原因と問題点・今後の動向も 最新・就職氷河期のリアル|ピークはいつ?

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就職氷河期によって大量の非正規雇用者や失業者が生まれたことは、大きな社会問題になっています。

ここでは、就職氷河期の原因と問題点、政府による支援などについて説明します。

就職氷河期とは?ピークや原因・問題点

そもそも就職氷河期とはどんなものなのでしょうか。わかりやすく説明します。

1993~2004年頃に起こった就職難のこと

就職氷河期とは、バブル崩壊を発端に1993~2004年に起こった就職難のことです。

不景気を理由に企業が新卒採用を絞った結果、求人倍率が下がり、大学を卒業しても就職できなかった人々が非正規雇用として働かざるを得ないという状況になりました。

それに伴い失業者が増え、完全失業率が上がりました。

厚生労働省によると、就職氷河期を経験した人々は2019年現在で33歳~48歳となっており、この世代は「失われた世代=ロストジェネレーション」と呼ばれています。

この世代は非正規雇用だけでなく、いわゆる引きこもりの完全失業者も少なくありません。収入や雇用の不安定さから結婚・出産できない人も多い傾向にあります。

※正規雇用と非正規雇用の違いについて詳しくは→正規雇用とは|非正規との違いって?

就職氷河期のピークは2000年前後

就職氷河期のピークは2000~2003年頃で、新卒求人倍率は2000年に0.9倍にまで落ち込みました。

また、新卒が含まれる15歳~24歳の完全失業率は2000年には9%を、2003年には10%を超えました。

新卒求人倍率と完全失業率の推移を比較したグラフ。一方が上がると、もう一方が下がっていることがわかる。

【原因】バブル崩壊による不景気

就職氷河期の大きな原因は、バブル崩壊後の不景気により企業が採用人数を減らしたことです。

バブル崩壊後は不動産融資総量規制の制定や公定歩合の引き上げにより、企業は銀行から十分な融資を得られず、極端な不景気に陥りました。

その結果、企業は人件費削減のために新卒の採用人数を減らし、有効求人倍率が大きく低下。

終身雇用制度をとっている多くの日系企業は、できるだけリストラをせず既存社員の雇用を守る代わりに、新卒採用を削減・中止することで人件費を抑えていたのです。

その一方、やむを得ず大規模なリストラを行った企業や倒産した企業もあったため、失業者が増えました。

加えて、団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ。年間の出生数が200万人を超えた)がちょうど就職氷河期が始まる頃に大学を卒業したことで、就職難に拍車がかかりました。

ただでさえ人口が多い団塊ジュニア世代の就職活動が就職氷河期に重なったことで、少ない求人を多くの就職希望者が取り合うことになり、有効求人倍率の低下がさらに進んでしまったのです。

【問題点】非正規雇用や未婚者が増えた

就職氷河期の最も大きな問題は、新卒で正社員になれず、やむを得ずフリーターや非正規労働者として働く人が増えたことです。

ただでさえ正社員として働けない人が多い中、2000年代前半の小泉政権による労働者派遣法の規制緩和で、さらに非正規雇用が増加しました。

フリーターや非正規雇用者は賃金が安く、有期雇用契約であることも多いため、生活が不安定な傾向があります。

また、非正規雇用から正規雇用を目指して転職活動をしても、企業からは「正社員としての職歴がない」「正社員を採用するなら年齢が若い方が良い」などの理由から敬遠され、非正規雇用からなかなか抜け出せないという実態もあります。

こうした生活・将来への不安から、就職氷河期世代の人々は未婚率が高く、結婚をしたとしても子どもを作らないケースもあります。これは少子化現象の原因の一つにもなっています。

コラム:2009~2013年に就職氷河期が再来した?

2009~2013年「就職氷河期の再来」あるいは「第2の就職氷河期」と呼ぶことがあります。

2008年のリーマンショック2011年の東日本大震災の影響により、新卒を含む15~24歳の完全失業率は2008年に7.3%、2011年に8.3%となり、2000年頃の就職氷河期と近い数字を記録しました。

大卒求人倍率も2010年には1.62倍、2012年には1.28倍と低くなっています。この時期は不景気と災害の打撃が大きかったことがわかります。

※参考
第36回 ワークス大卒求人倍率調査(2020年卒)|リクルートワークス研究所

労働力調査 長期時系列データ_完全失業率【年齢階級(10歳階級)別】|総務省統計局

就職氷河期世代に対する政府の支援とは?

就職氷河期世代を対象にした政府の試みと、その現状の問題点を説明します。

厚生労働省が就職氷河期世代活躍支援プランを公開

2019年6月、政府が就職氷河期世代に焦点を当てた支援策を公開しました。

就職氷河期世代といわれる33歳~48歳の正規雇用化や、多様な社会参加を実現するためのプランです。今後3年間の集中プログラムで、正規雇用者を30万人増やすことを目的としています。

なお、このプログラムは2019年8月時点では方針が決定した程度であり、本格的な始動はまだ先になるようです。

就職氷河期世代活躍支援プランのおおまかな内容は、以下の通りです。

1地域ごとのプラットフォームの形成・活用

都道府県労働局やハローワークなどの市町村レベルのプラットフォームを活用し、就職氷河期世代の就職や社会参加を促す。

2一人ひとりにつながる積極的な広報

就職氷河期世代の社会参加や就職を社会全体で応援していることを、労働局やハローワークなどを活用して効果的に伝えていく。

3対象者の個別状況に応じたきめ細やかな各種事業の展開

ハローワークに就職氷河期世代専門の相談窓口を設置する、就職氷河期世代に特化した求人の開拓・マッチング・助成金の活用を促進するなどのさまざまな取り組みを行い、対象者に応じた支援を提供する。

※参考→就職氷河期世代活躍支援プラン|厚生労働省

対策の遅さに批判の声も

就職氷河期世代はすでに40~50代に近いため、今回の対策に対して「もっと前に実行してもらいたかった」「対応が遅すぎる」という批判があります。

また、「正規雇用への転換」など即時的な対策ではない点や、3年間の集中プログラムという短期間である点にも、否定的な見方をしている人が多いようです。

2021年に就職氷河期が来るって本当?

最後に、近い将来に就職氷河期の再来の可能性はあるのかについて解説します。

2021年以降に就職氷河期再来の可能性

就職氷河期は、2021年以降に再来する可能性が高いと指摘されています。2020年の東京オリンピックによる好景気の影響が薄れ、いわゆる「オリンピックバブル」の崩壊が起こると予想されるためです。

東京オリンピックによる影響から、2020年までは景気は安定するといわれています。

実際、2019年4月の有効求人倍率は1.63倍、6月1日時点の大学生(大学院生除く)の就職内定率は70.3%で、2012年(2013年卒)の調査開始以来の高数値です。

しかし、2021年以降はオリンピックバブルの崩壊に加えて、2019年10月の消費税のさらなる引き上げ、米中の貿易摩擦の激化といった不安要素もあることから、不景気や就職難にならないとは言い切れない状況です。そのため、就職氷河期の再来が危惧されています。

※参考→一般職業紹介状況(平成31年4月分)について|厚生労働省

まとめ

就職氷河期は不景気などが原因で起こった集団的な就職難のことで、ピークは2000年前後。企業が採用活動を抑えるために有効求人倍率は低くなる一方、完全失業率は高まります。

最近になってようやく政府による支援策も講じられていますが、支援内容には否定的な声も出ているのが現状です。景気や情勢によって、今後も就職内定率や有効求人倍率は変化するといえるでしょう。

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