【完全版】退職時・退職後の手続きガイド

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「立つ鳥跡を濁さず」とはよく言いますが、退職手続きは円滑に進めたいもの。ですが、いざ退職を決意しても、具体的に何をしたらいいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。

ここでは、退職交渉から税金・各種保険の手続きまで、退職にまつわる手続き全てをご紹介します。

【目次】
1.まずは確認!退職手続きの流れ
2.退職前の手続きはスケジュール管理が必須
【1.5~3カ月前】退職交渉
退職日を決定
退職届を提出
【退職日まで】住民税の手続き
【退職時】備品返却・書類受け取り
3.早めに済ませるのが正解!退職後の手続き
退職翌日に次の会社に入社する人は転職先で手続き
1日でもブランクがある人は自分で手続き
【退職後すぐ】失業保険の申請
【14日以内】年金の切り替え
【14 or 20日以内】健康保険の切り替え
12月31日に無職の場合は確定申告が必要
退職後年金の受給を始める場合は手続きが必要
【コラム】退職金は勤続年数に左右される
4.まとめ

1.まずは確認!退職手続きの流れ

退職手続きには、退職前に会社で行う事務手続きや、退職後に行う保険の切り替えの手続きなど、さまざまなものがあります。

退職に必要な手続きを退職前と退職後に分けて表にまとめました。まずは、自分が「何を」「いつまでに」やらなければならないのかを把握しましょう。

退職前 退職後
・退職交渉
・住民税の支払い方法の変更
・備品の返却や書類の受け取り
・失業保険の申請
・年金の切り替え
・健康保険の切り替え

退職後の手続きは、「すぐに転職するかどうか」によって違います。すぐに転職する人は転職先が手続きを行ってくれるので、必要書類を提出するだけで構いません。一方で、1日でもブランクがある人は自分で手続きをする必要があります。

【退職手続きの流れ】3カ月~1カ月半前「退職交渉」、3カ月~退職日「有給消化、引き継ぎ」、一ヶ月前~退職日「住民税の手続き」、退職日「備品返却、書類受け取り」、退職後「必要書類を転職先に提出」(すぐに転職する人)、退職後すぐ「失業保険の申請」、14日後まで「年金の切り替え」、20日後まで「健康保険の切り替え」

なお、契約社員・派遣社員・アルバイトなど正社員以外の雇用形態でも、会社の社会保険に加入している場合は同じように手続きをする必要があります。

2.退職前の手続きはスケジュール管理が必須

「◯ 日までには退職したい!」と思っていても、そこから逆算して手続きを進めなければ、希望する時期に退職できないことも。転職先が決まっている人は次の会社の入社日との兼ね合いもあるので、やらなければならないことを把握して、着実に進めるようにしましょう。

【1.5~3カ月前】退職交渉

退職届を記入している人の写真

労働基準法では、退職の意志表示をした2週間後には退職できると定められていますが、退職日までにやらなければならないことはたくさんあります。穏便に退職するためにも、切り出すタイミングを見極めて1.5~3カ月前には退職の意志を伝えるようにしましょう。

伝える相手は、直属の上司。「今ちょっとよろしいですか?」などと声をかけ、別室に誘導します。勤務時間中に退職の話をしてほしくないと考えている会社もあるので、休憩時間や勤務終了後に切り出すのがベター。ぶれない意志を持って落ち着いた口調で話すことが、引き止められないコツです。

※詳しくは→「円満に辞められる正しい退職の切り出し方

退職日を決定

具体的な退職日は、退職交渉の中で決めることになります。業務の引き継ぎや有給消化にかかる日数などを計算して、上司と相談しながら決定しましょう。転職先が決まっている場合は、入社日との調整も必要です。

※詳しくは→「退職前の賢い有給消化マニュアル

退職届を提出

自己都合退職の場合、退職届の提出を求められることがほとんど。退職交渉が終わった後に提出するのが一般的です。退職届は一旦提出してしまうと撤回できないので注意が必要です。

会社都合退職なのに提出を求められた場合は、どうして提出する必要があるのか必ず確認しましょう。提出すると自己都合退職にされる可能性があり、失業保険をもらえるまでに時間がかかったり(会社都合退職なら申請後7日で支給、自己都合退職の場合は申請後3カ月と7日)、受給額が低くなったりするので注意が必要です。パートやアルバイトの場合、求められない限り提出する必要ありません。

退職届の詳しい書き方は、「退職届・退職願の書き方【失敗しない文例・テンプレ付き】」を参考にしてください。

【退職日まで】住民税の手続き

家の模型と電卓の写真

住民税は毎月の給料から天引きされる「特別徴収」という方法で納めているので、最後の給料からその年の残りの住民税を一括で支払うか、分割して自分で納める「普通徴収」に切り替える必要があります。会社からどんな支払い方法にするか聞かれることがほとんどですが、何も言われなかった場合は確認しましょう。

手続きは退職後1カ月以内に転職する人と、そうでない人によって違うので、順番にご説明します。

退職してから1カ月以内に転職する場合

1カ月以内に転職先に入社する場合は、引き続き次の会社で給料から天引きしてもらうことができます。退職する会社に転職先を伝えた上で手続きをしてもらう必要がありますが、依頼が難しい場合は、退職時に普通徴収に切り替え、転職先で再び特別徴収に切り替えることもできます。

退職後1カ月以内に転職しない場合

住民税は1~12月の所得にかかる税金を、翌年の6月~翌々年の5月の給料から分割して納める仕組みになっています。このため、退職後1カ月以内に転職しない場合は、退職する月によって支払い方法が異なります。

【1~5月に退職】
5月までに納めるべき住民税を、最後の給料から一括で支払わなければなりません。給料の手取りが通常よりも少なくなるので、事前に確認しておきましょう。
【6~12月に退職】
翌年5月までの住民税を最後の給料から一括で支払うか、分割して自分で納めるかを選ぶことができます。分割で支払いたい場合は、退職前に会社で普通徴収に切り替えてもらう必要があります。

【退職時】備品返却・書類受け取り

社員証など会社から貸与されている備品の写真

最終出社日には、会社から貸与された備品などを返したり、退職後に必要となる書類を受け取ったりする必要があります。失業保険の申請に必要な「雇用保険被保険者証」や年金の切り替え手続きに使う「年金手帳」は、会社が預かっている場合もあれば、自分で保管している場合もあります。会社に申請が必要な書類もあるので、発行にかかる日数を確認したりしておくとスムーズです。

【返すもの】

健康保険証 扶養家族がいる場合は同時に返却
社員証、社章 社員であることを証明するもの
名刺 自分の名刺と、仕事で得た名刺
通勤定期券 会社によって扱いが異なるので、確認が必要
制服 クリーニングして返却
デスク・ロッカーの鍵やオフィスのカードキー
書類 業務で作成した書類や資料など
備品 事務用品や書籍など会社から貸与されたもの、経費で購入したもの

【受け取るもの】

雇用保険被保険者証 会社に預けている場合
年金手帳 会社に預けている場合
源泉徴収票 退職後1カ月以内に郵送されることが多い
健康保険資格喪失証明書 健康保険の切り替えに必要
発行まで退職後数日~数週間かかる場合も
離職票※ 失業手当の申請に必要
退職後10日以内に郵送されることが多い
退職証明書※ 年金や健康保険で家族の扶養に入るときに必要

※必要な場合のみ(転職先が決まっている場合は不要)

退職時に会社に返すもの・会社から受け取るもののリストを用意しましたので、ダウンロードして退職手続きにご活用ください。

「退職時に返すもの・受け取るものリスト」(PDF)

3.早めに済ませるのが正解!退職後の手続き

退職後に必要な手続きは、退職日の翌日に次の会社に入社する人と、1日でもブランクがある人で大きく違います。

退職翌日に次の会社に入社する人は転職先で手続き

退職日の翌日に転職先に入社する場合は、転職先の会社に必要なものを提出します。手続きは全て会社がしてくれるので、自分で手続きをする必要はありません

【転職先に提出するもの】

・雇用保険被保険者証
・年金手帳
・源泉徴収票(提出を求められたタイミングで提出)
・健康保険資格喪失証明書
・健康保険被扶養者異動届(扶養家族がいる場合のみ)

1日でもブランクがある人は自分で手続き

次の会社に入社するまで1日でもブランクがある人は、自分で手続きをする必要があります。手続きごとに期限があるので、間に合うように早めに行いましょう。

【退職後すぐ】失業保険の申請

離職票の写真

失業保険は働く意志はあるのに失業状態にある人が受給できる手当のことで、正式には「雇用保険の基本手当」といいます。退職後専業主婦になったり、起業したりする人は受給できないので注意が必要です。

自己都合退職の場合、失業保険の給付日数は90~150日で、申請してから受給までに最短でも3カ月と7日かかります。失業保険の受給期限は退職日から1年間。1年たつと給付日数が残っていてももらえなくなるので、申請が遅くなると満額受給できない可能性もあります。手続きに必要な離職票は退職後10日以内に交付されるので、郵送され次第できるだけ早く手続きをするようにしましょう。

【失業保険の申請】

いつまでに 離職票が交付され次第できるだけ早く
どこで 居住地を管轄するハローワーク
必要なもの ・雇用保険被保険者証
・離職票1
・離職票2
・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑
・写真2枚(直近3カ月以内、縦3cm×横2.5cm)
・本人名義の普通預金通帳

失業保険については、「自己都合でも損しない失業保険の受け取り方」を参考にしてください。


【14日以内】年金の切り替え

年金手帳の写真

会社で厚生年金に加入していた人で、退職後、次の会社に入社するまで1日でもブランクがある場合は、年金の切り替え手続きをする必要があります

年金の切り替えには、「国民年金に加入する」「家族の社会保険の扶養に入る」の2つの選択肢があります。家族の扶養に入れば保険料を納める必要がないので、条件を満たす場合は後者を選ぶのが一般的です。自分が被扶養者に該当するか調べたい人は、「チャートで確認!健康保険扶養認定-全国健康保険協会」を参考にしてください。

【国民年金に加入する場合】

いつまでに 退職後14日以内
どこで 居住地の市町村役所の国民年金窓口
必要なもの ・年金手帳
・離職票または退職証明書
・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑

【家族の社会保険の扶養に入る場合】

いつまでに できるだけ早く
どこで 家族の勤務先
必要なもの ・国民年金第3号被保険者該当届
・世帯全員の住民票(被保険者と別姓の場合)
・源泉徴収票
・退職証明書または離職票のコピー
・失業保険や年金を受給している場合は、受領金額のわかるもののコピー

年金と健康保険は手続きが同じ場合が多いので、同時に行うとスムーズです。


【14 or 20日以内】健康保険の切り替え

薬・マスクと電卓の写真

退職後、次の会社に入社するまで1日でもブランクがある場合は、健康保険の切り替え手続きも必要です。切り替えの方法には「これまでの健康保険を任意継続する」「国民健康保険に加入する」「家族の社会保険の扶養に入る」の3つがあります。

年金と同様、家族の扶養に入れば健康保険料を支払う必要はありません。そうでない場合は「これまでの健康保険を任意継続する」か「国民健康保険に加入する」ことになりますが、加入条件があったり居住地によって保険料が変わったりするので、自分にふさわしい方を選ぶようにしましょう。

詳しくは「退職するときの健康保険切り替え手続き完全マニュアル」を参考にしてください。

【これまでの健康保険を任意継続する場合】

いつまでに 退職後20日以内
どこで 会社または健康保険組合(郵送も可)
必要なもの ・健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
・住民票
・1カ月分の保険料
・印鑑

【国民健康保険に加入する場合】

いつまでに 退職後14日以内
どこで 居住地の市区町村役所の健康保険窓口
必要なもの ・健康保険資格喪失証明書
・各市町村で定められた届出書
・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・印鑑

【家族の社会保険の扶養に入る場合】

いつまでに できるだけ早く
どこで 家族の勤務先
必要なもの ・健康保険被扶養者異動届
・世帯全員の住民票(被保険者と別姓の場合)
・源泉徴収票
・退職証明書または離職票のコピー
・失業保険や年金を受給している場合は、受領金額のわかるもののコピー

任意継続する場合を除いて、年金と健康保険は手続きが同じ場合が多いので、同時に行うとスムーズです。


12月31日に無職の場合は確定申告が必要

確定申告の書類の写真

1月1日~12月31日の所得に対して行う確定申告。会社員であれば会社が年末調整を行ってくれますが、12月31日時点で無職だったり、前職の源泉徴収票の提出が間に合わなかったりする場合は自分で確定申告を行わなければなりません

確定申告を行うと、払いすぎた所得税が戻ってくる可能性があります。逆に納めた所得税が不足していた場合、意図的に確定申告を行わないと罰則を受けることもあります。

【確定申告】

いつまでに 翌年の2月16日~3月15日
(期限日が土日にあたる場合は変わることもある)
どこで 管轄の税務署(郵送も可)
国税電子申告・納税システム「e-Tax」
必要なもの ・確定申告書AもしくはB
・源泉徴収票
・国民年金など社会保険料の控除証明書

「退職金をもらった」「転職したものの源泉徴収票の提出が間に合わなかった」「退職後専業主婦になった」など、場合によって手続きが違うので、詳しく知りたい方は「退職後の確定申告 ポイントを押さえて「困った!」を解消しよう」を参考にしてください。


退職後年金の受給を始める場合は手続きが必要

退職後、年金の受給を始める場合も手続きが必要です。

基本的には65歳が受給開始年齢となっていますが、受給開始を60~64歳に前倒しする「繰り上げ受給」や、逆に70歳まで先延ばしする「繰り下げ受給」も可能です。自分に合った時期に手続きを行いましょう。

【年金の受給開始手続き】

どこで 年金事務所、年金相談センター
必要なもの ・年金請求書
・戸籍謄本、住民票など生年月日の分かるもの
・本人名義の通帳
・印鑑 など

被扶養者がいる場合など状況に応じて手続きに必要なものは変わります。詳しく知りたい人は「支給開始年齢になったとき-日本年金機構」を参考にしてください。

【コラム】退職金は勤続年数に左右される

退職といえば気になるのが退職金。一般的には勤続年数3年以上だと支給されると言われていますが、その相場はどのくらいなのでしょうか。

2016年に東京都産業労働局が都内の中小企業を対象に行った調査によると、大学卒で自己都合退職の場合のモデル退職金(卒業後すぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金)は、勤続年数10年で115万円。25年で500万円を超え、30年で749万円になります。定年退職金は1139万円でした。

【大学卒のモデル退職金の表】自己都合退職…3年24万円、5年44万円、15年225万円、20年381万円、25年563万円、33年890万円。会社都合退職…3年38万円、5年63万円、10年153万円、15年285万円、20年458万円、25年647万円、30年856万円、33年856万円。定年退職…1139万円。

※参考→中小企業の賃金・退職金事情調査―東京都産業労働局

自己都合退職と会社都合退職のモデル退職金を比較すると、勤続年数3年では14万円の差ですが、33年になると106万円にまで広がります。

厚生労働省が大企業も含めた日本全国の企業を対象に行った調査では、定年退職金の平均額は1941万円。中小企業を対象にした東京都産業労働局のモデル定年退職金(1139万円)とは約800万円の差があります。違う調査のため一概には言えませんが、大企業と中小企業ではもらえる退職金に大きな差があると考えられます。

退職金について詳しく知りたい人は「退職金はいくらもらえる?相場は?│勤続年数&理由別一覧」を参考にしてください。

4.まとめ

退職手続きを円滑に進めるには、
・自分が何をやらなければならないのかを把握する
・余裕を持ったスケジュールを立てる
・必要な書類をそろえる
の3つが大切です。

期限内に必要な手続きをしないと、あなたが損をするだけでなく、お世話になった会社や転職先の会社に迷惑をかけることも。新たな人生の第一歩をスムーズに踏み出すためにも、早め早めの行動を心掛けましょう。