提出を拒否できる? 会社にマイナンバーを提出しても大丈夫?
就職先の会社からマイナンバーの提出を求められた際、大切な個人情報を本当に提出して良いのか心配になる人もいるでしょう。
この記事では、会社が従業員にマイナンバーの提出を求める理由について解説。提出を拒否できるかどうかや、提出方法についても掲載しています。
なぜ会社はマイナンバーの提出を求めるの?
会社が従業員に対してマイナンバーの提出を求める理由は、以下の3つです。
会社はこれらに関する特定の事務作業を行う場合に限り、マイナンバーカード、通知カードなどのコピーを保管することが法律で認められています。
従業員にマイナンバーの提出を求める際、会社側はどのような目的や用途で使用するか、口頭もしくは書面でしっかり説明する義務があります。もし、会社側から特に説明がなされず不安を感じた場合は、担当者に直接問い合わせてみることをおすすめします。
以下では、一般的に会社がマイナンバーを使用して行う「税法上の手続き」「社会保険の手続き」「災害発生時の安全確保や生存確認のため」の業務について、くわしく説明します。
税法上の手続きのため
給与所得の源泉徴収票の作成や、年末調整事務などを目的に、会社は従業員に対しマイナンバーの提供を求めることがあります。
会社は法令に基づき、従業員から提出されたマイナンバーを源泉徴収票に記載し、税務署や市区町村に提出します。
社会保険の手続きのため
労災保険や社会保険(健康保険や厚生年金など)の加入・更新の手続きを行う目的で、従業員に対しマイナンバーの提供を求めることがあります。
会社は、従業員から提出されたマイナンバーをもとに、健康保険や厚生年金の「新規適用届」「被保険者資格取得届」を作成し、会社の所在地を所轄する年金事務所に提出します。
災害発生時の安全確保や生存確認のため
災害発生時に従業員の安全確保や、生存確認、現在地の確認、必要な支援の提供などの目的のため、従業員に対しマイナンバーの提供を求めることがあります。
例えば災害が発生した場合に、マイナンバーの情報と各従業員の居場所(自宅、出張先、避難所など)を紐づけて、どのような状況に置かれているのかを把握することができます。
ただ、災害時におけるマイナンバーの運用方法はまだしっかりと確立しているわけではありません(2023年2月現在)。デジタル庁は今後、民間企業や自治体と協力し、すでにある防災関連のシステムやスマホアプリなどとの連携や新たなシステムの開発を進めていく予定です。
マイナンバーの提出は拒否できる?
拒否できる。法令上の罰則はないため
現在、法令上の罰則はないため、マイナンバーの提出を拒否することは可能です。
提出を拒否しても、行政サービスを受けられなくなったり、確定申告書類を受け取ってもらえなくなったりなど、何らかの不利益やペナルティを受けることはありません。
しかし、拒否した場合のデメリットはあります。下記でくわしく解説していきます。
マイナンバーの提出を拒否した場合に考えられるデメリット
マイナンバーの提出を求められたのにもかかわらず、入社して間もないタイミングで拒否することで「規則に従ってくれない従業員である」というマイナスのイメージを与え、会社との関係を悪くする可能性があります。
また、提出を一度拒否したとしても、担当者から再び提出を求められるケースもあるでしょう。というのも、会社はマイナンバーを提出しない従業員のために、別途事務処理をしなければならないからです。
公的機関へ提出する書類にマイナンバーを記載する義務もあるため、会社としてはできる限り全社員にマイナンバーを提出してもらいたいと考えています。
このため、会社からマイナンバーを求められたら、なるべく速やかに提出するのが望ましいでしょう。
会社にマイナンバーを提出する方法
ここでは、マイナンバーの一般的な提出方法について解説します。
まず、あなたの手元にあるのが「個人番号カード(マイナンバーカード)」か「通知カード」かによって、マイナンバーの提出方法が変わります。
また、個人番号カードや通知カードがどこにあるかわからない、手元にないといった場合でも、マイナンバーを提出する方法があります。
それぞれについて、くわしく解説していきます。
※会社によってマイナンバーの収集方法はさまざまです。マイナンバーの提出を求められたときは、まず提出方法を会社に確認しましょう。
※今後、国の方針などで、提出に必要なものが変わる可能性があります。
個人番号カードを持っている場合
個人番号カード+身分証明書1点を提出
個人番号カード(マイナンバーカード)を持っている場合は、その両面コピーを提出します。加えて、身元確認のため保険証や運転免許証などの他の身分証明書も1点、併せて提出するのが一般的です。
通知カードを持っている場合
通知カードとは、個人番号(マイナンバー)が書かれた、緑色をした紙製のカードのこと。2015年10月以降に、日本国内に住民票を持つすべての住民に配布されたもので、個人番号のほかに、氏名、住所、生年月日、性別などが印字されています。
手元にあるのが通知カードの場合は、以下の2つの方法でマイナンバーを提出することができます。
通知カード+顔写真付き身分証明書1点を提出
個人番号カード(マイナンバーカード)を持っておらず、通知カードしかない場合、通知カードに記載されたマイナンバーのコピーと、顔写真付き身分証明書(運転免許証やパスポート)を1点セットで提出するのが一般的です。
通知カード+顔写真なしの身分証明書2点を提出
運転免許証やパスポートを持っておらず、顔写真付き身分証明書がない場合は、通知カードに記載されたマイナンバーのコピーと、健康保険証や年金手帳などといった他の身分証明書を2点セットで提出するのが一般的です。
個人番号カード・通知カードのいずれも手元にない場合
個人番号カード(マイナンバーカード)・通知カードのいずれも手元にない場合、マイナンバーが印字された住民票の写しと顔写真付き身分証明書1点(または顔写真なしの身分証明証2点)をセットで提出するのが一般的です。
マイナンバー付き住民票の写しは、住民登録をしている市区町村の役所の窓口で申し込むか、ネット上の申請用紙に記載し郵送すると、交付を受けることができます。
通常、住民票の写しにはマイナンバーの記載が省略されるため、必ずマイナンバーの記載があるものを申請しましょう。
コラム:退職後、提出したマイナンバーはどうなる?
会社に提出したマイナンバーは、一定の期間が経過すると廃棄されるため、退職した会社に情報が残ることはありません。
下記2点に当てはまる場合、企業はマイナンバーの情報をできるだけ速やかに廃棄または削除することが法律で定められています。
- 社会保障や税に関する手続き書類の作成事務を行う必要がなくなった
- 所管法令で定められている保存期間を経過した
入社準備でやっておきたいことをチェック
転職内定が決まった人は、内定先に提出するもので、現在勤めている会社から受け取る必要のあるものや、自分で用意する書類がいくつかあります。
以下の記事を参考に、抜け漏れがないかチェックしましょう。