業界分析から転職ノウハウまで 不動産業界の転職事情
不動産業界で、更なるキャリアアップを目指して転職を考えている方や、未経験から不動産の仕事にチャレンジしたい方など、不動産業界への転職を検討している人もいらっしゃるのではないでしょうか?
ここでは、数多ある不動産関連業務を一つひとつ説明するとともに、年収や転職状況など転職に関する基本情報、仕事の探し方まで、不動産業界への転職に関するあらゆる情報をまとめていきたいと思います。
まずは「不動産業界」を正しく理解しよう
不動産業界にはさまざまな業態があり、働いている人の職種にも分類があります。まずはそれを正しく理解することから始めましょう。
不動産業は「取引業」「賃貸業」「管理業」に大別される
不動産業は、大きく分けて「不動産取引業」「不動産賃貸業」「不動産管理業」の3つに分類できます。このうちのひとつだけを取り扱っている会社もあれば、3つともカバーしている会社もあります。
大手ではこの分類をさらに細分化し、それぞれをグループ会社として包括的に経営しているところもあります。
それぞれの仕事内容や具体的な職種について、以下の分類に沿って見ていきましょう。
▼不動産業界の業種分類と主な職種
業種 | 職種 |
取引業 | 営業、用地仕入、宅地建物取扱士 |
賃貸業 | 営業 |
管理業 | 営業、用地仕入、宅地建物取扱士、不動産鑑定士、 アセットマネジャー(AM)、ファシリティマネジャー(FM)、 プロパティマネジャー(PM)、不動産事業企画 |
「取引業」は、不動産の売買や仲介を行う仕事
不動産取引業は、土地や建物の売買を行う「建物売買業・土地売買業」と、販売代理や仲介を行う「不動産代理業・仲介業」に分けられます。
前者では主に土地や建物などの直接的な売買・交換を行い、後者では売主から販売の代理権を与えられた不動産会社が販売から契約までを代行したり、売主と買主の間に入って売買・交換などのやり取りを行います。
<関連する主な職種>
営業…上記の業務に携わる営業職。
用地仕入…土地や建物など、物件の仕入をする仕事。仕入対象は、マンションや建売住宅用の土地、中古住宅など。不動産会社が利益を生むためのスタート地点であり、不動産ビジネスの根幹に関わる重要なポジションであることから、携わるには、ある程度の業界経験を積む必要があるようです。
「賃貸業」は、不動産を貸す仕事
不動産賃貸業とは、自らが貸主となり、土地や建物などの不動産を貸し出して、賃料を得る事業。不動産業の中で最も多く、事業所数で同業界の約7割を占めます。
駅の周辺などにある、いわゆる「街の不動産屋さん」を覗くと、賃貸物件と売買物件を同時に扱っているところが多く見られます。その多くは、他にオーナー(大家さん)がいる物件の賃貸や売買を代理として取り扱っているため、「宅地建物取引業」にあたり、免許が必要になります。
一方、個人で不動産を所有し、他人に貸している人(オーナー業)は「不動産賃貸業」には属しますが、「宅地建物取引業」には当たりません。
※宅地建物取引業とは?
宅地建物取引業(宅建業)とは、
(1)宅地・建物の売買・交換を自分で行う
(2)売買・交換・貸借をオーナーの代理(あるいは媒介)として行う
ことを指します。
宅建業は、「宅地建物取引業法」という法律の規制によって、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けた者でなければ営むことができません。
宅建業に含まれるか否かの線引きは、以下のように考えます。
◆自らが所有している物件を貸借する(貸しビルやアパート経営をする行為など)→宅建業に含まれない
◆大家から依頼を受けて不動産屋が行う貸借の仲介(入居者募集など)→「不動産取引業」に当てはまるため、宅建業に含まれる
宅建業を営むには、宅地建物取引士(2015年4月1日に「宅地建物取引主任者」より改称)を一定数以上確保しなければいけない決まりがあります。
※宅建業に従事する者のうち、5人に1人は専任の宅地建物取引士でなければならない。
賃貸業をさらに細分化すると、土地やオフィスビル、商業施設などを貸す「不動産賃貸業(貸家業、貸間業を除く)」と、住宅や住宅に満たない居室を貸す「貸家業・貸間業」、自動車を駐車するための場所を貸す「駐車場業」に分けられます。
- 貸家業…主に住宅(店舗併用住宅を含む)を賃貸する事業(分譲マンションの1室を賃貸する場合は、貸室業と言う)。
- 貸間業…専用または共用の炊事用排水設備がなく、独立して家庭生活を営むことができないような居室を賃貸する事業。
- 駐車場業…主に自動車を駐車するための場所を賃貸する事業。
<関連する主な職種>
- 営業…上記の業務に携わる営業職。
「管理業」は、所有者から委託を受けて不動産を管理する仕事
不動産管理業とは、主にビル、マンションなどの所有者(管理組合等を含む)の委託を受けて、経営業務や保全業務などを行う業務です。
具体的には、賃貸物件では入居者対応(家賃回収、滞納督促、クレーム対応など)、契約更新手続き、退去時の立会い、原状回復費用の請求などが該当し、分譲マンションでは、「管理会社」や常駐する「管理人さん」の仕事が当てはまります。
上記のように、文字通り「所有物件を管理する」仕事のほかに、いわゆる「不動産投資」に関わる業務も、広義では「管理・運用業」として、管理業の括りに入ります。
<関連する主な職種>
- 営業…マンション管理会社において、マンションの管理をさせてくれる管理組合を探して、自社と契約してもらう仕事。
- 不動産管理(マンション・ビル管理)…上記のような、賃貸物件や分譲マンションなどの管理業務全般。
- 不動産鑑定士…不動産の鑑定評価に関する法律に基づき制定された国家資格であり、不動産の経済価値に関する高度専門家。
就職先は、大手不動産会社の管理部門や鑑定部門、銀行の担保評価部門や信託部門など、大企業であることがほとんど。その他、不動産鑑定事務所や、独立開業などの道があります。
不動産鑑定士が行う「鑑定評価業務」は、一般的な不動産の査定とは異なります。
一般的な不動産の査定は、「その不動産が“どれくらいで売れそうか”の目安を算出するもの」であるのに対し、不動産の鑑定評価は、「その不動産が持つ“利用価値”を前提として、“それをお金にしたらいくらになるのか”、その金額を出すことです。
また、顧客から預かった不動産の運用(信託)やコンサルティング、不動産の投資判断材料の作成(デューデリジェンス)、さらにはIFRS(国際財務報告基準)向けの企業不動産の時価評価、といった仕事も含まれます。
※資格あり。詳細は、後述の『不動産業への転職時に押さえておきたい情報集の「宅建」「不動産鑑定士」以外にもある! 有利な資格まとめ』を参照ください。
ファシリティマネジャー(FM)
多くはオーナー会社の一部署として、「業務用不動産(土地、建物、構築物、設備等)すべてを経営にとって最適な状態(コスト最小、効果最大)で保有・運営・維持するための総合的な管理」と定義されます。
また、企業が保有・管理するすべての施設を対象として、これらを上手く使っていくために必要なマネジメントや、経営的視点に立ってファシリティ(施設、設備)を有効・適切に運営・管理していくことも必要とされます。
※資格あり。「認定ファシリティマネジャー(CFMJ)」の詳細は、『不動産業への転職時に押さえておきたい情報集の「宅建」「不動産鑑定士」以外にもある! 有利な資格まとめ』を参照ください。
アセットマネジャー(AM)
広義には、株式・債券・投資用不動産、その他金融資産など投資用資産の管理を実際の所有者・投資家に代行して行う業務のこと。
不動産業界においては、投資用不動産を投資家に代行して管理・運用する業務を指し、オーナー会社から委託された別会社(運用会社)が請け負います。
※必要な資格は特になし。
プロパティマネジャー(PM)
不動産の物理的な維持・管理業務、不動産を賃借するテナントの誘致、交渉、賃貸借業務の代行、賃料・共益費などの請求・回収、トラブル時の対応代行などの業務を行います。
また、狭義では投資用不動産のオーナーやアセットマネジメント(AM)会社から受託して行う管理業務を指します。投資用不動産の場合は、定期的にレポートを作成し、所有者及びAM会社に対して報告する義務があります。
※必要な資格は特になし。
不動産事業企画
土地の情報収集を行った後、実際に見込み物件の現地調査や、周辺の市場調査を行い、事業計画を立案し、用地を仕入れます。こうした一連の仕事を任されるため、不動産の取引や権利、 税務等の幅広い知識や柔軟な発想、コミュニケーションスキルを身につけることができます。先述の「用地仕入」もこの業務の一環として含まれます。
未経験者は「賃貸営業」からのスタートがおススメ
未経験から不動産業へチャレンジしたい人には、まず「賃貸物件の営業」から始めることをおススメします。
ゼロスタートから、数千万円する不動産を販売するのはハードルが高く、前職で同様の高額商品を扱っていない限り難しいでしょう。
賃貸営業のメリットは、
- 売買などに比べると圧倒的に客数が多く、場数が踏める
- 入居から退去まで一連の仕事を覚えることで様々な知識が得られる
- 不動産投資の真実を知ることができ、現実的な運用のノウハウが学べる
などが挙げられます。
日々の経験を地道に積み重ね、雑多な仕事をこなしながら、幅広い知識を身に付けられるという点で、初心者には持って来いの業務なのです。
できれば、付随業務として「物件管理」も行っているところであれば、将来的に不動産管理業に進む道も拓け、より可能性が広がるでしょう。
ここで鍛え上げられれば、不動産業界で生きていくための基礎力が一通り身につくはずです。
不動産界で明るい市場は「マンション管理」と「リフォーム」
「2020年の東京オリンピックまで、不動産価格はウナギ登り」…そんな景気のいい話も飛び交う昨今。
また、オリンピック景気と並行し、平成27年の税制改正に伴う相続税対策として、地主さんたちが「節税のために借金をして、地元でないところに収益不動産を買う」ケースが増えており、これが都心の地価高騰の誘因とも言われています。
「不動産バブルの波」は、日本でも何度か訪れています。
1回目は、言わずと知れた「バブル経済期」(1986~1991年頃)、2回目は「ファンドバブル」と呼ばれる時期(2001~2008年頃)で、リーマンショックにより終焉を迎えました。
そして、今まさに、これらのバブル期と同じような土地の価格上昇現象が起きており、「第3のバブル到来」とまで言われているのです。
ただ、この好景気がいつまで続くかは、専門家も意見が分かれています。
いずれにしても、景気動向などでいともたやすく好不況の波を受けやすい不動産業界。
その中で、今後も明るい兆しが見えるとされる市場が「マンション管理」と「リフォーム」です。
マンション管理業
新しい物件の数だけ新しい仕事が生まれ、古い物件でも管理は必要ですから、市場規模は拡大の一途です。
さらにマンションは、初期の建設から半世紀近い時間が経つものも多く、建て替えや大規模修繕工事を要する物件は、今後どんどん増えていきますので、マンション管理業・建て替え・修繕業は、不動産業界の中で注目すべき成長産業と言えるでしょう。
リフォーム業
ここ10年来で最も成長した産業のひとつ。
中古住宅を買うと、金額の大小はあれども必ず何らかのリフォームをするため、事業の親和性が非常に高いのが成長の理由です。
リフォーム・リノベーション事業は、中古物件が増えてきた昨今、やっと形が整ってきた新しい分野ですが、今後もさらに需要が増えていくでしょう。
不動産業への転職時に押さえておきたい情報集
次に、不動産業界での転職をするにあたり、転職事情や年収など、知っておきたい情報をまとめていきます。
同業者間の転職が多数! 未経験者は「キツそう」の先入観で敬遠しがち
転職サイト「@type」が、不動産業界経験者と未経験者に「不動産業界への転職に興味がありますか?」というアンケートを行ったところ、「ある」と答えた人の割合が、経験者が6割強、未経験者では3割程度にとどまるという結果が出ています。
また、経験者が興味を持つ理由として「経験が活かせるから」のほか、「やりがいがある仕事」「人のためになる仕事」といった、不動産を扱う仕事に“誇り”を感じている意見が数多く寄せられた点は、特筆すべき結果と言えるでしょう。
一方で、業界未経験者には非常に不人気だった不動産業界。「ダーティなイメージ」「景気に左右されそう」「労働環境がひどそう」という意見が大半を占め、転職意欲も5割近い人が「まったく興味がない」という結果に。マイナビが行ったイメージ調査でも「休日が少ない」「離職率が高い」などのネガティブなイメージが挙げられています。しかしながら、その一方で「年齢に関係なく高い報酬が得られる」「給与の伸び率が高い」など、収入面においては良いイメージが持たれているようです。
※参考:「不動産業界への転職は経験者ほど志望する?!@type会員向けアンケート結果」「社会人のための転職業界研究-不動産業界編(マイナビ)」
未経験者ほど、先入観だけで不動産業を敬遠してしまっているようですが、すべての不動産会社が上記のような就業環境であることは、絶対にありません。
不動産業の実情については、【コラム】なぜ不動産業=ブラックというイメージが付きまとうのかをご一読ください。
業界に対するイメージが、少し変わるかもしれません。
業界平均年収は「419万」 最も稼げる職種は「企画/プロパティマネジメント」
不動産業界に転職するにあたり、年収はやはり押さえておきたいところ。
人材紹介サービスDODAの「平均年収ランキング2017」によると、あらゆる仕事を10の業種に分類したとき、「建設/プラント/不動産」業界の年収は9位(平均年収:419万円。全体の平均年収は418万)となっています。
また、職種を全153種に細分類した調査では、「不動産企画/プロパティマネジメント」(496万円)が46位にランクインしています。
※出典:DODA 「平均年収ランキング2017」
高額年収のウラには「歩合制」が絡む可能性も
業界平均年収で第6位と、悪くない収入の不動産業界ですが、このウラには、「歩合制」という名のカラクリが潜んでいる可能性もあります。
一般的な不動産業の月収体系を見てみると、
月給30万円(固定給)+歩合給(手数料収入の○○%)
というところが多く見られます。
ただ、この「○○%」の数字は企業によってまちまちであり、およそ30%~70%まで開きがあると言われています。
また、固定給は、勤続年収や階級によって変動し、階級は、毎月の売り上げで好成績を残すと上がりやすい、といった「企業ごとのルール」があるようです。
収入面は、転職活動においても大事な指標となりますので、給与体系で不安な部分があったら、面接時に思い切って聞いてみるといいでしょう。
「宅建」「不動産鑑定士」以外にもある! 有利な資格まとめ
不動産業界の資格と言えば、まず初めに「宅地建物取扱士」(宅建)や、「不動産鑑定士」などが頭に浮かぶかと思います。
「宅地建物取扱士」(宅建)
運営:一般財団法人 不動産適正取引推進機構
「不動産鑑定士」
運営:公益社団法人 日本不動産鑑定士協会連合会
この他にも、不動産業界で活かせる資格はたくさんあります。
その中でも特に、転職に役立つ資格をご紹介します。どの資格もおよそ1年が取得の目安のようです。
認定ファシリティマネジャー(CFMJ)
運営:公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会
ファシリティマネジメントに必要な専門知識、能力を持つ事を証明する資格。
企業・団体などの組織の全施設及び環境(ファシリティ)を総合的に企画・管理・活用する経営管理手法を用いて、企業が保有・管理するすべての施設において、運用・維持・管理を行う能力を問われます。
土地家屋調査士
運営:日本土地家屋調査士会連合会
土地や家屋の所有者の代わりに、不動産の測量や登記手続きを行うための資格。業務使命は「不動産の状況を正確に登記記録に反映することによって、不動産取引の安全の確保し、国民の財産を明確にする」といった、極めて公共性の高いものです。
管理業務責任者
運営:一般社団法人 マンション管理業協会
マンション管理業者が管理組合等に対して、管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格。
マンション管理士
運営:公益財団法人 マンション管理センター
マンション管理のスペシャリストで、マンションの管理者と居住者、双方からの相談を受けることができます。
独立開業するなら…司法書士
運営:法務省
独立開業というキャリアアップを考えた際に、司法書士の資格があると、建物やマンションを新築時や不動産の売買・贈与・相続した時、住宅ローンを返済した時に不動産取引に付随する様々な登記を代行することができ、仕事の幅が広がります。
不動産業の転職先を探してみよう
不動産業界の知識を得た後は、いよいよ実際に転職先を探してみましょう。
効率の良い探し方や、注意点についてまとめていきます。
大手転職サイト&不動産業界に特化したサイトもチェック
自分の希望条件に当てはまる仕事に対してどのくらいの求人があるのか、ざっくりした現状を把握するためにも、まずは大手の転職サイトで希望の条件にチェックを入れて、絞り込み検索をしてみましょう。
不動産関連の求人が多く掲載されている大手サイトをご紹介します(求人件数は2018年6月時点)。
職種分類などは、サイトによってさまざま。特に、「不動産営業」は、業種で「不動産」と絞り込むより、「職種」で「営業」を選択し、不動産や住宅関連の営業を絞り込まないとヒットしない場合があるようです。
営業系の仕事は「※」以下に検索方法を記載しました。
リクナビNEXT 不動産、プロパティマネジメント関連(372件)
※トップページから職種「営業」+業種「不動産・建設系」>「不動産」で絞り込み(333件)。
※職種「不動産系専門職」の細分類に「不動産営業」あり(218件)。
DODA 不動産開発 の転職・求人検索結果(466件)
※トップページから職種「営業」+業種「建設・プラント・不動産」で絞り込み(1001件)。
エン転職 不動産系専門職の転職・求人情報(118件)
※トップページから職種「専門職系(コンサルタント、金融・不動産 他)>「不動産関連営業」で絞り込み(206件)。
また、不動産業界に特化した転職サイトもあります。
大手サイトでは思うように検索できなかった人や希望の求人が見つからなかった人も、トップページから不動産関連の仕事が満載ですので、より短時間で希望の求人が見つかるかも知れません。
未経験者や迷いのある人は転職エージェントに登録・相談を
まず、異業種から不動産業界への転職を希望する人は、転職エージェントに登録・相談することをおススメします!
不動産業にも様々な仕事があることは簡単に説明しましたが、エージェントのキャリアアドバイザーに相談することで、あなたの希望プラス、あなたのキャリアや性格に合った仕事を紹介してくれるなど、新たな発見ができる可能性もアップします。
また、同じ不動産業界内で転職を希望している人も、職種が違うと仕事内容の詳細までは把握しきれていないのが現状ではないでしょうか?
転職エージェントを通すことで、あなたが考えていた以外の、第三の方向性を見出してもらえることもあり、転職の幅も広がるでしょう。
今回は、特に不動産業界に特化したキャリアアドバイザーが在籍するエージェントをご紹介します。
- パソナキャリア(不動産・建設業界)
- リクルートエージェント(業界から探す>建設・住宅・不動産業界)
- マイナビエージェント(不動産・建設業界の転職)
また、不動産金融・不動産ファンド業界に特化したエージェントなどもあります。
大手企業or街の不動産屋さん それぞれメリット・デメリットがある
不動産業界、と一言で言っても、大規模なディベロッパーから街の不動産、不動産投資や管 理といった業務に特化した会社など、様々です。
大手不動産会社に転職する最大のメリットは、やはり、給与や福利厚生の良さにあることは否めません。しかし、こうした大企業に中途入社することは、大変な「狭き門」であることが実情。
定期的にキャリア採用を行っている企業もありますが、かなりの高倍率であることは頭に入れておきましょう。
参考までに、大手企業の平均年収と平均年齢を掲載します。
東急不動産 | 1,178万円/45.3歳 |
三菱地所 | 1,190万円/40.9歳 |
三井不動産 | 1,141万円/41.2歳 |
野村不動産ホールディングス | 952万円/44.7歳 |
サンケイビル | 926万円/41.9歳 |
(※各社の有価証券報告書〈平成28年4月1日-平成29年3月31日期〉より)
高給、福利厚生に加え、ビジネスマンとしてありがたいことは、何といっても「教育体制がしっかりしている」こと。研修制度等も充実しており、宅建など資格取得のフォロー体制も万全なところが多いのが魅力です。
また、大手企業ほど、諸手続きにおいて「完璧」を求められるため、書類の記載の仕方、添付書類、書類の取り方など、基本をしっかりきちんと学ぶことができるという点でも、非常に勉強になります。
一方、小さな「街の不動産屋さん」に勤めるのはどうでしょうか?
確かに、業界動向としては、大手、中小企業の規模拡大は進んでおり、小規模不動産業社は、かなり厳しい状況に追いやられる可能性があるとは予想されています。
しかし、大手には持ち得ない街の不動産屋さんの強み、例えば“地域密着性”や“ご近所とのコミュニケーション力”をさらに活かすことで、地元で生き残る余地は十分にあると言えます。
また、小規模不動産業者は、宅建の有資格者が不足している傾向にありますので、すでに宅建の有資格者であれば、喜んで迎えられる可能性は大です。
そして、小規模ゆえに、あらゆる仕事を任せてもらえることも、利点のひとつでしょう。
どちらが向いているかは、求める条件や相性によります。また、大規模マンションや複合施設なども扱える大企業と住宅や小規模な商店などが中心の中小企業では、同じ不動産業といえども仕事の内容はかなり異なります。
迷っている人は、会社の大小へのこだわりは一度取り払って、「自分がやりたい仕事ができる企業」という観点で、考えてみてはいかがでしょうか?
コラム:なぜ不動産業=ブラックというイメージが付きまとうのか
不動産業界で働く人によると、「その会社はブラック企業なのでは?」と言いたくなるような働き方を強要されることもあるようです。
例えば某住宅メーカーの営業マンの名刺には、プライベートで使用している携帯電話の番号とともに「24時間対応いたします」と明記されていました。それが会社のルールだったそうで、実際、夜中に契約の決意を固めた顧客から深夜に電話がかかってくることも珍しくなかったとか。
他にも、「契約を迷っているお客様の自宅近くに車をつけて張り込む(出かけようとしたら呼び止め、他社への契約を阻止するため)」、「営業電話は横で上司が聞いているので、相手が電話を切るまでこちらからは絶対に切ってはならない」、「おとり広告をポスティングする」、「賃貸物件でなかなか借り手が現れないときには、物件所有者(顧客)の機嫌を損ねないよう、定期的にパート従業員が“賃貸契約希望者”になりすまして物件見学に行く」等々…想像をはるかに超えた「!」なエピソードがあるそうです。
こうした、嘘か真か判別できないような噂があふれていることが、「不動産=ブラック」というイメージを根付かせる要因であることは明らかですが、果たして、すべての不動産会社が、このような行動を「当たり前」としているのでしょうか?
結論としては、実際は正しい営業活動をしている会社が大多数であるということ。
しかし、問題のある会社が存在し続けていることもまた、事実です。
先述の同業者間の転職が多数! 未経験者は「キツそう」の先入観で敬遠しがちの項でもお伝えしたとおり、一度不動産業界を経験した人は、また不動産業界で頑張りたいと思っている人が大多数を占めるという統計結果も出ています。本当に業界全体がブラックだとしたら、そのような回答結果は出ないはずですよね。
もしあなたが入社を希望している会社がブラック企業という噂があるのであれば、きちんと情報収集をして真偽を確かめましょう。ノルマが現実的でない、基本給が異常に安い(歩合給の割合が異常に高い)、強引な営業を強要するなどは、ブラック企業濃度が高い可能性大です。採用面接時などに自分の目で会社を良く見て確かめ、ノルマや給与体系、残業などについて疑問点があったら、遠慮なく質問しましょう。
まとめ
不動産業には大きく分けて「取引業」「賃貸業」「管理業」の3つがあり、その仕事内容は大きく違っています。不動産の仕事=住宅営業、程度の知識しかなかった人も、これほどまでに幅広い分野の業務があるのか、と驚かれたのではないでしょうか?
いろいろな可能性を秘めた不動産業界に転職し、活躍できるよう祈っています!