書き方・テンプレート 半導体設計エンジニアの職務経歴書
半導体設計エンジニアの職務経歴書の書き方や、書く上でのポイント・注意点を解説します。半導体業界の最新動向や採用事情に精通したキャリアアドバイザーのコメントも掲載中。
無料でダウンロードできるテンプレートもご用意したので、ぜひ活用してください。
▼半導体プロセスエンジニアの方はこちら
半導体設計の職務経歴書テンプレート
半導体設計の職務経歴書をつくる上での心得
実務経験・ハードスキルを正確に伝えることが重要
半導体設計エンジニアの書類選考は、自身の実務経験やハードスキル(半導体設計に関わる技術・知識)を「いかに正確に伝えられるか」がすべてです。
というのも、同じ「半導体設計」でも、扱う製品や業務範囲、必要な知識・技術は企業によって千差万別。
そのため採用担当者は「何の製品の・どの工程を担当していたのか」「どんな技術・知識があるのか」がくわしくわからないことには、自社の募集ポジションや業務内容との親和性を判断できません。その結果、「よくわからないから不採用」となってしまうのです。
よって半導体設計の職務経歴書においては、経験・スキルの内容やレベル感が伝わりやすい下記の3つの項目が特に重要です。合否を大きく左右するため、書き方に注意しましょう。
それぞれの書き方やポイントについて、くわしくは次の章から解説します。
1・2)職務要約/活かせる経験・知識・技術
重要度:★★★★★
募集要項にマッチするキーワードを盛り込む
「職務要約」欄と「活かせる経験・知識・技術」欄は、半導体設計エンジニアの職務経歴書における最重要項目といっても過言ではありません。
というのも、採用担当者はまずこの2つの欄にざっと目を通し、自社の募集ポジションや業務内容にマッチする経験・スキルがあるのかを拾い読みするからです。
この時点で「自社との親和性がありそう」と感じてもらえない限り、場合によっては後述の「職務経歴」欄などを見てもらえないまま、不採用が決まってしまうケースも。
そのためこの2つの記入欄には、採用担当者が自社とマッチする経験・スキルを見つけやすいよう、自身の経験・スキルのうち、応募先の募集要項の「職務内容」や「必須条件」などに記載されている内容と共通するものを、キーワードとしてふんだんに盛り込むのがポイントです。
〈記入例〉
▼求人
次世代車載プラットフォーム開発プロジェクトなどを中心に、顧客要求の確認~仕様書作成~RTL設計/検証~マッピング(P&R)~実機評価対応まで、一貫して携わっていただきます。
▼「職務要約」欄
~フロントエンド設計として、車載AIのFPGA回路設計および自立制御アルゴリズム開発などを手掛けてきました。~
▼「活かせる経験・知識・技術」欄
- 仕様書作成からRTL設計および実機評価までの一貫した経験
- 自動運転装置のフロントエンド設計スキル・知識
ソフトスキルはリーダー/マネジメント経験だけ書く
また、半導体設計においては実務経験やハードスキルが重視されるため、コミュニケーション能力(調整力)や主体性、課題解決能力といったソフトスキル(業務遂行能力)については、あえて「活かせる経験・知識・技術」欄に記載する必要はありません。
ただし、「リーダー/マネジメント経験」であれば書いてもよいでしょう。
キャリア
アドバイザー
「活かせる経験・知識・技術」欄は「職務要約」の直後に記載
職務経歴書のレイアウトに厳格なルールはないため、「活かせる経験・知識・技術」欄は冒頭の「職務要約」欄に続けて、2つ目に記入することをおすすめします。
なぜなら「活かせる経験・知識・技術」欄は、後述の「職務経歴」欄に比べて自身の経験・スキルを箇条書きで端的に示すことができるため、採用担当者がキーワードを拾い読みし、自社との親和性を判断しやすいから。
職務経歴書冒頭にこれら2つの欄を置くことで、まずは採用担当者に興味を持ってもらうことが大切です。
▼「職務要約」欄についてさらにくわしく
▼「活かせる経験・知識・技術」欄についてさらにくわしく
3)職務経歴
重要度:★★★★・
担当の製品や業務範囲をくわしく記載する
半導体設計エンジニアの職務経歴書において、「職務経歴」欄は経験・スキルの”エビデンス”となる項目であり、「職務要約」「活かせる経験・知識・技術」欄に次いで非常に重要です。
というのも、前述の「職務要約」欄と「活かせる経験・知識・技術」欄からざっくり「自社との親和性がありそう」と判断した採用担当者は、次にこの「職務経歴」欄にじっくり目を通し、経験・スキルの内容やレベル感を詳細に確認することで、その判断に間違いがないかを確かめているからです。
そのため「職務経歴」欄は、できる限りくわしく・具体的に書くのがポイント。主に下記の項目を部署や役割(役職)、担当製品やプロジェクトごとに区切って記入しましょう。
「職務経歴」欄で特に気をつけたい3つのポイント
半導体設計エンジニアが「職務経歴」欄を記入する上で、特に気をつけたいポイントを3つ、ご紹介します。これらのポイントを意識して書くことで、書類選考の通過率がグンとアップするでしょう。
フロントエンドかバックエンドは明確に
第一に、「主な業務」の項目では、メインの経験がRTL設計や論理合成などのフロントエンド寄りなのか、レイアウト設計(配置・配線)などのバックエンド寄りなのかをわかりやすく記載するのがポイント。
半導体設計の業務は工程ごとに分業化されており、採用枠も分かれているケースが多いため、担当範囲とその比重を明確に示すことで、応募先との親和性を判断してもらいやすくなるからです。
具体的には、「主に論理合成やタイミング解析、ASICパッケージ信号品質評価を担当」などと補足の文章を添えたり、「フロントエンド開発(5年6カ月)」「バックエンド開発(2年4カ月)」などと経験年数や期間を併記したりするのがおすすめです。
担当製品の用途・スペックは詳細に
2つ目に、「担当製品」や「担当業務」の項目では、関わった製品の用途やスペックを、可能な範囲で詳細に記載しましょう。
半導体デバイスは多種多様で、それぞれ求められるスペックや必要な技術・知識が異なります。
そのため、これまで担当してきた製品や業務については、下記のように「何の業種(顧客)/最終製品向けの」「どんな用途/環境で使われる」「どれくらいのスペックが必要な製品なのか」などを具体的に記載することで、採用担当者は自社製品との親和性や技術のレベルなどを把握しやすくなるからです。
〈記入例〉
- ブロックレベルのAPR/物理設計(周波数:●●MHz, 温度Tj:●●℃~●●℃, インスタンス数:●M)
- ●●bitCPU搭載の映像系SoC
- 4K●●Hz表示対応T-Con ASIC及びモジュール開発
- モバイル向けイメージセンサ(●●万Gate規模)のFW評価環境開発
- ●●nmプロセスFlash内蔵マイコン用Flash書き換え制御モジュール開発
…など
設計する上での取り組み・工夫点を書く
3つ目のポイントは、半導体設計は業務の特性上、個人としての定量的な成果を表しづらいため、代わりに「取り組み・工夫点」といった項目を設け、設計する上での意識や試みについて記載すること。
主体性や課題解決能力が伝わり、好印象に映ります。
〈「取り組み・工夫点」の例文〉
- DC-DCコンバータに用いられる●●回路の●●を改善したいという顧客要求に対して、従来と異なる方式を提案し、検討を行った。試作の結果、十分な特性改善が見られ、実機種への採用につなげた。
- ●●向けに作成したロジックIPはマイコン搭載のロジック異常を検知する必要があり、各ロジックの異常通知の仕様を関係者に確認しながら仕様を詰めた。また、ロジック構成はベンダーと打ち合わせを行い機能を実現させた。
…など
キャリア
アドバイザー
応募先によってアピールすべき経験・スキルは変える
完成品メーカーとデバイスメーカーのどちらに応募するかで、アピールすべき経験・スキルは異なります。
完成品メーカーの場合、細かい設計業務をデバイスメーカーに委託するケースも多いため、フロントエンド寄りの経験・スキルや、顧客折衝やプロジェクトマネジメントの経験が評価につながりやすいでしょう。
一方、デバイスメーカーは設計業務をメインで担うため、フロントエンド/バックエンド問わず設計の実務経験や技術・知識、納期遵守・品質向上に向けた取り組みや、顧客や社内メンバーとの調整力などが評価される傾向にあります。
「職務経歴」欄をはじめ、応募先に応じて記載内容を調整することが大切です。
▼「職務経歴」欄についてさらにくわしく
語学・自己PRは内容次第で加点要素になる
前提として、半導体設計エンジニアの職務経歴書では、「保有資格・スキル」欄や「自己PR」はあまり見られていないため、気負いすぎる必要はありません。
半導体の設計業務において必須となる資格はないことに加え、あくまで書類選考では、実務経験やハードスキルが重視されているからです。
ただ、記載内容によっては加点につながるケースもあるため、書けそうなことがないかチェックしておきましょう。
4)保有資格・スキル
重要度:★・・・・
半導体設計の場合、「保有資格・スキル」欄はほとんど重視されませんが、情報技術者試験のほか、情報系やプログラミングに関わる資格などがあれば、知識・技術の証明になるため記載しておきましょう。
ただし、外資系の企業に応募する場合、英語などの語学力は必須。日系企業でも加点要素になるため、記載しておいて損はありません。半導体設計の場合、顧客や外部委託先が海外で、英語でやり取りするケースも少なくないからです。
記載時はTOEICなどの点数とは別に、「メール作成・英語ネイティブとの会議が可能」などと、実務においてどれくらいのレベルで使えるのかも、あわせて記載するのがポイントです。
5)自己PR
重要度:★・・・・
半導体設計の場合、「自己PR」欄もあまり見られてはいませんが、先述の「職務経歴」欄の「取り組み・工夫点」に記載した内容に肉付けするイメージで、設計する上での意識や試みについて記載するとよいでしょう。
例えば「顧客志向の設計力」「量産に向けたコスト低減を意識した開発スキル」などといった見出しを立て、「顧客の要望や業務上の課題に対して、何を考えどのようなアクションをして、どういった成果につながったのか」について、ストーリー立てて書くのがポイントです。
▼「自己PR」欄についてさらにくわしく
この記事の担当者
「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。