チェック方法・しんどい時の対策 この症状はもしかして五月病?
年度はじめの就職や異動など、環境の変化によるストレスから不調を感じる、いわゆる「五月病」。その症状や対処法について解説していきます。
これって五月病?よくある10の症状
五月病の原因や典型的な症状について解説します。
GW明けの気だるさのこと
五月病とは正式な病名ではなく、一般的に5月のゴールデンウィーク明けに学校や会社に行きたくないと感じる、なんとなく体調が悪い、授業や仕事に集中できないといった状態の総称を指します。
4月に入学、就職、異動、転勤などで環境が変わったことで、クラスや職場になじめなかったり、これまでの生活スタイルとのギャップについていけなかったりすることが原因と考えられています。
季節的な不調を表す用語としては他にも、五月病が長引いた状態の「六月病」、夏の暑さからくる身体的・精神的疲労が原因の「九月病」などもあります。
五月病の典型的な10の症状
五月病の典型的な症状は以下の10つ。無気力状態、頭痛、不眠、食欲不振、焦りや不安、イライラ、周囲への無関心など、うつ病に似た症状がみられるのが特徴です。
- やる気が出ず、やるべきことを先延ばしにしてしまう
- 気持ちが沈みがちで、マイナス思考に陥る
- 落ち着きがなくなる
- イライラして怒りっぽくなる
- 不安や焦りを感じる
- 体がだるく、寝ても疲れが取れない
- 心臓がドキドキする、息苦しい、めまいがする
- 頭が重く感じたり、ズキズキ痛んだりする
- なかなか寝付けず、夜中に何度も目が覚める
- 食欲がなく、食事がおいしいと感じられない
該当する項目が多いほど、五月病の可能性が高いといえます。該当項目が多い人は、生活リズムを見直したり、リフレッシュする機会を設けたりしてみましょう。
また、これらの症状が2週間以上続く場合は、うつ病や適応障害といった病名がつく可能性もあるので、専門機関で受診することをおすすめします。
コラム:4~5人に1人は五月病?
生命保険会社チューリッヒの調査では、男性は21.6%、女性では25.0%の人が「五月病になったことがある」と回答しています。
20代から50代までの年代別に五月病の経験者数を比較すると、男性は30代、女性では20代が最も多く、特に女性では20代が39.2%という結果が出ています。
五月病の症状の対処法【事例付き】
五月病の症状が出ていると感じたとき、どうすればいいのでしょうか?簡単にできる対処法を紹介します。
五月病を深刻化させないための対処法
五月病を深刻化させないためには、まずはできるだけストレスを取り除いた上で、生活習慣を見直してみましょう。以下の4つの対処法を参考にしてみてください。
運動をする
毎日の生活の中で気軽に取り組めるような運動をしましょう。
通勤時にできるだけ階段を使う、帰宅時は最寄り駅より一つ前の駅で降りて歩く、就寝前にストレッチをするといった身近なものから取り入れるのがおすすめです。
休みの日にジムに通ったりジョギングをしたりするのも良いでしょう。
▼ここがポイント!
「運動しなくては」と必要以上に自分にプレッシャーをかけてしまうと、ストレスになってしまい、逆効果です。無理せず続けられることから始めましょう。
食生活を見直す
食生活が不規則で栄養が偏りがちな人は、食生活を見直し、1日3食の栄養バランスを考えた食事を摂るよう心がけましょう。
1日のうち、1食はサラダや野菜スープを取り入れる、外食時はファーストフード店ではなく定食屋さんを選ぶといった簡単なことでも構いません。
▼ここがポイント!
朝食は1日をスタートする際のエネルギー源として重要です。時間がないからといって抜かずに、バナナやおにぎりなど、手軽に摂れて消化が良く、すぐにエネルギーに変わるメニューを用意しましょう。
良質な睡眠を取る
毎日の起床・就寝時間のサイクルや、寝具や照明器具など寝室の環境を見直してみましょう。規則正しい生活と質の良い睡眠は、心と体の健康を保つために重要です。
また、寝付きを良くするためにも、少なくとも寝る前1時間はスマートフォンやテレビを見るのを控えてみましょう。
▼ここがポイント!
睡眠時間が乱れている理由が「残業で帰宅時間が遅くなることが多い」というケースもあるでしょう。その場合は上司に相談し、仕事量を調整して残業時間を減らせないか検討してみることをおすすめします。
友人や家族に悩みを相談する
体調不良が続いていることや、職場や仕事になじめないといった悩みを一人で抱え込まず、家族や友人、同僚や上司、人事担当者などに相談する勇気も時には必要です。自分が話しやすいと感じる相手に打ち明けてみましょう。
▼ここがポイント!
症状が長引いていたり、外出や出勤が難しくなるほどひどくなっていたりする場合は、心療内科を受診したりカウンセラーに相談したりするなど、専門家に頼ってみることも選択肢の一つです。
五月病で会社を休んでもいい?
五月病を理由に会社を休むことは、決して悪いことではありません。体調が悪い場合は無理せず、上司や勤務先の産業医、かかりつけの医師などに相談して休みましょう。
「そのうち治るだろう」と放置していると、うつ病などを引き起こすケースもあるので、不調を感じたら早めの対処が必要です。仕事を休んで自分の心と体ときちんと向き合い、しっかり休養することも大切です。
コラム:五月病予防に効果的なセロトニンとは?
セロトニンとは脳内物質の一つで、五月病によくある不安定な精神状態を和らげる効果があるといわれています。
セロトニンは「トリプトファン」「ビタミンB6」「炭水化物」をバランスよく摂ることで、生成が促されます。「五月病かな?」と思ったら、これらの成分を含む以下のような食品を積極的に摂るよう心がけてみるのも良いでしょう。
- トリプトファンを含む食品
…肉、魚、豆腐、牛乳など - ビタミンB6を含む食品
…大豆、牛レバー、バナナ、にんにくなど - 炭水化物を含む食品
…ごはん、パン、麺類
まとめ
五月病は環境の変化になじめないことがストレスとなり、精神的・肉体的な不調を感じる状態です。
食生活の見直しや運動習慣をつけるなどのセルフケアも大切ですが、症状がひどい場合は心療内科などの専門機関を受診してみましょう。