考え、それを実行に移しています。
実はハイスコアを目指す上で、もともとの能力の差はあまり関係ありません。適切な勉強をすればハイスコアは獲得できます。ですが、ほとんどの人は学習の過程で課題を抱えてつまづいてしまいます。
その時に、分析力と実行力を発揮する人が伸びていくんです。ビジネスと同様、英語学習でもPDCAを回していける人が結果を出していることは間違いありません。
Q.ハイスコアを取る人はどうやって学習を習慣化する?
有馬:先ほどあげた「内発的動機」をしっかり持つことが学習の継続につながるのはもちろんです。ですが、やる気に頼らずとも自動的に学習してしまうくらいのレベルまで習慣化することも、ハイスコア獲得のためには欠かせません。
習慣化のコツは、いきなり高いハードルを設定しないこと。最初の1歩をできるだけ小さくすることです。
実際にTOEICでハイスコアをとる人たちは、働きながらも時間を捻出し、1日2時間は勉強している人がほとんどです。でも学習を始めたばかりの人が、いきなり1日2時間の勉強を続けるのは難しい。その高いハードルにつまづいてしまうでしょう。
ですから、最初はじっと机に3分間向かっているだけでもいいんです。勉強しなくても、ただ座っているだけで問題ありません。そして、その時間を徐々に伸ばして慣らしていくことです。そうすれば、自然と机に向かうことが習慣化されていくはずです。
また、学習を継続していくためには、同じ目標を持った仲間を作ることも欠かせません。なぜなら、自分一人の意思で頑張るのはなかなか難しいからです。
仲間がいれば、ほどよいプレッシャーや競争意識が働くため、必然的に継続できるようになります。勉強管理のアプリなどもありますので、それを活用して仲間と状況を報告しあったりすると、より継続につながると思います。
自分に合った学習法を見つけるには?
有馬:脳科学的には、感情(やる気)は行動した後からついていくるといわれています。ですから、まずは行動することが大切です。最初の一歩を踏み出してしまえば、自分に合った学習法が見つかるはずです。
そして、一度身につけた学習法は、たとえば税理士や公認会計士といった他の資格試験にも応用できます。学習することで、仕事の幅や視野が広がったり、自分の新たな可能性に気づいたり、英語力以外にも得るものがたくさんあるはずです。
まずは最初の一歩を踏み出してみてください。
取材・文/藤田佳奈美(@yakou_chuu_)
この記事の話を聞いた人
英語&中国語コーチングスクール「プレゼンス」コーチ
有馬龍太郎
TOEIC900点コースを中心にクラスの運営やマーケティング業務を担当。限られた時間の中で効率的に学習し、最大の効果を引き出すコーチングを行っている。TOEIC 990点満点保有。