<学部学科別>理系の職業 建築・土木系学科出身者の職業図鑑

このページでは、建築・土木系学科からなれる職業について、まだ業界研究がしっかりできていない人でもスッと理解できるよう、わかりやすく網羅的に解説しています。

工学部や理工学部、または美術・芸術・造形学部、環境系の学部など…様々な学部にまたがって設置され、建築の技術と知識を学ぶ、建築系の学科。

土木工学科や社会環境工学科、社会基盤工学科などが設置され、道路や橋、港、水道など生活の基盤になる建設名ついて学ぶ、土木系学科。

ここではそれぞれ学んだことを活かしてなれる職業をご紹介します。

建築・土木系学科出身者の進路内訳

建築・土木系学科を出た人は、現在どのような職業で活躍しているのでしょうか?

少し前に大学を卒業した人たちの進路データを紐解いてみましょう。

建築系学科の職業・進路

建築系学生の進路を調査した日本建築学会教育委員会の「第5回建築系大学卒業生の進路に関する調査報告書」(2012年)によると、「就職が厳しい中で、他業種に流れているのではないかという声もきかれたが、建築系の学科を卒業した全国の大学・大学院の卒業生の就職先の8割が建築の関連業種であるという現状が明らかになった」とあります。

建築系学科の職業・進路グラフ

※参考:第5回建築系大学卒業生の進路に関する調査報告書

業種で見れば建築業界に就職した人が8割となりますが、職種で見た場合は、実に様々な職業が含まれていることがわかります。

その中でも特に注目されるのは、設計・デザイナーのような建物の設計を勤める仕事と、施工管理のように実際に建物を作る現場に携わる仕事。大学で学んだ専門知識と技術をできる限りダイレクトに活かせる職業に人気が集まっています。

主な就職先は、建設会社や工務店、住宅メーカー、建築設備施工会社、エネルギー供給会社、設計事務所などの建設系企業。または設備機器関連企業や建材メーカー、鉄鋼メーカー、重工業などが挙げられます。

土木系学科の職業・進路

土木系学科出身者の進路は、橋や道路といった巨大な建造物やインフラ作りに携わる建設コンサルタントや建設会社などに就職することが一般的です。建築系の学科と同様、進路が大きく設計側と施工側に分かれます。

また、土木工事の多くを公共工事が占めていることもあって、公務員として活躍する人も多い傾向にあります。

建築系学科の職業

建築系学科の職業は、設計士(意匠設計/構造設計)やインテリアデザイナー、建設施工管理などが代表的です。ここではそれぞれの職種について詳しく説明するとともに、上記以外の職業についてもご紹介していきます。

設計士

建築学科イメージ建築系学科出身者にとって、もっともポピュラーなのが建物の設計を行う職業。

設計とひとえに言っても、その中身は見た目を作る意匠設計と構造を作る構造設計に分かれています。

意匠設計…建物の外観デザインをつくる仕事

住居や建物の間取りや、外観イメージを設計する職業です。設計図を書くことに加え、工事監理や行政手続き、鑑定評価なども行います。

基本的には一級ないしは二級建築士の国家資格が必要ですが、建築基準法では木造2階建て(100平米)以下などの小さな建築物であれば無資格でも設計が許可されています。

ビルや商業施設、軒高9m以上の住居など大きな建物を設計するためには、一級建築士の資格が必ず必要になります。

意匠設計の平均年収意匠設計の平均年収グラフ。平均年収は20代で343万円、30代で431万円、40代で572万円、50代で620万円。

建築家・建築デザイナー
意匠設計の中でも特に芸術性やデザイン性に重きを置いた建築物を作る人たちを、“建築家”と呼びます。以前は安藤忠雄氏や丹下健三氏、ザハ・ハディト氏のような巨匠クラスの人々を指す言葉でしたが、最近ではデザイン住宅へのニーズが高まったことから、そういった要望に応えられる建築士全般を建築家と呼ぶようになりました。

構造設計…建物の構造・強度を決める縁の下の力持ち

構造設計は、強度や安全性、コストの面から建物の構造を決定していく職業です。意匠設計と打ち合わせを行いながら、特殊なソフトウェアを用いて構造図や構造計算書等を作成していきます。

主な職場は、ゼネコンや組織設計事務所、構造設計事務所など。ゼネコンでは社内に意匠設計者が居る場合がほとんどですが、構造設計事務所に勤務する場合は、社外の意匠設計者から仕事を受注することになります。

構造計算書偽造事件以降、ニーズは増加中

2005年に発覚し、世間を賑わせた構造計算書偽装事件。A建築士の行った偽装をチェック機関がスルーしてしまったいきさつから、構造設計の作成書類が見直されることになりました。

これにより、構造設計の業務量は増加。加えて、東日本大地震・熊本地震の影響もあり、建物の強度を左右する構造設計のニーズはいっそう高まっています。

勤める会社ごとに設計する建物が異なる

設計士と言っても、手がける建築物の種類は幅広いもの。「一般の人の住居をデザインしたい」「ホテルなどの巨大な施設を手がけたい」など、作りたいモノに合わせた就職先を選ぶことが大切です。

組織設計事務所

設計専業で特に大きな規模を持つ事務所の総称。組織力を活かし、意匠設計・構造設計・建築設備・エンジニアリングシステムなどの計画・設計に加え、建設現場での監理もすべてワンストップで行う特徴があります。

著名な事務所としては、日建設計(住友系)、日本設計、日総建、NTTファシリティーズなどがあります。

▼給与例(NTTファシリティーズの場合)
新卒・修士了の初任給  233,490円 ※東京23区勤務
新卒・学部卒の初任給  208,810円 ※東京23区に勤務の場合
※初任給は同社の新卒採用ページによる

アトリエ

いわゆる建築家、デザイナー、現代建築家などと呼ばれる人々の事務所です。

独創性やデザイン性のあふれる芸術的な建物を扱いたい場合は、アトリエに就職し、建築家に師事することになります。

大所帯の組織設計事務所とは対照的に、社員は多くて10名程度。一般住居や運動場、体育館、大型施設、庁舎、教会などを手がけることができる反面、建築家として大成できるようになるまでは薄給というケースが多いと言われています。

有名な企業:安藤忠雄建築研究所、隈研吾建築都市設計事務所など

▼年収例
月給20万円前後~
様々なアトリエが乱立し、飽和状態となっているため、多くの場合は薄給に。給与の低さが、独立志望の学生にとって最大のネックになっています。但し有名アトリエの場合は待遇が良いこともあり、無名なアトリエと比べて、給与額が数倍差ということも。

工務店(ハウスメーカー)

アトリエや設計事務所が設計専任であるのに対し、工務店は設計も施工も行うのが特徴。主に一戸建てなどの一般向けの住居を担当します。

ハウスメーカーも工務店と似た立場にありますが、工務店がある程度エリアを絞って活動しているのに対し、ハウスメーカーは全国規模でより住宅の販売に特化しています。また、売る住宅も規格化された設計自由度が少ないものとなるため、設計に重きを置きたい人には物足りないかもしれません。

有名な企業:大和ハウス、積水ハウス、パナホーム、一条工務店など

▼給与例(大和ハウスの場合)
初任給・218,500 円(修士了)/ 207,000 円(学部卒)
平均年収852万円/38.2歳(2015年度)
※初任給は同社の新卒採用ページ、平均年収は有価証券報告書による

ゼネコン

大型建築物の、設計から施工まで全ての工程を一式で請け負い、工事全体のとりまとめを行う会社。

社内の各技術者に加え、サブコンと呼ばれる電気や空調といった各種セクションのプロとともにマンションや高層ビル、商業施設などの大型建造物を作り上げます。

ゼネコンはゼネラルコントラクターの略で、総合建設業者という意味にあたります。

有名な企業:鹿島建設や清水建設竹中工務店、大林組、大成建設など(これらは中でも特に大きなスーパーゼネコンと呼ばれる)

▼給与例(鹿島建設の場合)
初任給・月給240,900 円(修士了)/ 月給220,000円(学部卒)
平均年収891万円/43.7歳(2015年度)
※初任給は同社の新卒採用ページ、平均年収は有価証券報告書による

プラントエンジニアリング

プラント(工場)に特化して建設を行っている企業。メーカーから工場建設の発注を受け、業務にあたります。

複雑かつ巨大な工場は無数の機器とパーツから構成されるため、それらに対する化学、機械、建築・土木、電気・電子などの造詣はもとより、工場で扱う製品や材料などに関する知識が必要とされます。

なお、プラントの設計を行う際は、全体の大まかなレイアウトを決める基本設計職と、各部の詳細な作り込みを行う詳細設計職と2つのポジションに分かれています。

有名な企業:日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリングなど

▼給与例(日揮の場合)
初任給・月給286,000円(博士了)、月給244,000円(修士了)、月給215,000円(学部卒)
平均年収989万円/43.3歳(2015年度)
※初任給は同社の新卒採用ページ、平均年収は有価証券報告書による

デベロッパー

デベロッパーとは、オフィスビルやリゾート施設、分譲マンション、都市開発などの開発事業者のこと。多くの場合は発注者の立場となりますが、一部、ゼネコンの機能を持っている場合もあります。

設計に加えて工事監理を行う場合が多いのがデベロッパーの設計士の特徴です。

<有名な企業>
住友不動産 阪急不動産 近鉄不動産、タカラレーベンなど

▼給与例(住友不動産の場合)
初任給・月給240,000円程度
平均年収638万円/ 42.13歳(2015年度)
※初任給は同社の新卒採用ページ、平均年収は有価証券報告書による

内装設計・インテリアデザイナー…リノベを中心に注目が集まる

内装・インテリアイメージ内装設計・インテリアデザイナーは、建物のインテリア面の設計・デザインを手がける職業です。

オフィスの受付・エントランスに特化したデザイナー、キッチンに特化したデザイナー、飲食店のインテリアに特化したデザイナーなど…様々な種類があります。

店舗やオフィスだけでなく、近年では中古マンションのリノベーション人気を受け、消費者向けの内装設計もニーズが高まっています。

平均年収は20代で317万円、30代で390万円、40代で449万円、50代で452万円。

内装設計の平均年収内装設計の平均年収グラフ

この他にも、設計関連だと、家具デザイナーやランドスケープアーキテクト(都市や造園などの空間デザイン)、舞台美術などの職業があります。

建築施工管理…ニーズが高まる工事現場の監督役

建築施工管理イメージ建築施工管理とは、建設工事における現場監督のこと。建築には、大工や左官職人、電気工事士など…様々な分野のスペシャリストが参加します。

施工管理はそんな施工現場のリーダー役として、工事全体の施工計画を立案し、工程・出来形(寸法・形状)・品質・原価・安全の面から各所の工事を指揮・監督します。

建築施工管理には1級と2級(建築・躯体・仕上げ)の資格があり、取得することで主任技術者や監理技術者といったより責任ある立場にキャリアアップすることが可能です。

いずれも受験にあたって実務経験が必須のため、まずは施工管理として経験を積みながら、資格取得を目指すのが王道です。

建築施工管理は、建築の施工を行う建設会社や工務店などで活躍しており、9割以上を男性が占めています。

平均年収は20代で457万円、30代で495万円、40代で551万円、50代で609万円。

建築施工管理の平均年収

建築施工管理の平均年収グラフ

施工管理にも、内装やリフォームの領域を専門とした職業がありますが、こちらは平均年収が20代で301万円、30代で403万円、40代で502万円、50代で520万円となっています。

建築学科出身者の上記以外の職業は…

建設系学科出身者の進路としては、設計と施工管理が多くを占めます。

まずはじめに設計を選ぶか否かによってキャリアパスは大きく異なっていくことでしょう。

設計職を選ぶ場合、内装設計・インテリアデザイナーの項でも触れましたが、建築学科出身者が手がけるのは建築物だけではありません。

  • 家具デザイン
  • 照明デザイン
  • 舞台美術/映画のセットを作る映画美術や美術監督
  • 空間プロデューサー
  • 音響設計コンサルタント

…といった道もあります。学校で学んだ建築学以外の興味分野や造詣を活かし、これらの道に進むのも良いでしょう。

設計以外の場合であっても、施工管理のみには留まりません。建築学の知識を活かせるフィールドは多岐にわたります。具体的には、

  • 大工。左官職人、家具職人など現場でモノづくりに携わる道
  • 建築ライターや建築写真家としてメディアの側から建築業界を照らす道
  • CADオペレーターやCGクリエイターなどコンピューターグラフィック関連の道

他にもリフォームアドバイザーや建設会社の営業職なども、学んだ知識を活かせる職業です。

建築学科を出た人の進路をまとめた良書として、五十嵐太郎編『建築学生のハローワーク』というものがあり、このあたりの話について詳しく書かれています。興味がある人は一度手に取ってみても良いかもしれません。

建設系のキャリア形成のカギを握る「建設キャリアアップシステム」

国交省が建設業団体や学識経験者を巻き込みながら2017年8月の運用開始を目指している『建設キャリアアップシステム』。

これは、建設系の業界で働く技術者たちのスキルや経験をICカード化するというもの。この建設キャリアアップシステムにより、技術者たちは自分の実績の証明がしやすくなるでしょう。

実際の効果はまだ未知数ですが、技術者のスキルや経験を業界統一ルールの下で蓄積するというのは画期的な試みです。

入退場管理機能が付いているため、これまで職歴として正確にアピールしにくかった「どんな現場で、どのような業務を、どれくらいの期間行ってきたか」といった正確な保有スキルの証明ができるようになると言われています。

2017年4月に大規模工事などから順次試験運用を開始、同年8月に本格運用の予定で、計画書には初年度の1年間で100万人登録することが明記されています。

運用開始後5年で、技能者全員となる約340万人の登録を目指している、とのことでした。

土木系学科の職業

土木設計技術者…設計業務で地域社会に貢献する

土木設計技術者イメージ道路やトンネル、ダム、橋、河川の堤防、砂防など…土木建造物の設計を行うのが土木設計という職業。

扱う構造物の種類柄、公共事業関連の工事を手がけることが多く、インフラの整備や防災など…地域貢献に直結します。

建築系では設計を行うのに建築士の資格が必要ですが、土木の場合は特に必要とはされていません。

但し、建設コンサルタントなどでは、実務経験を積みながら技術士の資格取得を目指すことが多いです。

土木設計技術者は、建設コンサルタントや土木設計事務所などに在籍しています。

平均年収は20代で343万円、30代で431万円、40代で572万円、50代で620万円(建設系の設計技術者を含む数字)

土木設計技術者の平均年土木設計技術者の平均年収グラフ

建設コンサルタントとは…

道路やダム、港湾、砂防、橋梁などの計画・調査・設計業務までを行う企業。国土交通省に建設コンサルタントとして登録された企業を指します。設計が中心となるため、建設業界における組織設計事務所とよく比較される存在です。

有名な企業としては、東電設計を初めとする電力会社系列各社、ジェイアール東日本コンサルタンツを初めとするJRグループ各社、小田急エンジニアリングなどの私鉄グループ、三井共同建設コンサルタントなどの鉱山・財閥系などがあります。

土木施工管理…公共工事を成功に導く監督役

土木施工管理イメージ土木施工管理とは、土木工事における現場監督のこと。設計図や事前調査に基づいて工事スケジュールと施工の手順を策定し、いざ工事が始まった後は、各工事の作業工程や安全、品質、コストなどを管理していきます。

公共事業が多いこと、大規模な現場が多いこともあって、官公庁への手続きや周辺住民への説明・説得、さらには用地の確保など…幅広い業務をこなします。

土木施工管理の業務を行うのに資格は不問ですが、監理技術者を務めるには1級が、主任技術者を務める場合には2級の土木施工管理(国家資格)が必要です。

  • 土木施工管理1級…河川・道路・橋梁・港湾・鉄道・上下水道の工事の監理技術者を務めることができる
  • 土木施工管理2級…河川・道路・橋梁・港湾・鉄道・上下水道などの土木工事の土木or鋼構造物塗装or薬液注入いずれかの主任技術者を務めることができる

いずれの資格も受験する際に実務経験が必須となるため、まずは実務経験を数年積んだ後、資格に挑戦することになります。

なお、土木施工管理の勤務先は、土木系のゼネコンやサブコンなど施工を担当する企業。9割以上を男性が占めています。

土木施工管理の平均年収は20代で457万円、30代で495万円、40代で551万円、50代で609万円(建設系の施工管理を含む)。

土木施工管理の平均年収土木施工管理の平均年収グラフ

土木系のゼネコンとは…

その名の通り、土木工事を専門としたゼネコン(ゼネラルコントラクター)。例えば道路と海洋工事を手がけるゼネコンには、次のような企業があります。

道路専業ゼネコン…NIPPO(新日本石油系列)、日本道路(清水建設系)、前田道路(前田建設系)、世紀東急工業(東急系)など。

海洋土木専門のゼネコン(通称・マリコン)…五洋建設、東亜建設工業、東洋建設、若築建設、あおみ建設など。

測量士

160803_pixta_19731587_M_R測量士は、GPSをはじめ専門機器を用いて工事予定地の計測を行い、現状図面を作成する職業です。

ビルや住宅のみならず、道路やダム、鉄道など…いかなる建設工事を行う場合も、最初に必ず工事を行う土地の正確なサイズ(高さ・奥行き・長さ・面積など)を算出しなければなりません。

なお、測量士は実務経験が必要な国家資格のため、学科を卒業してもすぐになれるわけではありません。

まずは測量士補の資格を取得し、測量に関わる実務経験を1年以上積むことで、測量士の国家試験を受けられるようになります。測量士は、建設・土木コンサルタントや測量会社で活躍しています。

平均年収は20代で308万円、30代で380万円、40代で436万円、50代で559万円。

測量士の平均年収測量士の平均年収グラフ この他、土木系の学科からは、公園や緑地を初めとする造園工事の計画作成・現場監督などを行う造園施工管理技士や、木々の剪定などを行い公園の景観維持に務める造園士などで活躍する人も多く存在しています。

建築・土木系学科から目指せる公務員

建設・土木系の学科から目指せる公務員は、公立学校の校舎や公共建造物の設計・改修・施工管理、道路・河川・港湾・上下水道の整備や管理、街の再開発・都市計画事業に関わる職業などがあります。

建設局や都市整備局、都市整備局・水道局などに配属となります。実際の工事そのものはゼネコン・サブコンと共に進めていきますから、上流としての役割を担うことになります。

勤務時間が短い・しっかり休めるといった公務員全般の印象に反し、建築・土木系の公務員は残業が発生しがちです。繁忙期や工期の遅延が見込まれる際はすっぱりと休みがなくなってしまうことも。

とりわけ土木系の業務は新規開発・再開発に加え、震災や災害の復興など…ボリュームが多い傾向にあります。ですがその分、出世ポストや待遇などについては、土木系の方が良いという声が多く聞かれます。

施工管理を中心に、人手不足が続く建設・土木業界

建設業界では、慢性的な人手不足が続いています。

岐阜県では「人材不足と回答した割合が最も高かったのが建設業で71・7%」(岐阜新聞2016年04月07日)、沖縄県では「県建設産業団体連合会(下地米蔵会長)に加盟する556社が2015年度に計664人の採用を計画していたにもかかわらず、実際はその6割の266人しか採用できていない」(琉球新報2015年11月20日)など、地方部でのニーズの高まりが顕著です。

加えて東日本大震災や熊本地震などの復興需要、国土強靱化計画による災害対策工事、リニア中央新幹線の建設とそれに合わせた各地の再開発、山陽新幹線の全面改修など…今後も当面は転職者が有利な「売り手市場」の状態が続くことが予想されます。

まとめ

以上が建築学科・土木学科系の出身者が多い職業です。建築系は、設計や施工管理などで建設業界に身を置くことがオーソドックスではありますが、家具や照明のデザイン、舞台美術などにも道が開けています。

建築も土木も、キャリアパスを決定する上での最初のわかれ道は「設計する側になるか、設計されたものを作る側になるか」の二択。

設計は花形という印象が強いものの、現在は施工管理の求人が多く出やすい時期であることも念頭に置き、就職・転職先を決定すると良いでしょう。