保険・年金・税金すべてに対応 退職にともなう4つの手続き【完全版】

退職後、転職先が決まっているものの1日でも離職期間がある人や、しばらく失業状態が続く人は、各種手続きをそれぞれの期限内に済ませる必要があります。

 この記事では、必ず対応しなければならない4つの手続きについて、わかりやすく解説します。

退職したら必要な4つの手続き

退職にともない手続きが必要なのは、住民税失業給付年金健康保険4。期限はそれぞれ異なりますが、どれもできるだけ早く対応するのが賢明です。

【退職したら必要な4つの手続き】 (1)住民税の支払い/退職前後 (2)失業給付の申請/退職後すぐ (3)年金の切り替え/退職後14日以内 (4)健康保険の切り替え/退職後14日or20日以内

これらに加えて、12月31日時点で転職していない人や、転職したものの年内に給料の支払いがなかった人は、確定申告の手続きも必要です。

手続きの前に、必要書類をチェック!

手続きのため、準備が必要な書類は6種類。チェックリストを参考にして、漏れがないようにしましょう。

【準備する書類か6種類】 ・雇用保険被保険者証 ・年金手帳 ・源泉徴収票 ・離職票 ・健康保険資格喪失証明書 ・退職証明書

雇用保険被保険者証と年金手帳は、会社に原本を預けている場合のみ忘れず受け取るようにしましょう。

源泉徴収票は退職後1ヶ月前後、離職票は退職後10日以内に郵送で自宅に届くのが一般的ですが、念のためいつ頃届くか確認しておくと安心。

健康保険資格喪失証明書は申請しなくても退職後に受け取れますが、退職証明書は会社に依頼しないと発行してもらえないので、必要に応じて請求するようにしましょう。

1.【退職前後】住民税の支払い

住民税は退職後、給与天引きができなくなるので、支払い方法を変更する必要があります。

そもそも住民税とは、前年の1月~12月の所得にかかる税金を、翌年の6月~翌々年の5月の給料から毎月天引きして納める後払いの仕組みです。よって退職翌月以降の住民税は別の方法で支払わなければなりません。

手続き内容は、退職日から1ヶ月ほどで転職するかどうかで異なります。

【住民税:退職後の手続き】 <1ヶ月ほどで転職する場合> 転職先の給料から天引きしてもらう <1ヶ月以上の離職期間がある場合> (6月~12月に退職) 前の会社の給料から一括で天引き、または普通徴収に切り替えて自分で支払う (1~5月に退職) 前の会社の給料から一括で天引き

※退職後1ヶ月ほどで転職先に入社した場合でも、前職や現職の給与締日や支払日、普通徴収の納付期限などの兼ね合いで対応が異なることもある。
※普通徴収…銀行やコンビニ・口座振替などで支払う方法のこと。自宅に住民税の納付書が届き、一括または年4回の分割で支払う。

1ヶ月ほどで転職する場合

退職日から1ヶ月ほどで転職先に入社する場合、スムーズに手続きできれば転職先の給料からこれまで通り天引きで支払うことができます。

手続き方法は、転職先の人事担当者に「住民税の天引きをお願いしたいと伝え、異動届出書を提出するだけ。何も言わなければ、コンビニや銀行に出向いて自分で支払う「普通徴収」に切り替わってしまうので注意しましょう。

誰が

自分

どこで

転職先の人事担当者

いつまでに

入社後すぐ

必要なもの

特別徴収に係る給与取得者異動届出書(前職で用意してもらい、転職先に提出する)

1ヶ月以上の離職期間がある場合

退職後1ヶ月以上の離職期間がある場合は、退職月によって手続き内容が異なります。

6月~12月の間に退職する場合

6月~12月の間に退職する場合は、翌年5月までの住民税を最後の給料から一括で天引きしてもらわなければ、3ヶ月毎に自ら分割で支払う「普通徴収」に切り替わります

一括で天引きしたい場合は、退職前に会社の人事担当者に「一括で天引きをお願いしたい」と伝えておけばOK。普通徴収に切り替える場合は、特に何かを伝えておく必要はありません。

一括で天引きしてもらう場合

誰が

自分

どこで

会社の人事担当者

いつまでに

退職日まで

必要なもの

特になし

普通徴収に切り替える場合

手続き自体は特に何もしなくてかまいません。自宅に住民税の納付書が届くので、コンビニや銀行などで期日までに支払いましょう。

1月~5月の間に退職する場合

1月~5月の間に退職する場合は、特に手続きの必要はありません。5月までの住民税が最後の給料から一括で天引きされます。タイミングによっては手取りがかなり少なくなってしまうため、直近で使えるお金をある程度備えておきましょう。

なお、最後の給料や退職金の合計額が住民税より少ない場合は、普通徴収への変更が可能です。退職日までに人事担当者に相談し、普通徴収に切り替えてもらいましょう。

※住民税の手続きについて、くわしくは→転職後、住民税はどうなる?

2.【退職後すぐ】失業給付の申請

失業給付(雇用保険の基本手当)は、自己都合退職の場合、申請から受給までに最短でも約3ヶ月かかるので、離職票が手元に届き次第できるだけ早く申請するようにしましょう。

誰が

自分

どこで

居住地を管轄するハローワーク

※居住地のハローワークを探したい方はこちら→全国ハローワークの所在案内┃厚生労働省

いつ

離職票が届き次第すぐ

必要なもの

  • 雇用保険被保険者証
  • 離職票1
  • 離職票2
  • 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑
  • 証明写真2枚(直近3ヶ月以内、縦3cm×横2.5cm)
  • 本人名義の普通預金通帳

※失業給付の申請方法について、くわしくは→自己都合退職の場合会社都合退職の場合

3.【退職後14日以内】年金の切り替え

年金の切り替え手続きは「国民年金に切り替える」「配偶者の扶養に入る」2パターン。退職すればこれまで加入していた厚生年金保険から自動的に離脱してしまうので、将来受け取る年金額が減らないよう、必ず手続きを行いましょう。

配偶者の扶養に入れば年金を納める必要はなくなるので、条件を満たす場合はこちらを選ぶほうがいいでしょう。

【年金:退職後の手続き】 <配偶者が第2号被保険者で、自分の見込み年収が130万円以下の場合> →配偶者の扶養に入る <左記以外> →国民年金に切り替える

国民年金に切り替える場合

国民年金とは、国内に住む20歳以上60歳未満の人すべてに加入義務がある年金のこと。会社に勤めている間は第2号被保険者として代わりに厚生年金を納めますが、離職後は自分で国民年金を支払う必要があります(第1号被保険者)。

誰が

自分、または世帯主

どこで

居住地の役所の国民年金窓口

いつまでに

退職の翌日から14日以内

必要なもの

  • 年金手帳、または基礎年金番号通知書
  • 退職日が証明できるもの(離職票、健康保険資格喪失証明書、退職証明書など)
  • マイナンバーカード(なければ、運転免許証などの身分を証明できるもの)
  • 印鑑
  • 通帳や、クレジットカード(口座振替やクレジットカード払いを希望する場合)

配偶者の扶養に入る場合

配偶者が会社員や公務員(第2号被保険者)の場合は、自分の退職後1年間の年収が130万円以内だと見込まれている場合に限り、扶養に入ることができます。この場合、自分で年金を支払う必要はありません。

誰が

扶養する配偶者

どこで

扶養する配偶者の勤める会社

いつまでに

退職の翌日から14日以内

必要なもの

  • 自分の年金手帳、または基礎年金番号通知書
  • 被保険者の戸籍謄(抄)本(被保険者との続柄がわかるもの)※届出書にマインバーを記載すれば不要
  • 退職証明書または離職票の写し

※年金の切り替えについて、くわしくは→退職にともなう年金の手続きガイド

4.【退職後14日or20日以内】健康保険の切り替え

健康保険の切り替え手続きは「これまでの健康保険を任意継続する」「国民健康保険に切り替える」「家族の扶養に入る」3パターン。国民健康保険に切り替える場合や家族の扶養に入る場合の手続きは年金の切り替えとほぼ同じなので、一気に行うとスムーズです。

任意継続と国民健康保険どちらの保険料が安いかは、扶養家族数や年収などによって異なります。独身の場合は国民健康保険、扶養家族が2人以上いる場合は任意継続のほうがお得になる傾向です。

【健康保険:退職後の手続き】 <家族が健康保険に加入していて、自分の見込み年収が130万円以下の場合> →家族の扶養に入る <左記以外> 任意継続するor国民健康保険に切り替える

これまでの健康保険を任意継続する場合

任意継続とは、これまでと同じ健康保険をそのまま継続することです。保険自体は同じですが、これまで会社が負担していた額も自分で支払わなければならないので、保険料は基本的に2倍になります。ただし、保険料を算出する標準報酬月額には上限があるので、2倍より少ない額になる可能性もあります。また、扶養家族が何人いても負担額は増加しません

誰が

自分

どこで

協会けんぽに所属している場合…居住地を管轄する協会けんぽの支部

健康保険組合に所属している場合…各健康保険組合の事務所

いつまでに

退職の翌日から20日以内

必要なもの

  • 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書
  • 住民票
  • 1カ月分の保険料
  • 印鑑

国民健康保険に加入する場合

国民健康保険とは、市町村が運営する健康保険のことです。保険料は自治体によって異なりますが、「扶養に入れる」という仕組みがないため、扶養している家族の人数分、保険料を支払う必要があります

誰が

自分

どこで

居住地の役所の国民健康保険窓口

いつまでに

退職の翌日から14日以内

必要なもの

  • 健康保険資格喪失証明書または退職証明書
  • 加入用の書類(自治体の窓口で入手)
  • 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
  • マイナンバーカードもしくは通知カード
  • 印鑑

家族の扶養に入る場合

退職後1年間の収入が130万円を下回る見込みであれば、家族の扶養に入ることができます。この場合、保険料を自分で支払う必要はありません。

誰が

扶養する家族

どこで

扶養する家族の勤める会社

いつまでに

退職後すぐ

必要なもの

健康保険被扶養者(異動)届

下記書類のうち、いずれか1つ

  • 雇用保険受給資格者証
  • 離職票
  • 退職証明書
  • 源泉徴収票

※所属する健康保険によっては、上記以外の書類で手続きができる場合もあります。くわしくは、協会けんぽまたは健康保険組合にお問い合わせください。

※健康保険の切り替えについて、くわしくは→退職するときの健康保険切り替え手続き

12月31日に無職なら、確定申告も必要

12月31日までに転職しなかった場合、会社が行う年末調整に代わり、確定申告の手続きも必要です。

12月31日までに転職した場合も、つぎのケースでは自分で確定申告をしなければならない可能性があります。

  • 年末調整までに前職の源泉徴収票が届かなかった人
  • 年内に給料の支払いがなかった人
  • 退職金をもらったのに「退職所得の受給に関する申請書」を提出しなかった人

誰が

自分

どこで

  • 居住地を管轄する税務署
  • 地域の還付申告センター
  • 国税電子申告・納税システム「e-Tax」(システム上で手続き)

いつまでに

退職した翌年の2月16日~3月15日

※期限日が土日にあたる年は、日程変更となる場合もあります

必要なもの

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • 国民年金などの控除証明書

確定申告は、所得税を過不足なく納めるための手続きです。多く支払っていた場合は払いすぎた税金が戻ってくる一方、不足していた場合は追加の支払いが必要となります。確定申告をしないと罰則を受ける恐れもあるので、きちんと手続きするようにしましょう。

※退職後の確定申告について、くわしくは→退職後の確定申告ガイド

まとめ

退職手続きをスムーズ進めるには、

  • やらなければならないことを把握する
  • 余裕を持ったスケジュールを立てる
  • 必要な書類をそろえる

の3つが大切です。

めんどうな気持ちをグッとこらえ、できるだけ早く済ませるようにしましょう。

(文:転職Hacks編集部)

この記事の監修者

社会保険労務士

三角 達郎

三角社会保険労務士事務所

1972年福岡県生まれ。東京外国語大学卒業。総合電気メーカーにて海外営業、ベンチャー企業にて事業推進を経験後、外資系企業で採用・教育・制度企画・労務などを経験。人事責任者として「働きがいのある企業」(Great Place to Work)に5年連続ランクインさせる。
現在は社会保険労務士として、約20年の人事キャリアで培った経験を活かして、スタートアップ企業や外資系企業の人事課題の達成から労務管理面まで、きめ細やかにサポートを行っている。
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