書き方・テンプレート 生産技術の職務経歴書
生産技術の職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。製造業の業界動向や採用事情に精通したキャリアアドバイザーのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
生産技術の職務経歴書テンプレート
生産技術は「職務経歴」と「自己PR」が特に重要
生産技術の職務経歴書において、特に力を入れて書きたいのが「職務経歴」欄と「自己PR」欄。この2つの項目をどう書くか次第で、書類選考の結果が大きく左右されます。
まず「職務経歴」欄で”足切り”が行われる
第一に「職務経歴」欄ですが、採用担当者はまずこの欄に目を通し、経験・スキルのマッチングによる”足切り“を行います。
前提として、同じ「生産技術」という職種でも、扱う製品や工法、業務範囲は企業によってまちまちです。
そこで採用担当者は、応募者が「何の製品のどこの工程において、どんな業務を担当していたのか」、そしてそれが「自社の募集ポジションや業務内容と親和性があるのか」を精査するために、「職務経歴」欄をくまなく確認します。その結果、親和性がないと判断された場合は、その時点で”書類落ち“になってしまうのです。
そのため「職務経歴」欄では、自身の経験・スキルの内容やレベル感を漏らさず・正しく伝えられるよう、担当の製品や工程、業務範囲などについて、できる限りくわしく記載するのがポイントです。
キャリア
アドバイザー
応募先と親和性のある経験・スキルの内容については、求人の募集要項にある「職務内容」や「必須/歓迎条件」などを確認しましょう。
ただ、求人によってはあまりくわしく記載されていないケースもあるため、その場合は「オートモーティブ・ジョブズ」にご相談ください。生産技術をはじめ、製造業の転職支援を専門とするキャリアアドバイザーが、書類作成から面接対策まで、まるごとサポートします。
「自己PR」欄ではソフトスキルを見られている
なかには「職務経歴」欄から「経験・スキルの親和性がある」と判断された時点で面接に進める企業もありますが、とくに大手の企業や堅実な社風の企業などでは、あわせて「自己PR」欄も厳しくチェックされる傾向があります。
こうした企業では採用要件がしっかり定義されており、書類選考の難易度も高め。採用担当者は「職務経歴」欄などからわかる経験や知識・技術といったハードスキルとは別に、調整力や課題解決能力といったソフトスキルまで見ており、「自己PR」欄はまさにその重要な判断材料になるのです。
もちろん、それ以外の企業であっても「自己PR」は大きな加点要素になるため、手を抜かずにしっかり書いておくことをおすすめします。
その際は「業務や課題をどう捉え、その改善に向けて何をして、どういう成果につながったのか」という、ストーリーを意識して書くのがポイントです。
では具体的に何をどう書けばいいのか、「職務経歴」欄や「自己PR」欄をはじめ、それぞれの項目のくわしい書き方については、次の章から解説します。
1)職務要約
重要度:★★・・・
3~5行で端的にまとめればOK
生産技術の職務経歴書において、「職務要約」欄の重要度はそれほど高くありません。これまで担当した製品や工程、業務内容について3~5行程度で端的にまとめましょう。
あくまで「職務要約」欄は、これまでの経歴をザックリ伝えるための項目。そのため、ほかの応募者との差が出づらく、ここの内容で合否が決まるケースはほとんどありません。
とはいえ項目ごと削除してしまったり、プロジェクトや業務の詳細まで書きすぎてダラダラと長くなってしまうと「やる気が感じられない」「読み手への配慮や説明能力がない」としてマイナスイメージにつながってしまうため、注意が必要です。
キャリア
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応募先で求められる経験・スキルに触れてもOK
マストではありませんが、応募するポジションで求められる経験・スキルがはっきりとわかっている場合、それに関連する自身の経験・スキルについて「職務要約」欄で軽く触れてもいいでしょう。
採用担当者が自社との親和性をより判断しやすくなります。
例えば海外拠点でのプロジェクトリーダーというポジションであれば、「20XX年には●●(国名)工場において、新規ライン立ち上げのプロジェクトリーダーも経験」などと記載するイメージです。
2)職務経歴(特に重要!)
重要度:★★★★★
担当の製品・工程・業務をくわしく記載する
冒頭でもお伝えしたとおり、「職務経歴」欄は生産技術の職務経歴書において、書類選考の合否に大きく関わる最重要項目。
採用担当者はこの欄から応募者の経験・スキルを詳細に把握し、自社の募集ポジションや業務内容との親和性を精査しています。
曖昧な記述では「よくわからないから不採用」と判断されてしまうため、「職務経歴」欄は下記の項目を中心に、「何の製品のどこの工程において、どんな業務を担当していたのか」をできる限りくわしく記載しましょう。
特に「主な業務」は、自身の経験の幅を漏らさず・正確に伝えるためにも、具体的に書くのがポイント。
「新規ラインの立ち上げか、既存ラインの改善か」をはじめ、工程設計(生産準備)~設備検討、テスト・解析~設置、量産対応までのうち、どこからどこまでを担当したのかまで、くわしく記載します。
応募先にマッチする経験は目立たせる
担当範囲が広い場合、経験・スキルの幅を評価する企業もあるため、基本的にはすべて書くのでOK。
ただし、採用担当者は「そのうちどこをメインに担当していたのか=強みは何か」を確認し、自社との親和性を精査しています。
そのため、応募先にマッチする経験(業務)は上部に書いたり、特にくわしく書いたりなどして、メリハリをつけて目立たせる工夫をしましょう。
キャリア
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定量的な成果を「取り組み・実績」に記載すると◎
生産技術の場合、「職務経歴」欄の下部に「取り組み・実績」の項目を設け、課題に対するアクションと定量的な成果について記載するのがおすすめです。
例えば「受注件数が伸び悩むなか、コスト競争力の向上を目的として技術原単位ごとに目標を設定。結果、加工費の20%削減を実現し、新規顧客からの受注獲得につながった」といった具合です。
生産技術としての技術・能力の高さが伝わり、評価がグンとアップするでしょう。
3)保有資格/活かせる経験など
重要度:★★・・・
重要度は低いので端的にまとめればOK
「保有資格/語学」欄や「活かせる経験・知識・技術」欄は、生産技術においてはあまり重要視されません。
採用担当者は一般的に、経験・知識・技術といったハードスキルは「職務経歴」欄から把握しており、資格や語学についても、生産技術の業務では必須ではなく、優先度が低いからです。
基本的なルールに沿って端的にまとめられていれば、合否への影響は考えにくいでしょう。
保有資格・スキル/語学
生産技術の業務の特性上、保有資格はほとんど見られていません。ただ、技術士や電気主任技術者といった高難易度の資格がある場合、知識・技術力の高さをアピールできるため、記載しておきましょう。
語学もあくまで加点要素。海外でのプロジェクトも多い生産技術ですが、その場合も通訳がいるケースが一般的だからです。
記載する場合はTOEICなどの点数とあわせて、「メールや文書の読み書きや、口頭での技術に関する会話が可能」などと、実務での使用経験やレベル感についても併記しましょう。
活かせる経験・知識・技術
「活かせる経験・知識・技術」欄は、例えば「IE手法を用いた不良率改善、能率改善スキル」「真空成形・発泡成形・真空同時圧着(接着剤塗布含む)・エアバッグ開裂溝加工・レーザー加工などの成形技術」など、知識・技術に関するもの(ハードスキル)をいくつかピックアップし、箇条書きにします。
「海外生産拠点への移管経験」などの経験に関する内容や、「関係各所との調整力」「マネジメント経験」といったソフトスキルもNGではありませんが、それらは「職務経歴」欄や「自己PR」欄でも伝えられるため、あまり効果的ではありません。
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PLCの知識・技術はメーカー名まで記載
「活かせる経験・知識・技術」欄に「PLCのソフト回路変更スキル」などと記載する場合、メーカー名(三菱電機、キーエンス、オムロンなど)もあわせて記載しましょう。
どこのメーカーのPLCをメインで扱っているかは企業によって異なるため、メーカー名まで記載することで、採用担当者に親和性が伝わりやすくなるからです。
4)自己PR(特に重要!)
技術面とコミュニケーション面で分けて書く
「自己PR」欄は、生産技術の職務経歴書において「職務経歴」欄に次いで重要な項目。
先述のとおり、採用担当者はまず「職務経歴」欄で”足切り”をしたあと、続いて「自己PR」欄に目を通すことで、応募者のソフトスキル(職務遂行能力)を精査しているからです。
生産技術は立場上、開発職やオペレーターといった他部署との折衝が多く発生するため、特に説明力や調整力(折衝能力)といったコミュニケーション面についてアピールしましょう。
一方、「職務経歴」欄に記載した経験・スキルの念押しとして、技術面(ハードスキル)についても一つ見出しを立てて記載するのがおすすめ。
技術面とコミュニケーション面、それぞれの書き方をくわしく見ていきましょう。
技術面(ハードスキル)
「●●ツールを用いた課題解析能力」などと、打ち出したい能力を見出しとして立てたら、その裏付けとなるエピソードを続けて記載しましょう。
「職務経歴」欄の「取り組み・実績」に記載した内容に肉付けするイメージで、「どんな課題に対し、(その能力を活かして)何をして、どんな成果につながったのか」、ストーリーを意識して書くのがポイントです。
成果は定量的に示せるとベスト。「XX%の性能改善」「売上XX円アップ」「XX%のコストダウン」「XX%の不具合率改善」などといった具合です。
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成果は絶対値も併記すると◎
定量的な成果を記載する場合、改善率などのパーセンテージとあわせて「XX時間の短縮」「XX円のコストダウン」などと、絶対値も併記できるとなおよいでしょう。
生産技術の技術の場合、異業種の企業に応募するケースも少なくありませんが、その場合、パーセンテージだと採用担当者がそのインパクトをイメージしづらいことがあるからです。
コミュニケーション面(ソフトスキル)
コミュニケーション面(ソフトスキル)についても同様、「関係各所との調整力」などの見出しを立て、「どんな人と関わり、どんな摩擦や衝突が起こり、そのなかでどのようにして落とし所を探ったのか」、改善に向けたプロセスを具体的に語ります。
特に生産技術の場合、製品や工法の新規性を重視する開発部門と、作りやすさや工程能力を重視するオペレーターや作業員との間で板挟みになるケースも少なくないため、そうしたエピソードを題材にするのがおすすめ。例えば下記のような具合です。
〈自己PRの例〉
- (課題)原材料の高騰により、既存生産製品の原価を低減させる必要があった
- →(行動)製造部門から意見を吸い上げた結果、現場レベルでのこれ以上の改善は見込めなかったため、開発部門に掛け合い、説明資料をもとに設計図面の変更ができないか、協議を重ねた。納得してもらえない部分は、追加で現場にヒアリングを行った。
- →(結果)原価を抑える設計に変更。品質を保ちつつ更なる作業工程の削減に成功した
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。