辞めた理由&事例つき 「介護職辞めたい」と思ったら…理由と対処法

人間関係が面倒。働いても給料が低い。もう辞めたい…。

この記事では「介護職を辞めたい」と悩む方に向けて、みんなが介護職を辞めた理由や、辞めたいとき取るべき行動をお伝えします。

介護職を辞めた理由ランキング

介護職を実際に辞めた人は、どんな理由で辞めているのでしょうか。「平成28年度 介護労働実態調査」のデータをもとに見ていきましょう。

「人間関係」を理由に辞める人が一番多い

離職理由で最も多かったのは「職場の人間関係」、次に多かったのが「結婚や育児」でした。介護業界は3K(きつい・汚い・危険)と称されることがありますが、そもそも「仕事がきつい」という質問事項が入っていないためか、そうした世間のイメージとは異なる結果となっています。

※参考:「平成28年度 介護労働実態調査」-公益財団法人介護労働安定センター

介護職を辞めたい理由5つ、事例紹介&分析

介護業界では、人間関係を理由に辞める介護職の方が多いとわかりました。ここからは「介護職を辞めたい」と思う理由をさらに詳しく見ていきましょう。

人間関係が悪い

<事例1>

まだ入って1年なのですが、利用者さんの家族の理不尽なクレームが辛くて辞めたいです。

他の利用者さんと同じように対応していても、「歯磨きがなっていない」「着替えさせ方が乱暴」などと言いがかりを付けられます。

本来なら助けてくれるはずの経験の長いスタッフたちは、私にご家族への対応を丸投げして知らんぷり。もう耐えられません。

<事例2>

看護師が威圧的な態度で指示してくるので職場の雰囲気がギスギスしています。

こっちがわからないから聞いているのに「そんなことで質問するの?時間取らせないで」と偉そうな態度を取られることも。

確かに看護師の方が医療には詳しいけど、だからといって介護士を見下すのは納得いかないし、他の介護スタッフたちは裏で看護師の陰口を言っているのでますます溝ができています…。

介護施設ではまず利用者の家族との人間関係で悩む方も多いようです。

また、少数でチームを組んで働くものの閉鎖的な環境が多いからか、スタッフ同士のコミュニケーションでも問題が出てきます。

さらに看護師と介護士など多職種連携の職場では知識・経験の違いや収入差から、互いの主張がかみ合わず、対立することも多いようです。

給料が割に合わない

<事例1>

自分の働いている施設ではサービス残業は当たり前で、残業代があってないような状況です。

資格を持っていてもさほど給料は上がらないし、昇給はあっても年1回で1,000円程度。それだけ長く働いても、頑張りが給料に反映されなくてモチベーションが上がりません。

ボーナスもいくらか出ますが合わせて20万程度で働きに給料が見合わないし、将来子どもの進学費用などもきちんと支払えるか心配です。

いっそのこと他の職種へ転職しようか悩んでいます。

<事例2>

給与明細を見るたびに「なんでこれしかもらえないのだろう」と落ち込む日々。

仕事は肉体労働がつらい上に、給料以上のサービスを要求してくるわがままな利用者さんもいて精神的にも疲れます。暴言・暴力・セクハラをこんなに我慢しているのだから、手当を出してほしいくらい。

実際の手取りはたった15万で、病院にも通っているので生活費を支払うのがやっとという感じです。

精神的・肉体的負担が大きい割に給料が低いと感じている人が多いようです。

人手不足でただでさえ仕事量が多いにもかかわらず、人間関係が悪かったり休みが少なかったりすると「こんなに頑張っているのに」と報われない気持ちになってしまうのかもしれません。

近年では介護業界の人手不足を解消するために、国による賃上げが行われているものの、施設によっては運営資金に消えて給料にあまり反映されないというケースもあるようです。

もし転職を考えているのであれば、施設を見学する、口コミを調べるなど十分に下調べした上で、好条件の施設を探すことがポイントです。

肉体的につらい

<事例1>

度重なる夜勤と仕事のストレスで、生理不順になりました。人手不足で1人ひとりの負担が大きく、入浴介助や排せつ介助を毎日何人も行うので、腰を酷使してしまってついに病院通いになりました。

稼いだ給料が病院代に消えてしまいます。

上司に相談したら「腰を痛めるのはおまえの技術が下手なせいだ」と言われて、さらに仕事に行く気が失せました。体力的にも金銭的にも厳しいので、もう辞めようかな。

<事例2>

認知症の利用者さんに殴られたり蹴られたりは日常茶飯事です。

利用者さんたちのお世話をしているのは私たちなのに、職員を守ってくれる仕組みはありません。

中には優しい言葉をかけてくれる利用者さんもいます。でも、夜勤は多いし給料は低いしで心も体もボロボロで、利用者さんに冷たく当たってしまいそうになります。

利用者の介護度や施設の形態によってレベルは異なりますが、介護職員は入浴介助やベッドの移乗などの肉体労働や、不規則勤務を日常的にこなさなくてはなりません。身体的な負担が重なっていき、これ以上は働けないと感じる方が多いようです。

慢性的な人手不足

<事例1>

職員が足りないので1人当たりの仕事量が多いです。

休日も呼び出されたり、夜勤明けが公休にされたりして全然休めません。

一部のベテラン達は優遇されて自由に休み、若いスタッフばかりシフトを多めに入れられていることも不満の1つです。SNSで楽しそうに遊んでいる友人の写真を見かけると、心身を削って働いている自分がむなしくなります。

<事例2>

人手不足なので仕事が終わらず、延々とサービス残業。

嫌いな人には面倒な仕事を任せて嫌味ばかり言っているお局様がいるので、新人さんはすぐ辞めていってしまうし、ますます人手が足りなくなって負の連鎖です。

私も早く辞めたいけれど、生活費を稼がなきゃならないし、後に残された人のことを思うとなかなか辞められません…。

人手不足だと多忙になり、精神的にも余裕がなくなってきてしまうものです。上司の身勝手なシフトや事業者のパワハラ社員の存在など、他の要因も相まってさらに人手不足が助長されてしまうケースも。

慢性的な人手不足を理由に辞めたいと感じる方も多いようです。

理想とのギャップ

<事例1>

もともとおばあちゃんっ子だったこともあって、お年寄りの方が好きでこの仕事に就きました。

でも、施設は利益重視なので入所者に対して職員数が足りておらず、1人ひとりとじっくり向き合う時間がありません。流れ作業的にお年寄りのお世話をしているような気持ちになってつらいです。

<事例2>

若いうちに介護のスキルを身に付けたいと思い、特別養護老人ホームに就職しました。

ですが、やらなければならないことが多く思ったより大変です。何とか知識を頭に叩き込んで努力はしていますが、上司に「仕事が遅い」と叱られると余計に恐怖と焦りが出てきてしまいます。

また、看取りがあることもつらいです。正直、もっと介護度が低い施設にした方が良かったかなと後悔しています。

働き始めたら、「業務内容や運営方針が思っていたものと違う」と不安や悩みを感じたり、特に介護職に長年憧れていた方ほど、理想の介護像との違いにショックを受けたりするようです。

介護職を辞めたいと思ったときの選択肢

「介護職を辞めたい理由」からは、人間関係が閉鎖的で慢性的な人手不足になりがちな介護業界の現状が見えてきました。

ここからは、介護業界でそうしたつらさに耐えながら働く方が、少しでも楽になるための3つの選択肢を紹介します。

信頼できる人に相談する

人間関係の悩みは友人や家族に、職場環境の問題は管理者に「休職したい」と持ちかけるなど、信頼できる人に相談してみてはいかがでしょうか。相談できる相手が身近にいない場合はネットでも良いです。

直接解決にはつながらないかもしれませんが、「つらい思いをしているのは自分だけじゃない」と知って心が軽くなり、また解決の糸口が見つかるかもしれません。

しかし、ときには施設の運営方針や人間関係の問題を相談しても上が動いてくれないケースもあると思います。問題の深刻さにもよりますが、その場合は弁護士など専門家に頼るか、見切りを付けて他の施設を探すと良いでしょう。

業界内で転職する

介護業界は施設によって給与や仕事内容が異なるため、より好条件な施設に転職するのも1つの方法です。介護業界は人手不足で引く手あまたなため、転職のチャンス自体は大いにあります。

「そうはいっても人手不足だから辞めづらい」というケースもあるでしょう。しかし、本来会社全体の管理は事業者が行うべきことです。あなたが1人で背負う必要はないため、自身の希望を優先することをおすすめします。

リスクを覚悟で他業界へ転職する

介護職が自分に合わないと感じた場合、他業界への転職を視野に入れても良いかもしれません。

ただし、介護業界から他業界に転職するのはハイリスクです。年齢が若ければ経験未熟でも採用される余地はありますが、経験とスキルがない状態では採用されにくく、転職活動に苦労する可能性も。

他業界に転職する際は明確な転職理由と覚悟を持って臨むべきでしょう。

コラム:辞めた方が良い職場の条件

自分から働きかけることで職場に対する不満や悩みが解消されるケースもありますが、以下のような職場は我慢せずに辞めた方が良いでしょう。

✔無資格者に違法な医療行為を行わせている(摘便やインスリン注射など)
✔残業代が支払われない(自宅での持ち帰り仕事、タイムカードを切った後も残業させられるなど)
✔ハラスメントやいじめ、利用者の暴力が横行している
✔仕事に支障が出るほど心身の状態が悪化している(腰痛やうつ病など)

違法な行為を行っている職場はいうまでもないですが、経営陣の職場環境に対する改善意識が低い職場や、精神的・肉体的苦痛が大きい職場についても転職を検討するべきです。

まとめ

介護職は、高齢者の命を預かる責任重大な仕事。ストレスが溜まりやすいのも当然です。

今の職場に留まることで改善する可能性もあるかもしれませんが、無理をすれば心身が壊れてしまいかねません。

一番大切なのは自分の心と体です。心身に支障を来たす前に、他の施設への移動も考慮に入れて、誰かに相談するなどしましょう。

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