部下を休ませない上司はクソ 「休むのも仕事」が正しい本当の理由

休むのも仕事のうち」とは言うものの、「休みが取りづらい」「上司に有給を申請しづらい」という人は多くいます。

でも、営業部長として多くの部下をマネジメントしているブロガーのフミコフミオさんによると、「休むことが上司や同僚など自分の周りの人のためになる」のだとか。その本当の理由を綴っていただきました。

正直、部下が休んでくれたほうがありがたい

「休みが取りにくい」「有給申請しづらい」。会社員であれば、多かれ少なかれ誰もがそう感じているのではないだろうか。そのようなみなさんに、管理職として働く僕が言いたいのは「休みづらいと感じても、休みたいと思ったら休んでしまおう」ということだ。

身も蓋もないことを言うようだけど、管理職としては無理して休まずに働いてもらうよりも、休みたいときに休んでもらって、長く働いてもらったほうが助かるのだ。無理して心身を消耗することで、休職や退職ということになったほうが、人員の補充やノウハウの継承、それからコストの面でずっと痛い。

そうは言っても、「仕事が忙しいから無理」という人もいるだろう。

でも、忙しいからというだけでなく、いざ休みを取ろうとした時に「周りが働いている中で自分だけ休むのは気がひける」といった理由で躊躇してしまった経験は、誰にでもあるのではないか。言うなれば、上司や周りの目を気にしたり、忙しい職場の空気を読んだりして、何となく休めないという状態だ。

「休みづらい」という気持ちの正体

僕がまだ20代だった頃のこと。大型案件のプレゼンを前にチーム全員で残業して案件獲得に取り組んでいる中、上司が「あとはよろしく」とばかりに有給を取ったことがある。僕は思わず「こんな時に休むなんて」と批判してしまったのだが、そのために今度は自分が有給の申請をしづらくなってしまった。

その時に僕が思ったのは、「周りが働いているのに自分だけ休めない」というのは、「自分が働いているのに休みやがって…」という気持ちの裏返しではないかということだ。少なくとも僕はそうだった。

それに、令和の時代になっても、多くの人は「休まずに働くことは正しいことであり、評価されるべきことだ」と心のどこかで思っているはずだ。だから、休みを取るときにはうっすらと悪いことをしてるような気になる。

有給休暇は労働者に与えられた権利で、その権利を行使することは間違っていない。それが理屈ではわかっていても、つい負い目を感じてしまうのだ。

そんな負い目から逃げるために、僕自身、若い頃は「休みたいけど忙しくて休めないよ」と言い訳をしていた。同じように言い訳してしまう人は少なくないことだろう。そんな言い訳が必要なくなり、僕らが何の負い目も感じずに休みを取れる日は来るのだろうか?

令和に残る、「休み」にまつわる悪しき風習

結論から言ってしまえば、残念ながら休むことに対する負い目や罪悪感はそう簡単にはなくならない。なぜなら、「休まず働くことは評価されるべきことだ」という共通認識は、これまでの歴史の積み重ねから構築されていて、簡単に消えることはないからだ。

たとえば、かつてバブルと言われた頃、「24時間働けますか」というキャッチコピーが大流行したことがあった。まさに「休まず働くことがカッコいい」と思われていた時代だったのだ。僕(1974年生まれ)はバブルがはじけた直後に社会人になったのだが、今、企業の上層部にいる人たちの多くは、若い頃に「24時間働くことが偉い」という価値観を刷り込まれた世代だろう。

だから「自分の時間を大切にしながら働く」という考え方が当たり前になったこの令和の時代にも、大変な思いをして長時間働くことを評価する風潮が一部でしぶとく生き残っている。そういう上層部がいる会社であれば、なんとなく休みにくい空気があったり、上司が休みを取ることに理解がなかったりしてもおかしくない。

そんな環境で働いていれば、休むことに負い目を感じるようになってしまうのは当然だ。身も蓋もないことを言えば、今の社会で休みを取ることに対する負い目や罪悪感のようなものはなくならない。社会が変わるには、まだしばらくの時間が必要なのだ。

「休みたい」と思ったら負い目を感じても休めばいい

考えてみよう。周囲に気を使って休むのをやめたとしても「休まないでくれてありがとう」と感謝されるだろうか。いや、されない。それどころか、有休を取ってもせいぜい「こんなときに休みやがって」と少々憎まれて陰口をたたかれるくらいですんでしまう。

逆に、繁忙期で猫の手も借りたい時期に同僚が休んだら、「こんなときに休みやがって…」とムカつくかもしれないが、顔を合わせればまた何もなかったように一緒に仕事をするはずだ。

おたがいさまなのである。持つべきものはギブ&テイク精神。自分が休みを取って迷惑をかける分、周りも休みを取って迷惑をかけている。それをギブ&テイクと考えれば、仲間の休みを受け入れられるようになるし、自分が休む時の罪の意識も軽減される。同僚が休んだ時にフォローするのも、自分が休んだ時に同僚がフォローしてくれるのも、お互いの仕事と割り切ればいい。

休みたいと思ったら、周りを気にせずに休もう。負い目を感じながら休めるだけ休めばいい。一人ひとりがそういう意識を持つだけで社会は少しずつ変わっていく。すべての会社員が有給休暇を使い切るくらい積極的に休むことが当たり前になったら、「休まず長時間働くことが偉い」なんて価値観はひっくり返るはずだ。

職業人生というマラソンを完走するために

職業人生は長い。過酷なマラソンのようなものだ。僕は25年ほど会社員をやっているけれど、まだまだゴールは見えない。同僚の中には心身を壊してしまう者もいた。僕も、体調不良で短期間だが休職したことがある。

職業人生というマラソンを完走するためには、休みを取りながら適切なペースで走り続けることが必要になる。そして、休みながらペースを守って走りぬくことが自分のためだけでなく、家族や恋人、同僚など自分に関わるすべての人たちにとってプラスになるのだ。

大事なことなのでもう一度言う。管理職としては無理をして心身を壊されるより、休みたい時に休んで長く働いてもらったほうがありがたい。「アホな上司を助けてやってる」くらいの意識をもって、どんどん有給休暇を取得しよう。

この記事の執筆者

フミコフミオ

海辺の町で働く不惑の会社員。普通の人の働き方や飲食業や給食について日々考えている。現在の立場は営業部長。90年代末からWeb日記で恥を綴り続けて20年弱、主戦場は、はてなブログ。

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