製薬業界の品質管理・品質保証 職務経歴書の書き方・テンプレート
製薬業界の品質管理や品質保証として働く人向けに、職務経歴書の書き方や注意点を解説します。また、製薬業界の最新動向や採用事情に精通したキャリアアドバイザーからのコメントも掲載しています。
テンプレートをダウンロードし、早速作成していきましょう。
製薬業界の品質管理・品質保証
職務経歴書の無料テンプレート
品質管理
職務経歴書
20XX年XX月XX日
氏名 転職 太郎
◆職務要約
大学卒業後、株式会社○○にて原薬・中間体・最終製剤の品質管理業務全般を担当。入社後は、原薬・中間体・最終製剤の品質試験業務に従事し、SOPおよび記録シートの作成、改訂などの書類管理も任されています。また、研究所からの技術移管や分析法バリデーションを担当しました。20XX年春よりチームリーダーとして、各種品質試験をそれぞれの優先順位をもとに後輩○名に割り振ることで各試験のスケジュール管理を行っています。
◆職務経歴
20××年4月~現在:株式会社○○(××用品の製造・販売)
会社情報:資本金○○○百万円、売上高○○○百万円(20XX年度)、従業員△△△名、上場・非上場
◇主な担当業務(所属チームの主テーマ)
期間 |
担当製品 |
担当業務 |
使用ツールなど |
年 月- 現在 |
※製剤名・種類・剤形 |
予備安定性試験(加速、長期、光) |
HPLC(UV:○○製) |
年 月- 現在 |
チーム担当試験全て |
データの第三者QC実施 |
Excel |
年 月- 現在 |
※製剤名・種類・剤形 |
予備安定性試験(加速、長期、光) |
HPLC(UV:○○製、○○製)、分光光度計 |
年 月- 現在 |
※原薬名 など |
予備安定性試験(加速、長期、光) |
HPLC(UV:○○製) |
◇単回経験業務(期間:各1~2ヶ月)
担当製品 |
担当業務 |
実施試験 |
※製剤名・種類 |
定量法などの分析法バリデーション |
一部試験実施(室内再現精度) |
医薬部外品 |
申請データ取得 |
適合性試験 |
販促データとしての安全性確認 |
細胞毒性試験(V79細胞使用) |
|
製品候補処方 |
性能評価 |
保存効力試験、微生物限度試験(日局) |
上記原薬 |
吸湿性検討、融点測定 |
― |
部外品 |
申請データ取得 |
○○製HPLCを用いた成分測定 |
申請データの第三者QC実施 |
他チームメンバー取得データのQC |
◆経験・知識・技術
項目 |
内容 |
習得度 |
分析機器 |
HPLC(○○製、○○製) |
確立済みの試験法を用いての測定可。 |
IR(○○製) |
液膜法および錠剤法の測定可。 |
|
微量金属不純物分析 |
ICP-MS |
試験法開発、分析法バリデーション、ICHガイドライン対応(ICH-Q3D) |
分析法バリデーション |
定量法、確認試験 |
特異性、直線性、併行精度、範囲、室内再現精度などの項目を用いて実施経験あり(ICH-Q2A、Q2B) |
データの信頼性 |
データの第三者QC実施 |
試験データ、計画書および報告書の取りまとめおよび内容確認 |
◆他部署との関わり
項目 |
内容 |
品質保証部からの依頼試験 |
原料受け入れ試験のうち、IRに関しては所属チームが担当しているため、試験の依頼があり次第スケジュールの確認、検体受け入れおよび試験実施、部長の承認を受けての結果報告 |
管理部とのやり取り |
試薬管理業務(発注および廃棄連絡) 管理機器業務(機器登録、SOP作成および改訂時のやり取り) |
◆保有資格
普通自動車第一種運転免許(20XX年XX月取得)
◆自己PR
〈課題解決力〉※経験・スキル面の例文
試験検査業務はルーチンの側面が強い業務となりますが、常に業務の目的や意義を意識しながら日々業務に励んでいます。特に試験スケジュールでは試験計画を1週間単位で検討し、同じ項目がある場合は前倒しで対応することで効率的に業務を遂行するように努めています。また、トラブル発生時に瞬時に状況を把握し、上長への報告を徹底していました。それにより、新規受け入れ原料や法改正に伴う試験法の検討や、標準書・手順書の作成なども任せていただいています。
〈幅広い業務経験〉※経験・スキル面の例文
錠剤・カプセル剤・細粒剤・注射製剤の試験経験があるため、幅広い試験に対応できます。OTC医薬品だけではなく、後発医薬品の取り扱い経験もあります。また、複数製品・複数ロットの試験を同時に効率的に実施するための手法を検討し、過去には〇〇〇〇錠の定量試験・製剤均一性試験を△ロット(1日)と〇〇〇〇錠の溶出試験を△ロット(1日)実施した経験もあります。これによって試験工数を◯%削減することができました。
〈迅速な行動力〉※人柄面の例文
海外メーカーの導入品の試験時に、機器異常が発生した際には、機器メーカーの担当者とともに原因追求を行いました。しかし、原因がつかめず、当初の試験スケジュールが迫っていたため、上司や海外メーカーの品質保証部門に試験担当者と直接連絡を取ることを打診。了承を得た上で、原因を解明することができました。結果として、生産スケジュールにも間に合わせることができ、ここで発揮された課題解決に向けた行動力は上司からも高く評価いただきました。
〈リーダーシップ〉
試験室の拡大に伴って5S活動のグループリーダーを担当した際には、試験がしやすい環境づくりに務めました。試験室の拡大によって使用機器が増加し、それに伴って機器洗浄の手間も増えることになった際には、ほかの試験担当者と意見を交わし、解決策の一つとして防汚防腐剤の使用が挙がりました。導入すべく上司に相談し、使用時の評価も実施するなどの手法を整え、合わせて機器取扱手順書の見直すことで、業務の効率化を実現しました。また、試験室内の機器・器具の配置を再検討する際には、各試験担当者にヒアリングを実施し、動線を把握した上で全員にとって使いやすい配置を検討しました。
以上
品質保証
職 務 経 歴 書
20XX年XX月XX日
氏名 転職 太郎
【職務概要】
大学院にて〇〇を学び、卒業後に〇〇〇〇株式会社に入社。●年間にわたり、注射剤および固形製剤の品質保証(工場QA)業務全般に従事。注射剤では、逸脱・CAPA管理、バリデーション業務、当局GMP査察対応、医薬品製造業における薬事業務などを担当しています。現在は品質保証部で●名をマネジメントしながら、GQPQAとして海外製造所から報告される逸脱管理、変更管理、当局GMP査察を担当しています。
【職務経歴】
〇〇〇〇株式会社
事業内容:医薬品、医薬部外品の製造販売輸出入など
資本金〇〇〇〇万円、売上高〇〇〇〇万円(20XX年度)、従業員数:〇〇〇名
期間 |
職務内容 |
20XX年XX月
|
〇〇工場 品質保証部 工場XXX名/△△製剤 ■GQPQAとして全体管理業務に従事 ・FDAを含む海外当局の査察対応,海外ベンダー査察対応 ・GMP査察 ・海外ライセンスアウト品の品質保証業務 |
20XX年XX月
|
〇〇工場 品質保証部 工場XXX名/△△製剤 ■品質保証業務に従事 ・バリデーション業務 ・GMP監査対応 ・薬事対応 |
【保有資格】
薬剤師免許(20XX年XX月取得)
【自己PR】
〈豊富な監査対応経験〉※経験・スキルの例文
品質保証部での業務経験を通してISO13485、ISO9001や法令の知識を取得し、主に変更管理、逸脱処理、クレーム処理、CAPA管理、国内・国外の製造所の監査、自社のQMSに関わる基準構築を全般的に行ってきました。一般医薬品の場合は社内外の監査を10回対応した経験があり、監査後のフォローアップとして改善計画の策定と実行をリードし、品質保証体制を強化しました。
〈円滑な変更管理対応経験〉※経験・スキルの例文
変更管理業務では35以上の製造所を対象に実施しております。対応時にはリスクアセスメントなどの必要事項が満たされているかを適切に把握した上で対応が必要になるため、円滑なコミュニケーションを意識しております。一昨年は65件、昨年は75件程度の変更案件を対応した実績があります。
〈迅速なトラブル対応力〉※人柄面の例文
担当品目の製造時に規格に合う製品が完成しないというトラブルが発生しました。このときは、事象発生から2時間以内に原材料を扱う部門、製剤を扱う部門などの他部署に連絡を入れ、数日に渡って調査・話し合いを重ねて原因追及を目指しました。結果として、原材料に問題があることが分かり、迅速に改善対応を行うことができ、計画に間に合う形で製造を進めることができました。
〈課題解決力〉※人柄面の例文
委託先との海外製造所との連携を重視しています。20XX年の〇〇問題を受けて、当局から承認書と製造実態の整合性に関する一斉点検が実施された際には、実際に製造委託所に足を運び、日本の薬事規制の理解を深めてもらうための取り組みを行いました。日米の変更管理システムの違いのなかでも特に注意すべきポイントを独自に抽出し、プレゼンテーションを実施し、半年に1度の頻度で定期的な整合性点検の実施を行う取り決めを結んでいます。
以上
製薬業界の品質管理・品質保証
職務経歴書の書き方・ポイント
製薬業界の品質管理・品質保証の職務経歴書を作成する上で重要なのは、
- 担当製品(フェーズ、医薬品の種類、剤形)
- 経験業務
- 使用ツール ※品質管理の場合
をしっかりと書き出すことです。
製薬業界の品質管理・品質保証の場合、企業の採用基準はとても明確です。製薬業界では医薬品の「種類(新薬、ジェネリック、OTC)」「剤形(錠剤、注射剤など)」「フェーズ(原薬、最終製剤)」によって求められる品質の管理基準が異なるため、たとえば、「新薬メーカーで注射剤(最終製剤)の経験がある人」といったように、採用候補者に求める職務経験が企業ごとにはっきり分かれているからです。
そのため、書類選考を通過するには、今までどのような製品を担当してきたのかをしっかりと明記して、企業側の採用条件に合致した人物であると印象づけることが重要なポイントとなります。
また、品質管理・品質保証といっても、試験・分析業務をメインで行ってきたのか、品質保証として査察対応まで担当してきたのかでも、企業からの評価は異なります。このため、試験や分析をメインにしてきた人は「品質管理」のテンプレートを、試験の管理や査察対応を行ってきた人は「品質保証」のテンプレートを使って、今まで経験した業務をすべて書き出しておきましょう。
応募要件にあわせた経験・スキルをアピールする
近年、製薬業界では品質管理・品質保証の採用ニーズが高まっており、キャリアチェンジ・キャリアアップ転職を目指しやすい傾向にあります。
たとえば、「品質管理から品質保証へのキャリアチェンジ」や、「OTCからジェネリック、ジェネリックから新薬を扱う企業へのキャリアアップ」を目指す人にはチャンスといえるでしょう。
このようにキャリアチェンジ・キャリアアップ転職を目指す場合は、職務経歴を書く上で次のポイントに留意する必要があります。
品質管理から品質保証へのキャリアチェンジを目指すのであれば、分析・試験以外の幅広い業務経験を積んできたことを伝えるのがポイント。
基本的には品質管理として経歴を積んだ先のステップとして品質保証があるので、品質規格の逸脱調査や製品の出荷判定、監査対応などの経験も積んでいることを、職務経歴書全体を通して盛り込みましょう。
キャリアアップを目指す場合は、品質に対して高い意識を持っていることと、主体的に行動した経験をアピールしましょう。自己PR欄で「品質規格を評価する効果的な分析法を自身で検討した」「製造部と連携して品質維持に向けたリスクアセスメントを実施した」などのエピソードを伝えるのがおすすめです。
ここからは、記入項目ごとに詳しい書き方・ポイントを紹介します。
1)職務要約
重要度:★★・・・
▼品質管理
▼品質保証
メインで携わった業務について5行前後でまとめる
製薬業界の品質管理・品質保証の場合、企業は自社に直接的に活かせる業務経験があるかどうかの詳細を見ているため、概要を伝える【職務要約】の重要度はそこまで高くありません。
ここでは、自身がメインで携わってきた業務経験について5行前後でまとめましょう。「新製品開発の為の候補製剤および原薬の予備安定性試験を担当」「分析試験およびCMCを一貫して担当」など、担当業務の幅がわかるように具体的に記載することがポイントです。

キャリア
アドバイザー
品質保証はGMP査察・グローバル対応経験があれば高評価
品質保証の場合は、米国や欧州といったグローバルでの「GMP対応」はアピールポイントになるため、経験がある場合は職務要約でも触れておきましょう。
品質の国際基準を満たすための対応は複雑であり、責任が伴う業務であるため、品質保証として最も評価が高くなります。
2)職務経歴/経験・技術・知識
品質管理は、製品名を明記し、経験業務のみピックアップすればOK
重要度:★★★・・
製薬業界の品質管理の場合、【職務経歴】の「担当製品」では製品名や剤形をしっかりと明記しましょう。
企業は、経験した試験の多さを評価するわけではなく、あくまでも応募者の経験と自社の採用要件の親和性を見ているので、「担当業務」ではテンプレートから経験していたものだけをピックアップして記載すればOKです。

キャリア
アドバイザー
ルーティンワーク以外の経験は文章形式で加筆する
品質管理は試験・分析以外の経験を積んでいる人の方が評価されやすい傾向があるため、ルーティンワーク以外に主体的に行動した経験があれば、ぜひ記載してほかの応募者より一歩リードしたいところです。
担当業務部分に「〇〇製剤の分析手法を自身でいちから検討して実施した」「チームリーダーとして試験スケジュールを立案し、実施手順を組み立てて実行した」など、自身が主導した業務を文章形式で加筆しましょう。
品質保証は、今までの業務経験を実績とあわせて伝える
重要度:★★★★★
製薬業界の品質保証の職務経歴書で最も重要なのが【職務経歴】の項目です。企業側はここに書かれた内容から、自社でも同様に業務を遂行できるかどうかを見極めています。テンプレートの見本をもとに、今まで経験したすべての業務を余すことなく書き出しましょう。
記載する業務経験については、たとえば「製造所監査(実地◯回、書面◯回)」「逸脱管理対応(年間約◯回)」といった具体的な対応件数を盛り込むのがポイント。
業務ボリュームが適切に伝わり、企業側は品質保証として十分な経験を積んでいるのか、自社の品質保証業務と照らし合わせて問題なく対応できそうな人物なのか、をイメージしやすくなるでしょう。

キャリア
アドバイザー
「どのような立場で業務を推進していたのか」は特に重要
品質保証の場合、「どのような立場でどのような業務を推進していたのか」が評価を決めるポイントの一つとなります。品質保証として組織を主導した経験や、責任のある業務を任されていた実績があればプラス評価となるので、チームのなかでの役割として必ず記載しましょう。
「実態点検の確認方法の変更を上司に提案し採用された」「〇〇プロジェクトでは自身が主体となって品質情報連絡体制を構築した」など、具体的なエピソードを記載するのがポイントです。
コラム:【他部署との関わり】の役割とポイント
重要度:★★★★・
試験・分析業務がメインとなる製薬業界の品質管理において、【他部署との関わり】は注目度が高い項目です。「品質保証部」や「製造部」などの他部署名を挙げて、そことの連携の詳細を記載してください。
上記の【職務経歴】には専門的な分析・試験経験の有無や詳細を記載することができますが、具体的なやり取りまでは書ききれないため、この項目で詳細に記載することが大切です。
前述したように、品質管理の試験・分析業務以外の経験を持つ人は評価されやすい傾向があるため、それぞれ具体的に書き出すことが大切です。
3)自己PR
品質管理は「課題解決力」と「コミュニケーション能力」をアピールする
重要度:★★★★★
製薬業界の品質管理の職務経歴書で最も重要な項目が【自己PR】。「経験・スキル面」と「人柄面」を一つずつ記載するのがおすすめです。
まず経験・スキル面については「課題解決力」が伝わるエピソードが高評価。ルーチンワークになりがちな日常業務において、どのような課題を見つけ、その解決のためにどんな行動を取り、どのような結果が得られたかを伝えることが大切です。
たとえば、「適切な試験スケジュール・試験計画の見直しを行い、試験計画の遅延解消に貢献した」といった、PDCAをまわした一連の具体的なエピソードを伝えられると説得力のある自己PRになります。
品質管理は、分析・試験を黙々とこなすことが求められる業種だからこそ、人柄面ではコミュニケーション能力をぜひともアピールしたいところ。
たとえば「研究所からの技術移管に際して、開発部門と連携しながら〇〇分析プロジェクトを推進した」「新しい分析システムを導入する際に社外ベンダーとやりとりした」などの他部署や社外と連携した経験を記載しましょう。
また、チーム内でどのように業務を進めてきたのかがわかるエピソードも効果的です。上司に提案した経験やほかの試験担当者とのやり取りで気をつけていた点を盛り込むのがポイント。あなたの品質管理業務への考え方や価値観が伝わり、企業側が自社の風土と合致しそうかを判断する際の材料になります。
品質保証は「幅広い業務経験」と「トラブルへの対応力」を伝える
重要度:★★★・・
今までどのような業務経験を積んできたのかが重視される品質保証では、【自己PR】の重要度は高くありませんが、経験・スキル面と人柄面を一つずつ記載できるとベスト。
経験・スキル面としては、品質保証に関わる幅広い業務経験を積んできたことや一定の業務の件数をこなしてきた経験を念押ししましょう。
人柄面では「トラブルへの対応力」が伝わるエピソードを記載するのがおすすめ。ものづくりの現場では想定どおりにいかないことも多く、企業側は突発的なトラブルが起きた際にどのような行動を取れる人物なのかも知りたいと考えているためです。
エピソードでは「目の前の課題に対して、何を考え、どのように行動したのか」「関係各所に対してどのような対応を行い、どのような結果が得られたのか」といった一連の流れを伝えましょう。
履歴書の作成も忘れずに!
転職の書類選考では、職務経歴書とあわせて履歴書の提出を求められることが一般的。
まだ着手していない場合、まずは下記の記事から自分に合ったテンプレートをダウンロードしましょう。
ダウンロードできたら、下記の記事から書き方・ポイントを確認し、早速作り始めてみましょう。
この記事の執筆者

「転職Hacks」編集部
株式会社クイック
株式会社クイックが運営する、転職活動にまつわる情報サイト「転職Hacks」の編集部。履歴書・職務経歴書の書き方や面接対策などのノウハウ記事、キャリアの悩みを解消するインタビュー・コラムを掲載中。
