はじめて自転車通勤を考えている人へ 自転車の選び方と注意点

「健康のため」「ストレス解消のため」「満員電車を避けたいため」「そもそも自転車に乗るのが好きだから」といった理由から、自転車通勤が気になる人は多いようです

この記事では、自転車通勤を始める前に知っておきたい注意点と、自分に合った自転車選びの方法などを解説します。

自転車通勤を始める前に
絶対に確認すべきコト4つ

気軽に始められそうな自転車通勤ですが、まずはそもそも自転車通勤ができるのかどうか下記の4点について事前に確認する必要があります。

【自転車通勤を始める前に…絶対に確認すべきコト】1)会社の通勤規定/2)駐輪場の有無/3)自転車通勤のルート/4)自転車通勤時の服装

1)会社の通勤規定

自転車通勤を始める場合、自転車通勤が可能かどうか、職場の規定集を確認してみましょう。特に記載がない場合、担当部署に確認します。

自転車通勤を認めたり推奨している会社もありますが、その一方で通勤手段の変更に合理的な理由が必要になる会社もあります。個人的な都合で自転車通勤を始めると、場合によっては申請が却下される可能性があるので、まずは会社の担当部署に相談してみましょう。

また、もしも会社に申告せず、勝手に通勤手段を電車やバスから自転車通勤に切り替えると、通勤手当の不正受給とみなされかねません。最悪の場合、懲戒処分になることもあるので、必ず事前に担当部署に相談した上で申請しましょう

2)駐輪場の有無

次に、職場付近に自転車を停めるスペースがあるか確認しましょう。

会社に駐輪場が無い場合は、付近の駐輪場の空き状況を事前に確認する必要があります。職場に自転車通勤している人がいれば、職場付近で利用しやすい駐輪場を教えてもらうのが早いでしょう。

また、駐輪料金についても要チェックです。有料の駐輪場を利用する場合は、定期利用で月額1000円〜2000円ほどかかることがあります。定期的な出費になるので、家計に影響がないか確認しておきましょう。

加えて、利用予定の駐輪場が24時間利用可能かどうかも確認しておくと安心です。駐輪場によっては、ある一定の時間を超えると自転車を引き出せなくなることもあるからです。

なお、自転車盗難事故を防ぐ観点から、無人の駐輪場よりも管理人のいる駐輪場がおすすめ。無人の駐輪場を利用する際は、盗難に遭わないように盗難防止グッズ(ロックチェーンや防犯ブザーなど)の購入も検討しましょう。

3)自転車通勤のルート

自宅から職場までのルートを検索し、自転車通勤が現実的に可能かどうか確認しましょう。

まず、Googleマップなどの地図アプリで、自宅から会社までの自転車通勤ルート、距離、所要時間を大まかに確認します。その後、交通量や信号、交差点や夜間の明るさ、路面状況などを、実際に歩いてみるなどして確認してください

問題なさそうであれば、自転車を購入後、実際に乗って同じルートを走ってみましょう

なお、自転車通勤に最適な距離は片道5〜15km程度とされています。坂道や信号の数などによって、同じ距離でもかかる時間や疲労感に違いがでてくるため、自転車通勤を始める前に「毎日この道を自転車で通勤できそうか」を確認することが大切です。

4)自転車通勤時の服装

自転車通勤時、どんな服装で行くかを確認しましょう

目安として、5㎞未満の移動なら、服装はスーツなどの普段の仕事着でOKです。5㎞以上の長距離移動では汗をかくため、吸汗速乾性のある服を着用したほうが良いでしょう。

とくに夏場は着替えを用意するのがベスト。職場に着替えができる設備があるかどうかも事前に確認する必要があります。

最近では速乾性に優れた衣類や、ストレッチ機能のある機能性スーツなども発売されているので、更衣室がなかったり服装規定があったりする職場の場合は、そういったものを選ぶと良いでしょう。

自転車通勤に最適な
自転車の種類は?

世の中にはいろいろな種類の自転車があります。ここでは走行距離と道路状況別に、おすすめの自転車の特徴を紹介します。

種類と特性から自分にあう自転車の目星がついたら、実際に購入するときはサイクルショップなどの専門店で販売員に直接相談するのがよいでしょう。自分の体の大きさや通勤距離などから最適なものを提案してくれます。

なお、2023年4月1日から法改正により、自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化されるので、ヘルメットも忘れずに購入しましょう。

走行距離や道路状況で選ぶなら

シティサイクル(ママチャリ)

  • 片道5km(20分前後)程度の移動なら十分。
  • カゴが付いているモデルであれば、荷物を入れられるため便利。
  • 泥除けやヘッドライトがあらかじめ取り付けられているものが多い。

クロスバイク

  • 片道5km以上で10km(40分前後)を超える移動距離向き。
  • 初心者でも乗りやすく、自転車通勤にはスタンダード的な種類。
  • タイヤが細く、ボディも軽量なのでスピードが出やすい。
  • シティサイクルと比べてサドルが細く、位置が高いので、長時間お尻をサドルに乗せると痛みを感じることがある。

マウンテンバイク

  • 片道10km(40分前後)を超える移動距離向き。
  • 段差の衝撃に強い。
  • でこぼこした道、泥が多いなど、道路事情があまりよくない通勤ルートにおすすめ。

ロードバイク

  • 片道15km(50分前後)を超える移動距離向き。
  • スピードが出やすく、より速く・長く走ることが得意。
  • 一般的には泥よけやヘッドライトは付いておらず、アクセサリーを選んで買い足す必要あり。

その他の機能面で選ぶなら

ミニベロ

  • 停止状態からの漕ぎ出しが軽く、スムーズに加速できる。
  • ハンドリングしやすく、街中など人通りの多い場所でも小回りがきく。
  • 小型なので室内に保管することもできる。

折りたたみ自転車

  • 折りたたむと半分程度の大きさになる。
  • 折りたたんだ状態で車に積めたり、電車に乗れたりする。
  • 駐輪場がなくても職場など室内で保管できる程のコンパクトさが特徴。

電動アシスト自転車

  • 電動モーターのサポートで走りやすく疲れにくい
  • 坂道が多い場所を移動するのに向いている

コラム:盗難防止・保険への加入も忘れずに

自転車は盗難被害に遭いやすいため、購入する際に防犯登録と盗難保険に加入しましょう

また、万が一の事故に備えて「自転車保険」への加入もおすすめします。自治体によっては自転車保険の加入が義務化されているエリアもあるので、必ずチェックしましょう。

生の声!自転車通勤を続けている人
・挫折した人

自転車通勤をしている人は、一体どんなメリットを感じているのでしょうか?逆に「始めてみたけど上手くいかなかった…」と挫折してしまった人は、何に困ったのでしょうか?

自転車通勤を続けている人と挫折した人に、それぞれインタビューを行いました。

【継続中】自転車通勤を始めたら、活動範囲が広がった

【Aさん(30代)】職種:会社員/自転車通勤:4年/種類:クロスバイク/走行距離:約2km/片道所要時間:10分程度

自転車通勤を始めたきっかけ

職場が近いのでバス通勤をしていましたが、時間通りに来ないことが多かったため、自転車で通勤することにしました。

また、会社に自転車を停めるスペースもあり、職場のほとんどの同僚が自転車通勤だったので、始めやすい環境でした。

自転車通勤をしてよかった点

活動範囲が広がったように感じます!少し離れた場所にあるジムでも、仕事の後に気軽に通うことができます。

私の会社は徒歩や自転車で通勤する人に「健康増進手当」が出るため、これからも続けようと思います。

【挫折】カッコいい自転車に憧れて始めたけれど、要因が重なって断念…

【Bさん(30代)】職種:会社員/自転車通勤:2年/種類:クロスバイク/走行距離:約15km/片道所要時間:30~40分程度

自転車通勤を始めたきっかけ

以前から憧れていたイタリア製のカッコいい車体をネットで発見!「乗ってみたい!」と思い、衝動的に購入

せっかく買ったし、健康のためにも良いかなと思い、自転車通勤を始めました。

自転車通勤を挫折した理由

サドルが自分の体には合わなかったのか、20分くらい乗っているとお尻がとても痛くなってしまって…。別の種類のサドルに2回ほど変えてみましたが、あまり改善されませんでした。

他にも、交通量が多いところを走っていたので排気ガスで顔が真っ黒になり、朝から大変な思いをしていました。

また、近隣で月極で借りられる駐輪場は人気のため、抽選に何度も外れてしまって…。結局、自分にはちょっと厳しいかもと思い、自転車通勤を断念することにしました。


上記のインタビューを通して、自転車通勤には職場の環境や車体との相性など、様々な条件が揃うことが継続のカギとなりそうです。

雨の日に自転車通勤する場合の
注意点

自転車通勤は天候に左右されやすい交通手段。悪天候での自転車通勤は濡れたマンホールや道路の白線の上でスリップしやすくなったり、車体が濡れてブレーキが効きにくくなったりするため、とても危険です。

特に雨の日はどんなことに注意すべきなのか、以下に詳しくまとめました。

【雨の日に自転車通勤する場合の注意点】・自転車以外の通勤手段を事前に確認しておく/・雨の日の自転車通勤に使えるアイテムを準備する/・出発時間に余裕を持つ/・自転車が濡れたら綺麗にする

自転車以外の通勤手段を事前に確認しておく

強い雨や嵐など、天候が悪い日は自転車以外の通勤手段に切り替えるなど、柔軟な対応が必要になります。バスや電車など、代わりの交通手段も事前に確認しておきましょう

バスや電車を使う場合は、家を出る時間も変わってきます。前日に天気予報を確認し、悪天候の場合は会社に遅刻しないよう、起床時間を調整しましょう。

雨の日の自転車通勤に使えるアイテムを準備をする

雨の日は普段の格好で会社に向かうのは難しいため、悪天候時にも使えるアイテムを準備しておく必要があります。

加えて視界が悪い雨の日は、車のドライバーが自転車の存在に気付かず、追突事故を起こしてしまうこともあります。万が一の事故に遭わないように、しっかり備えておきましょう。

また、視界が悪い雨の中でも周囲に気づいてもらいやすいように、身に着けるアイテムは目立つ色を選ぶのがおすすめです

雨の日にオススメのアイテムを、下記にリストアップしました。ぜひ参考にしてみてください。

アイテム ポイント
(1)レインウェア
  • ポンチョのようなものより、上下が分かれているものが、雨が体や服を濡らしにくい
(2)レインブーツ・レイングローブ
  • レインパンプスのような浅い靴ではなく、膝下まで覆う丈の長いレインブーツだと、足の中に水が入りにくい
  • 足元と手元が雨に濡れて滑りやすくなるため、レインブーツもレイングローブもグリップがしっかり付いているものがおすすめ
(3)レインヘルメットカバー・アイウェア
  • レインヘルメットカバーは明るい色を選ぶ
  • アイウェアのレンズに撥水性を良くする専用スプレーをかけるとより効果的
(4)テールライト
  • 車のドライバーへの視認性を高めるために、暖色系(赤やオレンジ)のライトがオススメ
(5)泥よけ
  • 雨の中は、足元に泥がはねやすいため、泥よけの付いていない自転車には別途購入して取り付けるのがベター

    ※あらかじめ泥よけがついている自転車もあるので要確認

傘を差しながらの自転車の運転はNG

傘を差しながらの自転車走行は大変危険なため、絶対にやめましょう。雨風を受けた際に、自転車のバランスが不安定になり、転倒したり車などへの衝突事故を起こしたりする可能性があります。

傘を手に持ったままはもちろん、自転車に傘を取り付けた状態での走行も危険です。多くの都道府県では傘差し運転は禁止されており、5万円以下の罰金を課せられることがあります。

出発時間に余裕を持つ

雨の日は普段より早めに自宅を出る必要があるため、早め早めの準備を心がけましょう

雨具を装着し、普段よりも注意しながら走行しなければならないため、晴れの日よりも時間がかかってしまいます。

時間に追われて慌てないためにも、雨の日は出発時間に余裕を持つように行動しましょう

自転車が濡れたら綺麗にする

自転車が雨で濡れてしまったら、水や泥を落として乾いた布で拭いて綺麗にしましょう

濡れたまま放置してしまうと、自転車にサビが付いたりパーツが劣化したりする原因となります。

自転車通勤にまつわるQ&A

ここでは、自転車通勤を始める上で疑問に感じやすいことをいくつかピックアップしてお答えします。

自転車通勤って疲れる?仕事に影響する?

自転車通勤は有酸素運動になるため、個人差はありますが多少の疲労はあるかもしれません

初めのうちはその疲労感が眠気を誘ったり、ぐったりしてしまう可能性もありますが、徐々に体に馴染んで体力が付き、生活リズムの一部として慣れていくことがほとんどのようです。

注意したいのは、あまり慣れていないうちから長距離の自転車通勤を行うことです。自転車通勤は毎日のことになるので、初めから慣れない長距離を走ると急な体への負荷によって疲労が蓄積されて、体調が悪化してしまうことも。

自宅と会社の距離が遠い人は、初めは無理のない範囲から慣らす工夫をしたり、体調を考慮して自転車通勤をしない日を作ったりなどを心がけましょう。

自転車通勤にしても、交通費はもらえる?

自転車通勤をした場合、交通費は支給されません

ただ、悪天候によって自転車通勤をせず公共交通機関を利用した場合は、その際にかかった費用を会社に申告し、精算できることが一般的なようです。

会社によって対応が変わるため、自転車通勤をする際の交通費については事前に会社に確認しておきましょう。

自転車通勤の平均時間ってどのくらい?

国土交通省の調査によると、自転車での平均通勤時間は約16分とされています。

自転車では自宅から会社までドアツードアで移動するため、スムーズな通勤ができるでしょう。

※出典:<全国都市交通特性調査集計データ H27平均所要時間|国土交通省

仕事の飲み会後、自転車に乗って帰って良い?

飲酒後に自転車に乗るのは大変危険で、法律でも禁じられているため絶対にNGです。

自転車は軽車両ですが、車の飲酒運転と同じ扱いとなるため、飲み会の後は自転車には乗らずに、押して帰宅してください

押して帰ることも難しそうなら、その日は電車やタクシーなどを利用して帰りましょう。

自転車通勤にシェアサイクルってアリ?

自転車通勤にシェアサイクルを利用することは不可能ではありません。ただし、まずは自分の居住エリアにサイクルポート(シェアサイクル用の駐輪場)があるか確認し、メリットとデメリットをよく考えた上で、利用するかどうかを決めましょう

シェアサイクルは、電子マネーを使って一定の料金を支払うことで、原則として24時間どこのサイクルポートでも、自転車をレンタル・返却できます。好きな場所や自分のタイミングで利用でき、自分で自転車を管理する必要がありません

その一方、自分以外の利用者も多数いるため、使いたいときに使えないリスクもあります。また、使用できる自転車の種類もシティサイクル(ママチャリ)か電動アシスト自転車が主流なので、自分の体格に合わない可能性も。そこもふまえて検討する必要があります。

この記事の執筆者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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