【すぐわかる】 転職時の給与所得者異動届出書のもらい方
転職先の会社から給与所得者異動届出書の提出を求められたものの、「どこで入手する書類なのか?」「そもそも、聞いたことがない書類だ」と困ってしまう人は少なくありません。
この記事では、給与所得者異動届出書のもらい方をわかりやすく紹介します。また、何に必要な書類なのかも簡単に説明しているので、あわせて確認してみましょう。
給与所得者異動届出書とは?
転職時に住民税の納付手続きに必要な書類
給与所得者異動届出書は、住民税の納付手続きに必要な書類です。転職前の会社で給与から天引き(特別徴収)されていた住民税を、転職先でも天引きされるように変更するために必要となります。
住民税の手続き自体は転職先の会社が行ってくれますが、書類は転職前の会社に発行してもらう必要があるので注意しましょう。
▼給与所得者異動届出書の例
出典:総務省「給与所得者異動届出書(PDF)」
給与所得者異動届出書を提出しないと、住民税が未納状態に
転職時に給与所得者異動届出書を提出しないと、住民税の天引き先が転職前の会社のまま変わらないため、そのままでは住民税が未納の状態になります。
その結果、未納だった期間分の住民税が後日まとめて請求され、支払いの負担が一時的に大きくなるので注意が必要です。転職前の会社と転職先の会社、双方とのトラブルの原因にもなるので、給与所得者異動届出書は速やかに転職先の会社へ提出しましょう。
Q.転職時の給与所得者異動届出書のもらい方は?
A.転職前の会社の担当者に発行してもらう
給与所得者異動届出書は、転職前の会社に依頼して発行してもらいます。労務・総務部門などの担当者に必要な旨を伝え、準備してもらいましょう。
なお、届出書を使った住民税の手続きは「転職した月の翌月10日まで」に行わなければならないため、転職先の会社での手続きの時間を考慮して、早めに提出する必要があります。スムーズに提出できるよう、転職前の会社への発行の依頼は早めにしておきましょう。
書類を依頼する際に、転職先を知られてしまう?
「給与所得者異動届出書の作成時に、転職先を知られてしまうのでは?」と不安な人もいるかもしれませんが、この書類から転職先を知られる可能性はありません。
届出書の転職先に関する項目は、転職前の会社での記入を終えてから記入する流れになります。そのため、転職先の情報は転職前の会社の人の目には触れません。転職先を知られたくないという人も安心してください。
▼転職前の会社の記入箇所と、転職先の記入箇所について
参考:総務省「給与所得者異動届出書(PDF)」
給与所得者異動届出書が必要ないことも。あなたの場合は?
給与所得者異動届出書は、退職後に離職期間を挟まず転職先へ入社する場合に、転職先で住民税が給与から天引きされるようにするために必要な書類です。
一方で、転職先が決まっていない等の理由で離職期間がある場合は、そもそも必要な手続きが異なるため、給与所得者異動届出書は必要ありません。ただしこの場合は、下記のように住民税を給与からの天引き(特別徴収)以外の方法で納付する手続きが発生します。
離職期間がある場合の、住民税の納付方法
離職期間がある場合、住民税の納付方法は退職する時期によって異なります。なお、いずれの場合も、切り替え手続き自体は退職時に会社側で行ってもらえるので、指示に従って支払いだけ行いましょう。
■1月1日~4月30日に退職する場合
- 前年度分の住民税のう未納付分を、退職時に一括で支払う(一括徴収)。
- 一度に多額の支払いが発生するため注意。
- なお退職後、6月時点で転職先が未定の場合、以降の住民税は自治体から届く納付書を使って自分で支払う。
■5月1日~5月31日に退職する場合
- 前年度最後の未納付分である5月分の住民税を、退職時に支払う(退職時の給与から引き落とし)。
- なお退職後、6月時点で転職先が未定の場合、以降の住民税は自治体から届く納付書を使って自分で支払う。
■6月1日~12月31日に退職する場合
- 住民税を年4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて納める「普通徴収」に切り替えとなる。
- 自治体から届く納付書を使って自分で支払いを行うので、納付忘れに注意。
- なお、希望すれば未納付分を退職時に一括で支払うことも可能。
▼住民税の納付の種類と仕組みについて、くわしくは…
住民税のほかにも必要な転職の手続き
転職時には、住民税以外にも年金や健康保険の切り替えなど、転職先や行政機関で必要な手続きがいくつかあります。
対応期日が短いものもあるため、下記の記事を参考にどんな手続きが必要かを前もって確認しておくのがおすすめです。
また、退職に向けて社内での手続きもいくつか発生します。
上司への退職の切り出し方や、退職届の書き方、引き継ぎの流れ、必要書類など、一通りの流れとポイントを下記の記事にまとめているので、あわせて確認しておくといいでしょう。
(文:転職Hacks編集部)
この記事の監修者
特定社会保険労務士
成澤 紀美
社会保険労務士法人スマイング
社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT関連企業。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」を展開。