子育て、住宅…いくらかかる? 20代で知っておきたいお金のこと

「お金のことで困らない人生を送りたい」と、誰もが一度は思ったことがあるはず。そのためには、これからの人生で必要なお金について、できるだけ早く知っておくことが大切です。

そこで、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、「20代のうちに知っておきたいお金のこと」を教えてもらいました。

Q.結婚、子育て…いつ、どんなお金が必要になりますか?

まず、20代〜40代の各年代で、いつ、どんなお金が必要になるか見てみましょう。

年代ごとに必要になるお金例。20代:結婚する場合、結婚費用が必要に。出産する場合出産費用がかかる。30代:住宅を購入する場合、頭金の準備が必要。住宅ローンの返済もはじまる。子供の入園、入学で教育費がかかり始める。40代:子どもの進学で教育費の負担が増える。大学進学のタイミングで負担がピークに。老後資金の準備を開始する。

また、20代がこれから迎えるライフイベントにかかる費用の目安は次の通りです。

主なライフイベントにかかる費用の目安。結婚費用:約363万円。挙式・披露宴・ウェデイングパーティーでかかった費用※ゼクシィ「結婚トレンド調査2020」より。出産費用:約51万円。入院費・分娩費、検査など出産費用の総額。※公益社団法人国民健康保険中央会「出産費用平成28年度」より。教育資金:約819万円。子どもひとりあたりの総額(幼稚園から大学まで国公立の場合)※文部科学省「平成30年度こどもの学習費調査」日本学生支援機構「平成30年度学区制生活調査結果」より推計。住宅資金:約3494万円。住宅の平均購入価格。建売住宅で3494万円。マンションで4521万円。※住宅金融支援機構「2019年度フラット35利用者調査」より

これらのうち「住宅資金」「教育資金」「老後資金」は、「人生の三大資金」と言われています。大きなお金が必要ですが、必要になる時期はある程度決まっているので、計画的に準備しておくといいでしょう。

Q.もっともお金がかかるライフイベントは?

上で説明した通り、もっともお金がかかるのは「住宅資金」「教育資金」「老後資金」です。それぞれについて見てみましょう。

住宅資金

住宅資金とは、主に住宅購入にかかる費用です。「2020年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)で住宅購入価格を見ると、全国平均でマンションは4,500万円程度建売住宅なら3,500万円程度となっています。また、住宅を購入する年齢は、30代が最も多くなっています。

ほとんどの人は、30年とか35年といった長期間の住宅ローンを組んで、住宅を購入しています。そこで、返済期間35年で住宅ローンを組んで3,500万円の建売住宅を購入した場合、毎月いくらの返済額になるのかシミュレーションしてみましょう。

前提条件:・住宅ローンの借入額は3500万円。・借入期間は35年間、借入金利は1.3%(全期間固定金利)。・ボーナス払いは利用しないものとする。毎月の返済額:10万4000円。総返済額:4359万円。※利用する住宅ローンは「フラット35」を想定。菓子入れ金利は2021年8月の最頻金利1.280%から1.3%を設定。

このシミュレーションでは、毎月の返済額は約10万4,000円となりました。たとえば30歳で住宅ローンを組んだ場合、65歳まで返済が続くことになります。ただし、返済を繰り上げて行うこともできますし、借り入れる金額や、金利、借入期間によって返済金額は変わってきます。

※参考|ローンシミュレーション(【フラット35】)

また、頭金を用意すれば、その分だけ借入額が減るので返済額を減らせます。住宅を購入するのであれば、子どもの教育費がかからないうちに、できるだけ頭金を貯めておくこともひとつの選択肢です。なるべく早めに、将来の家族構成や住みたい家のイメージを具体的にしておくといいかもしれません。

教育資金

教育資金とは子どもにかかる教育費のことです。一般的に、子ども1人にかかる教育資金の目安は約1,000万円と言われています。これは幼稚園から大学までにかかる教育費の総額で、学費だけでなく、習い事や塾、部活などにかかるお金も含めたものです。

ただし、この金額は大学まですべて国公立に進学した場合です。すべて私立に進学した場合、教育費は2,000万円以上かかります。

教育資金。幼稚園:小学校:中学校:高校:大学:合計の順番で記載。国公立の場合:約45万円:約193万円:約146万円:約137万円:約298万円。私立の場合:約105万円:約959万円:約422万円:約290万円:約520万円:約2296万円。※幼稚園から高校までは文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」より推計。大学は文部科学省「平成22年度国立大学の授業料、入学料および検定料の調査結果について」「令和元年度私立大学入学者にかかる初年度学生納付金平均額の調査結果について」日本学生支援機構「平成30年度学生生活調査結果」より推計。

子どもが生まれたら、いつ、いくら必要になるのかを把握して、積み立て貯蓄などで早めに準備をしておきましょう。目安としては、子どもが生まれたらすぐに毎月1〜2万円の貯蓄を始めると、大学進学時などのやりくりがしやすくなります。

老後資金

老後資金は老後の生活に必要なお金で、必要な金額は人によって違います。2019年に「老後2,000万円問題」が話題になりましたが、これはあくまでもモデルケース。2000万円で足りる人もいれば、足りない人もいます。

老後については早くから考えはじめて少しずつ準備していくと、ひと月あたりの負荷を減らすことができます。

ただ、20代、30代は結婚、出産、教育などで出費がかさむため、準備を始められない場合もあるでしょう。そうした場合、着手するのが40代からになったとしても間に合います。たとえば40歳で準備を始めれば、定年退職を迎える65歳まで25年間もあるので、そこから加速していくこともできます。

住宅資金、教育資金、老後資金と、将来的には大きなお金が必要になりますが、今しかできないことに投資するのも大切です。20代のうちは趣味や自己投資のお金を確保しながら、将来に備えて少しずつでも貯蓄をしていきましょう。

Q.これから必要なお金を、どう確保すればいいでしょう?

貯蓄と投資を組み合わせて、将来的に必要なお金を確保するといいでしょう。ただし、投資にはリスクがつきものです。まずは貯蓄をして、一定のお金を確保してから投資を考えましょう。具体的には次の3つのステップで取り組むのがおすすめです。

ステップ1|生活費の3ヶ月〜半年分を貯蓄

第1ステップとして、自分の生活費の3ヶ月〜半年分の預貯金を確保します。転職したくなった時や失業した時、病気で働けなくなった時など、いざという時に使えるお金を持っておけば安心です。

ステップ2|貯蓄額を500万円に

生活費の3ヶ月〜半年分の貯蓄ができたら、目標額を500万円に引き上げましょう。なぜ500万円かといえば、車を購入する、住宅購入の頭金にあてるといった大きな買い物や大きなライフイベントを、おおむね賄うことができる目安の金額だからです。

ステップ3|投資を検討する

貯蓄額が500万円を超えたら投資を検討してみましょう。貯蓄した500万円には手をつけずに残しておいて、余剰資金を投資に回すといいでしょう。最初は小さい金額から始めて、慣れてきたら少しずつ投資額を増やすことをおすすめします。

Q.おすすめの投資方法があれば教えてください

できるだけリスクを抑えて、堅実にお金を増やすために、「つみたてNISA」がおすすめです。

つみたてNISAとは、積み立てで行う少額投資非課税制度のこと。金融機関によっては、毎月100円ずつ購入することもできます。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAは非課税です。投資の対象は、少額でも分散効果が高い「投資信託」が中心。焦らず、長期目線で運用していきましょう。

つみたてNISA(少額投資非課税制度)とは?

つみたてNISAとは。投資して10万円の利益が出た場合、つみたてNISAなら受け取れるのは10万円。通常の運用だと受け取れるのは8万円。つみたてNISAは運用で出た利益は非課税。利益は全額受け取れる。

少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度。年間40万円を上限として、投資信託などから得た利益が最長20年間、非課税になる。

最初は500円からでも1000円からでも大丈夫。いきなりお金を大きく増やそうと考えなくてもいいので、まずは、投資がどういうものなのかを体感してみましょう。

Q.趣味のお金はできるだけ減らさずに貯蓄したいです

趣味や自己投資に使うお金はできるだけ減らさず、貯蓄するには、2つのコツがあります。

先取り貯蓄を始めよう

1つめのコツは「先取り貯蓄」を始めることです。先取り貯蓄とは、会社の財形貯蓄の制度や銀行の定額自動入金サービスなどを利用して、貯蓄分を自動的に別口座に移して貯蓄する方法です。

先取り貯蓄の仕組み。先取り貯蓄なら、自動的に貯蓄分が別口座に入るので確実にお金が貯まる

自分で貯蓄しようとしても、つい使いすぎてしまう、「今月は苦しいから」と貯蓄を中断してしまう、ということが起こりがち。でも、先取り貯蓄なら、つい使いすぎてしまったということが少なくなります。

理想としては、手取り収入の2割を貯蓄し、残りの8割でやりくりできるといいでしょう。「収入の8割でやりくりする」というルールを守れれば、お金の使い道に神経質になる必要はありません。 食費や交際費を抑えて趣味のお金を増やすなど、配分は自由に考えてみてください。

固定費を見直そう

もう1つのコツは、家賃やインターネット代などの固定費を減らすことです。

特に、サブスクリプションサービスのチェックは欠かせません。使っていないサービスを契約したままだったり、無料期間だけのお試しで入ったつもりが解約を忘れていたり…といったこともあります。

サブスクサービスと聞くと「月に500円、1000円くらいか…」と思う人もいるでしょう。でも、月に500円のサービスに12ヶ月入っていたら年間6000円、1000円のサービスなら年間1万2000円というお金をムダにしているわけですから、無視することはできません。

まとめ:必要なお金を知って、早めに準備をしておこう

将来、どれくらいのお金が必要になるのかイメージできたでしょうか。金額が大きいので不安になるかもしれませんが、必要な時期がわかっていれば早めに準備することができます。

これまで貯蓄をしたことがないという人は、まず生活費の3ヶ月〜半年分を貯蓄するところから始めましょう。20代のうちから長期的に投資に取り組めば、リスクを抑えながら大きな効果を得ることも期待できます。

取材・文/於ありさ(@okiarichan27

この記事の話を聞いた人

1級ファイナンシャル・プランニング技能士

風呂内亜矢

1978年生まれ。電機メーカー系SIerに勤めていた26歳のとき、貯蓄80万円でマンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯蓄を始める。2013年、ファイナンシャルプランナーとして独立。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。著書に『超ど素人がはじめる資産運用』(翔泳社)、『つみたてNISAの教科書』(ナツメ社)など多数。日常の記録にお金の情報を交えるYouTubeチャンネル「FUROUCHI vlog」も更新中。

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