能力の内容・必要性・鍛え方 【図解】社会人基礎力とは?簡単に解説

就職・転職関連の話題で耳にする「社会人基礎力」とは、具体的にどんな能力なのでしょうか。

この記事では、社会人基礎力の内容や必要性について解説します。また、これから社会人基礎力を身に付けたい人向けに鍛え方も紹介します。

社会人基礎力とは?

多様な人たちと関わりながら仕事を進める能力

社会人基礎力とは、職場や地域社会で多種多様な人と関わりながら仕事を進めるために必要な能力の総称のこと。2006年に経済産業省が提唱した概念です。

1990年代以降、国内市場の成熟化やIT化など、社会環境が大きく変化したことによって「学生が社会に出るまでに身に付ける能力」と「職場や地域社会で求められる能力」にズレが生じるようになりました。

このズレを解消するために経済産業省は「社会人基礎力」という概念を作り、社会で求められるさまざまな能力を明確に定義しました

社会人基礎力は、具体的には3つの能力と12の能力要素から構成されています。能力の内容について、くわしくは次章で解説します。

「会社に依存しないキャリア」を築くために必要

社会人基礎力は、会社に依存せず自分自身でキャリアを築いていくために欠かせない能力であると考えられています。

今の社会は市場の変化が速く、生涯を通して同じ会社・同じ職業で働き続ける時代から、転職が当たり前という時代へ変わりつつあります。

そのため、流動的な社会の中でも自分らしいキャリアを築いていくには、社会人基礎力のような「どのような会社でも求められる普遍的な能力」を磨くことが必要不可欠であると認識されるようになったのです。

また、社会人基礎力は会社員だけに求められるわけではありません。フリーランスなどのワークスタイルであっても他者と関わりながら働く以上は必要になるため、すべての社会人が常日頃から意識しておくべき能力と言えます。

社会人基礎力を構成する3つの能力と12の能力要素

経済産業省が提唱した社会人基礎力は「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力から構成されています。

【「社会人基礎力」を構成する3つの要素】前に踏み出す力/失敗を恐れず自分から課題に挑戦し、目標達成のために粘り強く行動する力|考え抜く力/課題を発見し、その解決方法を納得いくまで十分に思考する力|チームで働く力/意見や立場が異なるメンバーと目標に向かって協力する力また、それぞれの能力をより明確に表すものとして「前に踏み出す力」に3つ、「考え抜く力」に3つ、「チームで働く力」に6つの計12個の能力要素が定められています。

以下では、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力について、それぞれの内容や能力要素を解説します。

前に踏み出す力

【「前に踏み出す力」を構成する能力要素】前に踏み出す力/失敗を恐れず自分から課題に挑戦し、目標達成のために粘り強く行動する力|・主体性/・働きかけ力/・実行力前に踏み出す力とは、失敗を恐れず自分から課題に挑戦し、目標達成のために粘り強く行動する力のことです。

ビジネスには正解がないため、最適解を目指して試行錯誤をしながら仕事を進めるには「前に踏み出す力」が必要になります。

前に踏み出す力をより明確に表すと、「主体性」「働きかけ力」「実行力」の3つの能力要素に分けられます。

「前に踏み出す力」の能力要素

  • 主体性
    …指示を待つのではなく自分でやるべきことを見つけて取り組む
  • 働きかけ力
    …目的に向かって周囲の人を巻き込む
  • 実行力
    …自分で目標を設定して粘り強く行動する

考え抜く力

【「考え抜く力」を構成する能力要素】考え抜く力/課題を発見し、その解決方法を納得いくまで十分に思考する力|・課題発見力/・計画力/・創造力考え抜く力とは、課題を発見し、その解決方法を納得いくまで十分に思考する力のことです。

仕事を通して社会に新しい価値を提供し続けるには、現状の課題を見つけ出してベストな解決方法を検討する必要があるため「考え抜く力」が求められます。

考え抜く力をより明確に表すと「課題発見力」「計画力」「創造力」の3つの能力要素に分けられます。

「考え抜く力」の能力要素

  • 課題発見力
    …現状を分析して課題を見つける
  • 計画力
    …課題解決までの最善のプロセスを検討し準備する
  • 創造力
    …既存の発想にとらわれず新しい課題解決方法を考えつく

チームで働く力

【「チームで働く力」を構成する能力要素】/意見や立場が異なるメンバーと目標に向かって協力する力|・発信力/・傾聴力/・柔軟性/・情況把握力/・規律性/・ストレスコントロール力チームで働く力とは、意見や立場が異なるメンバーと目標に向かって協力する力のことです。

今の社会は仕事の専門化や細分化が進んでいるため、個人の専門性やスキルを活かしながら仕事の付加価値を創り出すには「チームで働く力」が必要不可欠です。

チームで働く力をより明確に表すと、「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「情況把握力」「規律性」「ストレスコントロール力」の6つの能力要素に分けられます。

「チームで働く力」の能力要素

  • 発信力
    …自分の意見を相手が理解しやすい形に整理して伝える
  • 傾聴力
    …話しやすい環境をつくって相手の意見を引き出す
  • 柔軟性
    …相手の意見や立場を尊重して理解する
  • 情況把握力
    …チームの中で自分と周囲の関係性を把握し役割を理解する
  • 規律性
    …社会のルールや人との約束を守る
  • ストレスコントロール力
    …ストレスの原因に適切に対応する

社会人基礎力を発揮するために必要な3つの視点

「社会人基礎力」という考え方に関連して、経済産業省は新たに2018年に、今後の社会で社会人基礎力を十分に発揮し続けるためには「何を学ぶか(学び)」「どのように学ぶか(統合)」「学んだ後にどう活躍するか(目的)」の3つの視点でバランスよくキャリアを考えることが重要であると発表しました。

この発表の背景には、先進国では半数以上の人が100歳を超えて生きる可能性がある「人生100年時代」に突入したことが、大きく関係しています。

長寿化にともなって職業人生も長くなっていることから、生涯に渡って充実した生活を送るには、社会基礎力を磨くだけでなく、ライフステージや外部環境の変化に対応するための学び直しや主体的なキャリア構築も重要であると認識されるようになりました。

そのため、学び直しやキャリア構築を考える上で、軸となる3つの視点が新たに定義づけられたのです。

【社会人基礎力を十分に発揮するために…】何を学ぶか【学び】|どのように学ぶか【統合】|どう活躍するか【目的】|3つの視点でバランスよくキャリアを考えることが重要

「何を学ぶか(学び)」「どのように学ぶか(統合)」「学んだ後にどう活躍するか(目的)」という3つの視点をバランスよく持つと、社会の中での自分の立ち位置が相対化され、一人ひとりが主体的にキャリアを築くことができるようになります。

以下では、3つの視点それぞれについて、具体例を用いて解説します。

何を学ぶか(学び)

「何を学ぶか(学び)」は、理想のキャリアを実現するためにこれからどのようなことを学ぶべきか考える視点です。

今後、単純な業務はITやAIの発達によって機械が人間に取って代わり、定型業務は淘汰されていきます。そのため、理想となるキャリアを踏まえて時代の流れを読み、何を学んでいくべきかを考えることが大切になります。

【〈例〉何を学ぶかの考え方】理想のキャリア/医療機器分野で、時代のニーズに応えたハードウェア開発を通して活躍したい|何を学ぶか/仕様作成から試験実施、改善対応など開発の全体的な工程を学ぶ

どのように学ぶか(統合)

「どのように学ぶか(統合)」は、新しい知識や技術を、過去の経験や習得済みの知識・技術とどのように組み合わせながら学んでいくかという視点です。

体系化された知識や技術は、ITやAI技術の発展によって、今後ますます機械化・自動化されていくことが予想されています。そのため個人が社会で活躍し続けるには、知識や技術同士を統合して社会に新しい価値を提供していく必要があります。

また、自分の中だけで統合するのではなく、周囲の人と連携して多様な知識・技術を組み合わせると、より大きな価値を生み出すことが可能になります。

【〈例〉どのように学ぶかの考え方】理想のキャリア/医療機器分野で、時代のニーズに応えたハードウェア開発を通して活躍したい|どのように学ぶか/第一線で活躍する社内の優秀な技術者から開発の工程を学び、アウトプットとして小規模のプロジェクトでリーダーを経験する

どう活躍するか(目的)

「どう活躍するか」は、新しく学んだことをもとに自己実現や社会貢献に向けて自分がどのように行動すべきか考える視点です。

仕事の仕組みや必要とされる人材が急激に変化していく人生100年時代においては、自分で能力を発揮する場所やポジションを積極的に探し、開拓する姿勢が重要になります。

【〈例〉どう活躍するかの考え方】理想のキャリア/医療機器分野で、時代のニーズに応えたハードウェア開発を通して活躍したい|どう活躍するか/社内公募や昇進、転職などを通して大規模プロジェクトマネジメントのポジションに就く

社会人基礎力の鍛え方

社会人基礎力を鍛えるためには、現状の自分の能力を客観的に把握した上で、能力を強化できる機会に積極的に挑戦することが大切です。

  • STEP1:いまの自分の能力を客観的に把握する
  • STEP2:能力を強化できる機会に積極的に挑戦する

以下では、上記のステップごとに具体的な方法を解説します。

STEP1:いまの自分の能力を客観的に把握する

社会人基礎力を鍛えるためには、まず自分がどの能力に長けていてどの能力が足りないのかを客観的に把握しましょう。現状を把握することで、これから伸ばすべき能力を決めることができます。

今の能力を把握するためには、普段仕事で関わることが多い同僚や上司に意見をもらう方法が有効です。意見とともに具体的なエピソードも挙げてもらうと、業務の場面をイメージしやすくなり、自分の現状をより客観的な視点で振り返ることができます。

また、企業や団体がweb上で独自に実施している「社会人基礎力チェックテスト」を受けるのもおすすめです。3つの能力や12の能力要素別に点数がつくため、各能力の高低を具体的な数値で把握することが可能です。

STEP2:能力を強化できる機会に積極的に挑戦する

現状の能力を把握した後は、日々の業務の中で自分が伸ばしたい能力を鍛えられる機会を積極的に探して挑戦するこが大切です。

能力の伸ばし方の具体例は、以下のとおりです。

・「前に踏み出す力」の「働きかけ力」を特に伸ばしたい
⇒新しい取り組みやプロジェクトが始まる際に、リーダーや責任者に立候補する

・「考え抜く力」の「課題発見力」を磨きたい
⇒現在のチームの課題点を各メンバーにヒアリングし、コストパフォーマンスを上げる改善策を考えて上司に提案する

・「チームで働く力」の「発信力」を高めたい
⇒会議の議事録やパワーポイントの作成を担当して、意見を分かりやすく整理する習慣をつける

希望のポジションが空かないなど、社内に能力開発の機会がない場合は外部機関の講座を受けてみるのも一つの手です。

社会人基礎力を自己PRに活かすためには…

社会人基礎力とは、人生100年時代における「多種多様な人と関わりながら仕事を進めるために求められる普遍的な能力」のことであると、お伝えしました。

このため、転職活動や就職活動で、社会人基礎力に当てはまる能力やその要素を持っていることを伝えられたら、採用される企業の幅を広げることができるでしょう。

以下の記事も参考に、社会人基礎力に結びつけながらアピールできる能力はないか、自分に置き換えてチェックしてみましょう。

この記事の執筆者

「転職Hacks」編集部

株式会社クイック

株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。

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