受験前にチェック! 一級建築士の受験資格【最新版】

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一級建築士イメージ

一級建築士の試験は年1回、毎年7月に学科試験、10月に設計製図試験が実施されます。

試験を受けるためには、国土交通大臣が指定する建築に関する科目(以下、指定科目)を修めて卒業し、卒業後一定期間の実務経験を積む必要があります。実務経験年数は指定科目の取得単位数によって変わります。あるいは、二級建築士など別の資格を取ってから実務経験を積んで受験資格とすることもできます。

ここで、受験資格に必要な指定科目の履修数と必要な実務経験年数を簡単にチェックしましょう。

【目次】
1.一級建築士の受験資格取得ルート
2.一級建築士の受験資格に必要な学歴・指定科目と実務年数
平成20年度以前の入学者は学校と学部・学科名をチェック
平成21年度以降の入学者は学校と学科名+履修課目をチェック
指定科目は学校か建築技術教育普及センターHPで確認する
3.二級建築士・建築設備士から一級建築士に挑戦する方法
二級建築士の資格を取得して4年以上の建築実務経験を積む
二級建築士の受験資格
建築設備士の資格を取得して4年以上の建築実務経験を積む
建築設備士の受験資格
4.一級建築士に必要な実務経験を算出するには
平成20年度以前の入学者で大学院卒業者は大学院の学歴=実務経験として認められる
平成21年度以降の入学者で大学院卒業者はインターンシップが必須
業務内容が実務経験として認められるかは証明者の判断を仰ぐ
5.一級建築士からステップアップできる資格もある
大規模建造物の構造設計・法適合確認を行う「構造設計一級建築士」
大規模建造物の設備設計・設備関係規定の確認を行う「設備設計一級建築士」
一級建築士の資格があると取得できるその他の資格
6.まとめ

1.一級建築士の受験資格取得ルート

一級建築士試験を受験できる主なルートは、建築に関する学校で指定科目を履修してから実務経験を積んで受験する場合と、一級建築士の下位資格となる資格を取得してから実務経験を積んで挑戦する場合の2種類があります。いずれのルートでも、実務経験は必須です。

【学歴+実務経験】
① 4年制大学で指定科目を修めて卒業。2年以上の実務経験がある
② 3年制短大で指定科目を修めて卒業。3年以上の実務経験がある
③ 2年制短大または高等専門学校で指定科目を修めて卒業。4年以上の実務経験がある

【別の資格+実務経験】
④ 二級建築士資格を取得し、免許証登録年月日以降、4年以上の実務経験がある
⑤ 建築設備士の資格を取得し、合格(受講)証書記載合格証年月日以降、4年以上の実務経験がある

学校ルートについては2. 一級建築士試験受験に必要な指定科目と実務経験年数、資格ルートについては3. 二級建築士・建築設備士から一級建築士に挑戦する方法で、詳しく説明してきます。

2.一級建築士試験受験に必要な指定科目と実務経験年数

現在、学歴+実務経験を一級建築士の受験資格として使う場合は、教育機関への入学年の違いによって大きく2パターンに分かれています。

ひとつは「建築士法」による受験資格が適用される、平成20年度以前の所定学校への入学者。もうひとつは、平成20年11月28日から施行された「改正建築士法」による受験資格が適用される、平成21年度以降の入学者です。

古い法律による受験資格が認められている理由は、卒業から年数が経っていても一級建築士を目指す受験希望者がいるからです。

平成20年度以前の入学者は学校と学部・学科名をチェック

平成20年11月27日までの卒業者、または平成20年11月27日に所定の学校に在学中で、11月28日以降に当該学校を卒業した場合は、卒業した学校と学部・学科名で受験資格の有無を判断します。学歴・必要資格・建築実務の必要経験受験資格として認められている学校は、財団法人建築技術教育普及センターが認定した学校に限られています。学部に「建築」「土木」の名称が入っていても、必ずしも認定校とは限りません。

受験資格を取得できる過程を設けている学校の多くでは、入学パンフレットなどに書いてあることが多いですが、不明な場合は必ず建築技術教育普及センターHPを見るか、学校に問い合わせましょう。

平成21年度以降の入学者は学校と学科名+履修課目をチェック

平成21年度以降の入学者の場合は、大学と学部・学科名に加え、指定科目をきちんと履修した上で卒業しているかの判定が必要です。法改正前と大きく違う点は、職業能力開発総合大学校や職業能力開発大学校でも指定科目の履修が可能となり、一級建築士受験の門戸が広くなったことです。

学校等別の必要な指定科目の単位数と建築実務の経験年数は、以下のようになります。

学校等別、必要な指定科目の単位数と建築実務の経験年数(公益財団法人建築技術教育普及センターHPより)

指定科目の履修単位に応じて、必要な建築実務の経験年数も細かく決められました。つまり、履修単位が少ない場合でも、建築実務でカバーできるようになったということです。

指定科目は学校か建築技術教育普及センターHPで確認する

一級建築士の受験資格として認められている指定科目は、学校からの申請により、財団法人建築技術教育普及センターが認定した科目に限られています。

学校名や学部・コース名や科目名が一文字でも違うと、指定科目として判定されない場合があります。指定科目かどうかわからない場合や卒業後に学校や課程が廃校や廃止になった場合などは、応募書類を提出する前に必ず、学校または財団法人建築技術教育普及センターに問い合わせましょう。

問い合わせ先一覧は以下の通りです。

(公財)建築技術教育普及センター本部・支部

・平成27年4月8日までに確認された指定科目の確認結果
 →建築技術教育普及センターHP|平成21年度入学者から適用となる各学校等・課程別の指定科目一覧について

・「一級建築士試験 指定科目の確認結果」に卒業した学校が掲載されていない場合
 →HPに掲載されている建築技術教育普及センター 試験部 試験第4課(指定科目担当)に電話で確認しましょう。

3.二級建築士または建築設備士から一級建築士に挑戦する方法

指定科目を履修した学歴がない場合でも、一級建築士の受験が可能です。その場合の受験資格を取得する方法を紹介します。

二級建築士の資格を取得して4年以上の建築実務経験を積む

二級建築士の試験に合格して資格を取得した後、さらに二級建築士免許証に記載のある登録年月日から4年以上の実務経験を積めば、一級建築士の受験資格を得ることができます。

建築に関する学歴がない場合、7年以上の建築実務経験があれば二級建築士の受験資格を得ることができます。すべての試験に一発で合格すれば、最短11年で一級建築士の受験資格を取得することができます。

二級建築士の受験資格

【実務経験なしで受験可能なパターン】
① 建築設備士の資格を持っている
② 短期大学を含む大学、または高等学校で指定科目を修めて卒業した

【実務経験が必要なパターン】
③ 高等学校または中等教育学校で、指定科目を修めて卒業後、3年以上の実務経験がある
④ 7年以上の実務経験がある

二級建築士の受験資格の詳細は、公益財団法人 建築技術教育普及センターのHPを参照してください。

建築設備士の資格を取得して4年以上の建築実務経験を積む

建築設備士の資格を取得した後、さらに合格(受講)証書に記載のある合格(修了)年月日から4年以上の実務経験を積むと、一級建築士の受験資格を得ることができます。

建築設備士とは、建築士に助言を求められた場合に、建築設備の設計・工事管理に関するアドバイスを行うことができる資格者です。法律上は、建築設備士の助言がなくても、建築士だけで設計・工事管理をすることができるため、資格としてあまり重要視されていませんでした。

しかし近年、建築物の安全性への関心度が高くなったことと、高度化した建築設備に対する技術の必要性が高まっていることもあり、平成20年度の法改正で、建築設備士の受験資格の門戸が大きく開かれました。特に、機械系や電気系の有資格者に求められる実務経験年数が大幅に削減されており、有資格者であれば早期に一級建築士の資格を得る道筋ができています。

また建築に関する学歴がない場合でも、9年以上の建築設備に関する実務経験があれば受験資格を得ることができるので、すべての試験に一発合格すれば、最短13年で一級建築士の受験資格を得ることができます。

建築設備士の受験資格

①建築・機械・電気等の課程がある学校を卒業し、建築設備に関する実務経験が2~6年以上ある
②職業能力開発、職業訓練学校を卒業後、建築設備に関する実務経験が2~6年以上ある
③一級電気工事施工管理技士、一級管工事施工管理技士、空気調和・衛生工学会設備士、第一種・第二種・第三種電気主任技術士の資格があり、建築設備に関する実務経験が2年以上ある
④建築設備に関する実務経験が9年以上ある

建築設備士の受験資格の詳細は、公益財団法人 建築技術教育普及センターのHPを参照してください。

4.一級建築士に必要な実務経験を算出するには

学校や取得している資格から必要な実務経験年数がわかったら、実際に自分の実務経験年数を算出し、受験資格を満たしているかどうか確認しましょう。実務経験要件(公益財団法人建築技術教育普及センターHPより)

平成20年度以前の入学者で大学院卒業者は大学院の学歴=実務経験として認められる

法改正前は、建築(工)学関係大学院での建築関係に関する研究が、実務経験として認められていました。そのため、財団法人建築技術教育普及センターに認定された大学院・学部であれば、2年後の修了と同時に一級建築士の受験資格を得ることができます。

平成21年度以降の入学者で大学院卒業者はインターンシップが必須

法改正後は、大学院で行う実務研修(インターンシップ)と、研修に必要な科目を所定の単位数以上取得した場合にのみ、相当する実務経験として認められることになりました。

業務内容が実務経験として認められるかは証明者の判断を仰ぐ

一級建築士試験の受験資格として認められる実務経歴は、原則として、所属する建築士事務所等の管理建築士又は実務経歴を証明できる建築士の証明が必要です。

もし自分が行ってきた業務内容が、建築に関する実務経験として認められるかどうか判断がつかない場合には、必ず証明者の判断を仰ぐようにしましょう。

5.一級建築士からステップアップできる資格

平成20年度以前までは、一級建築士は建築士資格の最上位資格でした。しかし法改正後、新たに一級建築士の上位資格として、「構造設計一級建築士」と「設備設計一級建築士」の2つがつくられました。この2つは、近年増加している大型の複合施設などを建築する際に必ず必要になる資格です。

また、一級建築士の資格を持っていることが受験資格となっているほかの資格もあります。順番に見ていきましょう。

大規模建造物の構造設計・法適合確認を行う「構造設計一級建築士」

構造設計一級建築士とは、地上4階以上の鉄骨造の建築物および高さ20m以上の鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建造物の構造設計および、法適合確認をすることができます。

大規模建造物の設備設計・設備関係規定の確認を行う「設備設計一級建築士」

設備設計一級建築士とは、延べ面積が二千平方メートルを超える建築物の建築設備を自ら設計したり、設備設計一級建築士以外の建築士が設計した延べ面積が二千平方メートルを超える建築物の建築設備が、設備関係規定を満たしているかの確認を行ったりすることができます。

構造設計一級建築士、設備設計一級建築士は、どちらも一級建築士として5年以上の実務経験が必要です。また資格を取得するためには、三日間の講義を受けた上で、記述式・製図の修了考査に合格する必要があります。

構造設計一級建築士、設備設計一級建築士に関する詳しい内容は公益財団法人 建築技術教育普及センターHPをご覧ください。

一級建築士の資格があると取得できるその他の資格

一級建築士の資格を活かし、さらに専門性を高めた業務に関わることが可能になる資格です。一級建築士の資格取得はゴールではありません。資格取得後も努力を続けることで、設計だけでなく、工事管理や設備点検など、業務の幅を広げることもできるのです。資格名称・取得メリット・取得条件

6.まとめ

平成20年度11月28日の法改正で、一級建築士の受験資格の門戸が広がりました。過去にあきらめていた経験があったり、卒業から年数が経っていても挑戦したいという意欲があったりしたら、もう一度受験資格をチェックしてみましょう。

一級建築士受験資格早見表