仕組みと手続きの解説 転職後、住民税はどうなる?

サラリーマンの給与から天引きされている住民税。転職した後も天引きを続けるにはどうしたらいいのでしょうか。

新しい職場でも天引きを続けるための手続きや、転職前の職場で天引きされなかった「残額」の払い方について解説します。

退職後、住民税の天引きはどうなる?

Q:退職後、住民税の天引きはどうなる?A:毎月給与から天引きか自分で支払う。

住民税は仕事をやめても払う義務アリ

住民税は、1月1日現在に住所のある市区町村に払う税金です。前年の1年間(1月1日~12月31日)にあった所得に対して課税されます。

もし、仕事をやめて、現在無職の状態でも、過去1年間に所得があった時は住民税を払わなければなりません。また、1月2日以降に他の市区町村に引っ越した場合は、1月1日の時点で住んでいる市区町村に支払います。

払い方は「特別徴収」と「普通徴収」

住民税の払い方には「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。

「特別徴収」と「普通徴収」のフロー図。

「特別徴収」とは、会社が給与から天引きする方法です。6月~翌年5月まで12回に分けて給与から天引きします。

「普通徴収」とは、市区町村から住民税納付書が自宅に郵送され、一括または年4回に分けて、各自が銀行やコンビニ等で払う、もしくは口座振替する方法です。フリーランスとして働く個人事業主や、退職して無職になり給与から住民税を天引きできなくなったサラリーマンなどを対象にした払い方です。

新職場に給与天引きを頼んでみよう

少なくとも3ヶ月分はまとめて支払わなければならない普通徴収は負担感が大きく、できれば月々に分けて支払える特別徴収を使いたいという人も多いのではないでしょうか。

その場合は新職場で働きはじめてすぐに、会社に「天引きにしたい」とお願いする必要があります。会社の人事部など担当部署に相談してみてください。一度給与天引きの「特別徴収」になれば、次の年以降は自動的に継続されます。

また、新しい職場で何も言わなかった場合は、自宅に住民税納付書が送られてきて「普通徴収」を行うことになります。

「退職後の住民税の払い方」のフロー図

無職期間がある時は要注意 

退職してから転職するまでに1ヶ月以上の無職期間があると、自動的に「普通徴収」となり、市区町村から住民税納付書が自宅に郵送されてきます。その後新しい会社で働き始めた場合は、住民税に関して天引きを希望するかどうかを新しい職場に伝える必要があります。

お願いしても天引きされない時は

新職場に給与天引きをお願いしたのに、いざ給与明細を見たら、天引きされていないケースもあります。従業員が退職した場合に必要な書類を、前の職場が役所に提出していないことが主な原因です。

こうした場合、各自で市区町村の担当窓口に問い合わせる必要があります

住民税の残額は退職時に一括で払える

住民税の「残額」とは

前の職場で「残額」を一括して払う

今度は、これまで会社が払っていた住民税の「残額」についての話になります。

前年の所得に対して、その翌年の1年間で課される住民税。その「残額」とは、1年間で毎月の給料から天引きされる予定だった住民税のうち、退職した月以降の残り分のことです。

それまで会社勤めをしていた人が退職すれば、当然住民税を給料から天引きでなくなります。このため、会社が天引きする予定だった分の「残額」を、退職時の給料から一括で天引きしてもらうことができます一括で徴収してもらいたい場合は、旧職場の担当部署に申し込む必要があります。

退職する月次第で額も払い方も異なる

退職月別の支払い方法

一括で天引きする場合は、退職する月によって金額や払い方が以下のように異なるので注意が必要です。

  • 退職日が6月~12月末 =普通徴収か一括で天引きを選ぶ

退職した月の分は旧職場が天引きしますが、退職後、翌年5月までの分は、退職時に一括で天引きしてもらうか、各自が銀行やコンビニ等で払う「普通徴収」を選ぶことになります。

  • 退職日が1月~5月末 =一括で天引きして払う

1月~5月に退職すると、会社が払うはずだったこの期間の残額を天引きできなくなるので、原則、退職時の給与から「一括で天引き」して払うことになります。退職した月の給与や退職金が一括で払うべき住民税より少ない場合、普通徴収に変更が可能です。

 「一括で天引き」は税金が高いと感じてしまう?

サラリーマンの場合、住民税の支払いは月々の「天引き」で、対応のほとんどを会社に任せています。しかし、転職や退職をした際、これまであまり触れることがなかった住民税の額を見て、その高額さに驚く経験を多くの人がしているようです。

個人差はありますが、年収500万円の人の年間住民税額はおよそ31万円。「普通徴収」と「一括で天引き」のどちらにするかは、懐事情を考慮して判断しましょう。

退職後も無職期間が続くと「普通徴収」に

一括で天引きした後も、無職期間が続いて会社が給料を天引きできない状況だったり、新しい職場で特別徴収の希望をしなかった時は、翌年6月に、各自が銀行やコンビニ等で支払う「普通徴収」に自動的に切り替わります

 まとめ

転職した場合、住民税がどうなるのかについて説明してきました。これらの仕組みや手続きは複雑ですが、知らないと突然、高額のお金を納税する必要が出て来る場合もあります。

転職後も、余裕をもって仕事にまい進できるよう、ぜひ理解を深めてみてください。

(文:転職Hacks編集部)

この記事の監修者

特定社会保険労務士

成澤 紀美

社会保険労務士法人スマイング

社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT関連企業。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」を展開。

社会保険労務士法人スマイング 公式サイト

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